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Mk 41 (ミサイル発射機)

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Mk 41 VLS上面、ミサイル・セルの蓋。

Mk 41垂直発射システム (Mk-41 Vertical Launching System)は、世界的に広く用いられているミサイル発射システム。垂直発射方式を採用しており、スタンダード艦対空ミサイルトマホーク巡航ミサイルアスロック対潜ミサイルなど、幅広い種類のミサイルを運用することができる。

なお、ミサイル発射機単体としては、アメリカ海軍ではMk 158またはMk 159として別に制式番号を付与しており、厳密には、Mk 41とはミサイル発射システム全体に対する名称である。

概要

Mk 41は、現在世界でもっとも多く運用されている垂直発射装置である。典型的なVLSとして、弾庫が発射機を兼ねているほか、Mk 41固有の特徴として、複数種類のミサイルを同時に並行して収容し、任意のミサイルを迅速に発射できることから、複合的な脅威に対する優れた対応能力を有する。

イージス戦闘システムの要であり[1]、2009年1月現在で就役している各国のイージス艦の全てに搭載されている。また、カナダイロクォイ級ミサイル駆逐艦日本たかなみ型護衛艦など、それ以外の戦闘艦にも数多くが搭載されている。

構成

Mk 41システムは、ミサイルの弾庫と発射機を兼ねるケース(ミサイル・セルと呼称)を最小単位としており、これを8セル集めたのが1モジュールとなる。また、全高が異なる3つの機種があり、大型なものほど、より多くの種類のミサイルを運用することができる。

もっとも大型のStrike-Lengthモジュールの全高は7.6m、トマホーク巡航ミサイルスタンダードSM-2艦隊防空およびRIM-161スタンダード・ミサイル3 (SM-3)、シースパローおよびESSM個艦防空ミサイル垂直発射式アスロック対潜ミサイルを運用することができる。

中型のTactical-Lengthモジュールの全高は6.7m、全高が大きいトマホーク巡航ミサイルや、スタンダード・ミサイルのなかでも大型であるSM-3は搭載できないが、それ以外のミサイルは運用できる。

Self-Defenseモジュールはもっとも小型だが、Tactical Lengthモジュールと同様のミサイルを運用することができる。

アメリカ海軍がこれまでに運用しているMk 41はいずれもStrike-Lengthモジュールを使用しているが、このうち、発射機単体については、8モジュールで構成されるものをMk 158、4モジュールで構成されるものをMk 159として制式化している。これらには、それぞれ1モジュールずつ、ミサイル・セル3つ分のスペースを使ってミサイル再装填用のクレーンを設置した ストライク・ダウン・モジュールと呼ばれるものが組み込まれていたが、洋上でのミサイル再装填がきわめて困難であることから、後期の搭載艦では組み込まれなくなった。

また、それぞれのミサイルは、専用のキャニスターを介してミサイル・セルに収容される。Mk 13はスタンダードSM-2MR、Mk 14はトマホーク、Mk 15はVLA用のキャニスターであり、シースパロー/ESSM用のキャニスターとしては、1発のみ収容できるMk 22と、1セルに4発収容できるMk 25がある。また、弾体が大型化したスタンダードSM-2ERやBMD用のSM-3を収容するためのMk 21も開発され、配備されている。

なお、現在では、モジュール単位ではなく、単一のセルでの搭載が可能な機種(Single Cell Launcher: SCL)も開発されており、Mk 25キャニスターによるESSMの試射を成功させている。

運用と搭載艦

Mk 41を最も早く搭載したのはタイコンデロガ級ミサイル巡洋艦の6番艦以降の艦で、61セルのMk 158発射機2基を搭載し、Mk 41 VLSのシステム全体の呼称としてはMk 41 Mod 0とされている。続いて、スプルーアンス級駆逐艦の一部艦が前甲板のアスロック8連装発射機Mk 16にかえて61セルのMk 158発射機1基を搭載し、これはMk 41 Mod 1とされた。

また、アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦はMk 41 Mod 2として、前甲板に29セル(後期建造艦では32セル)のMk 159、後甲板に61セル(後期建造艦では64セル)のMk 158を搭載している。このうち、特にアーレイ・バーク級については、設計時よりMk 41の開発が知られていたため、その搭載するイージス・システムおよびトマホーク・システムの重要なサブシステムと位置づけられて、セル数については徹底的な検討が行われたことが知られている[1]

一方、カナダイロクォイ級ミサイル駆逐艦は、1990年代初頭に行われたTRUMP改修によって32セルのMk 41を搭載し、アメリカ国外では初の搭載例となった。これはスタンダードSM-2MRの運用にのみ用いられている。これに対し、1994年より就役を開始したドイツ海軍ブランデンブルク級フリゲートではシースパロー艦対空ミサイルの運用に用いられており、逆に1996年より就役を開始した日本のむらさめ型護衛艦においては、垂直発射式アスロック(VLA)の運用のみが行われており、艦対空ミサイルについては別に搭載した Mk 48 VLSで運用している。

この他にも採用が相次ぎ、現在では11ヶ国の海軍で16クラス、173隻の艦艇に搭載されて運用されている。

搭載艦

 スペイン海軍

 タイ海軍

 大韓民国海軍

 デンマーク海軍

 トルコ海軍

 ドイツ海軍

 ニュージーランド海軍

 ノルウェー海軍

脚注

  1. ^ a b 大熊(2006)による。

参考文献

関連項目