ナレースワン級フリゲート

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ナレースワン級フリゲート
ナレースワン (421)
艦級概観
艦種 フリゲート
艦名 歴代タイ王国国王の名前
(1番艦はナレースワンに由来)
建造期間 1991年 - 1994年
就役期間 1994年 - 就役中
前級 チャオプラヤー級
後級 プチャヨファ・チュラロク級
性能要目
排水量 基準: 2,500 t
満載: 2,980 t
全長 120 m
全幅 13 m
機関 CODOG方式
MTU 20V1163 TB83ディーゼルエンジン(8,000 bhp 2基
LM2500 ガスタービンエンジン (27,500 shp) 2基
スクリュープロペラ 2軸
最大速力 32 kt+
航続距離 4,000 nmi / 18 kt
乗員 150名
兵装 Mk.45 mod.2 5インチ単装砲 1基
76A式37mm連装機関砲 2基
12.7mm単装機銃 4基
Mk.48 VLS
(8セル; RIM-7M短SAM用)
Mk.41およびESSMへ換装予定[1]
1基
ハープーンSSM 4連装発射筒 2基
Mk.32 mod.5 3連装短魚雷発射管
Mk46短魚雷用)
2基
艦載機 リンクス哨戒ヘリコプター 1機
C4I サーブ 9LV Mk.4
レーダー LW-08 対空捜索用 1基
360型 低空警戒/対水上用 1基
AN/SPS-64(V)15 航海用 1基
AN/SPS-64(V)5 ヘリ誘導用 1基
STIR射撃指揮 1基
347G型 機関砲射撃指揮用 1基
ソナー SJD-7 艦首装備式 1基
光学 JM-83H 砲射撃指揮用 1基
電子戦 NRJ-5電波探知妨害装置
945型26連装デコイ発射機 4基

ナレースワン級フリゲート (: Naresuan class frigate, : ชั้นนเรศวร)は、タイ中国が共同で開発し、中国で建造されタイ海軍が運用するフリゲート。中国側名称はF25T型フリゲート

その設計に当たってはドイツMEKO型フリゲートなどの技術が導入され、従来の中国製フリゲートよりも格段に近代化された。また、西側諸国で標準的な各種装備を搭載しており、十分な多任務対応能力を備えている。その一方で、多国籍の装備を搭載したことからシステム統合に非常な困難を経ることとなり、中国を警戒して一部データは提供されず、さらにアジア通貨危機の影響で艦対空ミサイルなど一部装備品は後日装備とされた。

来歴[編集]

タイ海軍は、1980年代後半より、中国海軍053H2型フリゲートの輸出型である053HT/HT(H)型フリゲートの導入を進めていた。しかし、これらの建造途中に再検討を行なった結果、これらは中国海軍の基準で建造されていたことから、居住性や耐航性でタイ海軍の基準には適合しない上に、搭載されている装備の大部分は旧式であり、システム統合はまったく不完全で、一線での戦闘に投入できるものではないという結論に達した。このことから、後期建造艦2隻は、まったく新しい設計に基づいた新型艦として建造することとなった。これによって建造されたのが本級である。

053HT型で中国製装備を搭載したことの反省から、ナレースワン級においては、西側諸国の装備を多く搭載することとした。これにより、本級は、スペック表においては一流の性能を獲得することとなったが、調達元が多国籍となったことにより、そのシステム統合は非常な困難を経ることとなった。また、本級の建造開始の直前に、タイ海軍は053HT型の受領を完了したが、受領した4隻に建造上の不手際があったことから中国の造船技術に疑問を持ち、本級の発注取消しを伝える一幕があった。最終的に、設計にドイツなど西側の企業を積極的に参加させ、またタイ海軍がより厳格に監督するという条件で、本級の建造が開始された。この決定により、本級の設計にはドイツのMEKO型フリゲートのノウハウが大いに反映され、より優れた設計となったが、建造の遅延は避けられなかった。

設計[編集]

本級においては、Mk 45 5インチ砲ハープーン艦対艦ミサイルMk46短魚雷など、武装の大部分にアメリカ製の機種が採用された。またそれ以外にも、近接防御火器(CIWS)にはイタリアブレーダ社製ダルド・システムの中国版として76A式37mm連装機関砲と347G型射撃指揮レーダー(イタリア・セレニア社のRTN-20Xの山寨版)、捜索レーダーにはイタリア・セレニア社のRAN-10Sを山寨化した360型、ソナーにはフランス製のDUBA-25を山寨化したSJD-7など、欧米製兵器の山寨版が広く搭載されている。また本級は、中国製の戦術情報処理装置を装備しているとされていたが、その詳細は不明であった。ただし本級と同時期に建造されていた中国海軍の江衛型フリゲートにおいては、フランス製のVega III (TAVITAC)戦術情報処理装置の山寨版であるZKJ-4、およびリンク 11戦術データ・リンクの山寨版であるHN-900を装備している[2]

また、本級は、軽空母チャクリ・ナルエベト」の直衛艦として期待されたことから、ラタナコシン級コルベットに続くタイ海軍軍艦としては2例目の艦対空ミサイル装備として、シースパロー 短SAMを8セルのMk.41 VLSに収容して搭載する予定であった。しかし、タイは1997年のアジア通貨危機の震源として壊滅的な打撃をこうむり、この影響で海軍予算は大幅に縮小されたことから、これは後日装備とされた。

その後、2012年より近代化改修が計画された。この改修においてMk.41とESSMの導入が決定され、2013年には正式な契約が締結された[3]。また戦術情報処理装置(CMS)はスウェーデンSAAB社製の9LV Mk.4に、射撃指揮装置(FCS)も同社製のCEROS-200に換装される[4]

本級は、同時期に提示されたMEKO型フリゲートの3分の1の価格での調達に成功しており、コスト面では大きな成功を収めた。その一方、西側の装備を寄せ集めたという印象は拭えず、技術水準としては依然として大きな隔たりがあるとも言われている。しかし、タイ海軍は本級のコスト面での有利さを評価しており、近年では、同様の調達手法によって、パターニ級哨戒艦の調達を行なっている。

同型艦[編集]

# 艦名 起工 進水 就役
421 ナレースワン
HTMS Naresuan
1991年6月[5] 1993年7月24日 1994年12月15日
422 タークシン
HTMS Taksin
1992年11月 1994年5月14日 1995年9月28日

出典[編集]

  1. ^ Eric Wertheim (2013). The Naval Institute Guide to Combat Fleets of the World, 16th Edition. Naval Institute Press. p. 725. ISBN 978-1591149545. 
  2. ^ 陸易「中国軍艦のコンバット・システム」、『世界の艦船』第748集、海人社、2011年10月、 94-97頁。
  3. ^ レイセオン (2013年1月14日). “Royal Thai Navy joins nations using Evolved SeaSparrow Missile” (英語). 2013年2月3日閲覧。
  4. ^ “Saab receives order from Thailand regarding the upgrading of combat management system and fire control systems”. SAAB. (2011年6月3日). http://www.saabgroup.com/About-Saab/Newsroom/Press-releases--News/2011---6/Saab-receives-order-from-Thailand-regarding-upgrading-of-combat-management-and-fire-control-systems/ 
  5. ^ 1992年2月説もある。

参考文献[編集]

関連項目[編集]