豊田商事事件

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豊田商事事件(とよだしょうじじけん)は、地金を用いた現物まがい商法の会社による悪徳商法事件。被害者数は数万人、被害総額は2000億円近くと見積もられている。被害者の多くが高齢者であったこと、解約に応じない強引な手口、会長の永野一男の刺殺、またこの殺人犯に対する温情判決などにより大きな社会問題となった。

「豊田商事」という社名は、トヨタ自動車がバックについていると錯覚させるためのものであったが、トヨタを盗用対象にした理由は、永野一男が中学校を出て最初に就職した先がトヨタグループの自動車部品メーカーである日本電装(現デンソー)であったためといわれている。当然のことながら、トヨタグループとは全く関係ない。トヨタグループの総合商社豊田通商があるが、「豊田商事」と名前が似てしまったばかりに事実無根の風評被害をうけ、大損害を被った。(因みに商法12条及び13条における「他の商人と誤認させる名称等の使用の禁止」により類似商号を使用することは禁止されている)

目次

[編集] 年表

1952年8月1日、永野一男が岐阜県恵那市に生まれる。

1981年、豊田商事の前身である、大阪豊田商事株式会社が設立。1982年に、豊田商事株式会社に改名。

1985年、その悪徳商法が社会問題化。国民生活センターなどにより豊田商事関連の110番が設置された。同年6月18日、会長の永野一男が自宅マンションで刺殺された。「会長が今日逮捕される」との情報を聞きつけて多数の報道陣がマンションの自宅入り口通路を取り囲む中、詐欺被害者の元上司に当たる自称右翼の男ら二人が報道陣の目の前で窓をこじ開け自宅内に侵入、「今、永野会長を殺した」と血に染まった旧軍の銃剣や長身の刃物を持ち自宅より出て来た。各マスコミは一斉に報道。

同年7月1日、豊田商事は破産宣告を受ける。破産管財人として、弁護士中坊公平が選出される。

[編集] 手口

客は金の地金を購入する契約を結ぶが、現物は客に引き渡さずに会社が預かり「ファミリー契約証券」という証券を代金と引き替えに渡す形式を取った。このため客は現物を購入するのか確認できず、証券と言う名目の紙切れしか手許に残らない現物まがい商法ペーパー商法)と言われるものであった。一応、豊田商事の営業拠点には金の延べ棒がこれ見よがしに積まれていたが、後の捜査によってそれはイミテーションであったことが明らかになっている。

また勧誘に於いては主に独居老人が狙われたのも特徴的だった。まず電話セールスで無差別的に勧誘し、脈ありと判断すると相手の家を訪問する。家に上がると線香をあげたり身辺の世話をしたり「息子だと思ってくれ」と言って人情に訴えたり徹底的に相手につけ込み、挙句の果てにインチキな契約を結ばせていった。

豊田商事の同系会社の鹿島商事(かじましょうじ)も、販売対象物を金からゴルフクラブ会員権に変えて、現物まがい商法に会員権商法を組み合わせた商法を行っていた。客が購入した会員権は自分ではプレーせず、これを豊田ゴルフクラブという別会社に賃貸してその賃貸収入を得るということを謳っていた。だが、当のゴルフ場は申し訳程度に営業しているだけであり、会員権には全くと言っていいほど資産価値は無かった。さらに大洋商事(たいようしょうじ)という会社を設立して、陸海空に亘る総合レジャークラブの会員権を売り出そうとしていたが、販売体制ができる前に豊田商事が行き詰まった。また同じ同系会社のベルギーダイヤモンドは、マルチまがい商法によって資産価値の殆ど無い屑ダイヤを販売していて、催眠商法の手口も悪用されるなどして豊田商事本体と並んで多くの被害を出した。

こうした詐欺的商法を行う会社の一方で、新聞を発行する海外タイムス航空会社公共施設地図航空、更には公営競技のチケット販売を代行する公営競技施設などの企業が同系会社として存在し、グループの事業に実態があるかの様に装っていた。これら一連の企業を統括する親会社として銀河計画(ぎんがけいかく・「銀河の星の数ほどグループ会社を作りたい」というのが名前の由来)があり、更にその上に白道(びゃくどう)という統括会社(一説には宗教団体を目指していたと言われている)が存在した。

[編集] 背景

当時、に対する国民の関心は高まっており、1981年に国内金輸入量は史上最高を記録。このため私設の先物取引市場が横行し、それに伴う被害も多く社会問題になっていた。豊田商事の前身の大阪豊田商事も私設市場を舞台に先物取引を扱っていた業者の一つだった。

このため商品取引所法が改正され、商品先物取引は政府が公認した市場で指定した品目に於いてのみしか認められない様にするなど、先物取引を規制する政策が打ち出された。この法規制を切っ掛けとして豊田商事は現物まがい商法へと商法を変えたと言われている。

[編集] 被害者救済

破産時、豊田商事には資産といえる資産は皆無だった。永野一男個人も、殺害されたときの所持金はわずか711円だった。しかし、管財人となった中坊公平の率いるチームによって、今まで豊田商事が浪費した金が回収される。

中坊チームの資金回収は徹底しており、家賃敷金や高額の給料を貰っていた豊田商事の従業員が納めた税金まで回収し、その金額は100億円を越えた。

その後、「特定商品等の預託等取引契約に関する法律」が制定された。この法律により、金などの預託取引契約に対して、一定期間内なら、理由の如何を問わず契約を解除できるクーリングオフ制度が導入された(なお預託取引契約は、一般的なクーリングオフ制度と異なり、店舗外での契約だけでなく、店舗内での契約に対してもクーリングオフ制度の適用がある)。

[編集] 報道機関

テレビ中継では、永野会長への「公開処刑」自体、及び、頭を割られ血まみれとなった永野会長の姿が映り、暴力表現に関する問題に繋がった。

また一部の週刊誌が殺害した犯人と永野会長の死体の全身像を載せ、社会的非難を浴びた。

なお、事件が起こる前後に事件現場前に多数のマスコミがいたため、各所で「マスコミは凶行を阻止できなかったのか」と言った自己批判の論調がマスコミに当時多かった。

当時はこの凶行には心情的理解を示す者も少なくなかった。それほど豊田商事の手法と被害の酷さは有名であった。その「殺人犯」2人に対して「10年以下の懲役」という温情とも思える判決が出た事実の背景には、そのような事情があったのではないかとの意見もある。

[編集] 関連項目

  • コミック雑誌なんかいらない! - 本作品で永野一男刺殺事件が再現されている。犯人役にビートたけし
  • 悪徳株式会社-豊田商事事件を題材とした大下英治の小説、暴力団の企業舎弟やある新宗教団体との関係にも触れている。
  • UWF - 「第1次UWF」時代の後期、豊田商事がメインスポンサーになったことがある。この時は団体名を「海外UWF」と名乗った。
(「海外タイムス」=「手口」参照。)
  • 協栄ボクシングジム - 上記と同じく、関連企業の「海外タイムス」が一時スポンサーとなっていた。
  • 近未來通信 - 豊田商事とは直接関係はないが、IP電話を口実にして詐欺行為を行っている。
  • はなまるうどん - 創業社長前田英仁が元豊田商事幹部と発覚し、東証マザース上場が無期限延期。
  • 琉球エアーコミューター - 元々は豊田商事の関連企業・公共施設地図航空の路線を譲り受けたもの。
  • 慶良間空港 - その公共施設地図航空が建設した空港。
  • 中原めいこ - 豊田商事のテレビコマーシャルに出演経験がある。

[編集] 外部リンク