準惑星候補の一覧

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以下は準惑星候補の一覧である。

国際天文学連合 (IAU) はこれまでに5個の天体ケレス冥王星エリスハウメアマケマケ)を準惑星に分類しており、他に数十個が将来分類される可能性を持っている。準惑星に分類されるためには、それらは「自身の重力が剛体力に打ち勝って静水圧平衡(球体に近い形)を保つのに十分な質量を持って」いなければならない[1][2][3]海王星より外側に位置する準惑星は、冥王星 (Pluto) に因んで冥王星型天体 (plutoid) と呼ばれる。ケレスと冥王星以外は、分類するために十分な観測が行われたわけではない。しかし氷天体が重力によってどのように静水圧平衡に達するかについての現在の知見に基き、概ね73個の太陽系外縁天体 (TNO) が準惑星の候補たり得ると考えられている[4]エッジワース・カイパーベルト内には約200個、その外側には2,000個に達する準惑星があるとも推定されている[4]。冥王星以降で最初に発見された準惑星候補の外縁天体は (15874) 1996 TL66 で、スピッツァー宇宙望遠鏡での観測によれば直径はおよそ575kmである[5]

IAUによる命名手順の変更[編集]

IAUはこれらの冥王星型天体である可能性が高い天体に命名する場合、他のTNOに命名する時とは異なる手順で行うよう定めている。絶対等級 (H) +1 以下の(計算によって求められる最小直径838km以上の[6])天体は、一つではなく二つの天体命名に関する小委員会の審議を受け、命名されるとIAUから準惑星として公表される。この冥王星型天体と推定されるTNOの命名手順によって命名された天体は、まだマケマケハウメアだけである。

候補[編集]

太陽系外縁天体の色

マイク・ブラウンは、氷天体は直径が200から400kmあれば静水圧平衡に達すると考えている[4]。従って、一覧に挙げられたTNOはすべて直径400km以上であることが知られているか、または推測されているものである[4]。しかし、推定直径は誤差が非常に大きいため、ここではそれらを直径ではなく絶対等級 (H) の順に並べている。理論的にはアルベドを最大値の1とすれば直径は最小値となる。しかし下限値に近い候補の多くは反射スペクトルが赤みを帯びているため、表面がソリンなどに覆われていて暗く、従って実際には最小直径より大きいと考えられている。エリスはアルベドが0.8-0.9と高く、ハウメア族も明るいと考えられている。

一覧には更に (47171) 1999 TC36 のような二重・三重天体であることが知られている小さな候補も含まれている。 冥王星族の 1999 TC36 は、ハッブル宇宙望遠鏡によって三重天体であることが突き止められ、また太陽から30.7AU[7]海王星の軌道)より外側にある唯一の三重天体である。

現在のところ、小惑星帯で準惑星に分類されているのはケレスだけである。"plutoid" という用語を定めた際、IAUは「現在の科学的知見によればケレスはこの種の唯一の天体と信じられるため、ケレスのような準惑星を分類するカテゴリーは当面は必要ない[3]」と発表した。最も準惑星に近いと考えられるのは、小惑星帯で2番目に大きな質量を持つベスタである。ベスタの内部構造は完全に分化しているため、その歴史上のある段階では静水圧平衡の状態にあったと見られている[8]。3番目に質量が大きいパラスは、やや不規則な表面形状をしており、部分的に分化していると考えられている。マイク・ブラウンは岩石天体は氷天体に比べて球体になるのが難しく、直径900km以上でなければ静水圧平衡に達することはできないだろうと推測している[4]

2006 HH123は、2006年の発見後すぐに見失われている。

2004年に発見された後すぐ見失われ、かつて準惑星候補であった2004 PR107は、その後2012年に観測された小惑星帯の小さな天体である2012 SQ31と同一である事が判明し、準惑星候補ではなくなった。

スピッツァーによる候補天体アルファ[編集]

以下の一覧アルファ (alpha list) はスピッツァー宇宙望遠鏡によって直径600km以上と見積もられた天体のみを掲載している。(225088) 2007 OR10 はスピッツァーによって観測されたことがないため、一覧アルファには含まれていない。(84522) 2002 TC302 は他の天体より絶対等級 (H) が暗いものの、アルベドが低いため一覧に含まれている。

アルベドに基くイクシオンの直径
名前 (H) スピッツァー
による大きさ (km)
スピッツァー
によるアルベド
V_R
(90377) セドナ 1.6 <1,600 >0.16 0.78
(84522) 2002 TC302 3.8 1,150 0.03+.03
−.01
0.67
(90482) オルクス 2.3 946 0.28±0.04 0.37
(50000) クワオアー 2.7 844 0.199+.13
−.07
0.64
(55565) 2002 AW197 3.2 734 0.117+.04
−.03
0.56
(84922) 2003 VS2 4.0 725 0.058+.04
−.02
0.59
(307261) 2002 MS4 3.8 726 0.084+.03
−.02
0.38
(208996) 2003 AZ84 4.0 686 0.12+.04
−.03
0.36
(55637) 2002 UX25 3.6 681 0.115+.05
−.03
0.57
(90568) 2004 GV9 3.9 677 0.08±0.02 0.52
(28978) イクシオン 3.2 650 0.12+.14
−.06
0.61

絶対等級 (H) 順の一覧[編集]

3等以下[編集]

これらのTNOは理論的な最小直径が382km以上で、アルベドを0.09と仮定すれば1,000kmを上回るものである。

名前 H 分類 直径 (km) 最小
直径[9]
質量
(1020 kg)
太陽からの
平均距離 (AU)[4]
Brown[4] Johnston[10] others
(90377) セドナ 1.58 detached object 1,800 1,700 <1,600[5] 650 8.3-70? 486.0
(225088) 2007 OR10 2.0 SDO 1,834 1000-1,500 529 67
(90482) オルクス 2.30 冥王星族 1,100 901 875-1,020[5] 460 6.32[11] 39.34
(50000) クワオアー 2.71 キュビワノ族 1,290 842 820-960[12] 383 13-19[12] 43.58

3等から4等[編集]

これらの小惑星の理論的な最小直径は210-330kmである。

名前 H 分類 直径 (km) 質量
(1020 kg)
太陽からの
平均距離 (AU)[4]
Brown[4] Johnston[10] others
(55636) 2002 TX300 3.16 ハウメア族 800 709 286[13] 0.2 43.11
(4) ベスタ 3.20 小惑星帯 578 × 560 × 458[14] 2.67±0.02[15] 2.361
(28978) イクシオン 3.20 冥王星族 980 727 430-910[5]; 900-1,230[16] ~3? 39.65
(278341) 2007 JJ43 3.20 キュビワノ族 1,008 1,015[6][17] 47.99
(55565) 2002 AW197 3.26 キュビワノ族 940 766 625-850[5]; 770-1010[16] ~4? 47.30
(303775) 2005 QU182 3.40 SDO 919 925[6][17]; 550-1,240[18] 113
(202421) 2005 UQ513 3.40 キュビワノ族 919 925[6][17]; 550-1,240[18] 43
(229762) 2007 UK126 3.40 SDO 919 530-1,190[18] 73
(55637) 2002 UX25 3.60 キュビワノ族 810 649 570-795[5] ~3? 42.53
(174567) 2003 MW12 3.60 キュビワノ族 740 838 45.94
(20000) ヴァルナ 3.70 キュビワノ族 780 785 755-1,025[19]; 480-800[5] 42.90
(307261) 2002 MS4 3.77 キュビワノ族 740 728 600-850[5] 41.90
(84522) 2002 TC302 3.81 5:2 SDO 710 1,150 920-1,480[5] ~15? 55.02
2010 EK139 3.8 SDO 470 462-1,033[18] 69.4
(145452) 2005 RN43 3.90 キュビワノ族 740 730 41.53
(90568) 2004 GV9 3.90 キュビワノ族 680 681 610-750[5] ~3? 42.23
(42301) 2001 UR163 3.97 9:4 SDO 620 636 51.40
(84922) 2003 VS2 3.97 冥王星族 610 636 540-925[5] 39.27
(120178) 2003 OP32 3.97 ハウメア族 650 666 230 43.24

4等から5等[編集]

名前 H 分類 直径 (km) 質量
(1020 kg)
太陽からの
平均距離 (AU)[4]
Brown[4] Johnston[10] others
(145453) 2005 RR43 4.0 ハウメア族 697 252 43
(208996) 2003 AZ84 4.0 冥王星族 710 686 590-785[5] 39.45
(230965) 2004 XA192 4.0 キュビワノ族 696 46.98
2010 KZ39 4.0 SDO 697 421-942[18] 184.4
(2) パラス 4.13 小惑星帯 582 × 556 × 500 ±9[8] 2.11 ±0.26[15] 2.772
2010 RE64 4.2 キュビワノ族 380-860[18] 45.8
2010 RF43 4.2 キュビワノ族 380-860[18] 46.5
(120347) 2004 SB60 4.3 キュビワノ族 560 548 41.97
2006 QH181 4.3 detached 765 67.2
2003 UZ413 4.3 冥王星族 591 39.40
(120348) 2004 TY364 4.3 other TNO 540 554 38.72
2010 VR11 4.4 キュビワノ族 350-784[18] 44.4
2010 FX86 4.4 キュビワノ族 350-784[18] 44.05
2009 YE7 4.4 SDO or ハウメア族 210-584 54.2
2008 ST291 4.4 SDO 583 350-784[18] 106
(145451) 2005 RM43 4.4 SDO 560 580 89.73
2004 NT33 4.4 キュビワノ族 580 43.71
2004 XR190 4.47 SDO 540 572 57.36
(119951) 2002 KX14 4.5 キュビワノ族? 560 560 <560 (?)[5] 39.01
(144897) 2004 UX10 4.5 冥王星族 529 39.1
(19308) 1996 TO66 4.56 ハウメア族 540 900 200 43.19
2010 VZ98 4.7 キュビワノ族 305-680[18] 43.2
2001 QF298 4.7 冥王星族 490 420 39.30
(26375) 1999 DE9 4.7 2:5 TNO 490 461 461±45[5] 1? 55.72
(38628) フヤ 4.7 冥王星族 480 506 532±25[5] 1.6? 39.76
(145480) 2005 TB190 4.7 detached 505 76.38
(175113) 2004 PF115 4.7 冥王星族 505 39.18
(47171) 1999 TC36 4.73 冥王星族 440 A1=286+45
−38
A2=265+41
−35
0.12[20] 39.27
2007 JH43 4.7 冥王星族 522 39.56
2003 QX113 4.7 detached 450 505 49.9
(24835) 1995 SM55 4.8 ハウメア族 470 702 174 41.64
(120132) 2003 FY128 4.8 detached 430 440 49.77
(82075) 2000 YW134 4.8 8:3 TNO 430 431 57.77
(19521) カオス 4.9 キュビワノ族 450 745 45.56
2002 XV93 4.9 冥王星族 430 457 39.22
2002 CY248 4.9 キュビワノ族 410 440 46.18
2008 OG19 4.9 SDO 461 67
2000 CN105 5.0 キュビワノ族 430 440 44.65

5等以上[編集]

名前 H 分類 直径 (km) 太陽からの
平均距離 (AU)[4]
(119979) 2002 WC19 5.0 トゥーティノ族 410[4], 400[10] 47.67
(79360) 1997 CS29 5.1 キュビワノ族 410[4], 305[10] 43.87
1999 CD158 5.1 SDO 410[4], 426[10] 43.69
(26181) 1996 GQ21 5.2 SDO 401 94.88
2006 HH123 5.2 消息不明 400[10] ~56
(15874) 1996 TL66 5.4 SDO 632[4], 460-690[5] 83
(307616) 2003 QW90 5.4 キュビワノ族 560[4], 396[10] 43.65
(10) ヒギエア 5.43 小惑星帯 500 × 385 × 350[15] 3.139
(307251) 2002 KW14 5.3 SDO 510[4], 440[10] 47.08
(35671) 1998 SN165 5.8 キュビワノ族 460[5] 37.93

絶対等級 (H) が6等より暗い天体は、たとえアルベドを0.04と仮定しても推定質量が400kmを下回る[6]と推定されるため、一覧には含めていない。

出典[編集]

  1. ^ “IAU 2006 General Assembly: Result of the IAU Resolution votes”. International Astronomical Union. (2006年). http://www.iau.org/iau0603.414.0.html 2008年1月26日閲覧。 
  2. ^ Dwarf Planets”. NASA. 2008年1月22日閲覧。
  3. ^ a b “Plutoid chosen as name for Solar System objects like Pluto” (プレスリリース), http://www.iau.org/public_press/news/release/iau0804/ 
  4. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r Mike Brown. “The Dwarf Planets”. 2008年1月20日閲覧。
  5. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q Barucci, M.A.; John Stansberry, Will Grundy, Mike Brown, Dale Cruikshank, John Spencer, David Trilling, Jean-Luc Margot (2007). “Physical Properties of Kuiper Belt and Centaur Objects: Constraints from Spitzer Space Telescope”. Kuiper Belt. http://arxiv.org/abs/astro-ph/0702538 2008年1月20日閲覧。. 
  6. ^ a b c d e Dan Bruton. “Conversion of Absolute Magnitude to Diameter for Minor Planets”. Department of Physics & Astronomy (Stephen F. Austin State University). 2008年6月13日閲覧。
  7. ^ AstDys (47171) 1999TC36 Ephemerides”. Department of Mathematics, University of Pisa, Italy. 2009年12月7日閲覧。
  8. ^ a b Savage, Don; Jones, Tammy; and Villard, Ray (1995年4月19日). “Asteroid or Mini-Planet? Hubble Maps the Ancient Surface of Vesta”. Hubble Site News Release STScI-1995-20. 2006年10月17日閲覧。
  9. ^ Minimum diameter = 1,329×10(-H/5)
  10. ^ a b c d e f g h i Robert Johnston. “List of Known Trans-Neptunian Objects”. 2010年8月7日閲覧。
  11. ^ Brown, M.E.; Ragozzine, D.; Stansberry, J.; Fraser, W.C. (2009). “The size, density, and formation of the Orcus-Vanth system in the Kuiper belt”. AJ. http://arxiv.org/abs/0910.4784 2009年11月2日閲覧。. 
  12. ^ a b Brown, Michael E.; Fraser, Wesley C. (2010). “Quaoar: A Rock in the Kuiper belt”. The Astrophysical Journal. http://arxiv4.library.cornell.edu/abs/1003.5911 2010年4月1日閲覧。. 
  13. ^ Clara Moskowitz (2010年6月16日). “Scientists size up a bright mini-world”. MSNBC. 2010年6月16日閲覧。
  14. ^ Thomas, P. C.; et al. (1997). “Impact excavation on asteroid 4 Vesta: Hubble Space Telescope results”. Science 277: 1492. doi:10.1126/science.277.5331.1492. 
  15. ^ a b c Baer, James; Chesley, Steven R. (2008). “Astrometric masses of 21 asteroids, and an integrated asteroid ephemeris” (PDF). Celestial Mechanics and Dynamical Astronomy (Springer Science+Business Media B.V. 2007) 100 (2008): 27-42. doi:10.1007/s10569-007-9103-8. http://www.springerlink.com/content/h747307j43863228/fulltext.pdf 2008年11月11日閲覧。. 
  16. ^ a b David C. Jewitt. “Kuiper Belt”. 2008年1月22日閲覧。
  17. ^ a b c Assuming an albedo of 0.09.
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  19. ^ Dave Jewitt: Size and Albedo of Kuiper Belt Object (20000) Varuna
  20. ^ Benecchi, S.D; Noll, K. S.; Grundy, W. M.; Levison, H. F. (2009). “(47171) 1999 TC36, A Transneptunian Triple”. Icarus. http://arxiv.org/abs/0912.2074 2009年12月12日閲覧。. 

外部リンク[編集]

関連項目[編集]