樫野 (給兵艦)

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樫野
艦歴
計画 マル3計画
建造所 三菱長崎造船所
起工 1939年7月1日
進水 1940年1月26日
竣工 1940年7月10日
その後 1942年9月4日に戦没
除籍 1942年10月20日
性能諸元
排水量 基準 10,360トン
全長 垂線間長:130.0m
全幅 19.9m
喫水部幅:18.8m
吃水 6.67m
機関 主機:ブラウン・ボベリ式オールギヤード蒸気タービン 1基
主缶:ラモント式重油缶2基 ホ号艦本式重油缶2基
2軸、4.500馬力
速力 14.0ノット
搭載燃料 重油900トン
航続距離 14ノットで6,000海里
乗員 303名
兵装 十年式12センチ45口径単装高角砲 2基
13ミリ3連装機銃 2基
その他 貨物5,800トン
便乗者260名収容可能

樫野(かしの)は、大日本帝国海軍の給兵艦(補給艦)。1940年(昭和15年)7月10日、三菱重工業長崎造船所にて竣工。艦名は紀伊半島南端、大島の東端にある樫野埼に由来する。樫野の全体像を写した写真は無いとされている。

建造の経緯[編集]

「給兵艦」とは、主に武器弾薬などを輸送する艦である。通常は弾薬暴発防止のための冷却設備等を備えるが、「樫野」は給兵艦としては一線を画す艦である。

本艦本来の目的は、給兵艦ではなく大和型戦艦の主砲砲身、主砲塔を運ぶ「重量物運搬船」である。


日本海軍は、大和型戦艦の建造を決定したが、その主砲を「九四式四十糎砲」と呼称するなど口径46センチであることは極秘になっていた。その46センチ砲は呉海軍工廠において製造されるため、同所で建造される「大和」以外の艦、「武蔵」(三菱重工業長崎造船所)と「信濃」(横須賀海軍工廠)の艤装を行うためには、主砲及びそれらの部品を輸送する必要があった。しかし、民間船を使用した場合の情報漏洩を恐れた海軍は、情報秘匿を徹底させるため海軍自身による輸送を決定し、大和・武蔵建造を決めた第三次補充計画において、本艦の建造も決定された。計画名称は55号艦。

構造[編集]

本艦には、計三カ所のハッチがある。最前部のハッチは、主砲身の運搬に支障が出ないように砲身長とほぼ同じ長さ(砲身20.7、最長開口部19.2メートル)となっている。2・3番目のハッチは砲塔基部の部品を搭載する関係で円形となっている。

船体強度確保のために、船体を船幅方向で切った場合、上部が外側に捲れた様になっている。また、重量物の輸送中に座礁した場合に備え、船体が完全な二重構造となっている。本艦は、一度に主砲砲身6本・主砲塔2基を輸送できる。

本艦建造に対し、技術吸収の意味もあり外国製の機関を搭載している。スイスアセア・ブラウン・ボベリ社製のタービンとアメリカのラモント社製の缶を搭載している。缶は蒸気温度450度・蒸気圧力50気圧と、駆逐艦「島風」(400度で40気圧)を上回る。その他に日本製のホ号艦本式重油缶も併載している。

51センチ砲搭載を予定して超大和型戦艦用の砲塔搭載も想定している。これはよく言われる、51センチ連装砲塔ではなく、3連装砲塔(3,790トン)が採用された場合にも対応できた。

戦歴[編集]

1940年に前部甲板上で撮られた「樫野」の乗員。

1941年(昭和16年)、武蔵の砲塔部品輸送のため、から長崎へと航海。これが本来の任務に使われた唯一の航海である。その後は通常の輸送艦として使用。1942年(昭和17年)9月4日、台湾沖で米海軍潜水艦グロウラー(SS-215)」の雷撃により沈没。わずか2年ほどの運用で終了した。 尚、本艦の喪失と、ミッドウェー海戦に於ける主力空母損失に伴う空母増産計画により、3番艦信濃用に造られた砲身は、使われる事も運ばれることもないまま、取り残された。

艦長[編集]

特務艦長
  • 土井高 大佐:1941年8月11日 - 1942年9月29日[1]

脚注[編集]

  1. ^ 『日本海軍史』第10巻、243頁。

参考文献[編集]

  • 『世界の艦船 増刊第47集 日本海軍特務艦船史』(海人社、1997年3月号増刊、第522集)
  • 海軍歴史保存会『日本海軍史』第7巻、第10巻、第一法規出版、1995年。
  • 学研編集部 『歴史群像太平洋戦史シリーズ 大鳳 信濃』 学習研究社 1999年
  • 雑誌「丸」編集部『写真 日本の軍艦 第13巻 小艦艇I』(光人社、1990年) ISBN 4-7698-0463-6
  • 雑誌「丸」編集部『写真 日本の軍艦 別巻2 海軍艦艇図面集 II』(光人社、1990年) ISBN 4-7698-0542-X
  • 日本造船学会『昭和造船史 第1巻』(原書房、1981年第3刷)ISBN 4-562-00302-2

関連項目[編集]