山田孝雄

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索

山田 孝雄(やまだ よしお、1873年明治6年)5月10日(実際には1875年(明治8年)8月20日) - 1958年昭和33年)11月20日)は、日本国語学者

契沖真淵宣長以来の国学伝統に連なる最後の国学者」とも評される。

人物[編集]

富山県富山市に山田方雄の次男として生れる。履新小学校卒業。富山県尋常中学校を中退後、独学で小、中学校教員検定試験(文検)に合格、小、中学校教員をへて、1907年明治40年)文部省国語調査委員会補助委員、1920年大正9年)日本大学講師1921年(大正10年)日本大学文学部国語科主任1925年(大正14年)東北帝国大学講師、1927年昭和2年)同教授を歴任。1929年(昭和4年)には「日本文法論」によって文学博士の学位を授与される。1933年(昭和8年)に退官後、1940年(昭和15年)に神宮皇學館大學学長1941年(昭和16年)神祇院参与、同年肇国聖蹟調査委員、1944年(昭和19年)に学術研究会会議会員、同年貴族院議員勅撰文部省国史編修官1945年(昭和20年)7月には国史編修院長、同年愛宕神社名誉宮司となる。1946年(昭和21年)に公職追放された。1949年(昭和24年)仙台市に移り、国語辞典の編修に専念、1951年(昭和26年)に追放解除される。1953年(昭和28年)に文化功労者1957年(昭和32年)、文化勲章を受章。また同年には富山市名誉市民にも推薦されている。1958年(昭和33年)、結腸のために入院先の東北大学附属病院で死亡。85歳。従三位勲二等旭日重光章は富山市内の長慶寺境内にある。

家族[編集]

業績[編集]

山田が成し遂げた国語学は「山田国語学」として有名で、言語の形式ではなく言語の表す内容を重視し、これに基づいた独自の体系的な文法理論山田文法として知られている。この理論は堅実で実証的かつ独創性に溢れており、各時代の語法を記述的に整理し、文法史研究の基礎を築き上げ、敬語法や訓読研究など、文法学の新領域を開拓し、後の文法学界に多大な影響を与えた。また、仮名遣い五十音図漢語などの研究を通じ、国語学の研究分野にも新方面を開いた。さらに、古写本の複製の他に、厳密な語学的注釈による国文学や、周到な研究による国史学などにも多大な尽力をはらった。一方で、戦前の国語改革を徹底的に批判すると共に、戦前国粋主義への思想的な裏付けを与えた可能性も指摘されている。

主な著書[編集]

文法学[編集]

  • 『日本文法論』(宝文館1908年
  • 『中等教育 国語沿革大要』(宝文館、1908年)
  • 『奈良朝文法史』(宝文館、1913年
  • 『平安朝文法史』(宝文館、1913年)
  • 『日本文法講義』(宝文館、1922年
  • 『日本口語法講義』(宝文館、1922年)
  • 『敬語法の研究』(宝文館、1924年
  • 『仮名遣の歴史』(宝文館、1929年
  • 『古代の語法』(日大堂書店1930年
  • 漢文の訓読によりて伝へられたる語法』(宝文館、1935年
  • 『国語学史要』(岩波書店、1935年)
  • 『日本文法学概論』(宝文館、1936年
  • 『国語史 文字篇』(刀江書院1937年
  • 『五十音図の歴史』(宝文館、1938年
  • 『国語の中における漢語の研究』(宝文館、1940年
  • 『国語学史』(宝文館、1943年
  • 『日本文法学要論』(角川書店1950年
  • 『年号読方考証稿』(宝文館、1950年)
  • 『俳諧文法概論』(宝文館、1956年
  • 『俳諧語談』(角川書店、1962年

日本文学[編集]

日本史学・思想史[編集]

  • 『戊申詔書義解』(宝文館、1909年
  • 『大日本国体概論』(宝文館、1910年
  • 『国民道徳原論』(宝文館、1924年)
  • 神皇正統記述義』(民友社1932年
  • 国体の本義』(宝文館、1933年)
  • 『国民精神作興に関する詔書義解』(宝文館、1933年)
  • 『典籍脱稿』(西東書房、1934年)
  • 『国体の淵源を教ふる国生の物語』(西東書房、1935年)
  • 『古代の祝詞に現れたる思想』(日本文化協會出版部、1936年)
  • 国学の本義』(国学研究会1939年
  • 平田篤胤』(宝文館、1940年)
  • 『我が国体』(神宮司庁、1940年)
  • 『櫻史』(桜書房1941年
  • 『国史に現れた日本精神』(朝日新聞社、1941年)
  • 神道思想史』(明世堂書店、1943年)
  • 年号読方考証稿』(宝文館、1950年)
  • 『典籍雑攷』(宝文館、1956年)

その他[編集]

  • 『古京遺文』(宝文館、1912年
  • 『一切経音義索引』(西東書房、1923年
  • 『国語政策の根本問題』(宝文館、1932年
  • 『国語尊重の根本義』(白水社、1938年)
  • 『国語と国民性』〔「日本文化」第十四冊〕(日本文化協会、1938年)
  • 『本邦教育の源』(東京府養正館、1938年)
  • 『日本文化と日本精神』(日本文化中央連盟、1939年)
  • 『教育に関する勅語義解』(宝文館、1940年)
  • 『肇国の精神』〔「日本文化」第五十二冊〕(日本文化協会、1940年)
  • 『教育の神髄』(朝日新聞社、1941年)
  • 『国民教育と敬神』(宮城県学務部社寺兵事課、1942年
  • 『国語の本質』(白水社、1943年)
  • 『敬神の本義』(石川県、1943年)
  • 『敬神』(香川県、1943年)
  • 『私の欽仰する近代人』(宝文館、1954年
  • 君が代の歴史』(宝文館、1958年

近年刊行の著作[編集]

  • 『櫻史』〔山田忠雄校訂〕(講談社学術文庫1990年2006年に復刻)
  • 『山田孝雄 新村出』〔近代浪漫派文庫18〕(新学社、2006年)
  • 『山田国語学入門選書1 日本文法学要論』(書肆心水2009年
  • 『山田国語学入門選書2 国語学史要』(書肆心水、2009年)
  • 『山田国語学入門選書3 日本文字の歴史』(書肆心水、2009年)
  • 『山田国語学入門選書4 敬語法の研究』(書肆心水、2010年

関連項目[編集]