季刊NW-SF

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季刊NW-SF』(きかんエヌダブリュエスエフ)は、1970年7月から1982年12月にかけてNW-SF社から出版された日本の雑誌。全18号[1]。発行人は作家で評論家の山野浩一

1960年代にイギリスで起きていたニュー・ウェーブSF運動に共鳴した山野が創刊したニュー・ウェーブSFスペキュレイティブ・フィクションの専門誌。編集長は創刊当初は山野が、1973年より翻訳家で評論家の山田和子が務めた。

掲載作品一覧[編集]

第1号[編集]

1970年7月1日
NW-SF宣言 (山野浩一)
夢遊者の宇宙旅行 (種村季弘
内宇宙への道はどれか? (J・G・バラード
大麻ゴッコするもの、よっといで (相倉久人
風太郎の魔界 (平岡正明
アイ・アイ (河野典生
怪人二十面相の墓 (嵐山光三郎
オム (鏡明
消えた男のための狂詩曲 (山口隆昭)
書評「異星の客」ほか (山野浩一)
 編集発行人 山野浩一 佐藤昇 飯島和男 定価200円

第2号[編集]

1970年11月1日「スペキュレイティヴ・フィクションを求めて」
サイエンス? フィクション? - その意味を問う 1 (ジュディス・メリル
就眠儀式 (須永朝彦
地球は出血する (伊東守男
レヴォリューション No.2 (山野浩一)
収束された時間に、都会で (松下正己)
午后の碑文 (清水欣也)
紙宇宙船の騎士たち (B・W・オールディス
近代理性の解体 + SF考 (田中隆一
書評 (山野浩一)
 編集発行人 山野浩一 佐藤昇 定価200円

第3号[編集]

1971年3月15日「特集 J・G・バラード」
残虐行為展覧会 (J・G・バラード)
インタビュー : J・G・バラード
バラードはどこへ行くか (川又千秋
J・G・バラード作品論 (山野浩一)
受難<パッション> (塚本邦雄
薔薇色の月 (須永朝彦
座頭一羽田に着き韃靼人と悪企み行動にうつすこと (平岡正明)
深沢オヤブンの魔法のトックリ (嵐山光三郎)
天使街 1 (清水欣也)
共産主義的SF論 1 (大久保そりや
サイエンス? フィクション? - その意味を問う 2 (ジュディス・メリル)
スペキュレイティブ・フィルム (松下正己)
 編集発行人 山野浩一 佐藤昇 定価250円

第4号[編集]

1971年8月15日「特集 内宇宙の迷宮」
ドリーム・ランド (石川喬司
ヘイ・フレドリック (山野浩一)
マリー・アントワネットの天気予報 (佐藤昇
電気蟻 (フィリップ・K・ディック
旅行者の休息 (デイヴィッド・I・マッスン)
天使街 2 (清水欣也)
バローズとギンズバーグのSF的世界 (田中隆一)
宝瓶宮の天体音楽 (田中隆一)
共産主義的SF論 2 (大久保そりや)
サイエンス? フィクション? - その意味を問う 3 (ジュディス・メリル)
 発行人 山野浩一  編集人 佐藤昇 山田和子 定価250円

第5号[編集]

1972年1月15日
鏡のなかへの旅 (中井英夫
死亡した宇宙飛行士 (J・G・バラード)
題しらず (伊東守男)
ケルヴィン卿への二通のテレパシー的書簡 (アルフレッド・ジャリ
蝋燭の焔 (諏訪優
舌 (川又千秋)
象牙の門へ疾く行かん (トマス・M・ディッシュ
天使街 3 (清水欣也)
サイエンス? フィクション? - その意味を問う 4<完結> (ジュディス・メリル)
遊侠山野浩一外伝 (大和田始
タイガーバウムで真空パック (佐藤昇)
共産主義的SF論 3 (大久保そりや)
 発行人 山野浩一  編集人 山田和子 佐藤昇 定価300円

第6号[編集]

1972年9月10日「再特集 J・G・バラード」
死の大学 (J・G・バラード)
無意識の到来 (J・G・バラード)
対談 新しいSF (J・G・バラード / ジョージ・マクベス)
暗殺楽器 (長谷邦夫
サムワンとゲリラ 上 (山野浩一)
天使街 終回 (清水欣也)
共産主義的SF論 4 (大久保そりや)
ピットインでヤマシタ・トリオをディグしていると妙な話が浮かんできた (河野典生)
水の音 - 棒になったある男の夜(諏訪優)
二つの奈落についてのC、あるいは (土方潤一)
魚 (川又千秋)
エルフェウスの果てで (かわもと・さぶろう
考証・重蓮上人 (半村良
 発行人 山野浩一  編集人 山田和子 佐藤昇 定価300円

第7号[編集]

1973年5月10日「初紹介英米ポーランド三人集」
窓 (土方潤一)
北への錯綜 (夜久則彦)
円盤基地 (福士康子)
時は乱れて 1 (P・K・ディック
森の彼方の地 (須永朝彦
環章 (半村良)
サムワンとゲリラ 下 (山野浩一)
共産主義的SF論 5 (大久保そりや)
ポストアトミック (M・バターウォース)
死者とともに (エド・ブライアント
強姦された二つの展望のその一 (M・オブチュロヴィッチ)
 発行人 山野浩一  編集人 山田和子 佐藤昇 定価350円

第8号[編集]

1973年11月1日「特集 いかに終わるか」
小説世界の小説 1 (山野浩一)
風にさらばを告げよ (J・G・バラード)
街からネコが消えた日 (諏訪優
密室 (J・スラデック
夜の公園 (山田和子
吊された男 (E・ブライアント
ポグスミス物語 (B・W・オールディス)
あそことここと (清水欣也)
共産主義的SF論 6 (大久保そりや)
時は乱れて 2 (P・K・ディック)
 発行人 山野浩一  編集人 山田和子 定価350円

第9号[編集]

1974年9月1日「特集 SFクリティク」
サイエンス・フィクションにおけるロボット (スタニスワフ・レム
サルヴァドル・ダリ 偏執狂の如く無垢なる者 (J・G・バラード)
透視 あるいは物質界への射影幾何学 上 (田中隆一)
小説世界の小説2 ユートピアの敗北(H・G・ウェルズ論) (山野浩一)
共産主義的SF論 7 (大久保そりや)
天使 (須永朝彦)
胸の中の短絡 (イドリス・シーブライト)
風飛沫 (静井門人)
時は乱れて 3 (フィリップ・K・ディック)
街の冒険者 1 (佐野美津男
 発行人 山野浩一  編集人 山田和子 定価400円

第10号[編集]

1975年4月1日「創刊5周年記念号」
真夜中のニュース (黒井千次
書評「加納信高」 (半村良)
猿と大日如来と蒸気機関車 (中村宏
穴のなかの冒険 (石川喬司
流れガラス (サミュエル・R・ディレーニ
レンズの眼 (ラングドン・ジョーンズ
透視 あるいは物質界への射影幾何学 下 (田中隆一)
小説世界の小説3 A・C・クラークとB・W・オールディス (山野浩一)
共産主義的SF論 8 (大久保そりや)
テクノロジイの精神病理学 (J・G・バラード / <聞き手>国領昭彦)
技術に呪縛された風景の裡で (国領昭彦)
ヴァギナを使え (J・G・バラード)
火山は踊る (J・G・バラード)
時は乱れて 4 (フィリップ・K・ディック)
街の冒険者 2 (佐野美津男)
 発行人 山野浩一  編集人 山田和子 定価450円

第11号[編集]

1976年1月1日
あなた、だあれ? (諏訪優)
火星のフォックスホール (フリッツ・ライバー
危険信号機 (トマス・M・ディッシュ
一から十まで (マレク・オブチュロヴィッチ)
消えたレオナルド (J・G・バラード)
褐色人とサド 幻の絵本のこと (河野典生)
霧の中の人々 (山野浩一)
パトロール (スタニスワフ・レム)
予言について (種村季弘)
共産主義的SF論 9 (大久保そりや)
時は乱れて 5 (フィリップ・K・ディック)
街の冒険者 3 (佐野美津男)
 発行人 山野浩一  編集人 山田和子 定価500円

第12号[編集]

1976年8月20日
わが”宇宙文学論”(三木卓
フィリップ・K・ディック 俗物に囲まれた幻視者 (スタニスワフ・レム)
「魔法入門」「オカルト入門」をめぐって (田中隆一)
時間・空間・人間 NW-SW討論 1 (山田和子・国領昭彦・大和田始・新戸正明)
小説世界の小説4 ディストピアの思想性 (山野浩一)
共産主義的SF論 10 (大久保そりや)
時は乱れて 6 (フィリップ・K・ディック)
街の冒険者 4 (佐野美津男)
スーパー・マーケット・セイゴオ 第一階「まず目玉商品売場から」 (松岡正剛
神の館 (キイス・ロバーツ
星のオルフェ (須永朝彦)
オフィスでの会合 (ジャイルズ・ゴードン)
頭の中の機械 (アンナ・カヴァン
真因 (イドリス・シーブライト)
ステッペン・ウルフ (川本三郎
深層珊瑚の囚人 (J・G・バラード)
 発行人 山野浩一  編集人 山田和子 大和田始 定価550円

第13号[編集]

1977年10月1日
かくて世界は破滅を免れた (スタニスワフ・レム)
トルルの機械 (スタニスワフ・レム)
みごとな青あざ (スタニスワフ・レム)
アサイラム・ピース 1、アサイラム・ピース 2、アサイラム・ピース 3、アサイラム・ピース 4 (アンナ・カヴァン)
夜に (アンナ・カヴァン)
時は乱れて 7 (フィリップ・K・ディック)
街の冒険者 5 (佐野美津男)
フリーランド (山野浩一)
鐘は高らかに (トマス・M・ディッシュ)
コンクリートの島 1 (J・G・バラード)
時間・空間・人間 NW-SW討論 2 (新戸正明・大和田始・国領昭彦・山田和子)
共産主義的SF論 11 (大久保そりや)
スーパー・マーケット・セイゴオ 第二階 (松岡正剛)
 発行人 山野浩一  編集人 山田和子 大和田始 定価650円

第14号[編集]

1978年8月1日
時は乱れて 最終回 (フィリップ・K・ディック)
コンクリートの島 2 (J・G・バラード)
災厄の船 (バーリントン・J・ベイリー
渇いた神 (イドリス・シーブライト)
到達した数字 (トマス・M・ディッシュ)
アンダーグラウンド・パラダイス (川本三郎)
腐れ女 (伊東守男)
スーパー・マーケット・セイゴオ 第三階 (松岡正剛)
小説世界の小説5 アンチユートピアの形而上学 (山野浩一)
共産主義的SF論 12 (大久保そりや)
時間・空間・人間 NW-SW討論 3 (大和田始・国領昭彦・志賀隆夫・新戸正明・山田和子・山野浩一)
街の冒険者 6 (佐野美津男)
 発行人 山野浩一  編集人 山田和子 大和田始 定価700円

第15号[編集]

1980年2月1日「日本・海外新鋭創作特集」
累累 (小川項
囚われの時間 (永田弘太郎)
街の島 (関口佐英)
ヘビー級 (デイヴィッド・ルイス)
心臓地帯の孤独 (ウイリアム・F・ウー)
超低速時間移行機 (イアン・ワトスン
キャンプ収容 1 (トマス・M・ディッシュ)
なるようになっただけ (伊東守男)
スーパー・マーケット・セイゴオ 第四階 (松岡正剛)
共産主義的SF論 13 (大久保そりや)
街の冒険者 7 (佐野美津男)
コンクリートの島 最終回 (J・G・バラード)
 発行人 山野浩一  編集人 山田和子 定価800円

第16号[編集]

1980年9月1日「女性SF特集」
双翅目 (山田弘美
ある旅立 (ジョアンナ・ラス
敗者には何もやるな (グラニア・デイヴィス)
鳥の棲まない町 (福士康子)
いまだ“既視”ならず (ジョセフィヌ・サクストン)
座談会 女は自ら女を語る (サーニ・エフロン/ 山田弘美/山田和子)
女性SF作家名鑑 - 楽しい女大百科
性は必要か? (アーシュラ・K・ル=グイン
傾向分析試論
土人形 (山野浩一)
娼婦たち (クリストファー・プリースト
キャンプ収容 2 (トマス・M・ディッシュ)
小説世界の小説6 パラ・ユートピアの成立性 (山野浩一)
共産主義的SF論 14 (大久保そりや)
 発行人 山野浩一  編集人 山田和子 山田弘美 定価850円

第17号[編集]

1981年7月1日「対談 三枝和子/山野浩一」
対談 小説空間をめぐって (三枝和子・山野浩一)
A Holler for Desk (河野典生)
火の河 (ヴォンダ・N・マッキンタイア
おかしな配属 (ソニア・ドーマン)
蝕の時 (ブライアン・W・オールディス)
我と彼と彼女 (山野浩一)
ペペ・ル・望都野阿梓
漫画家ベスト10 <アンケート>
ウォーム・サンフランシスカン・ナイト (山田和子)
スーパー・マーケット・セイゴオ 第五階 (松岡正剛)
共産主義的SF論 15 (大久保そりや)
街の冒険者 8 (佐野美津男)
キャンプ収容 3 (トマス・M・ディッシュ)
 発行人 山野浩一  編集人 山田和子 田原孝司 定価950円

第18号[編集]

1982年12月10日「特集 ケイト・ウイルヘルム
サマセット・ドリーム (ケイト・ウイルヘルム)
惑星物語 (ケイト・ウイルヘルム)
バグリイ夫人、火星へ行く (ケイト・ウイルヘルム)
スペキュラティヴ・フィクションのいま (ケイト・ウイルヘルム/デーモン・ナイト/サーニ・エフロン/山田和子)
女の言葉 <ウイルヘルム論覚え書> (山田和子)
小説世界の小説 7 現実としての未来世界 - ハインラインとウイルヘルム (山野浩一)
月齢 (山尾悠子
『暗号学左派』作業ノート (荒俣宏
共産主義的SF論 16 (大久保そりや)
街の冒険者 9 (佐野美津男)
キャンプ収容 最終回 (トマス・M・ディッシュ)
 発行人 山野浩一  編集人 山田和子 村岡恭子 定価950円

脚注[編集]

  1. ^ 第18号には休刊などの社告はなく、「ターミナル・ノート」に「次回をお楽しみに。」という記述もあるので、正式な休廃刊は不明である。