ルサルカ

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ポーランドの画家 Witold Pruszkowski が描いたルサルカ(1877)。

ルサルカRusalka)は、スラヴ神話の水の女神。女神というよりは幽霊のようなもので、若くして死んだ花嫁や水の事故で死んだ女性、洗礼を受けずに死んだ嬰児などがなるという。別名ルサールカRousalka)またはルーサルカ。また別名チェルトヴカ(冗談女)、シュトヴカ(冗談悪魔)、レスコトゥーハロスコトゥーハ(くすぐるもの)、キトカ、キトハ(誘拐者)などと呼ばれる。

概要[編集]

非常に美しい容姿をしており、その美貌と上手な踊りで男を惑わして命尽きるまで男を踊り狂わせて殺してしまう。また長い金髪の白い服の美しい乙女ともいわれている。

ちなみにロシア南部ではルサルカは素晴らしい美少女の姿をしているが、ロシア北部のルサルカは醜い妖怪のような姿をしている。緑色の髪に青白い顔、緑色の目をぎらつかせ巨大な乳房を垂らしているとされる。また南ロシアではルサールカは妖艶で愛嬌もあるが、北ロシアでは嫉妬深く気まぐれ、且つ邪悪な性質と考えられていた[1]

冬の間は川に住み夏になると水から出て森や空き地に暮らした。森の中では月明かりの晩に歌を歌い踊り若い男を魅了したという。魅了されると邪悪なニンフに水中に引きずり込まれ二度と上がることはなかったという。また、その名前は、古代スラヴ人の春の祭りルサーリイに由来するが、聖霊降臨祭後のルサーリイ週には水から出て来て畑を歩き回り、穀物がよく実ると言われている。そのため、豊穣神としての性格も有している[2]

古代のスラヴ人にとっては森・川・沼などは不安や疑惑と共に恐れられる地形であり、ルサールカに関する伝承・信仰はスラヴ人に共通して存在している[1]地方によってヴィーラ、ヴィルリ(ヴィリ、ウィリ、ウィリー)、ヴォレスとも呼ばれる[注 1]。『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』の原作にもヴィーラが登場し、男性陣を魅了した。またバレエ「ジゼル」では恋に破れたヒロインジゼルが死後にヴィリとなって登場する。

アントニン・ドヴォルザークによる歌劇ルサルカ』の題材としても有名である。

ヴォジャノーイの妻とする説もある。

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ バルカン半島のスラヴ人の伝承ではヴィーラ、ヴィーリィと呼ばれ、山姥の姿をしている[1]

出典[編集]

  1. ^ a b c 清水睦夫「ロシア国家の起源」p48
  2. ^ 『神の文化史事典』、白水社、2013年、575-576頁より引用

参考文献[編集]

  • キャロルローズ著『世界の妖精妖怪事典』原書房、p.446。
  • 清水睦夫「ロシア国家の起源」 // 『世界歴史体系 ロシア史 1 -9世紀~17世紀-』、田中陽兒・倉持俊一・和田春樹編(山川出版社)1995年。

関連項目[編集]