フランス国鉄TGV Sud-Est

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フランス国鉄TGV Sud-Est
TGV Sud-Est 第101編成(2005年12月、パリ北駅)
TGV Sud-Est 第101編成(2005年12月、パリ北駅)
編成 10両編成
M(動力車)+ 8T(客車) + M(動力車)
営業最高速度 270km/h
更新修繕車(一部を除く)300 km/h
編成定員 新製時 368人(一等車108人・二等車260人)
更新後 345人(一等車69人・二等車276人)
編成長 200,190mm
全長 客車18,700 mm
全幅 2,814 mm
全高 客車3,420 mm
編成質量 第1 - 第102編成 385t
第110 - 第118編成 390t
軌間 1,435 mm
電気方式 交流25,000V 50Hz
直流1,500V
交流15,000V 16 2/3Hz(第110 - 第118編成)
架空電車線方式
編成出力 交流25,000V区間 6,450kW
直流1,500V区間 3,100kW
交流15,000V区間 2,800kW
主電動機 直流電動機
主電動機出力 交流25,000V区間 537.5kW
駆動装置 トリポード可撓継手
制御装置 交流区間 サイリスタ位相制御
直流区間 サイリスタチョッパ制御
制動方式 電磁自動空気ブレーキ発電ブレーキ
保安装置 LGV区間 TVM
在来線区間 KVB
製造メーカー アルストム

フランス国鉄TGV Sud-Est (SNCF TGV Sud-Est) はフランスの高速列車TGV用にアルストムが製造し、フランス国鉄 (SNCF) が運用を行っている動力集中方式高速鉄道車両 (electric multiple unit) である。1978年から1986年までの8年間にわたり製造され、日本の新幹線の最高速度を上回る世界最速の列車としての基礎を築き、後に続くTGVシリーズ各車両の基本となった。

編成概要[編集]

2009年時点では107本の編成が在籍し、65本がパリ・リヨン駅近くに立地する南東ヨーロッパ車両基地 (Technicentre Sud Est Européen) 、42本がパリ北駅近くに立地するランディ車両基地 (Technicentre Le Landy) にそれぞれ配置されている。

編成番号1 - 37、39 - 45、47 - 69、71 - 87、89 - 98、100 - 102の98本は23000形で、交流25,000V50Hz直流1,500Vの2電源に対応する。欠番となっている第38編成は郵便車編成La Posteに転用され、第70編成は1989年に除籍、第88編成は後述する3電源対応の第118編成とされた。なお第99編成は当初から欠番である。

編成番号110 - 118の9本は33000形で、スイス連邦鉄道(スイス国鉄)に直通する国際列車リリアなどに運用されるため、交流25,000V50Hz・直流1,500V ・スイス国鉄の交流15,000V 16 2/3Hzの3電源に対応する。一部編成はスイス国鉄に長期リースされており、SNCFのロゴに代わりスイス国鉄のロゴが車体に貼付されている。

機器など[編集]

編成は両端2両の動力車と中間8両の連接客車で構成され、編成重量は385tである。主電動機は動力車の台車に8基、動力車に隣接する客車の台車に4基の計12基が装備され、交流25,000V区間での編成出力は6,450kW (537.5kW×12) である。主電動機は車体床下に装着され、トリポードと称する可撓継手により車軸部の駆動歯車に動力を伝達している。

制御方式は直流区間ではサイリスタチョッパ制御、交流区間はサイリスタ位相制御直流電動機を駆動する。

台車は動力車・客車ともに2軸ボギーで、車輪直径は920mm、ホイールベースは3,000mmである。軸箱と台車枠の間はゴムと鋼板を重ねた「筒型ゴム」により支持される。落成当初はいずれも枕バネにコイルバネを使用していたが、客車のものについては後に乗り心地改善を目的として空気バネに改修された。

ブレーキシステムは発電ブレーキ併用電磁自動空気ブレーキであり、台車には踏面ブレーキディスクブレーキが装備されている。

連結器は、先頭部分に車体側面からの操作によって開閉するカバーによって格納されたシャルフェンベルク式密着連結器と、動力車と中間車の間にねじ式連結器を装備する。先頭部は併結運転の際に使用され、中間車側は無動力回送の際に機関車によって牽引される場合に用いられる。

集電装置シングルアーム型パンタグラフを両端の動力車に交流区間用と直流区間用の二基をそれぞれ搭載する。運転台寄りが直流用、連結面側が交流用である。交直切替時の操作によって二つのパンタグラフがデッドセクション走行中に切り替えられる。Sud-Est編成の導入当初は直流用パンタグラフがSNCFで一般的に使用されていたY型マストのものであったのに対して、交流用パンタグラフは高速走行時の架線への追随性を高める目的で、1本マスト型シングルアームパンタグラフの上に小型のシングルアームパンタグラフを載せた形態のダブルアクション型パンタグラフを使用していたが、LGV大西洋線開業に際して投入されたTGV Atlantique編成からは、ダブルアクション型の代わりに摺り板の微細な上下動をアシストし、超高速走行時の集電性能を向上させるダンパーを使用した1本マスト型が採用された。Sud-Est編成においても、この改良型への交換が進行している。スイス直通対応編成は、パンタグラフの摺り板の幅が狭いものに交換されている。直流区間では各動力車のパンタグラフを使用するのに対して、交流区間では後部動力車のパンタグラフのみを使用する。

車体は耐候性鋼板製で、板厚は3.2mmである。

客車は一等車 (Première classe) 2両、二等車 (Seconde classe) 5両、二等座席とバー合造車1両で構成される。

車体塗装は当初オレンジを基調としていたが、内装の更新修繕時にTGV Atlantique編成から採用されたシルバー地に青帯に変更された。

当初、270km/h対応で落成したが、ほとんどの編成がLGV地中海線開業に際し、内装の更新修繕にあわせて高速域における主電動機の整流性能を向上させたことで300km/h運転対応とされた。一部編成はLGV線上の走行距離が短いため270km/h対応で存置されている。SNCFでは最終的にSud-Est編成を淘汰するため、270km/h対応編成の300km/h化は検討していない。

運用[編集]

落成当初の塗装(1987年頃)

1981年9月にパリ(リヨン駅) - リヨンペラーシュ駅)間をLGV南東線経由で営業運行を開始した。長らく南東線系統のみで運用されていたが、2001年にLGV地中海線が開業してからはLGV東連絡線を経由してLGV北線方面に直通する列車や、北線系統のパリ北駅発着列車などにも運用されるようになった。

開業以来使用されている車両のため老朽化が進行しており、2012年のダイヤ改正以後、TGV-Duplexに置き換えられた車両の一部に運用を離脱する編成が出て来ている。またスイス国鉄にリースされていた9編成がTGVリリアに運用が置き換えられ、全編成が運用を離脱している。現在当該する編成は保留車となっているが、在来線の運用に転用される等の計画がある模様。2013年から余剰車両に廃車となった車両が現れている。

TGV Expérience[編集]

南東ヨーロッパ車両基地配置の第65編成は2011年にLGV南東線開業30周年を記念した特別列車「TGV Expérience」に改造された。車体には30周年記念デザインが施され、客車8両のうち4両は座席を撤去した上でTGVに関する各種情報の提供やTGV車両の模型などを展示している。この特別列車は同年4月16日から7月14日までフランス各地の16駅とスイス・ジュネーヴコルナヴァン駅)を巡回した[1][2]

脚注[編集]

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  1. ^ Olivier Constant 「フランス国鉄TGV営業運転開始から30年 30周年記念特別列車」 『鉄道ファン』2011年8月号(通巻604号) 144 - 145頁、交友社
  2. ^ 秋山芳弘 「Overseas Railway Topics 開業30周年を迎えたTGV」 『鉄道ジャーナル』2011年9月号(通巻539号) 150 - 151頁、鉄道ジャーナル社

参考文献[編集]

  • 佐藤芳彦『図解TGV VS. 新幹線』講談社、2008年
  • 佐藤芳彦「世界の高速鉄道 フランスTGV その2」『鉄道ファン』2007年9月号(通巻557号)、交友社、pp132 - 133

関連項目[編集]