カフェファラオ

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カフェファラオ
2022年フェブラリーS
欧字表記 Cafe Pharoah[1]
品種 サラブレッド[1]
性別 [1]
毛色 鹿毛[1]
生誕 2017年3月3日(7歳)[1]
登録日 2019年11月7日
抹消日 2023年11月24日
American Pharoah[1]
Mary's Follies[1]
母の父 More Than Ready[1]
生国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国[1]
生産者 Paul P. Pompa[1]
馬主 西川光一[1]
調教師 堀宣行美浦[1]
競走成績
タイトル JRA賞最優秀ダートホース(2022年)[1]
生涯成績 17戦7勝[1]
中央:11戦6勝
地方:4戦1勝
海外:2戦0勝
獲得賞金 6億5742万4900円[2]
日本:3億9369万5000円[1]
(中央)3億2529万5000円
(地方)6840万円
SAU:200万米ドル[3]
WBRR M115 / 2021年[4]
M117 / 2022年[5]
M117 / 2023年[6]
勝ち鞍
GI フェブラリーS 2021年・2022年
JpnI マイルCS南部杯 2022年
GIII ユニコーンS 2020年
GIII シリウスS 2020年
Listed ヒヤシンスS 2020年
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カフェファラオ(欧字名:Cafe Pharoah[注 1]2017年3月3日 - )は、アメリカ生産、日本調教の競走馬[1]。主な勝ち鞍は2021年2022年フェブラリーステークス連覇、2022年のマイルチャンピオンシップ南部杯

馬名の意味は、冠名+父名より[2]2022年JRA賞最優秀ダートホースである。

戦績[編集]

2歳(2019年)[編集]

12月4日2歳新馬戦中山ダート1800m)でライアン・ムーア鞍上にデビュー。スタートから先手を奪い、直線に向くと後続との差をみるみる広げ、のちの兵庫チャンピオンシップ勝ち馬バーナードループに10馬身差をつけ圧勝。デビュー勝ちを果たした[7]

3歳(2020年)[編集]

次走のヒヤシンスステークスでも1番人気に推される。レース本番はスタートで出遅れたものの、道中外から進出し残り200mで先頭に立つと、最後は追い込んだタガノビューティーを1馬身1/4差で抑え切ってデビュー2連勝とした[8]

重賞初挑戦となったユニコーンステークスでは同じく2戦2勝のレッチェバロック等が集まったが[9]、1番人気に推された。レースでは3コーナーまでに2番手に進出すると、直線では後続を突き放し2着デュードヴァンに5馬身差のレースレコードで圧勝。デビュー3連勝で重賞初制覇を果たした[10]。その後のジャパンダートダービーでは単勝1.1倍と圧倒的1番人気に推されたが7着となり、デビューからの連勝は3でストップとなった。

秋はクリストフ・ルメールとのコンビでシリウスステークスから始動し、1番人気の支持に応えて快勝[11]。その後チャンピオンズカップに参戦し、国内無敗のクリソベリルに次ぐ2番人気に推されたが、中団追走から直線で伸び切れず6着に敗れた[12]

4歳(2021年)[編集]

古馬初戦にはフェブラリーステークスを選択。前年のチャンピオンズカップを制したチュウワウィザードは海外へ遠征し[13]、クリソベリルは故障[14]ゴールドドリームの引退[15]など確固たる実績馬不在の中で1番人気に推されると、レースでは道中5番手を追走。3コーナー手前から進出を開始すると、直線ではワイドファラオエアアルマスら先行馬を交わし、最後は外から猛追してきたエアスピネルを3/4馬身差で凌ぎきって優勝、GI初制覇を果たした[16][17]。勝ちタイム1分34秒4は同レース史上2位、良馬場では史上最速タイムという高速決着となり[18]、鞍上のルメールは前年のモズアスコットに続く同レース連覇[18]、父アメリカンファラオは産駒初の国際ダートG1制覇を果たした[18]。また、史上4頭目の関東馬による同レース勝利となった[19]

次走はかしわ記念を選択。2.1倍の1番人気に推されたが道中中団からレースを進め進めたが直線伸びを欠き5着に終わる。鞍上のルメールは「深い砂でスタートから、あまり進まなかったです。1.2コーナで良いポジションを取れたけど、3コーナー手前から忙しくなりました。きついコーナーがあまり合わないです」と振り返った[20]

その後は函館記念に出走、10戦目にして初めての芝に挑戦した。トップハンデの58.5㎏で初芝ながら1番人気に推されたが9着に敗れた[21]

4か月半ぶりとなったチャンピオンズカップはブリンカーを着用して挑んだが中団やや後方から伸びず11着に終わった。

5歳(2022年)[編集]

この年もフェブラリーステークスから始動。ここまで主戦騎手を務めたルメールがテオレーマに騎乗するため、新たに福永祐一を鞍上に迎えた。道中では4番手につけ、4コーナー終りから加速。直線でソダシテイエムサウスダンを交わし、2着のサウスダンに2馬身半差をつけ1分33秒8のレースレコードでゴール。コパノリッキー以来7年ぶりとなるフェブラリーステークス連覇を果たした。

続いて、函館記念以来二度目の芝レースへの挑戦となる安田記念に出走[22]。10番人気に支持され、17着に敗れた。

夏の休養を挟み、秋初戦はマイルチャンピオンシップ南部杯に出走。逃げるヘリオスを3番手から追走し、ゴールでハナ差捉えて勝利。初のフェブラリーステークス以外となるG1級競走3勝目を上げた。また鞍上の福永にとっては騎手として最後のGI級競走制覇となった。

6歳(2023年)[編集]

初戦は初の海外遠征としてサウジアラビアへ遠征し、ジョアン・モレイラを鞍上に迎えサウジカップに出走し3着の後、アラブ首長国連邦ドバイへ転戦しドバイワールドカップでは12着となった。帰国後は安田記念に浜中俊が騎乗して12着の後、連覇をかけて出走したマイルチャンピオンシップ南部杯は地元・岩手所属の高松亮が騎乗し5着と敗れた。この南部杯が現役最終戦となり、同年11月に現役引退が決定、11月24日付でJRAの競走馬登録を抹消された[23][24]。引退後は北海道新ひだか町アロースタッドで種牡馬として供用される[25]。初年度の種付け料は150万円[26]

競走成績[編集]

以下の内容は、JBISサーチ[27]、netkeiba.com[28]、サカブジョッキークラブ[29]、Racing Post[30]、エミレーツ競馬協会[31]およびTotal Performance Data[32]の情報に基づく。

競走日 競馬場 競走名 距離(馬場)

オッズ

(人気)

着順 タイム

(上り3F)

着差 騎手 斤量

[kg]

1着馬(2着馬) 馬体重

[kg]

2019.12.14 中山 2歳新馬 ダ1800m(良) 14 1 1 002.00(1人) 01着 R1:54.7(37.3) -1.6 0R.ムーア 55 バーナードループ 506
2020.02.23 東京 ヒヤシンスS L ダ1600m(良) 14 3 3 002.10(1人) 01着 R1:37.7(35.2) -0.2 0M.デムーロ 56 (タガノビューティー) 504
0000.06.21 東京 ユニコーンS GIII ダ1600m(稍) 16 8 16 002.00(1人) 01着 R1:34.9(36.4) -0.8 0D.レーン 56 (デュードヴァン) 512
0000.07.08 大井 JDダービー JpnI ダ2000m(重) 13 2 2 001.10(1人) 07着 R2:08.4(41.8) -2.5 0D.レーン 56 ダノンファラオ 508
0000.10.03 中京 シリウスS GIII ダ1900m(良) 16 8 15 001.70(1人) 01着 R1:57.8(36.9) -0.1 0C.ルメール 54 (サクラアリュール) 510
0000.12.06 中京 チャンピオンズC GI ダ1800m(良) 16 4 7 006.00(2人) 06着 R1:50.2(37.1) -0.9 0C.ルメール 56 チュウワウィザード 504
2021.02.21 東京 フェブラリーS GI ダ1600m(良) 16 2 3 003.30(1人) 01着 R1:34.4(35.6) -0.1 0C.ルメール 57 エアスピネル 514
0000.05.05 船橋 かしわ記念 JpnI ダ1600m(稍) 12 3 5 002.10(1人) 05着 R1:40.4(39.7) -1.1 0C.ルメール 57 カジノフォンテン 518
0000.07.18 函館 函館記念 GIII 芝2000m(良) 16 1 1 004.10(1人) 09着 R1:59.4(35.8) -0.7 0C.ルメール 58.5 トーセンスーリヤ 524
0000.12.05 中京 チャンピオンズC GI ダ1800m(良) 16 8 16 009.60(4人) 11着 R1:51.7(37.4) -2.0 0C.ルメール 57 テーオーケインズ 520
2022.02.20 東京 フェブラリーS GI ダ1600m(重) 16 3 6 005.10(2人) 01着 R1:33.8(34.3) -0.4 0福永祐一 57 テイエムサウスダン 526
0000.06.05 東京 安田記念 GI 芝1600m(良) 18 1 1 021.6(10人) 17着 R1:33.3(34.4) -1.0 0福永祐一 58 ソングライン 524
0000.10.10 盛岡 MCS南部杯 JpnI ダ1600m(不) 16 2 4 002.80(1人) 01着 R1:34.6(36.8) -0.0 0福永祐一 57 (ヘリオス) 523
2023.02.25 KAA サウジC G1 ダ1800m(Fs)[注 2] 13 13 1 017.00(6人) 03着 R1:51.07 -0.27 0J.モレイラ 57 Panthalassa 計不
0000.03.25 メイダン ドバイWC G1 ダ2000m(Fs)[注 3] 15 10 3 029.00(9人) 12着 R2:13.74(48.54) -10.49 0J.モレイラ 57 Ushba Tesoro 計不
0000.06.04 東京 安田記念 GI 芝1600m(良) 18 8 16 226.1(18人) 12着 R1:32.3(34.4) -0.9 0浜中俊 58 ソングライン 526
0000.10.09 盛岡 MCS南部杯 JpnI ダ1600m(稍) 14 2 2 003.80(2人) 05着 R1:36.0(36.4) -2.2 0高松亮 57 レモンポップ 522
  • タイム欄のRはレコード勝ちを表す
  • 海外の競走の「枠番」欄にはゲート番を記載
  • サウジアラビアのオッズ・人気は現地主催者発表のもの(日本式のオッズ表記とした)

血統表[編集]

カフェファラオ血統 (血統表の出典)[§ 1]
父系 ファピアノ系
[§ 2]

American Pharoah
2012 鹿毛
父の父
Pioneerof the Nile
2006 黒鹿毛
*エンパイアメーカー Unbridled
Toussaud
Star of Goshen Lord At War
Castle Eight
父の母
Littleprincessemma
2006 栗毛
Yankee Gentleman Storm Cat
Key Phrase
Exclusive Rosette Ecliptical
Zetta Jet

Mary's Follies
2006 鹿毛
More Than Ready
1997 黒鹿毛
*サザンヘイロー Halo
Northern Sea
Woodman's Girl Woodman
Becky Be Good
母の母
Catch the Queen
1999 鹿毛
Miswaki Mr. Prospector
Hopespringseternal
Wave to the Queen Wavering Monarch
Blue Ankle
母系(F-No.) (FN:1-k) [§ 3]
5代内の近親交配 Mr. Prospector 5・4(母内) [§ 4]
出典
  1. ^ [36]
  2. ^ [37]
  3. ^ [36][37]
  4. ^ [36][37]


  • 父アメリカンファラオはアメリカ産馬。現役時代はアメリカクラシック三冠などGI8勝含む9勝を挙げた[38]
  • 母Mary's Folliesもアメリカ産馬で、現役時代ミセズリヴィアステークス(GII)など重賞2勝、計4勝を挙げた[39]
  • 半兄にトランシルヴァニアステークス(GIII)など重賞2勝のNight Prowler、半姉にメイトリアークステークスなどGI4勝を含む重賞8勝のRegal Gloryがいる。

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ ファラオの本来の綴りは"Pharaoh"であるが、父名の間違いを受け継いで"Pharoah"で登録されている
  2. ^ 馬場状態の発表は「Fast」[33]。これをJRAは「良」と発表した。馬場状態#ダートコース参照。
  3. ^ 馬場状態の発表は「Fast」[34]。これをJRAは「良」と発表した[35]馬場状態#ダートコース参照。

出典[編集]

  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p カフェファラオ(USA)”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2023年10月9日閲覧。
  2. ^ a b 競走馬情報 - カフェファラオ”. www.jra.go.jp. 日本中央競馬会. 2023年10月9日閲覧。
  3. ^ 2023 サウジカップ開催施行競走 登録要綱”. 2023年2月26日閲覧。
  4. ^ 国際競馬統括機関連盟 (IFHA) The LONGINES World's Best Racehorse Rankings”. 2022年1月26日閲覧。
  5. ^ The LONGINES World's Best Racehorse Rankings For 3yos and upwards which raced in 2022”. 国際競馬統括機関連盟. 2023年1月18日閲覧。
  6. ^ The LONGINES World's Best Racehorse Rankings For 3yos and upwards which raced in 2023”. 国際競馬統括機関連盟. 2024年1月26日閲覧。
  7. ^ 【中山6R新馬戦】アメリカンファラオ産駒カフェファラオが逃げて圧勝/JRAレース結果」『netkeiba.com』。2020年6月21日閲覧。
  8. ^ 【ヒヤシンスS】カフェファラオが出遅れを物ともせずデビュー2連勝/JRAレース結果」『netkeiba.com』。2020年6月21日閲覧。
  9. ^ 【ユニコーンS見どころ】カフェファラオ、デビュー3連勝なるか」『netkeiba.com』。2020年6月21日閲覧。
  10. ^ 【ユニコーンS結果】カフェファラオ、5馬身差圧勝!レコードで出世レースを制す」『netkeiba.com』。2020年6月21日閲覧。
  11. ^ 【シリウスS結果】断然人気の3歳馬カフェファラオが完勝 重賞2勝目」『netkeiba.com』。2021年2月22日閲覧。
  12. ^ 【チャンピオンズC】カフェファラオ6着でルメールのGI連勝ストップ「3歳だしまだこれから」」『サンケイスポーツ』。2021年2月22日閲覧。
  13. ^ チュウワウィザードはサウジCへ 鞍上は戸崎圭太に依頼」『netkeiba.com』。2021年2月22日閲覧。
  14. ^ 【JRA】クリソベリルが右後肢繋ぎの輪状靭帯を負傷」『netkeiba.com』。2021年2月22日閲覧。
  15. ^ ゴールドドリームが引退、種牡馬に 2017年JRA賞最優秀ダートホース」『netkeiba.com』。2021年2月22日閲覧。
  16. ^ 【フェブラリーS結果】4歳馬カフェファラオがGI初制覇! C.ルメール騎手は連覇達成」『netkeiba.com』。2021年2月22日閲覧。
  17. ^ 【勝負の分かれ目 フェブラリーS】カフェファラオが厳しい流れをモノともせず、横綱相撲でGI初制覇」『netkeiba.com』。2021年2月22日閲覧。
  18. ^ a b c 【フェブラリーS・豆知識】ルメール騎手×堀厩舎は初GI、American Pharoah産駒は国際ダートGI初制覇」『netkeiba.com』。2021年2月22日閲覧。
  19. ^ 新ダート王誕生!ルメール騎乗のカフェファラオがGI初制覇/フェブラリーS」『サンケイスポーツ』、2021年2月21日。2021年2月22日閲覧。
  20. ^ 【かしわ記念】ルメール「きついコーナー合わない」カフェファラオは5着」『競馬のおはなし』、2021年5月5日。2021年5月16日閲覧。
  21. ^ 【函館記念】カフェファラオは初芝で9着 ルメール「距離と芝は大丈夫でした」」『サンケイスポーツ』、2021年7月18日。2021年12月13日閲覧。
  22. ^ “カフェファラオ 芝G1安田記念へ参戦へ”. スポニチ. (2022年3月18日). https://www.sponichi.co.jp/gamble/news/2022/03/18/kiji/20220317s00004000612000c.html?amp=1 2022年4月11日閲覧。 
  23. ^ カフェファラオが競走馬登録抹消 - 日本中央競馬会 2023年11月24日
  24. ^ カフェファラオ競走馬登録抹消、アロースタッドで種牡馬に - ラジオNIKKEI(競馬実況web)2023年11月24日
  25. ^ フェブラリーS連覇のカフェファラオが引退 アロースタッドで種牡馬入り - スポーツ報知 2023年11月20日
  26. ^ アロースタッドが2024年種付け料を発表! カフェファラオは150万円 | サラブレッドマーケット”. thoroughbred-market.com. 2023年12月8日閲覧。
  27. ^ カフェファラオ(USA) 競走成績”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2023年10月9日閲覧。
  28. ^ カフェファラオの競走成績”. netkeiba.com. 2023年10月9日閲覧。
  29. ^ Sakab Jockey Club - Race Result”. www.frusiya.com. サカブジョッキークラブ. 2023年2月26日閲覧。
  30. ^ Cafe Pharoah | Race Record & Form | Racing Post”. www.racingpost.com. 2023年2月26日閲覧。
  31. ^ Emirates Racing Authority”. emiratesracing.com. エミレーツ競馬協会. 2023年3月26日閲覧。
  32. ^ Total Performance Data”. 2023年4月7日閲覧。
  33. ^ Full Result 5:35 Riyadh (KSA) | 25 February 2022”. racingpost.com. レーシング・ポスト. 2023年2月26日閲覧。
  34. ^ Results|Emirates Racing Authority”. emiratesracing.com. エミレーツ競馬協会. 2023年3月26日閲覧。
  35. ^ レース結果:2023年ドバイワールドカップ 海外競馬発売 JRA”. www.jra.go.jp. 日本中央競馬会. 2023年3月26日閲覧。
  36. ^ a b c カフェファラオ 血統情報:5代血統表”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2020年6月21日閲覧。
  37. ^ a b c カフェファラオの血統表”. netkeiba.com. Net Dreamers Co., Ltd.. 2020年6月21日閲覧。
  38. ^ American Pharoah(USA)”. JBISサーチ. 2020年6月23日閲覧。
  39. ^ Mary's Follies(USA)”. JBISサーチ. 2020年6月23日閲覧。

外部リンク[編集]