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日本往生極楽記

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
日本往生極楽記
日本往生極樂記
著者 寂心(慶滋保胤
発行日 寛和年間(985年 - 987年)頃
ジャンル 往生伝
日本の旗 日本
言語 漢文
次作 続本朝往生伝
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日本往生極楽記』(にほんおうじょうごくらくき)は、平安時代中期に慶滋保胤(? - 1002年)が編纂した往生伝。成立は寛和年間(985年 - 987年)頃と見られている。『日本往生伝』とも[1]

概要

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「往生伝」とは、極楽往生をしたものの伝記またはその伝記を集めたもので、『日本往生極楽記』は日本で最古の往生伝とされる。この書は、聖徳太子をはじめとして、皇族から庶民にいたる計45人の極楽往生の伝記を載せ、保胤の浄土信仰に基づいて編纂されたものである[1]

本書は保胤が在俗(寛和2年(986年)以前)の間に一旦完成し、兼明親王に加筆を頼んだ。兼明はさらに聖徳太子と行基の伝を追加すべしとの告を得たが、果たせずに薨じた。そこで、保胤が加筆し、兼明の夢告を果たしたという[1][2][3]

聖徳太子・行基・善謝・円仁・隆海の伝は六国史に依拠しており、円仁・増命空也の伝は、それぞれ『慈覚大師伝』・『扶桑略記』所引伝・空也に拠っている。他、三十人ほどは出典不明であり、著者の見聞に拠ると思われる[4][1][2]

刊行本

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内容

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  1. 聖徳太子
  2. 行基菩薩
  3. 伝燈大師(善謝
  4. 慈覚大師
  5. 澄海律師
  6. 増命僧正
  7. 無空律師
  8. 明祐律師
  9. 僧都済源
  10. 智光・頼光両僧
  11. 成意十禅師
  12. 東塔住僧某甲
  13. 兼算十禅師
  14. 尋静十禅師
  15. 春素十禅師
  16. 昌延僧正
  17. 弘也沙門
  18. 伝燈阿闍梨(千観
  19. 明請
  20. 真頼
  21. 広道
  22. 住僧勝如
  23. 修行僧(箕面滝の修行僧)
  24. 住僧平珎
  25. 増祐沙門
  26. 玄海
  27. 真覚沙門
  28. 薬連沙門
  29. 尋祐沙弥
  30. 尼某甲(光孝天皇孫)
  31. 尼某甲(寛忠姉
  32. 尼某甲(伊勢国飯高郡上平郷人)
  33. 高階真人(高階良臣
  34. 藤原義孝
  35. 源憩
  36. 越智益躬
  37. 女仏子伴氏
  38. 女弟子小野(小野喬木女
  39. 女弟子藤原
  40. 女人息長近江国坂田郡女人)
  41. 一老婦(伊勢国飯高郡老婦)
  42. 一婦女(加賀国婦女)

『日本往生全伝 1 日本往生極楽記(慶滋保胤)』, 国立国会図書館を基に作成

脚注

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  1. ^ a b c d 日本往生極楽記』 - コトバンク
  2. ^ a b 行基伝後注
  3. ^ 中尾正己「続本朝往生伝の往生観」, 『印度學佛教學研究』29巻1号, 1980, p. 361
  4. ^ 中尾正己「日本往生極楽記の撰述について」, 『印度學佛教學研究』25巻1号, 1976, pp. 285-287

関連項目

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