ヘイ・ジョー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ヘイ・ジョー
Hey Joe, Where You Gonna Go?
ザ・リーヴズ(The Leaves)シングル
B面
  • "Be With You"
  • (1st 盤)
  • "Girl From The East"
  • (2nd 盤)
  • "Funny Little World"
  • (3rd 盤)
リリース
規格 7インチシングル
ジャンル
時間
レーベル Mira 207 (1965)
Mira 222 (1966)
作詞・作曲 ビリー・ロバーツ
プロデュース Norm Ratner
ザ・リーヴズ(The Leaves) シングル 年表
Love Minus Zero
(1965)
Hey Joe
(1965)
「You Better Move On」
(1965)
テンプレートを表示

ヘイ・ジョー」(Hey Joe)は、1960年代以降にロックの定番曲となり、数百人の様々なアーティストにより多くの音楽スタイルで演奏されている米国のポピュラーソングである[2][3]

「ヘイ・ジョー」は、不貞行為に及んでいた妻を銃で撃った後にメキシコへ向かおうと計画している、逃走中の男の話を歌ったものである[4]。この楽曲はビリー・ロバーツによって1962年にアメリカ合衆国の著作権に登録された[5]。しかし、様々なクレジットや主張がこの曲の作者に関する混乱をもたらしている[4]。同楽曲に関する最初期とされる既知の商業録音は、ロサンゼルスのガレージロックバンド、ザ・リーヴズ (The Leaves) による1965年後半のシングルである。その後このバンドは楽曲を再録音して1966年に再度シングルとしてリリース、これがヒット曲になった[6]

ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンスによる1966年の録音盤が最も有名なバージョンである[7]。曲のタイトルはたまに「Hey Joe、Where You Gonna Go?(ヘイ・ジョー、お前はどこへ行くつもりだ?)」や、これに似たバリエーション表記をされることがある。

作者[編集]

歌手のティム・ローズ英語版によって伝統音楽であるとの主張がされたり[8]、誤ってしばしば米国の音楽家ディノ・ヴァレンティ(彼はチェスターやチェット・パワーズ、ジェシー・ファローの異名を持つ)の書いたものともされる「ヘイ・ジョー」は、カリフォルニアに拠点を置くフォーク音楽家のビリー・ロバーツによって1962年に米国の著作権に登録された[5][9]。スコットランドのフォーク歌手レン・パートリッジは、1956年にロバーツがエディンバラのクラブで演奏した際に、自分がこの曲を書く手伝いをしたと主張している[5]

ロバーツは以前あった以下の3作品から「ヘイ・ジョー」の着想を閃いた可能性がある。彼の恋人ニエラ・ミラーの1955年の歌「Baby, Please Don’t Go To Town[10]五度圏に基づく同様のコード進行を使っている)[9]カール・スミスによる1953年の米国カントリーのヒット曲「 Hey Joe!」(ブーデロウ・ブライアントによる作詞、これとはタイトルと「質疑応答」様式が共通である)[11]、そして20世紀初頭の伝統的なバラードLittle Sadie」(これは自分の妻を撃った後に逃走している男について語ったもの)[12]である。「Little Sadie」の歌詞にはトマスビル (ノースカロライナ州)や「落ち延びた」ジェリコ(サウスカロライナ州の低地にある大規模なコメ農場)での出来事が出てくることが多く[13][14]、ロバーツはサウスカロライナ州で生まれた。

「"Little Sadie"」のバリエーションは、クラランス・アシュリー(1930)[15]ジョニー・キャッシュ(1960・1968)、スリム・ダスティ(1961)[16]ボブ・ディラン(1970)を含む多くのアーティストによって、さまざまなタイトル( "Bad Lee Brown"、 "Penitentiary Blues"、 "Cocaine Blues"、 "Whiskey Blues"など)で録音されている。一部のバージョンはジェリコ(サウスカロライナ州)からメキシコへ南行きの位置を変更している。

ティム・ローズらによる、「Hey Joe」が全くの伝統音楽作品であるという主張を裏付ける証拠は提示されたことがない[8]

楽曲の権利は1966年から2000年代まで音楽出版社のThird Story Music(現在はThird Palm Music)によって管理されていた。そこでは作者がビリー・ロバーツとしてリスト掲載されている[17]。他の情報筋(歌手パット・クレイグを含む)は、ヴァレンティが収監されている間のこととして、釈放時に彼に幾らか収入を与えるためロバーツが友人のヴァレンティに当楽曲の権利を分け与えたと主張している[18]

初期の収録[編集]

Hey Joe (Where You Gonna Go)
バーズシングル
初出アルバム『霧の五次元
リリース
規格 LP盤
録音 1966年5月16-19日
ジャンル ガレージロック[6]
時間
レーベル コロムビア・レコード (no. CS 9349)
プロデュース Allen Stanton
テンプレートを表示

ロバーツの楽曲は1965年代半ばのロサンゼルスの音楽業界でファンを獲得し、1965年と1966年にザ・リーヴズザ・スタンデルズザ・サーファリーズラヴ (バンド)ザ・ミュージック・マシーン、そしてバーズによる速いペースでの録音がなされ、この曲はあっという間にガレージロックの定番曲になった[6]。1965年12月にザ・リーヴズによって収録される前は、ディノ・ヴァレンティとバーズのデヴィッド・クロスビーの両名がこの歌を普及させる手助けをしたと伝えられている[19]

サンセット大通り(en)にあるCiro'sというナイトクラブのライブコンサートに参加した際にこの曲をバーズ(まだ彼らはこの楽曲の自身のバージョンを録音していなかった)から紹介されたザ・リーヴズは[19]、3つのバージョンの「ヘイ・ジョー」を録音して1965年と1966年にリリースした[4]。彼らの最初のバージョンは1965年11月-12月にリリースされたが、売り上げは乏しかった[6]。同バンド3回目の録音盤は1966年5月-6月にかけてヒットし、Billboard Hot 100チャートで31位[6]、カナダのRPM (カナダの音楽雑誌)チャートで29位となった。リーヴズ盤はビルボードチャートのトップ40に到達したこの楽曲唯一のレコーディングとして特筆に値する[4]

当楽曲のザ・サーファリーズの録音盤、彼らのシングル「So Get Out」のB面でリリースされたものが、ロック曲としての初レコーディングだと記載されることがある[20]。しかし多くの信頼できる情報源は、実際にはサーファリーズ盤は1966年からで、ザ・リーヴズの1965年オリジナル盤の後に生まれたものだと反論している[21][22]。ザ・サーファリーズの録音盤がリリースされた時期には幾つかの異論がある。ある情報源は1965年末であると述べ[20]、別の情報源は1966年6月であると述べている[23][24]。ただし、ザ・サーファリーズのシングルのカタログ番号であるDecca 31954を他の同時期のデッカ・レコードシングル販売と相互参照すると、そのリリース時期は1966年5月-6月にあたる[25]。さらに1966年6月という発売日は、同シングルのプロデューサーであるゲイリー・アッシャーのウェブサイト上にあるディスコグラフィー情報からの裏付けも取れている[25][26]

ザ・スタンデルズは「Hey Joe, Where You Gonna Go」と題した曲のバージョンを録音し、1966年のアルバム『ダーティウォーター』にそれが収録された[27]。ガレージロックバンドのザ・ミュージック・マシーンは1966年末に、遅めでムーディでファズを利かせた曲のバージョンを録音しており、これはジミ・ヘンドリックスが後に発表するバージョンとかなり似ている[28]

ロサンゼルスのバンドであるラヴは、彼らのデビューアルバム『ラヴ』に1966年1月に録音したバージョンの「ヘイ・ジョー」を入れ、これは4月にエレクトラ・レコードからリリースされた[29]。この曲は、1965年にデヴィッド・クロスビーから紹介されたギタリスト兼シンガーのブライアン・マクリーン(彼は当時バーズのローディーを務めていた)によってこのバンドに持ち込まれた[19]。バンドのメインボーカルであるアーサー・リーは後年、この楽曲をカバーした大半のロサンゼルス歌手 やジミー・ヘンドリクスにこの曲への興味を抱かせたのはラヴのバージョンだと主張した[30]。ラヴが録音した「ヘイ・ジョー」は、大半のバージョンの歌詞とは少し異なる歌詞が特徴となっている。例えば「銃を持って(gun in your hand)」という歌詞がラヴのバージョンでは「お金を持って(money in your hand)」である[31]。バーズの録音した楽曲も、ラヴのバージョンと同様に変更された歌詞を特徴としている[32]。ラヴのギタリストであるジョニー・エコールズは、ラヴおよびバーズの歌詞が本物の歌詞だと主張している。エコールズによると、ザ・リーヴズ(彼らは友達だった)はラヴが曲を演奏しているのを聞いて歌詞について尋ねてきた。リーヴズが「卑劣な手段」を使うため自分が歌詞を書き換えたところ、うっかり皆が知っていたバージョンを書いてしまったという[33]

バーズは1966年のアルバム『霧の五次元』 (Fifth Dimension) に「Hey Joe(Where You Gonna Go)」とのタイトルを付けた楽曲を収録した[19]。バーズ盤の主なボーカルはデヴィッド・クロスビーで、彼はその楽曲をグループに持ち込んだり、その曲をロサンゼルスのより大きな音楽コミュニティの中で普及させることに尽力した[19]。クロスビーはバンドが最初に結成された1964年よりその楽曲を録音したいと常日頃から考えていたが、バーズの他のメンバーはその曲に熱心ではなかった[19]。『霧の5次元』の収録セッション時までに、他の幾つかのバンドが「ヘイ・ジョー」のカバーで成功を収めていた。そのため、クロスビーは自分のバンド仲間にこの楽曲への情熱が欠けていると怒った。バーズのギタリストでリーダーのロジャー・マッギンはインタビューで「クロスビーが 「ヘイ・ジョー」を持ち込んだのはそれが自分の歌だったからだ。彼はそのことを書かなかったがその曲に責任を持っていた。彼は何年もそれをやりたがっていたが、我々が決して彼にそれをさせなかった。その後ラヴとザ・リーヴズの両方がそれで小さなヒットを飛ばすと、我々がその楽曲をやらざるを得ないほどデヴィッドは猛烈に怒った」と述懐している[18]

バンド内や評論家間での一般的なコンセンサスでは、バーズ盤はこの曲の完全に成功した歌唱ではなく、以前のラヴやザ・リーヴズによる同楽曲の録音より劣るとされた[34]。後年、マッギンおよび同バンドのマネージャーであるジム・ディクソンは、クロスビーの声量パフォーマンスが攻撃的な主題を伝えられるほどパワフルではないと批判し、この曲を『霧の5次元』に収録してしまったことを後悔していると表明した。後にクロスビー自身もその曲の録音が自分側の失敗であることを認め、「間違っていたよ、私がそれをやるべきじゃなかった。誰だって間違いは起こすものだ」と語った[19]

この楽曲は1966年から1967年にかけてバーズのライブコンサートで歌うレパートリーの中心的存在となる予定だった[19]。バーズはまたモントレー・ポップ・フェスティバルでの自分達の演奏にこの曲を入れ、それは同フェスのCDボックス(1992年)ほか同フェスのコンプリートDVDボックス(2002年)に収録されている[35][36]

ティム・ローズとジミ・ヘンドリックス(1966年)[編集]

ヘイ・ジョー
Hey Joe
ザ・ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンスシングル
B面 Stone Free
リリース
規格 7インチシングル盤
録音 1966年10月23日
ジャンル ブルースロック[37]
時間
レーベル ポリドール・レコード (no. 56139)
プロデュース チャス・チャンドラー
ザ・ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンス シングル 年表
ヘイ・ジョー
(1966年)
パープル・ヘイズ
(1967年)
テンプレートを表示

フォークロック歌手のティム・ローズによるこの楽曲のもっと遅いバージョン(1966年に録音され、ローズによる完全な伝統民謡の編曲だと主張されている)[8]は、ザ・ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンスによる初シングルに触発されたものである[7]アニマルズの元ベーシストであるチャス・チャンドラー、現在は他の歌手のマネージメントに注力する人物、はニューヨーク市のCafe Wha?と言うクラブでローズがこの曲を演奏しているのを見て、ロック版の「ヘイ・ジョー」を録音するアーティストを探していた[38][39]。チャンドラーは、1966年にCafe Wha?で演奏していてローズの表現に触発された「ヘイ・ジョー」の編曲を披露していたジミ・ヘンドリックスを発見した[39]。1966年9月にチャンドラーは自分と一緒にヘンドリックスを英国に連れて行くことに決め、そこで彼は後にこのギタリストをスターへと変貌させた[38]。ローズは1990年代に「ヘイ・ジョー」を再び録音すると題名を「Blue Steel .44」に変え[40]、この楽曲を伝統民謡の彼自身の編曲として主張した。

英国バンドのザ・クリエーションによる曲の遅いバージョンが、ヘンドリックス盤の着想になったと一部の記述には書かれている。チャンドラーとヘンドリックスは、英国に到着した後に彼らがこの曲を演奏するのを目撃したが、ザ・クリエーションのバージョンはヘンドリックスの後までリリースされなかった[41]。ザ・クリエーションのメンバーがティム・ローズのバージョンを聞いていたかは不明である。

1966年12月にリリースされたヘンドリックス盤は1967年1月に全英シングルチャートのトップ10に入り、最高6位と言うヒット曲になった[42]。同シングルはB面を「51st Anniversary」にして1967年5月1日に米国でリリースされたが、チャート入りしなかった[43]。にもかかわらず、ザ・ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンスによって録音されたザ・ブレイカウェイズ[注釈 1]バッキング・ボーカルが付いた「ヘイ・ジョー」は同楽曲の最もよく知られたバージョンとなっており[7]ローリング・ストーンの選ぶオールタイム・グレイテスト・ソング500の第201位に挙げられている[44]。2009年には、VH1によってグレイテスト・ハードロックソング・オブ・オールタイムの第22位に名が挙がった[45]。「ヘイ・ジョー」は、1969年にウッドストック・フェスティバルでヘンドリックスが演奏した最後の曲で、それ自体フェスティバル全体の最終曲でもあった。その歌は、まだフェスティバルを去ろうとしない8万人に及ぶ群衆のアンコール声援に応えて披露されたものである[46]

その後の収録(1967-現在)[編集]

ヘイ・ジョー
Hey Joe
ディープ・パープルシングル
初出アルバム『ハッシュ(原題: Shades of Deep Purple)』
リリース
録音 1968年5月
時間
レーベル テトラグラマトン, パーロフォン
作詞・作曲 ビリー・ロバーツ
プロデュース デレク・ローレンス
テンプレートを表示

シェールは1966年末にインペリアルレコードで「ヘイ・ジョー」のカバー曲を録音したが、Billboard Hot 100チャートで94位に終わった[47]。それは彼女の1967年のアルバム『With Love, Chér』に収録された。

ウィルソン・ピケットがリリースしたこの曲のバージョンは1969年8月にBillboard Hot 100の59位になった[48]

ディープ・パープルは1968年のデビューアルバム『ハッシュ』の8曲目と最終曲にこの曲を収録し、当初はソングライターとして自分のバンドメンバーを挙げていた[49]。ディープ・パープルの7分半になる楽曲アレンジには、モーリス・ラヴェルによる「ボレロ」を彷彿とさせるリズムに基づいたクラシック音楽の要素や、 マヌエル・デ・ファリャによる『三角帽子』バレエ2幕の2番「粉屋の踊り」の一部が含まれている。

マーマレード(バンド)は1968年にその楽曲のバージョンを録音した、というのも彼らにはシングル「Lovin 'Things」のB面が急に必要となり、そこからなら作詞作曲の印税が手に入ると考えたためである[50]。マーマレードのギタリストであるジュニア・キャンベルはインタビューで「ジミ・ヘンドリックス盤はすでに約20万枚を販売していたが、その後に我々が「Lovin 'Things」のB面で約30万枚を売り上げた。しかし翌年、この血生臭い歌を書いたとされる奴が突然ぞろぞろと現れたんだ!」と語った[50]

フランク・ザッパは1968年にマザーズ・オブ・インヴェンションのアルバム『ウィー・アー・オンリー・イン・イット・フォー・ザ・マニー』で、「フラワー・パンク」と題されたこの曲のパロディを録音した[51]。 この楽曲はファッショナブルなヒッピーのライフスタイルをパロディーにした幾つかのアルバムのうちの1つだった。ザッパのバージョンの歌詞は「おいパンク、その花を手に持ってどこへ行くんだい?/ああ、俺はサイケデリックバンドに参加するためにフリスコまで行くつもりさ」となっていた[52][53]

パティ・スミスは1974年に初シングル「ヘイ・ジョー」のA面としてこの曲のカバーをリリースした(B面は「ピス・ファクトリー」)[54]。 スミスの編曲バージョンは、前年にリリースされた(そしてヘンドリックスに捧げられた)ブルースギタリストのロイ・ブキャナンによる録音に基づくものである。スミスのバージョンは、逃亡者の女性相続人パトリシア・ハーストと彼女の誘拐事件およびシンバイオニーズ解放軍の参加[注釈 2]に関する、短くて過激な告白が含まれている点が独創的である[55]。スミスのバージョンは「彼女の手に銃」を持つジョーとしてハーストを描いている[55]

1988年のアルバム『デイドリーム・ネイション』に収録されているソニック・ユースの楽曲「ヘイ・ジョーニ(Hey Joni)」は、「ヘイ・ジョー」とジョニ・ミッチェルを題材にしたものだが、ビリー・ロバーツの楽曲にある叙情的なテーマは共有していない[56]

ロックバンドのザ・フーは1989年のツアー中に「ヘイ・ジョー」をたまに演奏することがあった。彼らのバージョンはヘンドリックスの編曲に影響を受けたもので、彼に捧げられたものだった[57]

ウィリー・デビル(Willy DeVille)は1992年にヨーロッパでヒットしたマリアッチ版の歌を録音し、スペインで1位になった[58]。この楽曲はヨーロッパでシングル盤としてリリースされ、デビルのアルバム『Backstreets of Desire』に登場した。

タイプ・オー・ネガティヴは、1992年のアルバム『The Origin of the Feces』で曲のタイトルを「ヘイ・ピート」(同バンドのボーカル兼ベースを務めた、ピーター・スティールのこと)に変更し、楽曲の主人公を斧での殺人者に変更した。

ボディ・カウントは1994年のアルバム『ボーンデッド』にこの歌のバージョンを録音した。

2007年5月1日に、ヴロツワフで1881人のギタリストが 「ヘイ・ジョー」を演奏し、当時のギネス世界記録を樹立した。

ブラジルのグループオ・ハッパはポルトガル語版の「ヘイ・ジョー」を録音した。 当時ドラマーのマルセロ・ユッカとIvo Meilrellesによって書かれたこのバージョンは、グループのセカンドアルバム『Rappa Mundi』に収録された。この歌は、ゲットーに住んでいて生き延びるために犯罪に手を染めるのもやむを得なかった、と我が身を振り返る貧困者に関するものである。

レッド・ホット・チリ・ペッパーズは2006年11月21日に、チャンネル4のテレビ番組『Live From Abbey Road』向けにこの楽曲のリハーサルをしており、その録音が行われた[59]

2006年5月1日に、ポーランドヴロツワフの町の広場で1572人のギタリストが同時に 「ヘイ・ジョー」を演奏し、ギネス世界記録を更新した。翌年5月1日には1881人のギタリストで演奏して新記録となり、さらに2008年5月1日には1951人のギタリストによる「ヘイ・ジョー」演奏で世界記録が樹立された。それ以降も、ヴロツワフでは2009年5月1日に6346人のギタリストが同じ会場でこの曲を演奏し、2012年5月1日には7273人のギタリストが同時に演奏を行った[60]


主な収録バージョン[編集]

米国または英国でポップチャート入りしたもの
  • ザ・リーヴズは、1965年12月に「ヘイ・ジョー、ホエア・ユー・ガナ・ゴー(Hey Joe, Where You Gonna Go)」を出し、1966年に同名タイトルの再録音を行い、そして1966年5月に「ヘイ・ジョー」として再録音した。最後のバージョンは米国で最高31位になった。
  • ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンス(1966)は英国で最高6位になった。2000年に『Total Guitar』誌は、この曲をグレイテスト・カバーバージョン・オブ・オールタイムの13位にランク付けした[61]
  • シェールがアルバム『ウィズ・ラヴ・シェール』(1967)に収録したものは、米国で最高94位だった。オールミュージックでは賛否混じった批評で、「幾らか楽しませてくれる」が「さほど素晴らしくはない」もので「この偉大な歌手にとっては明らかに駄目な素材だ」と述べている[62]
  • ウィルソン・ピケット(1969年7月)のバージョンは、米国のR&Bチャートで最高29位、米国のポップチャートで59位、カナダのRPM (カナダの音楽雑誌)で42位、そして英国のチャートで16位になった。ギターのデュアン・オールマンが呼び物になった。
それ以外のもの

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 2016年にアルバム『N.T.A.』でメジャーデビューした覆面バンドのTHE BREAKAWAYSとは別物なので注意。
  2. ^ 1974年のハースト誘拐事件は、誘拐された筈の彼女が犯人グループの過激派シンバイオニーズと共に銀行襲撃をしていたため、全米が騒然となった。

出典[編集]

  1. ^ Hey Joe (album) review”. Allmusic. 2012年4月1日閲覧。
  2. ^ Hicks, Michael. (2000). Sixties Rock: Garage, Psychedelic, and Other Satisfactions. University of Illinois Press. p. 55. ISBN 0-252-06915-3 
  3. ^ Hey Joe covers”. Allmusic. 2009年8月8日時点のオリジナルよりアーカイブ。2009年7月25日閲覧。
  4. ^ a b c d Hey Joe”. Tom Simon's Rock-and-Roll Page. 2009年7月25日閲覧。
  5. ^ a b c “Double Take: 'Hey Joe', Tim Rose/Jimi Hendrix”. The Independent. https://www.independent.co.uk/arts-entertainment/music/features/double-take-hey-joe-tim-rose-jimi-hendrix-125768.html 2016年6月19日閲覧。 
  6. ^ a b c d e Stax, Mike. (1998). Nuggets: Original Artyfacts from the First Psychedelic Era, 1965-1968 (1998 CD box set liner notes) 
  7. ^ a b c Hey Joe review”. Allmusic. 2009年7月25日閲覧。
  8. ^ a b c Introduction”. The Official Tim Rose Website. 2009年4月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2010年2月28日閲覧。
  9. ^ a b Billy Roberts Biography”. www.billystapleton.com. 2009年7月25日閲覧。
  10. ^ janmarius (2011年1月16日). “Mail from Niela (Halleck) Miller, ex-girlfriend of Billy Roberts”. 2019年7月12日閲覧。
  11. ^ CARL SMITH lyrics - Hey Joe!”. Oldielyrics.com. 2016年7月27日閲覧。
  12. ^ Beissel, Kim. (2004). Original Seeds Vol. 2: Songs that inspired Nick Cave & the Bad Seeds (2004 CD liner notes) 
  13. ^ lyrics: LITTLE SADIE”. Mudcat.org. 2016年7月27日閲覧。
  14. ^ Lowcountry Digital History Initiative | Jericho Plantation Forgotten Fields: Inland Rice Plantations in the South Carolina Lowcountry”. Ldhi.library.cofc.edu. 2016年4月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年7月27日閲覧。
  15. ^ Classic Old-Time Music from Smithsonian Folkways”. Folkways Records. 2010年2月28日閲覧。
  16. ^ Latest Releases”. Slim Dusty Home Page. 2009年10月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2010年2月28日閲覧。
  17. ^ Hey Joe Where You Gonna Go legal copyright”. Broadcast Music Incorporated. 2003年12月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2008年1月16日閲覧。
  18. ^ a b Rogan, Johnny. (1996). Fifth Dimension (1996 CD liner notes) 
  19. ^ a b c d e f g h Rogan, Johnny. (1998). The Byrds: Timeless Flight Revisited (2nd ed.). Rogan House. ISBN 0-9529540-1-X 
  20. ^ a b Hicks, Michael. (2000). Sixties Rock: Garage, Psychedelic, and Other Satisfactions. University of Illinois Press. ISBN 0-252-06915-3 
  21. ^ The Leaves biography”. Allmusic. 2009年7月26日閲覧。
  22. ^ Joynson, Vernon. (1997). Fuzz, Acid and Flowers (4th Edition). Borderline Productions. ISBN 1-899855-06-8 
  23. ^ Hey Joe Release Chronology”. Information Is Not Knowledge. 2009年7月26日閲覧。
  24. ^ Wipe Out: The Singles Album 1963-67 (1987 LP liner notes). (1987) 
  25. ^ a b Gary Usher Discography 1960-1966”. www.garyusher.com. 2009年2月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2009年7月26日閲覧。
  26. ^ The Original Gary Usher Web Page”. www.garyusher.com. 2009年7月26日閲覧。
  27. ^ Dirty Water review”. Allmusic. 2009年7月26日閲覧。
  28. ^ (Turn On) The Music Machine review”. Allmusic. 2009年7月27日閲覧。
  29. ^ Love album review”. Allmusic. 2009年7月26日閲覧。
  30. ^ Hoskyns, Barney. (2001). Arthur Lee: Alone Again Or (Mojo Heroes). MOJO Books. ISBN 1-84195-085-8 
  31. ^ Hey Joe by Love - Lyrics”. DM's Music History site. 2009年8月13日閲覧。
  32. ^ Hey Joe by The Byrds - Lyrics”. The Byrds Lyrics Page. 2009年8月13日閲覧。
  33. ^ Sandoval, Andrew. (2003). Love (2003 CD liner notes) 
  34. ^ Fricke, David. (1996). Fifth Dimension (1996 CD liner notes) 
  35. ^ The Complete Monterey Pop Festival - Menu Options”. Allmovie. 2010年1月19日閲覧。
  36. ^ The Monterey International Pop Festival box set review”. Allmusic. 2009年7月26日閲覧。
  37. ^ Talevski, Nick (2006). Rock Obituaries - Knocking On Heaven's Door. Omnibus Press. p. 266. ISBN 978-1846090912. ""Dubbed The Jimi Hendrix Experience, the group enjoyed a British hit, a blues-rock cover of the folk standard, 'Hey Joe', which was followed by... "" 
  38. ^ a b Chas Chandler Biography”. Allmusic. 2009年7月27日閲覧。
  39. ^ a b Welch, Chris (1996年7月18日). “Chas Chandler Obituary”. London: The Independent. https://www.independent.co.uk/news/people/obituaries-chas-chandler-1329256.html 2009年7月27日閲覧。 
  40. ^ Haunted track listing”. The Official Tim Rose Website. 2010年4月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2010年2月28日閲覧。
  41. ^ We Are Paintermen review”. Allmusic. 2009年7月27日閲覧。
  42. ^ Brown, Tony. (2000). The Complete Book of the British Charts. Omnibus Press. ISBN 0-7119-7670-8 
  43. ^ Jimi Hendrix discography ? Are You Experienced era”. Ander's Jimi Hendrix Page. 2009年10月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2009年7月27日閲覧。
  44. ^ The RS 500 Greatest Songs of All Time (101-200)”. Rolling Stone. 2010年2月28日閲覧。
  45. ^ Archived copy”. 2009年2月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2009年2月7日閲覧。
  46. ^ Jimi Hendrix - Live at Woodstock review”. Allmusic. 2009年7月27日閲覧。
  47. ^ Viglione, Joe. “Cher: With Love, Cher – Review”. AllMusic. 2016年7月27日閲覧。
  48. ^ Billboard, August 9, 1969, p. 102.
  49. ^ Deep Purple - Shades Of Deep Purple (Vinyl, LP, Album)”. Discogs.com. 2016年7月27日閲覧。
  50. ^ a b Dopson, Roger. (2003). I See The Rain: The CBS Years (2003 CD liner notes) 
  51. ^ Flower Punk review”. Allmusic. 2009年7月27日閲覧。
  52. ^ Flower Punk lyrics”. Information Is Not Knowledge. 2009年7月27日閲覧。
  53. ^ Show 42 - The Acid Test: Psychedelics and a sub-culture emerge in San Francisco.”. Digital.library.unt.edu (2016年7月22日). 2016年7月27日閲覧。
  54. ^ Patti Smith: Commercial Discography”. A Patti Smith Babelogue. 2009年7月27日閲覧。
  55. ^ a b Patti Smith Biography”. Allmusic. 2009年7月27日閲覧。
  56. ^ Hey Joni”. www.sonicyouth.com. 2009年7月18日閲覧。
  57. ^ The Who - 1989 Concert Set Lists”. The Who Concert Guide. 2009年7月27日閲覧。
  58. ^ Interview with Willy DeVille”. Willy DeVille fan site. 2010年2月1日閲覧。
  59. ^ Red Hot Chili Peppers Hey Joe [Abbey Road 2006 HQ complete]”. YouTube. 2016年6月22日閲覧。
  60. ^ Jimi Hendrix Tribute Breaks Guinness Record for Largest Guitar Ensemble”. guitarworld.com. 2012年7月4日閲覧。
  61. ^ “The Best Cover Versions Ever”. Total Guitar (Future Publishing). (2000年8月) 
  62. ^ Joe Viglione. “With Love, Cher - Cher | Songs, Reviews, Credits”. AllMusic. 2016年7月27日閲覧。
  63. ^ "Ultratop.be-Johnny Hallyday-Hey Joe" (in French). Ultratop 50.

外部リンク[編集]