Microsoft Visual Basic .NET

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Visual Basic .NET
パラダイム 構造化プログラミング, 命令型プログラミング, オブジェクト指向, 宣言型プログラミング
登場時期 2001年(14年前) (2001[1]
設計者 マイクロソフト
開発者 マイクロソフト
最新リリース 14.0 / 2015年7月20日(44日前) (2015-07-20
型付け 強い静的型付け
主な処理系 .NET Framework, Mono
方言 .NET 2002 (7.0), .NET 2003 (7.1), 2005 (8.0), 2008 (9.0), 2010 (10.0), 2012 (11.0), 2013 (12.0), 2015 (14.0)
プラットフォーム Microsoft Windows
ウェブサイト Visual Basic - MSDN
拡張子 .vb

Visual Basic .NET (ヴィジュアル ベーシック ドットネット)はマイクロソフトが開発したプログラミング言語およびその処理系。VB.NETと略されて呼ばれることが多い。.NETに対応していない旧来のMicrosoft Visual Basic(バージョン6.0まで、VB6)の後継である。

概説[編集]

C++JavaC#などのC系言語と比較して、VB/VB.NETは文法が自然言語に近いため、プログラミング初心者にも比較的習得しやすく、また使いやすいといわれている[2]が、本格的なソフトウェアの作成にも使用でき、現に多くの開発現場で採用されている[要出典]。なおVB.NETはマイクロソフトが推進している.NETの一環で開発された言語であり、アプリケーション実行コードは.NET Framework上で動作するほか、言語仕様にオブジェクト指向が本格的に取り入れられるなど、前バージョンのVisual Basic 6.0からの変更点はかなりの数にのぼり、言語仕様の互換性は低い。そのため、2000年代前半頃はVisual Basic .NETには移行せずVisual Basic 6.0を使ってソフトウェアを開発する利用者もいた[要出典]。これを懸念したマイクロソフトは、Visual Basic 2005より従来のVisual Basicの一部機能を採り入れた[3]

コンパイラはマイクロソフトから無料で提供されているので、Windows付属のメモ帳等を使ってプログラムすることもできるが、専用に開発された統合開発環境を使って開発するのが一般的である。

かつては旧来のVisual Basicと同様、製品は有償でのみ提供されていたが、バージョン2005以降は機能制限版であるExpressエディションが、またバージョン2013以降はProfessionalエディション相当の機能を持ちライセンス制約の強いCommunityエディションがそれぞれ無償で配布されている。

VB.NETではMicrosoft Windows用のアプリケーション開発、Web用のアプリケーション開発、およびモバイル向けのアプリケーション開発などを行なうことができる。利用可能なVisual Studioプロジェクトテンプレートも、Visual C#とほぼ同様である。

実行速度[編集]

旧来のVBはVisual C++と比較してアプリケーションの実行速度性能に問題が発生することもあったが、実行環境を.NET Frameworkに移したVB.NETでは、最終的にコンパイラが出力するコードはVisual C#等と同じMSIL中間コード (Javaのバイトコードに近い) であるため、他の.NET言語と比較して速度面でも遜色ないものとなっている。なお、MSILは実行時に.NETのJITコンパイラにより最適化されたネイティブコードに変換される。

DirectXのサポート[編集]

Direct3Dなどのマルチメディアコンポーネントを含むMicrosoft DirectXに関しては、VB.NETからDirectX 9を操作するための.NETマネージ ライブラリであるManaged DirectXが提供されている。なお、XNAのリリースに伴い、Managed DirectXの更新は終了しているが、Windows API Code Pack for Microsoft .NET Frameworkと呼ばれるWindows APIおよびDirectXを含むCOMコンポーネントの.NET用ラッパーライブラリ、もしくはオープンソース開発されているSlimDXライブラリやSharpDXライブラリなどを使用することで、VB.NETおよびVisual C#などの.NET言語からもDirectX 10やDirectX 11を使用することが可能となっている。

Visual Basicとの文法の比較[編集]

これらはVisual BasicとVisual Basic .NETの文法の類似点を示したサンプルコードである。どちらもメッセージボックスに"Hello, World"のメッセージとOKボタンを表示させるものである。

従来のVisual Basicコード例:

 Private Sub Command1_Click()
    MsgBox "Hello, World"
 End Sub

Visual Basic .NET コード例:

 Private Sub Button1_Click(ByVal sender As System.Object, _
              ByVal e As System.EventArgs) Handles Button1.Click
    MessageBox.Show("Hello, World")
 End Sub

Visual Basic 6.0からの変更点[編集]

オブジェクト指向への対応[編集]

VB6ではクラスモジュールを作ることができ、変数やメソッドのカプセル化ができた。しかし、これは継承ポリモーフィズムをサポートするものではなくオブジェクト指向プログラムと呼び難いものであった。VB.NETではこれらがサポートされ本格的なオブジェクト指向言語となった。

.NET Frameworkライブラリ[編集]

VB6ではVisual Basicに固有のステートメントによってフォームの制御や文字列の操作をプログラムしていたが、VB.NETではC#などと共通に使われる.NET Frameworkの標準ライブラリに従ったプログラミングが必要となった。このため、従来のVBプログラマのノウハウが通用しにくい状況が生まれた。このことがVBプログラマがVB6からVB.NETへの移行が進まない原因の一つではないかとの指摘がある[要出典]

エラー処理[編集]

VB6ではエラー発生時にOn Error GoTo文によってメソッド内のエラー処理にジャンプさせる方式であった。VB.NETではC#Javaなどと同様に、Try~Catch~Finallyによる例外処理を記述できる。これによって呼び出し先メソッド内部で生じたエラーを、呼び出し側メソッドで一括して取り扱うことができるなど、プログラムの柔軟性が増した。

固定長文字列の廃止[編集]

Unicode対応のため[要出典]、固定長文字列の扱いができなくなった。Visual Basic 6.0互換関数が用意されているが、マルチバイト文字では正常に動作しないため、目的の出力形式にエンコードしてバイト数をカウントしてから処理を行うといったコーディングが必要となる。

Visual Basic .NET の歴史[編集]

バージョン7.xに限りVisual Basic .NETと称しているが、8.0以降もVB.NETの系列であることに違いはない。Microsoft.VisualBasic.dllやvbc.exe、およびVisual Studio IDEのバージョン情報ダイアログに見られるように、製品バージョンおよび内部バージョンはVisual Studioと同様のバージョン番号が割り当てられている。また、内部バージョン13は忌み番のためスキップされた。

バージョンの履歴
製品名 バージョン 内部バージョン リリース 備考
Visual Basic .NET 2002 7.0 2002年 言語仕様の大幅変更(完全なオブジェクト指向)。実行環境に .NET Framework 1.0 を採用。
Visual Basic .NET 2003 2003 7.1 2003年 .NET Framework 1.1 に対応。
Visual Basic 2005 2005 8.0 2005年 .NET Framework 2.0 に対応。
Visual Basic 2008 2008 9.0 2007年 LINQやラムダ式の導入など言語機能を強化。.NET Framework 3.5 に対応。
Visual Basic 2010 2010 10.0 2010年 .NET Framework 4.0 に対応。
Visual Basic 2012 2012 11.0 2012年 .NET Framework 4.5 に対応。Async/Awaitの導入。
Visual Basic 2013 2013 12.0 2013年 .NET Framework 4.5.1 に対応。
Visual Basic 2015 2015 14.0 2015年 .NET Framework 4.6 に対応。

Visual Basic .NET (2002)[編集]

2002年に、Visual Basicを基に強いオブジェクト指向プログラミングの概念を取り入れた新しい言語Visual Basic .NETの開発環境・処理系として、Microsoft Visual Studio .NET (Microsoft Visual Basic .NET) がリリースされた。VB.NETはVB6の後継言語とされ、マイクロソフト社の.NET Frameworkという新しい技術基盤に対応している。対応する.NETのバージョンは.NET Framework 1.0。

VB.NETは新たにウェブサーバ用のプログラム、Web用のプログラムが開発できるなどのネットワーク開発機能が追加された。VB6の後継といっても、豊富なデバッグ機能が追加されたり、中間コード形式になるといった言語設計思想そのものが変わるなど、様々な点で大幅な機能の追加および削除が行われた。

Visual Basic .NET 2003[編集]

対応する.NETのバージョンは.NET Framework 1.1。

Visual Basic 2005[編集]

製品名称からは「.NET」という名前がなくなったが、上記のVB.NETと連続性がある言語である。言語仕様が強化され、C# 2.0同様にジェネリックの要素が導入されたほか、パーシャルクラスや演算子のオーバーロードなどがサポートされた。また、開発環境も大きく強化されている。

対応する.NETのバージョンは.NET Framework 2.0であるが、Visual Studio用の拡張をインストールすることで.NET Framework 3.0対応アプリケーションの開発も可能になる。

Visual Basic 2008[編集]

同時期にリリースされたC# 3.0に合わせて言語仕様が強化され、構造化照会構文であるLINQや、ラムダ式匿名型などの要素が追加された。 対応する.NETのバージョンは.NET Framework 3.5(.NET 3.5は3.0および2.0の完全なスーパーセットのため、3.0および2.0のアプリケーション開発も可能となっている)。

Visual Basic 2010[編集]

対応する.NETのバージョンは.NET Framework 4.0(3.5、3.0、2.0での開発も可能)。

C#の言語設計者として知られるアンダース・ヘルスバーグ氏が設計に携わり、VBとC#との間の言語間の格差の低減が図られるようになった[4] [5]

Visual Basic 2012[編集]

.NET Framework 4.5とともに公開。Visual Studio 2012に同梱される。

C# 5.0同様、非同期プログラミングを言語仕様レベルでサポートするAsync/Await構文を導入した。

Visual Basic 2013[編集]

.NET Framework 4.5.1とともに公開。Visual Studio 2013に同梱される。

Developer Packをインストールすることで.NET Framework 4.5.2対応アプリケーションの開発も可能になる[6]

Visual Basic 2015[編集]

2015年に.NET Framework 4.6とともに公開。Visual Studio 2015に同梱される。Roslynと呼ばれるコンパイラレイヤーにより、Visual C#と同等のIDE機能を備えるに至った[7]

VB.NET 14の主要な新機能は下記のとおり。

  • Null値反映演算子 ?.
  • 複数行の文字列リテラル
  • NameOf演算子
  • 文字列補間
  • 行末コメント

脚注[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]