文字列補間

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プログラミングにおいて、文字列補間(もじれつほかん、string interpolation)とは、文字列リテラル英語版内に埋め込まれたプレースホルダーを実行時に評価し、そのプレースホルダーを対応する値に置き換える処理である。変数補間 (へんすうほかん、variable interpolation)、変数置換(へんすうちかん、variable substitution)、変数展開(へんすうてんかい、variable expansion)ともいう。この処理は、単純なテンプレートエンジンであり[1]、正式な用語で言えば準引用英語版の一形態である。文字列補間は、文字列連結よりも簡単でより直観的に文字列のフォーマットを規定できる[2]

文字列補間は、データの文字列表現を多用する多くのプログラミング言語C言語PerlPHPPythonRubyGroovyScalaSwiftなど、および多くのUnixシェル)で使用できる。

文字列リテラルの表現には、文字列補間が使えるものと、使えないもの(raw文字列)がある。プレースホルダーは、無名もしくは名前のついたシギル英語版で示される。一般的には$%が使用され、名前つきの場合は$placeholder%123のようになる。文字列の補間は実行時英語版に行われる。

変種[編集]

いくつかの言語は文字列補間に対応していない。例えばC言語printf関数では、第1引数が書式化文字列であり、第2引数以降に書式化文字列内のプレースホルダーを置き換える定数・変数や式が置かれる。

Rubyでは"#"を補間のための記号として使用するが、変数だけでなくどんな式でも補間できる。他の言語では、printfのような特別なフォーマット用の関数でより進んだ補間法に対応しているものもある。その場合、第1引数(フォーマット)で第2引数以降が代えられるパターンを指定する。

アルゴリズム[編集]

文字列補間のための変数を展開するアルゴリズムには、主に2つの方法がある[3]

  1. プレースホルダーの置換と展開 (Replace and expand placeholders) : オリジナルの文字列を元にして、検索置換 (find-replace) 演算によって新しい文字列を作成する。プレイスホルダーを見つけたら、それを変数の値に置き換える。このアルゴリズムは、キャッシュが使用できない。
  2. 文字列の分割と結合 (Split and join string) : 文字列を配列に分割する。そして、それを対応する値の配列に合併し、最後に、全ての配列を結合する。分割した文字列は、再理用のためにキャッシュしておくことができる。

セキュリティ上の問題[編集]

文字列連結と同様、文字列補間はセキュリティ上の問題を招く可能性がある。プログラマがきちんとユーザー入力データをエスケープするかフィルターに通すかしないならば、システムはSQLインジェクションスクリプトインジェクションXML外部エンティティインジェクション (XXE)、クロスサイトスクリプティング (XSS) などの攻撃にさらされることになる[4]

以下は、SQLインジェクションを引き起こす文字列補間の例である。

query = "SELECT x, y, z FROM Table WHERE id='$id' "

ここで、$id"'; DELETE FROM Table; SELECT * FROM Table WHERE id='"に補間された場合、このクエリを実行するとテーブルの全てのデータが削除されてしまう。

[編集]

以下のPerlのコードは、PHPでも同じように動作する。

$name = "Alice";
print "${name} said Hello World to the crowd of people.";

このコードは、Alice said Hello World to the crowd of people.と出力する。

Boo[編集]

apples = 4
print("I have $(apples) apples")
# または
print("I have {0} apples" % apples)

上記のコードは以下のように出力する。

I have 4 apples

C#.NET[編集]

var apples = 4;
// Before C# 6.0
System.Console.WriteLine(String.Format("I have {0} apples", apples));
// Before C# 6.0 WriteLineメソッド自体が書式指定に対応しているため、簡潔にこう書ける。
System.Console.WriteLine("I have {0} apples", apples);
// C# 6.0
System.Console.WriteLine($"I have {apples} apples");

[5]

上記のコードは以下のように出力する。

I have 4 apples

CFML[編集]

Script syntax:

apples = 4;
writeOutput("I have #apples# apples");

Tag syntax:

<cfset apples = 4>
<cfoutput>I have #apples# apples</cfoutput>

上記のコードは以下のように出力する。

I have 4 apples

CoffeeScript[編集]

apples = 4
console.log "I have #{apples} apples"

上記のコードは以下のように出力する。

I have 4 apples

Dart[編集]

int apples = 4, bananas = 3;
print('I have $apples apples.');
print('I have ${apples+bananas} fruit.');

上記のコードは以下のように出力する。

I have 4 apples.
I have 7 fruit.

Groovy[編集]

def quality = 'superhero'
def sentence = "A developer is a ${quality}"
print sentence

上記のコードは以下のように出力する。

A developer is a superhero

Haxe [6][編集]

var apples = 4;
var bananas = 3;
trace('I have $apples apples.');
trace('I have ${apples+bananas} fruit.');

上記のコードは以下のように出力する。

I have 4 apples.
I have 7 fruit.

Nemerle[編集]

def apples = 4;
def bananas = 3;
Console.WriteLine($"I have $apples apples.");
Console.WriteLine($"I have $(apples + bananas) fruit.");

上記のコードは以下のようにも書ける。

def fruit = ["apple", "banana"];
Console.WriteLine($<#I have ..$(fruit; "\n"; f => f + "s")#>);

上記のコードは以下のように出力する。

apples
bananas

Perl[編集]

my $apples = 4;
my $bananas = 3;
print "I have $apples apples.\n";
print "I have @{[$apples+$bananas]} fruit.\n";  # Uses the Perl array (@) interpolation.

上記のコードは以下のように出力する。

I have 4 apples.
I have 7 fruit.

PHP[編集]

<?php
class foo {
    var $foo;
    var $bar;
    function foo() {
        $this->foo = 'Foo';
        $this->bar = array('Bar1', 'Bar2', 'Bar3');
    }
}
$foo = new foo();
$name = 'Jason';
echo <<<EOT
My name is "$name". I am printing some $foo->foo.
Now, I am printing some {$foo->bar[1]}.
This should print a capital 'A': \x41
EOT;
?>

上記のコードは以下のように出力する。

My name is "Jason". I am printing some Foo.
Now, I am printing some Bar2.
This should print a capital 'A': A

Python[編集]

# in Python 2
apples = 4
print "I have %d apples" % apples
print "I have %(apples)d apples" % locals()
# or in Python 2.6
print "I have {} apples".format(apples)
print "I have {a} apples".format(a=apples)
# or in Python 3
print("I have {apples} apples".format(**locals()))
# or with Python 3.6
print(f"I have {apples} apples")

[7] [8]

上記のコードは以下のように出力する。

I have 4 apples

Ruby[編集]

apples = 4
puts "I have #{apples} apples"
# or
puts "I have %s apples" % apples
# or
puts "I have %{a} apples" % {a: apples}

上記のコードは以下のように出力する。

I have 4 apples

Scala[編集]

Scala 2.10以降には、s, f, rawの3つの文字列補間子が実装されている。

f補間子はString.formatを呼び出すための組み込み表現で、書式付き文字列を書き直すコンパイラ・マクロである。

val apples = 4
//before Scala 2.10
printf("I have %d apples\n", apples)
println("I have %d apples" format apples)
//Scala 2.10+
println(s"I have $apples apples")
println(f"I have $apples%d apples")

[9] 上記のコードは以下のように出力する。

I have 4 apples

Swift[編集]

Swiftでは、定数・変数・リテラル・式の組合せから、それらの値を文字列リテラルの中に含むことによって、新しい文字列の値を作ることができる。文字列リテラルに含むそれぞれのアイテムは、一対の括弧で囲まれ、その前にバックスラッシュ(日本語環境では円記号)が置かれる。

let apples = 4
print("I have \(apples) apples")

上記のコードは以下のように出力する。

I have 4 apples

TypeScript[編集]

バージョン1.4より、TypeScriptバッククォート `` を使用した文字列補間に対応した。以下はその例である。

var apples: number = 4;
console.log(`I have ${apples} apples`);

上記のコードは以下のように出力する。

I have 4 apples

console.log関数はprintf関数と同じように使用できる。上記の列は、以下のようにも書き表せる。

var apples: number = 4;
console.log("I have %d apples", apples);

関連項目[編集]

出典[編集]