ベル 212

ベル 212(Bell 212)はアメリカ合衆国のベル・ヘリコプター社が開発した汎用ヘリコプター。ベル 205ことUH-1の改良型。

概要

当初はカナダ軍向けのヘリコプター・CUH-1Nとして開発されていた。これはCH-135として50機が採用されることとなり、生産が開始された。初飛行は1968年、カナダ軍向けの生産は1971年まで行われていた。FAA型式取得は1970年10月。

本機は、UH-1のエンジンを双発にした型である。ローター枚数は変更がなく2枚。エンジンが2基搭載（ツインパック）となり、これを機体上後部に搭載している。また、機内容積確保のために機首がやや伸ばされた。エンジンがツインパックとなったことにより、安全性が向上、計器飛行能力も付加できたことから、VIP 輸送機や洋上飛行業務などでセールスを伸ばした。日本の海上保安庁でもかつて38機を取得していた。

半関節型ローターのために、マイナスGによる運用制限がある。これは、強いマイナスGのかかる運用では、ローターヘッドが浮き上がりマストが破壊されるマストバンピングが発生するため。急激な頭下げ動作や、起伏の激しい山の稜線に沿って飛ぶ運用が、制限されるという側面もある。（設計と採用者側の問題）

軍用型はUH-1Nと呼称され、アメリカ空軍・アメリカ海軍をはじめ各国で採用されている。

派生型

アグスタ・ベル AB 212

→詳細は「AB 212（フランス語版）」を参照

イタリアのアグスタによるライセンス生産。
アグスタ・ベル AB 212EW: トルコに発注された電子戦型。
アグスタ・ベル AB 212ASW

→詳細は「AB 212 ASW（イタリア語版）」を参照

アグスタの対潜水艦型および対艦型AB 212。イタリア海軍、ギリシャ海軍、イラン海軍、ペルー海軍、スペイン海軍、トルコ海軍、ベネズエラ海軍によって運用される^[1]。

AB 212ASWには、コックピット上に突起したドーム形のレドームがある。後のモデルでは平らなドラム・レドームに変わった。機体左側のウインチは、ベンディクス ASQ-18 ソナーを投入するためにも使用される。他にもECM、着艦時の固定機器アタッチメント、腐食保護などの追加による総重量5,080kg（11,197lb）のための構造強化を含む。武装は対潜水艦のため2つの爆雷か対艦のためMk 44またはMk 46 魚雷2本と4発のAS.12空対地有線誘導ミサイルを装備できる^[2]^[3]。

スペイン海軍機はBabcock MCSとSENERにより15年の寿命延長アップグレードを行っている。AstronauticsのAFD 6800から開発されたMFDSシステムには、6インチX 8インチの航空機用電子飛行計器(EFI)4台とトレイが装着されたエンジンデータ集信装置が含まれ、さまざまな規格の映像の表示が可能、2018年にはソフトウェアのアップグレードが行われ乗員の安全性と状況認識が向上している^[4]^[5]。