差金決済取引

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差金決済取引(さきんけっさいとりひき、英語: Contract for Difference: CFD)とは、有価証券の受渡しを行わずに、売買価格差等[1]に相当する金銭の授受のみにより差金決済する取引または金融商品である。証拠金を預け、レバレッジをかけて取引を行うことから、外国為替証拠金取引(FX)も差金決済取引の一つと言える。ただし、一般には、外国為替のものをFX、それ以外の株式株価指数等のものはCFDと呼ぶ。原発産業保護制度の差額決済契約はCFDの一つである。

概要[編集]

CFDの原型となる「バケットショップ(Bucket shop)」は場外取引店(Consolidator)の一種で、ジェシー・リバモアが販売し利益を上げたことで知られている。これは取引所の会員権をもたない仲買人が小口投資家を相手におこなう不正規のもので、1929年の株式暴落の際に詐欺行為として全面禁止された。

現代のCFDは1990年代前半に、ビッグバン発祥地ロンドンで始まった。アメリカでは1997年の法改正によりCFDが開始された。

金融商品としての差金決済取引はインターネット取引が中心である。一般に低い手数料で、自分の判断で瞬時[2]に注文を出せる。CFDの提供元によって約定までの時間、流動性提供能力に大きな違いがあるとされ、上場先物などとは異なる。取引は市場を介しておこなわれるのではなく、カウンターパーティ(相手方金融機関)との差金決済となる。また預託金の分別管理が義務付けられていないため、業者によっては当該業者の破産などにより預託金が返還されないリスクがある(カウンターパーティリスク)。業者選別に関しては特に注意が必要である。他の特徴を下に列挙した。


日本[編集]

日本では明治に株式取引所や米穀取引所界隈で合百(ごうひゃく、米相場の一定変動額に対して行う賭博)が横行していた。日銀のつくった倉荷証券付手形割引制度が米穀投機と信用危機を誘発して破綻している。

2002年松井証券が金の保証金取引を開始したが、国内商品先物取引業界からクレームが上がって結局取りやめた。2005年11月1日より、ひまわり証券が証券CFDを初めて提供を開始した。2008年頃より取り扱う証券会社等が増加している。

東京金融取引所が、日経225先物ではなく、日経平均株価そのものをCFDとして、2009年度中に上場させることを、2008年12月4日に発表した[9]。愛称は「くりっく株365」とした[10]

2010年10月1日、東京金融取引所が取引所株価指数証拠金取引の上場認可を金融庁より取得[11]

同年10月7日、取引開始日を同年11月22日としたことを発表[12]。当初の取引可能銘柄は以下のとおり。

  • 日経225証拠金取引
  • FTSE100証拠金取引
  • DAX証拠金取引

同年10月21日、東京金融取引所は同年12月13日より以下の銘柄の取引を開始すると発表した[13]

同年11月22日、「くりっく株365」のサービスが正式に開始された。


法律[編集]

現物株式の差金決済取引は禁止されている。CFDは禁止されていない。なお、国内株式の信用取引の差金決済取引については、2013年1月1日より、法令上、事実上解禁されている。

CFDは注文を証券会社が受け取ると、それをカウンターパーティーに発注、それをヘッジ市場にてヘッジ取引する。

FXへの規制が強化された後は、同種のデリバティブであるCFDについても、2010年12月28日「金融商品取引法改正等に係る政令・内閣府令」が公布され、2011年1月1日から最大レバレッジが制限されている。

税金[編集]

証券会社との相対取引によるCFDで利益を上げた場合、その所得は雑所得として総合課税の対象となる。

東京金融取引所による取引所CFDであるくりっく株365においては、一律20%の申告分離課税が適用され、取引所外国為替証拠金取引(くりっく365・大証FX)、証券先物取引(日経225先物取引等)、商品先物取引との損益通算、および3年間の損失繰越控除が可能である[14]。2012年1月1日より、店頭FX・店頭CFD等の店頭デリバティブ取引に係る税制が、取引所で行う先物取引等[15]と一本化され、税率20%(所得税15%・住民税5%)の申告分離課税になった。(法人口座は除く)

差額決済契約[編集]

経済産業省外局総合資源エネルギー調査会の原子力小委員会は差額決済契約という公共料金制度を検討している。差額決済契約とは、いわば再生可能エネルギーについて行われている固定価格買い取り制度の原子力版である。分かっている範囲で仕組みを述べると、まず廃炉費用や使用済み核燃料の処分費用も含めた、原発の運営にかかるコストを回収できる電気価格を事前に「基準価格」として定めている。電気の市場価格が基準価格を下回った場合、差額を電力会社が受け取れる。その原資は議論されているところであるが、電力会社が送電網を使用する際に支払う託送料金に上乗せされる可能性が高い。そうなれば電気料金に計上されて、需要家である国民全体から徴収する形となる。2014年6月の電気事業法改正による自由化は、産業保護の動機となっている。委員の伴英幸によれば、原発産業の特に新設事業が保護の必要性を生んでいるという。[16][17]

差額決済契約の本質は、電気価格を指標とし、公共料金策定を理由に消費者との契約を省いたCFDである。スマートグリッドの普及により電気価格は低下するので、消費者の負担が増える。そしてゼネラル・エレクトリックを代表とするスマートグリッドの推進事業者は、従来の原子力産業を推進してきた企業群である。こうして原子力損害賠償・廃炉等支援機構の財源が、電力事業者の資産にではなく、電気料金に占める基準価格との差額分に確保される。

脚注[編集]

  1. ^ 国内株式・海外株式 (国内は主に日経平均株価採用銘柄が中心)、株価指数、業種(セクター)別指数、債券コモディティ原油などの商品
  2. ^ 通信速度やサーバーの処理能力の関係で、「スリッページ」(スリップ、滑り)と呼ばれるラグが生ずることがある。
  3. ^ 株式市場の場合、多くの個人投資家は就労時間と株式市場の取引時間が重なってしまうが、例えばニューヨーク金融市場の取引時間は日本時間深夜になるなど、会社員などでもリアルタイムに取引を行うことが出来る。
  4. ^ 指数が上昇する場面でも、下降する場面でも「売り」、「買い」のポジションを使い分けることにより利益を狙うことが出来る。これは株式信用取引における空売りやFXも含めた各種商品先物取引と同様である。
  5. ^ 株式の現物取引の差金決済取引は禁止されており、それゆえ、買い付け余力が残っていない場合は、同一銘柄を一日に何度も取引することは出来ないが、CFDでの株式取引は現物取引ではないので、同一銘柄を一日に何度も取引できる。
  6. ^ 株式の場合、様々な銘柄を組み合わせて売買するには資金も労力も必要だが、CFDでは株式指数商品などにおいてレバレッジをかけて取引が出来るため、少額から投資が出来る。ただし一般にハイリスク・ハイリターンな取引になることに留意する必要がある。これはFX同様、一般にレバレッジをかけて取引することで証拠金の数倍から数百倍の額を取引することが可能となるため、少ない元手で短期に多額の利益を上げることが出来ることがある一方、予想と反対の値動きをした場合には多額の損失を被るためである。ロスカット制度がない、あるいは市場の混乱、システムトラブル等で正常に取引できなかった場合は、証拠金以上の被害を受け、追加保証金の差し入れを要求されることもある。
  7. ^ 国外の価格や指数を用いた取引の場合、自国との金利差があるため、その調整として金利調整額の支払い、または受取りが生じる。基本的にポジションが「買い」の場合は金利調整額を支払う。これは外国為替証拠金取引(FX)におけるスワップポイントに相当するものと言えるが、FXとは仕組みが異なるため逆になる点に注意が必要である。
  8. ^ 特定企業の株価等を指数とする取引の場合、配当金に相当する調整額のやり取りがなされ、ポジションが「買い」の時は受け取り、ポジションが「売り」の時は支払いとなる。一般に同一取引で支払い額は受取額を下回り、その差額はCFD業者の利益となる。
  9. ^ 新株価指数先物(CFD)の上場について 東京金融取引所 Press Release 平成20年12月4日
  10. ^ 取引所株価指数証拠金取引の愛称・商品ロゴ 等について 東京金融取引所 CFD上場準備室 平成22年4月28日
  11. ^ 取引所株価指数証拠金取引(くりっく株365)上場認可取得のお知らせ 金融取からのお知らせ 2010年10月1日
  12. ^ 「くりっく株365」の取引開始日等について 金融取からのお知らせ 平成22年10月7日
  13. ^ 「FTSE中国25証拠金取引」「FTSE TWSE 台湾50証拠金取引」の取引開始日について 金融取からのお知らせ 平成22年10月21日
  14. ^ 税制について 取引所CFD【くりっく株365】
  15. ^ 日経225先物・オプション、大証FX、くりっく365、くりっく株365、商品先物など
  16. ^ JCAST 原発電気やっぱり高い!電力自由化で売れなくなったら「消費者が差額負担」 2014/9/11 15:20
  17. ^ ドット朝日 原発維持費自由化後も国民負担 発電業者は選べても風力や火力にも料金上乗せ 2014/10/2

関連項目[編集]

外部リンク[編集]