個人投資家

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個人投資家(こじんとうしか)は、機関投資家の対語で、個人の投資家のことである。

しかし、現在ではインターネットでの証券取引の普及により急増した旧来の投資家とは異なる性質を持つ個人の市場参加者を旧来の投資家と区別するために「個人投資家」と呼ぶようになっている。

投資の世界は「生き馬の目を抜く冷酷な世界」である。従来は、多額の資金を運用する機関投資家が世界の市場で大きく活躍していた。機関投資家は多くの法人、個人から資金を集め、その資金を緻密な経済指標、研究レポートに基づいて株式や債券、商品先物などで資産運用していた。彼ら機関投資家は、その資金規模においては、まさに投資の「プロ」であり、個人投資家がその運用成績で機関投資家に勝てる余地はなかった。しかし、ネットの普及により、一般の個人も投資の世界に参入することが容易になった。

個人投資家の選択する投資対象や動機は様々であるが、6、7割の個人投資家は投資で損失を出している、という調査データがある[1]。特に外国為替証拠金取引(いわゆるFX取引)では9割以上の人が負け[2]、ある調査では1年以内に約7割の人が元手資金を溶かしてしまい、本業や日常生活に支障が出て、FX市場から退場している、という[3]。FX取引は高いレバレッジで取引でき、それで急激に損失を出したり、借金デイトレードしてしまう人もいる。それでも、個人の意思ではもう止められない状況になり、多額の損失に悩んだ末に自殺してしまう人もいる。海外では、証券会社の社員と自分の家族を巻き込んだ自殺も1999年に発生した(アトランタ銃乱射事件)。ニュースサイト「レディット」は、ビットコインなどの仮想通貨が軒並み暴落したことから2018年に個人投資家向けに「自殺防止フォーラム」を開設した[4]

一方で、独自の才覚と研究で多額の収益を上げてる個人投資家も現実にいる。2005年12月の「ジェイコム株大量誤発注事件」では、一瞬の判断で大勝負をかけ、見事、億単位の利益を獲得した個人投資家がテレビや新聞、雑誌で紹介された。また、仮想通貨に投資をして億単位の収益を得た個人投資家もいる。彼らは自己責任で自らの資金で投資を行い、機関投資家と同じくらいの利益を個人で稼いでいる。今や、投資の世界では、プロと個人投資家との間に有利・不利は存在ない。プロである機関投資家とアマチュアである個人投資家は同じ土俵の上に立っているのである。

自分のトレードではなく、投資信託等で資産運用金融機関に任せる場合も、個人投資家である。しかし、ハイリスクの運用商品もあるインターネット上で直接自分で運用商品を選ぶことと、金融機関の店舗窓口に足を運んで相談して選ぶこととは性質が異なる。日本の金融庁は「貯蓄から投資へ」と日本国民に呼びかけていたが、「貯蓄から資産形成へ」という言い方に変更した[5]。「投資」と言う言葉にリスクがイメージされるからである[5]。一方、「資産形成」は、堅実に資産を積み立てるイメージである[5]。この変遷の流れで、「iDeCo」(個人型確定拠出年金)、「積立NISA」などの積み立てイメージの商品が誕生した[5]。これからは証券会社も銀行に倣い販売体制の改革が必要であるという見解がある[5]

脚注[編集]

  1. ^ 「個人投資家の6~7割は負けている」!?主体別動向で見る個人投資家のスタイル” (2016年3月18日). 2017年5月16日閲覧。
  2. ^ “FXでは9割以上の人が勝てない? 負ける原因と負けた時の対処法を分析しよう!”. リアルインテリジェンス. (2020年8月11日). https://real-int.jp/articles/178/ 
  3. ^ “FX投資家の約7割が1年以内に退場していた! FXをやめた理由第1位とは?”. ORICON NEWS. (2021年3月15日). https://www.oricon.co.jp/pressrelease/843343/ 
  4. ^ アンソニー・カスバートソン (2018年1月22日). “ビットコイン暴落でネット上に自殺防止ホットライン”. Newsweek Japan. https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/01/post-9353.php 
  5. ^ a b c d e “齋藤 正勝氏 カブドットコム証券 代表執行役社長 × 朝倉 智也氏 モーニングスター株式会社 代表取締役社長 特別対談「貯蓄から資産形成へ」の時代を拓く、投資信託のトータルコスト開示をスタート | モーニングスター 特集”. モーニングスター. https://www.morningstar.co.jp/event/1701/kabucom/ 

関連項目[編集]