ミセスワタナベ

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ミセス・ワタナベ(Mrs.Watanabe)、キモノ・トレーダー(Kimono Trader)は、個人の小口外国為替証拠金取引(FX)投資家を意味する俗称。語源は日本人の主婦を中心とした女性やサラリーマン投資家。欧米の報道機関により名付けられた。

概要[編集]

2007年頃から、東京インターバンク市場にて、為替相場の方向性が、昼をはさんで午後になると、相場を反転させる大きな要因はないにもかかわらず、反対方向(主にドル買い)へ振れる現象がしばしば見られた。こうした状況が頻繁に起こったため、原因を探っていくと、主に日本の主婦やサラリーマンなどの個人のFX投資家が、昼休みを利用して一斉に円売り・ドル買いの注文を出していたことが判明、相場を左右させるほどの日本の個人投資家の資金力を世界に見せつけた。海外でよく知られた日本人を代表する姓「ワタナベ」から、イギリスの経済紙「エコノミスト」(1997年3月27日号)で「ミセス・ワタナベ」という言葉が使われた[1]。2002年から2005年までの3年間にFX取引で約4億円の所得を申告せずに、約1億3000万円を脱税した所得税法違反容疑で東京都世田谷区の50代主婦が、2007年に起訴されて有罪判決が言い渡される事件が報道されると、FX取引は日本の主婦の間でより大きな注目を集めるようになった。

現在では、マーケットを動かす大きな力として認識され、大口のプロ・ディーラーでさえ、その動向があなどれない存在になっている[2][3]。相場の取引が薄くなり少ない注文でドルが下落する(円高になる)時間帯を狙い、ストップロスを狙う動きをミセス・ワタナベ狩りという。2011年3月17日に一時1ドル76円台に高騰した円高ドル安は、投機筋にミセス・ワタナベ狩りと言われた[4][3]。また、ミセス・ワタナベは高金利通貨の豪ドルNZドルも好んで買う傾向があると言われる[5]

金投資[編集]

2012年2月29日ニューヨーク金先物相場は終値で約80ドル4%強急落した。アメリカ連邦準備理事会バーナンキ議長の議会証言で量的緩和第3弾観測が遠のいたため為替ドル高ユーロ安に振れたことも響いたが、には資源の側面と通貨の側面を併せ持つため、ドル安の局面では買われ、ドル高では売られやすい。こうした為替と金の関係に注目した金の取引を行うFX投資家が増えだした。ドットコモディティの女性に対する2011年の調査では、金取引を行った217人の内13%の28人にFX経験があった。その前年には7%であった。FX取引がピークを打つ深夜での金の市場には厚みがあり、大証で取引が活発なのが午後9時~11時と午後11時~午前1時であり、東京工業品取引所の金先物の夜間取引の活発な時間帯と重なり合う。深夜に売買が膨らむのは欧米の主要な経済指標発表や要人発言があることが多く相場が動きやすいからである。このため、ミセスワタナベも夜間に動くといわれる[6]

脚注[編集]

  1. ^ Japanese bonds: Mrs Watanabe, mind your fingers | The Economist 1997年3月27日 The Economist
  2. ^ 健在なミセス・ワタナベと為替介入のタイミング2010年9月3日 ロイターコラム
  3. ^ a b 罪深いミセス・ワタナベ――日本の危機で円高になる理由 11/03/29 小幡績 東洋経済新報社
  4. ^ 海外の投機筋の狙いは「ミセス・ワタナベ狩り」?2011.3.18 msn産経ニュース
  5. ^ 政府の円売り介入で高笑い! 一夜にして荒稼ぎしたミセス・ワタナベ10/09/16 東洋経済新報社
  6. ^ 日本経済新聞』2012年5月16日 ”ミセスワタナベの金投資”