大師 (僧)

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大師(だいし)は、中国日本において、高徳な朝廷から勅賜の形で贈られる尊称の一種で、多くは諡号である。

中国の大師号[編集]

中国では、北宋初の賛寧による『大宋僧史略』巻下「賜師号」によれば、その始まりは、の後半、懿宗皇帝の咸通11年(870年)、旧暦11月14日の延慶節の談論の際に、左街の雲顥に「三慧大師」、右街の僧徹に「浄光大師」の師号を賜った時であるとする。つまり、それ以前には法師号や禅師号しか無かったとする。その後、唐末に大師号と紫衣が濫発されたため、後梁龍徳元年(921年)に禁止令が発せられたという。宋初においても、太平興国4年(979年)まで、大師号が下賜されることは無かった、と結んでいる。

但し、少なくとも、煬帝が晋王時代に、智顗から菩薩戒を受けた時に「智者」の大師号を賜った例が見えるので、実際には、その起源は、それ以前に遡るものと考えられる。

日本の大師号[編集]

日本では清和天皇貞観8年(866)7月、最澄に「伝教」、円仁に「慈覚」の大師号が初めて贈られた。僧に贈られる位号としては、他にも国師号、禅師号などがある。

現在の日本では、特に空海を指す事が多く[1]、「大師は弘法に奪われ、太閤は秀吉に奪わる」という格言も残っている。

天台宗[編集]

  • 傳敎大師最澄766- 822)日本天台宗開祖。比叡山延暦寺を開く。866年、大師号が贈られた。
  • 慈覚大師円仁794- 864)天台宗の教義を大成。恐山など東北に多くの霊場を作る。
  • 慈慧大師良源912- 985)通称・元三大師。天台宗中興の祖。
  • 智証大師円珍814- 891)天台宗寺門派開祖。母は空海の姪。
  • 慈摂大師真盛1443-1495)天台真盛宗の祖。念仏を重視して主に近畿地方で布教。
  • 慈眼大師天海1536-1643)徳川家康,家光に重用される。

真言宗[編集]

融通念仏宗[編集]

浄土宗[編集]

加諡された正確な大師号は、 円光(東山天皇1697年)・東漸(中御門天皇1711年・500回忌)・慧成(桃園天皇1761年・550回忌)・弘覚(光格天皇1811年・600回忌)・慈教(孝明天皇1861年・650回忌)・明照(明治天皇1911年・700回忌)・和順(昭和天皇1961年・750回忌)・法爾(今上天皇2011年・800回忌)大師(8つ)。

浄土真宗[編集]

時宗[編集]

  • 証誠大師一遍1239-1289)踊り念仏で布教。遊行上人とも。時宗開祖。

臨済宗[編集]

曹洞宗[編集]

  • 承陽大師道元1200-1253)日本曹洞宗高祖。主著『正法眼蔵』を著す。
  • 常済大師瑩山1268-1325)日本曹洞宗太祖。曹洞宗の一般民衆への布教を図った。

黄檗宗[編集]

  • 真空大師隠元1592-1673)日本黄檗宗の祖で中国出身。萬福寺を開く。昭和47年(1972年)、華光大師の号も勅賜されている。

日蓮宗[編集]

脚注[編集]

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  1. ^ 広辞苑の「大師」の項に「特に弘法大師(空海)を指す」とある。