ラストレター (映画)

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ラストレター
Last Letter
監督 岩井俊二
脚本 岩井俊二
原作 岩井俊二『ラストレター』
製作 川村元気(企画・プロデュース)
水野昌
臼井真之介
製作総指揮 山内章弘
出演者 松たか子
広瀬すず
庵野秀明
森七菜
小室等
水越けいこ
木内みどり
鈴木慶一
豊川悦司
中山美穂
神木隆之介
福山雅治
音楽 小林武史
主題歌 森七菜「カエルノウタ」
撮影 神戸千木
編集 岩井俊二
制作会社 東宝映画
ロックウェルアイズ
製作会社 「ラストレター」製作委員会
配給 東宝
公開 2020年1月17日
上映時間 120分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
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ラストレター』は、2020年1月17日に公開の日本映画。監督は岩井俊二、主演は松たか子[1]

企画・制作[編集]

岩井の故郷である宮城県を初めて舞台とし、岩井自身の原体験を詰め込んだ集大成となり、初の長編映画『Love Letter』に対するアンサー映画にもなる。

岩井は「SNSでやり取りできてしまうこの時代にあって、手紙を使った物語は現代においては不可能だと思っていましたが、ある日それを可能にするアイディアを思いついてしまったところからこの物語の構想がスタートしました」と説明している[2]

主題歌

主題歌を歌う候補として多くのアーティストが挙がる中で、撮影中に岩井がカラオケで歌声を聞いていた森七菜に「試しに」と歌ったってもらったところ、そのまま主題歌に抜擢されることとなった。その理由について企画・プロデュースの川村は「少年と少女の間をたゆたうような瑞々しさと、誰にも真似できない力強さがあった」とし、当初より「この映画からどんな音楽が生まれるのか」について話し合っていた監督の岩井が歌詞を書き、音楽を担当する小林が作曲をすることとなった[3]

あらすじ[編集]

7月、仙台、岸辺野裕里の実家である遠野家では遠野未咲のお弔い(初七日か四十九日かどうかは不明、通夜、葬式当日ではない)が行われている。死因は世間には病死と言っているが自死であった。美咲の妹である裕里はお弔い後、息子の瑛斗と自宅へ帰るが娘の颯香は「夏休みだからしばらく従姉妹の鮎美と過ごす」ということで実家に残る。帰り際、鮎美から「母宛に高校の同窓会のお知らせが来ているけれど」と相談された裕里は「自分から連絡しておく」とお知らせを持ち帰る。

「姉:美咲は7月に亡くなった」とお知らせするつもりで同窓会会場へ行った裕里は姉の同窓生たちから姉と間違われるが「とても否定できる雰囲気ではない」と間違いを訂正しなかった。会場を去りバス停で待っていると乙坂鏡史郎が話しかけてきた。「会場で見かけて話をしたかった」と鏡史郎は言い、そこでは連絡先だけを交換して別れる。「25年間、ずっと愛していました」との通知が着て「オバサンをからかわないでください」と返信する。

帰宅後、宗二郎から同窓会の様子を訊かれ「姉に間違われたけれどとても訂正する雰囲気ではなくスピーチまでさせられた」と話し風呂へはいる。 風呂の間にダイニングテーブルに置いたスマフォに鏡史郎からの通知が届き、その文面を読んだ宗二郎は「妻が浮気した」と誤解して風呂場まで行き裕里を問い詰めその拍子にスマフォは湯船に沈む。 スマフォが無い間に鏡史郎からの連絡が来ていたのではないかと考えた裕里は住所を隠して「夫が浮気を疑いスマフォが水没した、これはあなたのせいである」との手紙を姉美咲の名前で鏡史郎に書く。

宗二郎は次回のマンガの調査材料として大型犬二頭を飼う。世話は誰がするの?と尋ねる裕里に、それは君だよ、と宗二郎は答える。そんな出来事も裕里は鏡史郎に手紙する。

鏡史郎も「スマフォが壊れたのは僕のせいですかね?」との返事を書くが宛先が判らないので高校の卒業アルバムに記してあった当時の美咲の連絡先に送る。そこは美咲と裕里の実家であり、現在は裕里の父母と鮎美が住んでいる。そして鮎美と颯香は鏡史郎からの手紙を読み「自分たちが母(叔母)美咲に代わって返事を書こう」と企む。

鏡史郎のところには裕里が書いた手紙と鮎美・颯香の書いた手紙が届く。鏡史郎が書く手紙は優里の実家に届き鮎美・颯香に読まれる。鏡史郎は高校三年次に転向してきたこと、男子では一番近い席の生徒に誘われ生物部に入部しそこに裕里がいたこと、部活中に裕里に「うちの姉は美人で生徒会長でいつも比べられている」との話をされ「顔を見たことが無い」と言ったら「写真を見ますか?」と自宅に誘われアルバムを見たこと、帰り道で美咲に会い一目惚れをしたことを手紙にしたためる。

正三と昭子が近所を歩いているのを裕里は瑛斗とその友達二人と共に見かけあとをつけ、正三宅を確認し瑛斗を先に返したら、救急車が正三宅に来た。昭子がぎっくり腰を起したとのことで裕里は救急車に同乗する。

昭子は宗二郎・裕里宅で静養することとなる。昭子に手紙の投函を頼まれ裕里は宛先である正三宅に届け話を聞く。義母昭子は同窓会の折に再会した高校時代の恩師波止場正三に英語の手紙の添削してもらっていた。先日の昭子が腰痛になった時に、体を支えようとした正三は手を痛め添削ができなくなっていた。裕里が代わりに代書することになる。そして「自宅に手紙が届くと鏡史郎が誤解をするから」と考え、正三宅の住所を連絡先として鏡史郎に教える。 鏡史郎が正三宅にやってきた。そして裕里に「同窓会の時に美咲ではなく裕里と判っていた」と話をする。美咲の様子を訊かれた裕里は7月に亡くなったことを伝える。また鏡史郎は「大学時代に美咲と付き合っていた」ことを話す。この会話の中で観客は「美咲が駆け落ちするようにクズ男:阿藤と結婚したこと」を知る。

鏡史郎はかつて美咲が阿藤と住んでいたアパートを訪ねると、そこには現在阿藤の連れ合いであるサカエがいた。サカエの案内で阿藤が飲んでいる居酒屋へ行く。阿藤は美咲が亡くなったことを知らなかった。阿藤は、美咲が死んだ原因は自分にあること、鏡史郎は美咲の人生に何の影響も与えていないということ、鏡史郎は阿藤と美咲のお陰で本を書けたこと、との話をする。

鏡史郎はその後、現在は使用されていないかつての母校を訪ね校舎内を撮影する。そのとき学校に遊びに来ていた鮎美と颯香を見かけ追いかける。鮎美は、鏡史郎が高校時代に美咲に送った手紙や小説「美咲」を執筆している間に書いた手紙を全て読み、また小説「美咲」も読んでいたので声をかけてきた男が鏡史郎だとすぐにわかる。そして「母に会いませんか?」と自宅に誘う。「母の宝でした」とかつて鏡史郎が美咲に送った手紙の束を見せる。「いつかはこの人が母を迎えに来てくれると期待していました」。

高校時代の回想場面、裕里は鏡史郎から頼まれた姉:美咲宛のラブレターを当人に渡していなかった。そしてそれは鏡史郎が生徒会会議にクラス代表代行で出席した時に美咲が手紙のことを知らなかったことから判明した。そして鏡史郎は裕里の自分に対する気持ちをわかっていなかった。美咲は鏡史郎からの手紙を後で知ることとなり、その内容から鏡史郎の文才に気付き、卒業式での卒業生代表の言葉としての作文の添削を依頼する。

鏡史郎が帰ったあと、鮎美はずっと開ける気の起きなかった「母からの手紙」を開封する。中にはかつて母が読んだ卒業生代表の言葉の原稿が入っていた。卒業式当日だけでなく前日の会場で、美咲は鏡史郎と二人だけで予行練習もしていた。

映画冒頭と同じ、鮎美・颯香・瑛斗が実家近くの川原で水遊びをしている場面、鮎美の顔のアップで映画は閉じる。

キャスト[編集]

岸辺野裕里(43)
演 - 松たか子[注 1]、遠野裕里(高校生時代・回想):森七菜
遠野未咲の妹で、夫・宗二郎と娘・颯香、息子・瑛斗の4人暮らしをしている主婦。
遠野鮎美(16)
演 - 広瀬すず
母親である未咲が亡くなり、祖父母の過ごす未咲と裕里の実家に身を寄せている。
遠野未咲(18・回想)
演 - 広瀬すず
裕里の姉。学校のヒロイン的存在。
岸辺野宗二郎(48)
演 - 庵野秀明[注 2]
裕里の夫で漫画家。裕里と鏡史郎の浮気を疑っている。
岸辺野颯香(14)
演 - 森七菜
裕里と宗二郎の娘。
岸辺野瑛斗
演 - 降谷凪[4]
裕里と宗二郎の息子。
波止場正三(79)
演 - 小室等
岸辺野昭子の学生時代の教師。
岸辺野昭子(72)
演 - 水越けいこ
裕里の義母。
遠野幸吉
演 - 鈴木慶一
裕里の父。
遠野純子
演 - 木内みどり[注 3]
裕里の母。
阿藤
演 - 豊川悦司[5]
未咲の元恋人。
サカエ
演 - 中山美穂[5]
阿藤の同居人。
乙坂鏡史郎(44)
演 - 福山雅治[6]、高校生時代(18・回想):神木隆之介
小説家として活動するも、デビュー作以降は全く書けていない。
高校生時代は、裕里・未咲の高校に転入してきた転校生。

スタッフ[編集]

書籍[編集]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 岩井監督との共演は『四月物語』以来となる。
  2. ^ 岩井監督との共演は『式日』以来で、同作では監督と出演の立場が逆だった。
  3. ^ 2019年11月18日に死去したことにより、この作品が遺作となった。

出典[編集]

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外部リンク[編集]