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シンバル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ライドシンバルから転送)
シンバル
各言語での名称
cymbal
Becken
cymbale
piatto / piatti(複数形)
シンバル
シンバル(ジルジャン社製)
分類

打楽器体鳴楽器

クラッシュシンバル
サスペンド・シンバル(サスペンデッド・シンバル)

シンバル: cymbal)は、体鳴楽器に分類される打楽器の一つ。シンバルは、つば広帽子の形に、比較的薄く伸ばした金属でできた楽器である。同形の小型の打楽器は、銅ばつ・銅拍子(どびょうし)・手平金と呼ばれる。

概要

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シンバルは3000年以上の歴史を持ち、古代中国、インド、トルコにまでさかのぼることができ、宗教儀式や軍事儀式などに使用されてきた。[1]1600年代にはオスマントルコ帝国のジルジャン家が、軍用シンバルの製造を開始している。[2]同種の物に非常に小さいシンバルがあり、指に付けて打ち合わせたりして演奏するのでフィンガーシンバルと呼ばれ、クロタル(Crotalum)もその一種である[3][4]

古典古代において、クロタルム(κρόταλον krotalon)(複数形はクロタラ)は、古代ギリシャや、その他の地域、例えばコリバンテスなどの集団が宗教舞踊で使用した、一種の拍子木またはカスタネットだった。 (κρόταλον krotalon)[5][6]また、アンティークシンバル(クロタル、クロテイルと呼ばれることもある)というシンバルの形をしている小型の楽器は、形は似ているものの音色や音の性質は全く異なる。[7]

詳細

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同じ形のシンバルを2枚対向させて打ち合わせるなどして演奏する場合と、1枚のシンバルを吊すかスタンドに固定してスティックや、マレット)で叩く場合とがある。前者をクラッシュ・シンバル(一般的には合わせシンバルやハンドシンバルと呼ぶ)、後者をサスペンド・シンバルサスペンデッド・シンバル)と呼んで区別する。[8]マーチングバンドなどにおいては、演奏効果・視覚効果等に鑑み、様々なサイズの合わせシンバルを用いる。メーカーでも様々な径のシンバルを取り揃えている[9]。また、幼稚園小学校園児児童等による鼓笛隊などにおいては、音楽的な側面よりも、体格的な問題から、小さな径のインチ数の楽器が選択されるケースが見受けられる[10]。サスペンドにはトレモロ(細かく反復して打つ方法)をしながらだんだん音量を大きくしていく奏法があり、劇的に曲を盛り上げる効果がある[11]

また、2枚のシンバルを水平にスタンドに固定して、1枚を上下に動くようにしてペダル装置で操作するものがあり、ハイハットと呼んで主にドラムセットの中で使用する。なお、サスペンド・シンバルに金属製の鋲を数本打ち込んだものもあり、シズルシンバルと呼ばれる。[12] また、サスペンド・シンバルの中でも「チャイナシンバル」や「スプラッシュシンバル」のように独特の音響を持つシンバルはエフェクト・シンバルと呼ばれている。[13]

ドラムセットにおけるシンバルの種類

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ドラムセット

1 バスドラム | 2 フロアタム | 3 スネア |

4 トム | 5 ハイハット | 6 クラッシュシンバル | ライドシンバル

その他

チャイナシンバル | カウベル | シズルシンバル |
スプラッシュシンバル | スウィッシュシンバル |
タンバリン | ウッドブロック | ロートタム

ハイハット

ハイハット

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ロック、ソウル、ファンクジャズ、ディスコ、ポップなどのポピュラー音楽でドラマーが使用する。[14]MFSBのアール・ヤングは、ハイハットとバスドラのコンビネーションで、フィリー・ソウル、ディスコの革新的リズム・パターンを確立したことで有名。[15]

  • サイズ:13 - 15インチが一般的。
  • 形状:皿状。
  • セッティング:専用のハイハット・スタンドに載せ、縁を合わせるように対面させる。同径で上(トップハイハット)が薄め、下(ボトムハイハット)が厚めのものを組み合わせることが多い。
  • 音質:口径が小さいため高い。ペダルを開閉させることで硬い音や響く音を出せる。
  • 演奏:ドラム演奏の要ともいえるビートを刻む。ペダルだけでリズムを刻むペダル奏法もある。スタンドのペダルを踏み、2枚のシンバルを閉じ合わせた「クローズ」状態で叩くことにより余韻のない音を奏でることができる。ロック音楽などで音量がほしい場合には、全開するのではなく、上下が少し擦り合わせるような状態の、「ハーフオープン」を用いる場合もある。[16]

クラッシュ

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2~3枚のラッシュに、1枚のクラッシュを合わせるなどのセット方法がある。[17]クラッシュは、⊃⊂と描きながら片方を上から下へ、もう片方を動かし、こすらせるようにして打ち合わせるのが基本である。

  • 名の由来:Crash Cymbalは、クラッシュ(衝突)が由来。
  • サイズ:14 - 18インチサイズが一般的。
  • 形状:皿状。
  • セッティング:一般的にスタンドに載せる。
  • 音質:余韻のある澄んだ音。ロックでは、厚めで余韻が長く高い音程のものが好まれ、ジャズでは薄く余韻が短く低い音程のものが好まれる。
  • 演奏:曲の流れにアクセントを付ける目的で使用される。ビバップやモダンジャズではアクセントとしてバス・ドラムと同時に使われる事が多く、構成とは別にリズム全体を高揚させるために使われる。

ライド

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  • 名の由来:「ライド・ビート(ビートを乗せる)」ドラムセット創成期におけるジャズにおいて、このシンバルを鳴らしてリズムパターンを演奏していたため。「ライド(Ride)=乗る」というのは有名な誤解による間違いである[18][19]
  • サイズ:18 - 24インチサイズが一般的。
  • 形状:皿状。カップ(中央部の盛り上がり)のサイズは決まっておらず、小さいものや、ないものもある。薄く音程の低いライドを好むジャズでは、聴覚上の音量を上げるために穴を空けて金属鋲を取り付けたモデル(リベット付き、シズル付きと言う)もある。取り付け位置の決まりはない。
  • セッティング:一般的にスタンドに載せる。
  • 音質:ロックでは高音で歯切れのよい音のものが好まれ、ジャズでは音程が低く奏法次第で様々な音の出せるものが好まれる。ライドはクラッシュシンバルと比すると音は前に出ない。
  • 演奏:ビートを刻む目的で使用する点でハイハットシンバルに通じる。特徴的なのはカップ(日本での通称。正式にはベル)と呼ばれる中心の盛り上がった部分で力強いビートが刻める点。

クラッシュ・ライド

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Crash/ride cymbal:ライド、クライドともに低音域、重量感に特徴があるが、音が明るく警戒で抜けが良い。[20]

  • 名の由来:クラッシュとライドの両用として作られたことから。
  • サイズ:16 - 22インチサイズが一般的。
  • 形状:皿状。
  • セッティング:一般的にスタンドに載せる。
  • 音質:クラッシュ音も出るがビートも刻める中間の音質。
  • 演奏:ビートを刻みながら、クラッシュ音を出すということが可能。ジャズ等ではクラッシュシンバルで代替することが多い。

チャイナ

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  • 名の由来:その名称のとおり、中国で使用されているシンバル。爆発的で鮮明な音を出す点に特徴がある[21]。反り返っている形状から、スウィッシュとも呼ばれる。
  • サイズ:サイズが幅広い。小さいものは持ち手を付けて京劇で用いキメの部分などで演奏される。
  • 形状:通常のシンバルの形状とは異なり、縁が反り返っている。
  • セッティング:一般的に表裏を逆向きにセットしたりもする(つまり通常のシンバルとは逆に裏側を演奏面とする)。
  • 音質:倍音が整っていないために、音は他と比べると濁りのある音。
  • 演奏:普通のアクセント以上のインパクトがほしい時に使用するが、逆にこれでビートを刻むこともある。

シズル

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シズルシンバルは、手持ちのシンバルにドリルで穴を開け、そこにシズラーと呼ばれるリベット(鋲)、アタッチメントや、チェーンを垂らしてもシズル効果(チリチリ、ガラガラ)の響きを得ることができる。[22]

スプラッシュ

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クラッシュシンバルよりもサイズが小さく、高い音が出る点に特徴がある。[23]

  • 名の由来:スプラッシュ(しぶき、とびはね、はね散らかし)が由来。
  • サイズ:8 - 10インチサイズが一般的。
  • 形状:皿状。
  • セッティング:スタンドに載せるが、合わせシンバルとしてクラッシュシンバルやチャイナシンバルと組み合わせることもある。合わせシンバルの場合、同じ向きで重ねる方法と逆向きに重ねる方法がある。
  • 演奏:静かなバラードのような曲で使用したりもするが、逆にスピードのある曲でしつこくならない程度にクラッシュ音がほしい場合にも使用したりする。

製造

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シンバルの材質は、を主成分とした金属の合金(すず)などを含む)である。高級なシンバルでは銅80・すず20、量産品では銅92・すず8の割合で製造される。[24]製造方法は大きく3種類あり、一概に製造過程を定義しにくいが、概ね以下のとおりである。

  • プレス製法:金属板をプレスして成形するもの。安価なもの。
  • 鍛造製法:鋳造した地金を叩き伸ばしていくもの
  • 鋳造製法:溶けた地金を型に流し込むもの
  • ハンマリング:ハンマーで表面を打っていく工程。機械打ちと手打ちがある。凹凸をつけることで、音が凸の方に集約し、そこから多方向に伝達され響きが良くなる。
  • 切削加工(レイジング):表面を削る工程。削らない場合、隙間を空けて削る場合、削る・削らない部分を意図して併置する場合もある。
  • メッキ加工:表面にメッキをする工程。しない場合もある。

シンバル・メーカー

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歴史上、西洋音楽で使われるシンバルはトルコから広まったという事情から、シンバルメーカーはシンバル発祥地トルコが源流という認識は、世界市場で共有。ジルジャン、セイビアン、パイステが三大メーカーとされている。もうひとつの発祥地と言われる中国源流のブランドは、Wuhan・ZENNである。

  • Zildjian(ジルジャン):イスタンブール出身のアルメニア系シンバル職人ジルジャン一族が経営するブランド[25]。「ジルジャン」は「シンバル職人の息子」という意味がある。アメリカで生産に移行している。シンバルメーカーの中で最も古い歴史を持つ。
  • SABIAN(セイビアン):ジルジャンのカナダ工場が独立し枝分かれしたブランド[26]。saly,bily,andyという3人の子供たちの名前をあわせて社名とした。8角形のロクタゴン(Rocktagon)などの製品があり、多数の試作品を一般ドラマーのプロ、アマに試奏させてアンケートを募り、人気が高かった試作品を商品化したものなど、ユーザーの意見を反映した商品もラインナップに加わっている。
  • PAiSTe(パイステ):エストニア系ロシア人のトーマス・パイステによって創設された[27]。スイスに本社移転。日本人がカテゴライズした3大メーカーの一つ。ジャズ全盛時にも高品質な製品でドラマーの間で評価が高かった。1970年代、楽器の電気化に対応できる音量の出る製品が大ヒット作となった。
  • UFIP(ユーヒップ):イタリアのブランド[28]。溶かした合金を回転する機械に注ぎ、遠心力を使ってシンバルの原型を製造する。「全てがハントメイドで作られている」ため、意図的に流通量を制限している。
  • MEINL英語版ドイツ語版(マイネル):ドイツのブランド[29]。打楽器の総合メーカー。上位シリーズの製造工場はトルコ。「社員全員がドラマー」である。仮にドラマーではない人間が入社した場合、MEINL側が費用を負担してまでドラムを習わせる。徹底してドラマー目線による楽器作りを心情としている。
  • ISTANBUL(イスタンブール):ジルジャンのトルコ工場が閉鎖され、職にあぶれた職人を集めて作られたブランド。「アゴップ社」で作られた製品とメメット社で作られた製品があり、それぞれの製品にはそれぞれのサインが入っている[30]
  • soultone(ソウルトーン):イスラエル出身のドラマー、イキー・レビーが2003年に設立したメーカー[31]
  • KOIDE(コイデシンバル):小出製作所大阪府に所在[32]。小出製作所]日本国内唯一のシンバル製造も行う金属加工メーカー。
  • Bosphorus(ボスフォラス):Zildjian、ISTANBULとは全く異なる流れを持ち、伝統の製法を守るトルコブランド[33]
  • Turkish(ターキッシュ):ISTANBUL社の職人が独立して作ったメーカー[34]
  • WUHAN(ウーハン):中国のブランド。漢字表記は「武漢」[35]
  • MasterWork(マスターワーク):トルコ製[36]
  • Amedia:トルコのイスタンブールに所在するシンバルメーカー[37]。トルコの伝統の製法に従い100%ハンドメイドでハンドハンマリング・シンバルを製造している。

脚注

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出典

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  1. Cymbals drummagazine.com 2026年5月8日閲覧
  2. Ride Cymbal origins drumgeek.com 2026年6月6日閲覧
  3. Museum of Fine Arts, Boston, inv. 00.339.
  4. sec. i art. vi fig. 43
  5. κρόταλον. Liddell, Henry George; Scott, Robert; A Greek–English Lexicon at the Perseus Project.
  6. この記事には現在パブリックドメインとなった次の出版物からの記述が含まれています。Porter, Noah [英語版], ed. (1913). “Crotalum”. Webster's Dictionary (英語). Springfield, Massachusetts: C. & G. Merriam Co.
  7. Antique cymbal 2026年6月5日閲覧
  8. Suspend Cyimbal thomannmusic 2026年6月5日閲覧
  9. マーチングシンバル:AA Marching Band|パール楽器製造株式会社”. 2018年9月1日閲覧。
  10. シンバル|鈴木楽器製作所”. 2018年9月1日閲覧。
  11. トレモロ musescore.org 2026年6月4日閲覧
  12. Effects Cymbals .moderndrummer.com 2026年6月5日閲覧
  13. 5 piecesof gear drummagazine.com  2026年6月6日閲覧
  14. ニコルズ、ジェフ(1997年)。『ドラムブック:ロックドラムキットの歴史』。ロンドン:バラフォン・ブックス。8–12ページ。ISBN 0879304766
  15. リズム&ブルースの死 p.284 ネルソン・ジョージ著
  16. ハーフオープン drumsmagazine.jp 2026年6月8日閲覧
  17. Crash Cymbal drumsmagazine.jp 2026年6月3日閲覧
  18. Schroedl, Scott (2001). Play Drums Today!, p.7. Hal Leonard. ISBN 0-634-02185-0.
  19. Peckman, Jonathan (2007). Picture Yourself Drumming, p.195. ISBN 1-59863-330-9.
  20. Crash/ride drumsmagazine.jp 2026年6月4日閲覧
  21. China Cymbal Guide: What Do China Cymbals Sound Like? - 2022 - MasterClass2026 2026年6月6日閲覧
  22. Effects Cymbals  moderndrummer.com 2026年6月4日閲覧
  23. スプラッシュ・シンバル drumsmagazine.jp 2026年6月3日閲覧
  24. What you need moderndrummer.com 2026年6月6日閲覧
  25. Zildjian
  26. SABIAN
  27. PAiSTe
  28. Ufip kikutani.co.jp/UFiP 2026年6月2日閲覧
  29. MEINL
  30. Istanbul Agop istanbulcymbals.com 2026年6月2日閲覧
  31. Soultone 2026年6月3日閲覧
  32. 小出製作所
  33. Bosphorus
  34. Turkish
  35. WUHAN
  36. MasterWork
  37. Amedia

関連項目

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