ピンク・フロイド・ライヴ・アット・ポンペイ
ピンク・フロイド ライヴ・アット・ポンペイ | |
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Pink Floyd: Live at Pompeii | |
監督 | エイドリアン・メイベン |
製作 |
スティーヴ・オルーク ミッシェル・アーナウド レイナー・モリツ |
出演者 |
ロジャー・ウォーターズ デヴィッド・ギルモア ニック・メイスン リック・ライト |
音楽 | ピンク・フロイド |
撮影 |
ウィリー・クラン ガボール・ポガニー |
編集 | ジョゼ・ピネイロ |
製作会社 | RMプロダクションズ、ORTF、RTBF、バイエルン放送 |
配給 | Universal Home Video |
公開 | 1972年9月2日 |
上映時間 |
60分(オリジナル版) 90分(1974年公開時) 92分(ディレクターズ・カット) |
製作国 |
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言語 | 英語 |
『ピンク・フロイド ライブ・アット・ポンペイ』(Pink Floyd Live at Pompei)は、イングランドのプログレッシブ・ロックバンドであるピンク・フロイドの「コンサート」を収録した、映像ドキュメンタリーである。監督はエイドリアン・メイベン。
概要
[編集]
イタリアのポンペイの遺跡で観客がいない円形劇場を舞台にコンサートを行なう、という設定で撮影された作品である。監督のメイベンは、ウッドストック・フェスティバルのような大観衆のいる大規模なコンサートとは全く逆の状態のコンサートを具現化したかったと述べている。
ポンペイ遺跡では1971年10月4~7日に撮影された。このライブでは、当時の最新アルバム『おせっかい』の収録曲で日中に撮影された「エコーズ」が大きな役割を果たしている。彼等は同曲を前半部「エコーズ、パート1」と後半部「エコーズ、パート2」に分けて、オープニングに前者を選び最後を後者で締めくくった。両者の間には日没後に撮影された「ユージン、斧に気をつけろ」、「神秘」(日中)、「吹けよ風、呼べよ嵐」(日中)、「マドモアゼル・ノブス」(後述)、「太陽讃歌」(日没後)が挿入された。
映像の一部には、12月13日から20日かけてパリのスタジオで収録されたものが使用された。「マドモアゼル・ノブス」は、その際にメンバーが「『シーマス』っぽい演奏を入れたい」と言い出したもので、メイベンは知り合いに声掛けして彼女の愛犬ノブスを借りて吠えてもらった[1]。
「吹けよ風、呼べよ嵐」では、ドラマーのニック・メイスンがドラムを激しく叩くあまり、手からスティックがすっぽ抜けてしまう場面がある[注釈 1]。
本作は1972年9月の「エジンバラ・アート・フェスティバル」にて上映され賞賛を受けたが[2]、同年11月25日にロンドンのレインボー・シアターで予定されていた上映は、シアターの運営会社が当日になってキャンセルしたため混乱が生じた[3]。一般公開は法律上の複雑な事情からさらに遅れ[2]、2年後の1974年夏にEMIによって公開された[3]。日本では劇場未公開で、1973年3月17日にNHK総合テレビジョンの音楽番組『ヤング・ミュージック・ショ―』にて放映された[注釈 2][4]。
その後、LD、VHS、ベータマックスが発売された。当時、最初の邦題は『ピンク・フロイドの幻想』であった。LDとVHSには、1972年後半に撮影されたアルバム『狂気』の収録風景やメンバー[注釈 3]のインタビューが挿入された。DVD化の際には「ディレクターズ・カット」と称して大幅な編集が施されているが、1972年のオリジナルも収録されている[注釈 4]。2025年にはオリジナルの35mmフィルムからレストアされた4K映像と新ミックスを用いた映画が公開(4月)され[5]、5月にはBlu-ray、DVD、CDが発売される[6]。
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ Powell Jr, Paul; Johns, Matt (2003). "Interview with Adrian Maben" (Interview). 2025年4月22日閲覧。
- ^ a b ニコラス・シャフナー (1991), p. 173.
- ^ a b 立川直樹 (1992), p. 129.
- ^ 城山隆『僕らの「ヤング・ミュージック・ショー」』情報センター出版局、2005年、291-296頁。ISBN 978-4795843622。
- ^ “「ピンク・フロイド伝説のポンペイ遺跡ライヴ 映画の4Kデジタルリマスター版が日本でも劇場上映決定」”. Amass (2025年3月27日). 2025年4月22日閲覧。
- ^ “「ピンク・フロイド伝説のポンペイ遺跡ライヴが史上最高クオリティで甦る 4Kリマスター映像+2025リミックス音源」”. Amass (2025年2月27日). 2025年4月22日閲覧。
引用文献
[編集]- ニコラス・シャフナー (1991). ピンク・フロイド「神秘」 (宝島COLLECTION). 今井幹晴(訳). 宝島社. ISBN 978-4796607179
- 立川直樹 (1992). ピンク・フロイド One Of These Days. シンコー・ミュージック. ISBN 978-4401614103