ヒューマンビートボックス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索

この音声や映像がうまく視聴できない場合は、Help:音声・動画の再生をご覧ください。

定義[編集]

ビートボックスを披露するビズ・マーキー

一人または複数の人間の発声器官を使って音楽を創りだす、新たな音楽表現の方法の一つである。マイクロフォンやアンプなどの拡声装置やサンプラー等の電子機器を用いることが多く、楽器や様々な装置の直接的模倣音[1]だけでなく人間由来の独自の音まで、様々な音を素材としている。

〈ヒューマンビートボックス〉を略して〈ビートボックス〉としたり、Human Beat Boxという英語の頭文字を取って〈HBB〉と略字で表記する場合もある。演奏者は、ヒューマンビートボクサーあるいは、単にビートボクサーと呼ばれる。

解説[編集]

世界初のヒューマンビートボックスの専門書『Human Beatbox-Personal Instrument-』(日本版未刊行)の著者Patryk Matelaによれば、「ヒューマンビートボックスは、発声器官のみを使用して、リズムのあるドラムサウンド、メロディーまたは模倣した楽器を創りだす芸術である。これは、単語、子音または母音だけでなく、非言語音も使用する歌唱法の最先端の方法である。」[2]とされている。

具体的な表現事例としては、レコードスクラッチ音や、ベース音、リズムマシンミキシングによる音色の加工や変化などを再現したブレイクビーツを一人で作り上げたり、動物の鳴き声、風の音、機械の作動音などの様々な直接的模倣音を使い、何らかのストーリー性を感じさせる演奏をグループでおこなったりする例が多く見られる。また、これらの演奏に歌やセリフなどの言語音がそのまま加えられることもある。一般的には、DJが用いる〈ビートボックス〉と呼ばれるサンプラーによる音を人間の声で模倣したことに由来すると言われている[3]ヒューマンビートボックスであるが、日進月歩でその表現技法は発展を遂げており、単なる模倣の文化から、独自の音楽表現の領域として確立されつつある。一方で、2014(平成26)年度に、公的な研究として『音楽表現の新たな素材としてのヒューマンビートボックスに関する基礎研究』(科学研究費基盤研究C2637019)[4]が初採択されたばかりであり、学術的な研究領域としては未成熟であることから、概念規定や起源に関しては、今後の研究の深化が期待されるべき領域である。

特に起源に関しては、ヒューマンビートボックスの概念規定によって、諸説が混交としており、今後ヒューマンビートボックスの概念規定の議論によって、適切な捉え方が確立することが期待されている。例えば、ヒューマンビートボックスはストリートカルチャーが発祥であるという前提に立つならば、アメリカ合衆国で1930年代に出現した簡易な楽器とボーカルによるドゥーワップが始まりとなり、1985年にダグ・E・フレッシュがビートボックスを取り入れた「La Di Da Di」が最古の録音と捉えることができる。[5]

一方、音の模倣ということにだけに着目するならば、「ビートボックスは1970年代半ばに発明されたものではなく、 文明の幕開けから人間は、音を使ってコミュニケーションをとり、危険や宗教的な目的について警告してきた。音楽や歌のような音の芸術が登場するとすぐに、音を模倣する技術はいろいろな形をとっていった。」とする前述書のPatryk Matelaの指摘も的を射ていると言える。[6]

このように、ヒューマンビートボックスは、概念規定が学術的に確立されておらず、起源の捉え方が諸説出てくるのが現状である。

なお、日本においては、テレビ番組においてボイパ(ボイスパーカッション)という呼称やその表現が先行して広まったこともあり、ヒューマンビートボックスとボイスパーカッションとが定義の上で混用される例も多い。しかし、ヒューマンビートボックスの世界大会である、BEATBOX BATTLE WORLD CHAMPIONSHIPなどの場に於いては、ボイスパーカッションという呼称は理解されないことも多く、日本におけるボイスパーカッションの概念は、海外ではヒューマンビートボックスとして理解されている。[3]

主なヒューマンビートボクサー[編集]

※ビートボクサー名の掲出については、基準に関する客観的な議論の余地があります。詳しくは、編集者のノートをご覧ください。

海外のビートボクサー[編集]

日本のビートボクサー[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 「直接的模倣音」とは、擬音語や擬態語とは異なり、我々が普段使っている言葉の発音としては捉えることのできない、直接的に模倣された音という意味である。(河本洋一『音楽表現の新たな素材としての模倣音の探求〜非言語音による直接的模倣音のための発音器官の使い方〜』音楽表現学vol.7,2009 p.19)
  2. ^ Patryk Matela. 2014. "Human Beatbox-Personal Instrument-" MERKURIUSZ POLSKI pp.14-17
  3. ^ a b 河本洋一 『ヒューマンビートボックスの可能性についての一考察〜ビートボクサーへの聞き取り調査とワークショップを通して〜』 2012 札幌国際大学紀要第43号 p.155
  4. ^ 科学研究費助成事業データベース https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-26370193/
  5. ^ トリーシャ・ローズ(Tricia Rose)著 新田啓子訳 『ブラック・ノイズ』 2009 みすず書房 p.134
  6. ^ Patryk Matela. 2014. "Human Beatbox-Personal Instrument-" MERKURIUSZ POLSKI p.12

関連項目[編集]

外部リンク[編集]