ノックスの十戒

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ナビゲーションに移動 検索に移動

ノックスの十戒(ノックスのじっかい、: Knox's Ten Commandments)はロナルド・ノックスが、1928年に編纂・刊行したアンソロジー THE BEST DETECTIVE STORIES OF THE YEAR 1928 (ヘンリー・ハリントンと共編)[1]の序文において発表した、推理小説を書く際のルールである[2]。本記事では単に「十戒」と表記する。

S・S・ヴァン=ダインによる「ヴァン・ダインの二十則」と並んで推理小説の基本指針となっている。日本では江戸川乱歩が『幻影城』の中で紹介している。

なお、「十戒」を意図的に破った作品や、「十戒」の記述を逆手にとったトリックを用いた作品も数多く存在している。ノックス自身「すべての作家にルール厳守を望むわけではなく、げんにこの選集に採録した幾編にも、ルール違反が明らかに見受けられる」[3]と認めている。ノックス自身も「十戒」を破った作品を発表しており(ヴァン=ダインも同様)、また十戒の前置きで「どうして自分でこんなことを考えたか分からない」旨を述べているなど、ユーモア精神から冗談半分に書かれたとする見方も多い。[要出典]

内容[編集]

  1. 犯人は、物語の当初に登場していなければならない
  2. 探偵方法に、超自然能力を用いてはならない
  3. 犯行現場に、秘密の抜け穴・通路が二つ以上あってはならない(一つ以上、とするのは誤訳)
  4. 未発見の毒薬、難解な科学的説明を要する機械を犯行に用いてはならない
  5. 中国人を登場させてはならない[4]
  6. 探偵は、偶然や第六感によって事件を解決してはならない
  7. 変装して登場人物を騙す場合を除き、探偵自身が犯人であってはならない
  8. 探偵は、読者に提示していない手がかりによって解決してはならない
  9. サイドキック[5]は、自分の判断を全て読者に知らせねばならない
  10. 双子一人二役は、予め読者に知らされなければならない

第5戒について[編集]

第5戒についての、ノックス自身の説明は以下の通りである。

なぜこれがルールのーつであるのか、筆者自身にも明確な説明ができかねるが、われわれ西欧人のあいだには、“中国人は頭脳が優秀でありながら、モラルの点で劣る者が多い”との偏見が根強い。したがって――筆者は観察した事実を指摘するだけだが――“チン・ルーの切れ長の目”といった描写に出合ったら、即座にページを閉じるのが賢明な処置であろう。それは出来のよい作品ではないのである。[6]

注釈・出典[編集]

[脚注の使い方]
  1. ^ 日本語訳は宇野利泰深町眞理子訳『探偵小説十戒』晶文社、1989年。ISBN 4-7949-5797-1。抄訳。
  2. ^ The Rules of the Game
  3. ^ ノックス 1989, p. 13.
  4. ^ フー・マンチューのような万能の怪人のことを指し、常人ではありえない身体能力などを禁じている。[要出典]
  5. ^ 探偵の助手となる者、いわゆるワトスン役のこと。
  6. ^ ノックス 1989, pp. 15-16.

参考文献[編集]

関連項目[編集]