スクミリンゴガイ

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スクミリンゴガイ
Bertha.jpg
分類
: 動物界 Animalia
: 軟体動物門 Mollusca
: 腹足綱 Gastropoda
上目 : 新生腹足上目 Caenogastropoda
: 原始紐舌目 Architaenioglossa
上科 : リンゴガイ上科 Ampullarioidea
: リンゴガイ科 Ampullariidae
: リンゴガイ属 Pomacea
: スクミリンゴガイ P. canaliculata
学名
Pomacea canaliculata Lamarck1819
和名
スクミリンゴガイ
ジャンボタニシ
英名
channeled apple snail
golden apple snail
殻。直径8cm。
卵。スケールはcm

スクミリンゴガイ(学名 Pomacea canaliculata)は、リンゴガイ科(リンゴガイ、アップルスネイル)の1種の淡水棲大型巻貝である。俗にジャンボタニシと呼ばれるが、タニシとは異なる。

形態[編集]

淡水巻貝としてはきわめて大型である。オスは殻高25mm、メスは30mmが性成熟した個体で、成体は殻高50 - 80mmに達する。卵は多数が固まった卵塊を形成し、陸上の乾燥に耐えられる固い殻を持つほか、鮮やかなピンク色をしていることから目立つ。

生態[編集]

自然分布の野生個体は南アメリカ ラプラタ川流域に生息するが、原産地外の世界各地に著しい移入、定着がみられる(後述)。

巻貝としては歩行速度が非常に速い。雑食性で、植物質、動物質を問わず、水中の有機物を幅広く摂食する。タニシ類と異なり、濾過摂食は行わないと考えられている。

産卵は水面から離れた植物体表面や岸辺の壁面におこなわれる。産卵直後は1個1個の卵を結びつけている粘液が柔らかいが、やがて硬質化して付着箇所から容易には剥がれない状態となる。

卵塊はピンク色で目立つうえ、それら卵の内部は神経毒PcPV2で満たされている。人間が食べた場合の苦味もあり、この毒と色彩によってスクミリンゴガイの卵はヒアリ英語版以外のすべての捕食者から守られているという[1]。ただし、卵は空気中でしか孵化できず、何らかの理由で水中に落下すると死んでしまう。

卵は日本の夏期の場合、2週間程度で孵化。孵化した幼体は、水温と栄養状態に恵まれれば2か月で性成熟する。

鰓呼吸だけでなく肺様器官により空気中の酸素を利用することもできるほか、乾燥にも強い。このため、乾期などに水中から離れても容易には死亡しない。一方、耐寒性はそれほど高くないため、日本で越冬に成功する個体の大半は殻高1 - 3cmの幼体であるという。国内で定着して繁殖中の地域も、おもに西日本である。

寿命は環境により変化するが、日本の野外個体は2年以内、飼育下では4年といわれる。

天敵は魚類、鳥類、捕食性水生昆虫、大型甲殻類、カメなどであるという。

分類[編集]

「ジャンボタニシ」の呼称があり、かつてはタニシと同じタニシ上科 Viviparoidea に分類されていた。しかし現在の分類では別上科で、暫定的に同目とされているが新生腹足類内で近縁な関係にはなく[2]、非常に疎遠である。

また、日本にはリンゴガイ属 Pomacea のうちスクミリンゴガイとラプラタリンゴガイ Pomacea insularum が生息するが、これらは形態では区別が困難である。

アジアに移入された種はかつてラプラタリンゴガイとされてきたが、1986年に日本産の種はスクミリンゴガイと同定された。しかし遺伝子を調べると、いくつかの県でラプラタリンゴガイも発見された[3]

アジアに主に生息するのはスクミリンゴガイであるが、ラプラタリンゴガイ、Pomacea diffusaPomacea scalaris も発見されている。

人間との関わり[編集]

要注意外来生物
日本へは食用として、1981年に台湾から[4]長崎県和歌山県に初めて持ち込まれた。1983年には養殖場が35都道府県の500か所にものぼった[5]が、需要が上がらず採算が取れないため、廃棄された。有害動物に指定された1984年以降、廃棄されたり養殖場から逸出したものが野生化し、分布を広げている。この経過は、アフリカマイマイの場合と共通している。
外来種であり、要注意外来生物(外来生物法)、日本の侵略的外来種ワースト100、世界の侵略的外来種ワースト100リスト選定種の1種ともなっている。
農業害虫
水田に生息してイネを食害することがあり、 東アジア東南アジア各地でイネの害虫と見なされる。生息地では、用水路やイネなどに産みつけられる卵塊の鮮やかなピンク色が目だつので、すぐに分かる。水路の壁一面に卵塊が張り付くこともあり、美観上の問題となっている場所もある。
生きた除草剤
水田の除草手段として利用しようという動きもあるが、これには均平な代かきと微妙な水管理が必要である。方法は、稲苗が標的となる田植え直後に水張りをゼロにし、スクミリンゴガイを眠らせる。その後、1日1mmずつ水深を上げ、雑草の芽を食べさせる。10日後には一気に5cmの深さにする。こうすれば、株元が固くなった稲よりも生えてくる雑草を好んで食べてくれるので、除草剤なしで栽培が可能であるという。
食用
タニシなどと同様、体内に広東住血線虫などの寄生虫を宿していることがある。十分に加熱せず食した場合、寄生虫が人体に感染して死に至ることもあるので、注意が必要である。
駆除方法
天敵として、カルガモスッポンコイなどが知られている。大量発生地域ではスッポンの大量放流による駆除が行われている[6]が、これら駆除のために放流した天敵を食用に捕らえる人間もいるため、問題となっている[7]
先述のようにピンク色の卵は有毒であり、原産地の南アメリカでもヒアリ以外の天敵が存在しない。よって、そのほとんどが幼貝へ無事に孵化することから、本種が爆発的に個体数を増やしているという指摘もある。だが、この卵は水中では孵化できない(卵がイネの株や水路の壁のような濡れない場所に産みつけられるのは、それゆえである)ため、卵塊を見つけ次第水中へ掻き落とすのは、個体数を減らすのに有効な駆除方法である。
飼育
アクアリウム市場でスクミリンゴガイの黄変種は、ゴールデンアップルスネールの商品名で流通している。水槽内のコケ取りタンクメイトとして飼育されるが、本来はイネを食害するゆえ、水草入りの水槽で飼育すると水草が食害に遭う。淡水で繁殖するため、水槽内で数が増えすぎる被害も発生する。

出典[編集]

  1. ^ American Association for the Advancement of Science「ScienceShot: Invasive Snails Protect Their Young With Odd Poison」[1]
  2. ^ Ponder, W.F.; et al. (2008), “Caenogastropoda”, in Ponder, W.F.; Lindberg, D.R., Phylogeny and evolution of the Mollusca, Berkeley: University of California Press 
  3. ^ 国内にはラプラタリンゴガイとスクミリンゴガイが生息する - 農研機構
  4. ^ 侵入生物データベース
  5. ^ スクミリンゴガイ(Pomacea canaliculata)に関する情報 要注意外来生物リスト:無脊椎動物(詳細)[外来生物法]
  6. ^ 河川・池等での対策(九州沖縄農業研究センター)
  7. ^ ジャンボタニシ退治にスッポン活躍(asahi.com / web archive)

参考文献[編集]

外部リンク[編集]