カラー・コレクション

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カラー・コレクション (Colour Correction、略称:カラコレ)とは、映画などの映像作品において、映像の色彩を補正する作業である。フィルム時代には、原版のフィルムに切れ込みを入れそのタイミングにあわせてフィルタを入れ替えることによって実現していたため、「タイミング」とも呼ぶ。

作品全体を通してのトーンを決めたり、前後のカットの色味を合わせたりする。また、1カットを合成する際、それぞれの素材の色味を統一させることもカラーコレクションと呼ぶ。カラーコレクションによって、昼間撮影したシーンを夕暮れ時のように見せることもできる。

この作業を専門に行うオペレーターは「カラリスト」と呼ばれる。(表記は「カラリスト」であるが、発音は「カラーリスト」という場合が多い)また、色変更を専門に行う機械のことをカラーコレクタという。

近年はデジタル化され、マット処理などのデジタル的な色彩の処理全般を含めてカラー・グレーディング(Color grading)と呼ばれるようになった。しかしそれらも含めてカラコレと呼ばれることも多い。

カラリスト[編集]

カラリストとは、主にカメラマンや監督と共に、映像作品の色に関する雰囲気を変えたり、実際の製品と同じ色にするなどの色調整を専門的に行うオペレータである。

カラリストの仕事[編集]

カラーリストに求められることは主に以下である。

  • 適正な色の再現 これは、撮影された時の色が正確に表現されるよう、時にその時に撮影したカメラマンが同席し、カラリストに指示をしながら、色を変更していく。この時の色は「ノーマル」ともといわれる。また、CM等で商品が映っているカットは、商品の色が適切に再現されているかも重要である。

テレシネ作業は、色を変更すればするほど時間が掛かる。なるべく時間を掛けたくない場合は、「全部、どノーマルで」というと、カラリストが考えたノーマルにしてくれる。これが一番時間が掛からない方法である。

  • カット毎の調整 時間がバラバラに撮影される、映画・CMなどでは、前のカットと色が違うことがある。そのままでは、おかしいため、前カットを同じ色・明るさになるように調整する。
  • イメージの再現 カメラマン・監督が考える抽象的なイメージを、具体的に色として再現する。寒いから青く、熱いから赤くと言った基本的なものから、寂しい・切ない・嬉しい・悲しいといった感情的なもの、ほのぼの・やわらかい・スッキリ・カッコ良いといった見た目的なものまで、表現は多彩である。故に芸術的センスを求められる一面もある。
  • おいしさの表現 CMで多いが、肉に滴る肉汁をおいしそうに見せたり、コーヒーの香り立つ感じ、ビールCMでの水しぶきを強調し切れ味があるような感じを表現する。このようなカットのことをシズルカットと言い、よく表現できていることを「シズル感が出ている」等と表現する。
  • 撮影時間・状況の変更 撮影は時間的にタイトであり、必ずしも狙った画が撮れるとは限らない。たとえば、脚本では夕暮れのシーンだが、役者・スタッフのスケジュールや、撮影場所の時間的制約から日中に撮影せざるを得ない場合は、カラーコレクションで夕方にする場合がある。また、雨のシーンでは、撮影時に人工的に雨を降らせ、カラーコレクションで色の輝度を抑え、雨のシーンを再現することがある。しかし、どれくらい再現できるかはその状況に左右され、手を加えてあることが視聴者に分かってしまうことは良くある話である。

仕事領域[編集]

映像ができるまでの中で技術的な部分は、撮影現像(フィルムの場合)→カラコレ(テレシネ)→EEDMAの順が一般的である。カラリストは、撮影された素材に対してカラーコレクションをする。また、映画などの場合は、白完(「白完パケ」の略)とといわれるテロップ無しの映画の完成形に対して、カラーコレクションをすることもある。その場合は、カット毎の色合わせや、全体的なトーンを合わせる意味合いが強い。

また、撮影に立ち会うことはあまりないが、新しい手法を試す時などや、人によりアドバイザー的な立場として、撮影現場に同席することがある。


カラーコレクションとテレシネの関連性[編集]

カラーコレクションとは、色補正のことである。テレシネとは、フィルムをビデオ信号に変換することである。テレシネとカラーコレクションが関連付けされて使用されるのは、テレシネ作業と同時にカラーコレクション作業もするからである。

これは、テレシネ時にカラーコレクションをする方が、フィルムにある情報を余す事なくビデオ信号に変換できるからである。

使用する機材[編集]

カラリストがカラーコレクションをする場合には、専門の機材を使用することが多い。代表的なものは以下である。

  • da vinci(ダビンチ) 米国・da Vinci Systems社の発売するカラーコレクタ。ハイエンドテレシネ機を操作するインターフェースを持つ。過去に発売されていた機種はいくつかあるが、現行機はda vinci 2kPLUSである。
Blackmagic Design社のノンリニアカラーグレーディングシステム。
2010年にda Vinci Systems社を買収し、DaVinci Resolveの開発を継続。Linux版と低価格のMac版が現在リリースされている。
主にDPXQuickTimeRED ONE等の動画ファイルに対してカラーコレクションを行う。
  • Pogle(ポーグル) 英国・Pandora社の発売するカラーコレクタ。ハイエンドテレシネ機を操作するインターフェースを持つ。
カラーグレーディング以外にも「編集」・「合成」・「フォーマット変換」等の各機能を有する。

カラリストの所属[編集]

日本にカラリストという肩書きの人間は、数十人しかおらず、他の映像技術者と比べて小数である。また、ほとんどが、ポストプロダクションに務めるサラリーマンであるが、数人ほどフリーランスとして活躍している。

タイミング[編集]

タイミングとは、フィルムで撮影された映像をフィルムへとコピーする際に色を変更する作業の事や、作業者の呼び方を言う。また、作業者をタイミングマンやタイマーと言うことがあるが、これは俗称であり、映画のテロップに表される時には「タイミング」として表記されている。

タイミングの仕事[編集]

タイミングの仕事は、映画での色を変更することである。フィルムを複製する時に露光する光の色を変え、映像の色を変えるのである。現像したネガフィルムを、撮影中に入れたチャートを基本にノーマルとなる色に調整して、映写機で再生できるポジフィルムを作る。これを監督やカメラマンなどのスタッフと共に試写室にて試写をし、色のイメージを決定していく。


仕事領域[編集]

タイミングの仕事は、色変更の意味合いが主だと考えられるが、もっとも重要なのはポストプロダクションにおいてフィルムに関する責任を負ことである。

フィルムには、傷・埃などがつき易く、傷がついた場合は、フィルム上で複製を撮っての修復する方法や、デジタル上で消去する方法などから適切なものを判断する。埃の場合は、フィルムクリーニングの機械や、手拭きによるクリーニングをする方法などをするか判断する。また、フィルムが破損した場合、デュープネガとといわれる複製フィルムを作ったり、デジタル上で修復しフィルムに焼き付けたり、再撮(破損した部分を再度撮影する事)を判断することがある。

映像撮影用フィルムには、さまざまな種類があり、種類ごとに特性が違う。この特性を熟知し、カメラマンに最適なフィルムを提案するのも、タイミングの重要な仕事である。そのため、映画制作の打ち合わせの段階から、タイミングマンが立ち会うことが多い。また、フィルム特性を熟知するため、現像の作業をする人(現像マン)と共に最適な現像の手法を探ったり、撮影テストを行ったりする。

使用する機材[編集]

タイミングがフィルムの色を変更する時に使用する機材は、カラーアナライザーという。これは、フィルムをビデオカメラで読み取り、擬似的に色を変更してTV画面に表示する機材である。その時にカット毎に変更した色信号はタイミングデータと言い、このデータを元にプリンターとといわれる機材でフィルムを複製すると、タイミングマンの意図した色になったフィルムができる。

しかし、カラーアナライザーやプリンターや現像機には、同じ機械でもそれぞれクセがあり、タイミングマンは機械の特徴を把握しながら、機械を指定して作業することがあり、正に職人技と言える。

タイミングの所属[編集]

タイミングマンは、映像フィルムの現像をしているポストプロダクションに務めているサラリーマンである。カラリストとは違い、フリーランスのタイミングマンは存在しない。これは、現像所の基幹に関わる技術が必要で、一般的に現像所の技術は門外不出が多いためだと思われる。

カラリストとタイミングの違い[編集]

フィルムからビデオ信号に変換する際に色変更したり、ビデオ信号から色変更してビデオ信号にする時に、カラリストが作業する。フィルムから、色変更をしフィルムにする人のことは「タイミングマン」という。 色変更に使う機材が全く違うため、タイミングとカラーリストを兼務している人間は少ない。

関連項目[編集]