アンソニー・ジョンソン (格闘家)

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アンソニー・ジョンソン
本名 アンソニー・ケウォア・ジョンソン
(Anthony Kewoa Johnson)
生年月日 (1984-03-06) 1984年3月6日
出身地 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
ジョージア州ダブリン
死没 (2022-11-13) 2022年11月13日(38歳没)
通称 ランブル
(Rumble)
AJ
国籍 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
身長 188 cm (6 ft 2 in)
体重 93 kg (205 lb)
階級 ヘビー級 (2013年)
ライトヘビー級 (2014年 - 2017年、2021年)
ミドル級 (2012年)
ウェルター級 (2006年 - 2011年)
リーチ 198 cm (78 in)
スタイル レスリング
ボクシング
キックボクシング
拠点 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
フロリダ州ディアフィールドビーチ
チーム ブラックジリアンズ (2011年 - 2017年)
→コンバットクラブ (2017年 - 2022年)
レスリング NJCAAレスリング
現役期間 2006年 - 2017年
2021年
総合格闘技記録
試合数29
勝利23
ノックアウト17
判定6
敗戦6
ノックアウト1
判定5
総合格闘技記録 - SHERDOG
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アンソニー・ジョンソンAnthony Johnson1984年3月6日 - 2022年11月13日)は、アメリカ合衆国男性総合格闘家ジョージア州ダブリン出身。最終所属はコンバット・クラブ。

来歴[編集]

ジュニアカレッジ時代はレスリングで全米王者となり、20歳のときに友人の影響で総合格闘技を始めた[1]

2006年8月18日、Pangea Fightsでプロ総合格闘技デビューを果たした。

UFC[編集]

2007年6月12日、UFC初参戦となったUFC Fight Night: Stout vs. Fisherでチャド・レイナーと対戦し、スタンドパンチ連打で開始13秒のKO勝ち。

2007年9月22日、UFC 76リッチ・クレメンティと対戦し、リアネイキドチョークで3R一本負け。キャリア初黒星を喫した。なお、この試合はジョンソンの体重超過により、177ポンド契約で行われた。

2008年7月19日、UFC Fight Night: Silva vs. Irvinケヴィン・バーンズと対戦し、3RにTKO負け[2]。しかし、ジョンソンはバーンズの指が目に入り試合続行不可能になったと試合結果の変更を求めて不服申し立てをするが、ネバダ州アスレチック・コミッションによって却下された[3]。同年12月13日、The Ultimate Fighter: Team Nogueira vs. Team Mir Finaleでケヴィン・バーンズと再戦し、左ハイキックで3RKO勝ち。リベンジを果たすと共にノックアウト・オブ・ザ・ナイトを受賞した[4]

2009年10月24日、UFC 104吉田善行と対戦し、右ストレートで開始41秒のTKO勝ち[5]。なお、この試合はジョンソンの体重超過により、176ポンド契約で行われた[6]

2009年11月21日、UFC 106ジョシュ・コスチェックと対戦し、リアネイキドチョークで2R一本負け[7]。敗れはしたものの、ファイト・オブ・ザ・ナイトを受賞した。

2011年10月1日、UFC Live: Cruz vs. Johnsonでチャーリー・ブレネマンと対戦し、左ハイキックで1RKO勝ち。ノックアウト・オブ・ザ・ナイトを受賞した。

2012年1月14日、UFC142ビクトー・ベウフォートと対戦し、リアネイキドチョークで1R一本負け[8]。なお、この試合は当初ミドル級契約であったが、ジョンソンが11ポンドの体重超過をしたため、197ポンド契約で行われた[9][10]。翌日、度重なる体重超過を重く見たUFCによりリリースが発表された[11]

UFCリリース後[編集]

2012年5月25日、Titan FCデヴィッド・ブランチと対戦し、3-0の判定勝ち。なお、この試合はジョンソンの体重超過により88.5kg契約で行われた[12]

2013年3月23日、ヘビー級転向初戦となったWSOF 2で元UFC世界ヘビー級王者アンドレイ・アルロフスキーと対戦し、3-0の判定勝ち。

UFC復帰[編集]

2014年4月26日、2年3か月ぶりのUFC復帰戦となったUFC 172でライトヘビー級ランキング4位のフィル・デイヴィスと対戦。パワフルな打撃でデイヴィスのタックルと打撃を封じ込めて、3-0の判定勝ち。

2014年7月26日、UFC on FOX 12アントニオ・ホジェリオ・ノゲイラと対戦。右アッパーの連打で開始44秒のKO勝ち。パフォーマンス・オブ・ザ・ナイトを受賞した。

2014年9月5日、自身の子供の母親が2年前の2012年9月にジョンソンからドメスティック・バイオレンスを振るわれていたとジョンソンを訴える。UFCはこれを受けてジョンソンに無期限出場停止処分を科した[13]。ジョンソンは自身のFacebookで「そんな嘘を吐くようなふざけた奴等は馬鹿げている。サポートをしてくれるみんなには感謝しているよ」と、この報道を否定した[14]

2014年10月29日、母親がドメスティック・バイオレンスの訴えを自主的に取り下げた[15]

2015年1月24日、UFC on FOX 14のライトヘビー級王座挑戦者決定戦でライトヘビー級ランキング1位のアレクサンダー・グスタフソンと対戦。序盤からプレッシャーをかけ続け、スタンドパンチ連打でダウンを奪いパウンドで1RTKO勝ち。パフォーマンス・オブ・ザ・ナイトを受賞した。

2015年5月23日、UFC 187のUFC世界ライトヘビー級王座決定戦でライトヘビー級ランキング3位のダニエル・コーミエと対戦。1Rに右フックでダウンを奪うものの、グラウンドで巻き返されてリアネイキドチョークで3R一本負け。王座獲得に失敗した。当初は同大会で王者のジョン・ジョーンズに挑戦予定であったが、ジョーンズが車の追突事故を起こし王座を剥奪されたため、代わりに王座決定戦でコーミエと対戦した。

2015年9月5日、UFC 191でライトヘビー級ランキング7位のジミ・マヌワと対戦し、右フックでダウンを奪いパウンドで2RKO勝ち。パフォーマンス・オブ・ザ・ナイトを受賞した。

2016年1月30日、UFC on FOX 18のライトヘビー級王座挑戦者決定戦でライトヘビー級ランキング4位のライアン・ベイダーと対戦し、パウンドで1RKO勝ち。パフォーマンス・オブ・ザ・ナイトを受賞した。

2016年8月20日、UFC 202でライトヘビー級ランキング2位のグローバー・テイシェイラと対戦し、右アッパーで開始13秒のKO勝ち。パフォーマンス・オブ・ザ・ナイトを受賞した。

2017年4月8日、UFC 210のUFC世界ライトヘビー級タイトルマッチで王者ダニエル・コーミエに挑戦し、リアネイキドチョークで2R一本負け。王座獲得に失敗し、試合後のインタビューで引退を発表した。

Bellator[編集]

2020年8月25日、UFCで現役復帰するために、契約選手に義務付けられている全米アンチドーピング機関(USADA)の検査対象者リストに入った[16][17]。しかし、その後ジョンソンは自身が運営するカンナビジオールの会社が、ビジネス面でUFCのスポンサーポリシーに抵触する可能性があったことを示唆して[18]、2020年12月9日にBellatorと正式に契約した[19]

2021年5月7日、Bellator初参戦となったBellator 258のBellatorライトヘビー級ワールドグランプリ1回戦でジョゼ・アウグストと対戦。1Rにカウンターの左フックでぐらつき追撃のパウンドで追い詰められるものの、2Rに右ストレートでKO勝ち。グランプリ準決勝進出を果たした。当初はヨエル・ロメロとの対戦が予定されていたが、4月29日にロメロがメディカルテストをクリアできなかったため、大会1週間前のオファーを受けたアウグストと対戦した[20]

2019年11月にニュージャージー州ニューアークからフロリダ州フォートローダーデールまでのフライトの支払いに盗難したクレジットカードを使用したなりすましの容疑で、2021年5月11日、コネチカット州フェアフィールド郡で逮捕、起訴された。その後、ジョンソンは500ドルを支払い保釈され、5月末に法廷への出廷が義務付けられた[21]

2021年下旬から健康状態が悪化し、闘病を続けていたが、2022年11月13日、非ホジキンリンパ腫と免疫系の稀な疾患である血球貪食性リンパ組織球症による臓器不全で死去。38歳没[22][23][24]。過去に対戦経験のあるダニエル・コーミエグローバー・テイシェイラを始め、数多くのファイターから哀悼の意が表された。

人物・エピソード[編集]

  • かつて同じブラックジリアンズに所属するチームメイトであったアリスター・オーフレイムについて、アリスターがブラックジリアンズにトレーニングに来たのは5回ぐらいで、チームに溶け込むことなくジム内でも基本的に自身のチームと行動していて、ブラックジリアンズのチームメイトに敬意を払わず、打撃スパーリング中にスパーリングパートナーをテイクダウンして怪我させたりしていたので、「彼に不満はないけど、ただ気にしていないだけだ。彼はブラックジリアンズの一員ではないし、彼をそのカテゴリーに入れたくない。彼はチーム・アリスターだよ」と語っている[25][26]
  • ウェルター級時代には30kg近く減量して試合に臨んでいた[1]

戦績[編集]

総合格闘技 戦績
29 試合 (T)KO 一本 判定 その他 引き分け 無効試合
23 17 0 6 0 0 0
6 1 5 0 0
勝敗 対戦相手 試合結果 大会名 開催年月日
ジョゼ・アウグスト 2R 1:30 KO(右ストレート→パウンド) Bellator 258: Archuleta vs. Pettis
【Bellatorライトヘビー級ワールドグランプリ1回戦】
2021年5月7日
× ダニエル・コーミエ 2R 3:37 リアネイキドチョーク UFC 210: Cormier vs. Johnson 2
【UFC世界ライトヘビー級タイトルマッチ】
2017年4月8日
グローバー・テイシェイラ 1R 0:13 KO(右アッパー) UFC 202: Diaz vs. McGregor 2 2016年8月20日
ライアン・ベイダー 1R 1:26 KO(パウンド) UFC on FOX 18: Johnson vs. Bader 2016年1月30日
ジミ・マヌワ 2R 0:28 KO(右フック→パウンド) UFC 191: Johnson vs. Dodson 2 2015年9月5日
× ダニエル・コーミエ 3R 2:39 リアネイキドチョーク UFC 187: Johnson vs. Cormier
【UFC世界ライトヘビー級王座決定戦】
2015年5月23日
アレクサンダー・グスタフソン 1R 2:15 TKO(パウンド) UFC on FOX 14: Gustafsson vs. Johnson 2015年1月24日
アントニオ・ホジェリオ・ノゲイラ 1R 0:44 KO(右アッパー) UFC on FOX 12: Lawler vs. Brown 2014年7月26日
フィル・デイヴィス 5分3R終了 判定3-0 UFC 172: Jones vs. Teixeira 2014年4月26日
マイク・カイル 1R 2:03 KO(右フック→パウンド) WSOF 8: Gaethje vs. Patishnock 2013年1月18日
アンドレイ・アルロフスキー 5分3R終了 判定3-0 WSOF 2: Arlovski vs. Johnson 2013年3月23日
DJ・リンダーマン 1R 3:58 KO(右ストレート) WSOF 1: Arlovski vs. Cole 2012年11月3日
ジェイク・ロショルト 2R 4:22 TKO(ハイキック) XFL: Xtreme Fight Night 9 2012年9月21日
エステヴェス・ジョーンズ 2R 0:51 TKO(パウンド) Titan FC 24 2012年8月24日
デイブ・ブランチ 5分3R終了 判定3-0 Titan FC 22 2012年5月25日
× ビクトー・ベウフォート 1R 4:49 リアネイキドチョーク UFC 142: Aldo vs. Mendes 2012年1月14日
チャーリー・ブレネマン 1R 2:49 KO(左ハイキック) UFC Live: Cruz vs. Johnson 2011年10月1日
ダン・ハーディー 5分3R終了 判定3-0 UFC Fight Night: Nogueira vs. Davis 2011年3月26日
× ジョシュ・コスチェック 2R 4:47 リアネイキドチョーク UFC 106: Ortiz vs. Griffin 2 2009年11月21日
吉田善行 1R 0:41 KO(右ストレート) UFC 104: Machida vs. Shogun 2009年10月24日
ルイージ・フィオラヴァンティ 1R 4:39 TKO(右フック→パウンド) UFC Fight Night: Lauzon vs. Stephens 2009年2月7日
ケヴィン・バーンズ 3R 0:28 KO(左ハイキック) The Ultimate Fighter: Team Nogueira vs. Team Mir Finale 2008年12月13日
× ケヴィン・バーンズ 3R 3:35 TKO(右目の負傷) UFC Fight Night: Silva vs. Irvin 2008年7月19日
トミー・スピアー 1R 0:51 KO(右ストレート) UFC Fight Night: Florian vs. Lauzon 2008年4月2日
× リッチ・クレメンティ 2R 3:05 リアネイキドチョーク UFC 76: Knockout 2007年9月22日
チャド・レイナー 1R 0:13 KO(スタンドパンチ連打) UFC Fight Night: Stout vs. Fisher 2007年6月12日
リッチ・モスコヴィッツ 5分2R終了 判定3-0 Rocky Mountain Nationals: Demolition
【ミドル級トーナメント 決勝】
2006年9月16日
キース・ウィルソン 5分2R終了 判定2-1 Rocky Mountain Nationals: Demolition
【ミドル級トーナメント 1回戦】
2006年9月16日
ジョナサン・ロメロ 1R 1:09 TKO(パンチ連打) Pangea Fights 2: Live MMA 2006年8月18日

獲得タイトル[編集]

  • Rocky Mountain Nationalsミドル級トーナメント 優勝(2006年)

表彰[編集]

  • UFC ファイト・オブ・ザ・ナイト(1回)
  • UFC ノックアウト・オブ・ザ・ナイト(2回)
  • UFC パフォーマンス・オブ・ザ・ナイト(5回)

出演[編集]

脚注[編集]

  1. ^ a b アンソニー・ジョンソン UFC公式サイト
  2. ^ 【UFN14】"ミドル級王者"シウバ、ライトヘビー戦はKO勝利 MMAPLANET 2008年7月20日
  3. ^ Anthony Johnson's Appeal RejectedBleacher Repor 2008年9月13日
  4. ^ 【TUF8】ジョンソン勝利、注目度は上昇 MMAPLANET 2008年12月14日
  5. ^ 【UFC104】体重超過のジョンソン相手に、吉田は完敗 MMAPLANET 2009年10月25日
  6. ^ 【UFC104】公開計量終了、LAのファンはリョートに大声援 MMAPLANET 2009年10月24日
  7. ^ 【UFC106】コスチェック、実力でジョンソンねじ伏せる MMAPLANET 2009年11月22日
  8. ^ 【UFC142】ヴィトーが体重無視のジョンソン退治 MMAPLANET 2012年1月14日
  9. ^ UFC 142 weigh-ins MMAPLANET 2012年1月14日
  10. ^ Medical Reasons Prevent Anthony Johnson From Making Weight mmaweekly.com 2012年1月14日
  11. ^ UFC releases Anthony Johnson following UFC 142 loss http://mmajunkie.com 2012年1月15日
  12. ^ 【TFC22】体重無視男ジョンソン、ブランチを寄せ付けず判定勝ち… MMAPLANET 2012年5月26日
  13. ^ Mother of Anthony 'Rumble' Johnson's children gets restraining order, tells police of threats and history of abuse Bloody Elbow 2014年9月5日
  14. ^ [1] Facebook 2015年10月20日
  15. ^ Civil case against Anthony Johnson dismissed in Florida, UFC clears fighter to return MMAjunkie 2014年11月6日
  16. ^ Anthony Johnson eligible for UFC return in early 2021 after officially re-entering USADA drug testing poolMMA mania 2020年8月25日
  17. ^ Anthony ‘Rumble’ Johnson explains coming back to UFC after being against fighters returning from retirementMMA Fighting 2020年8月18日
  18. ^ Anthony Johnson explains move from UFC to Bellator: 'Business-wise it's just smart for me'MMA Junkie 2020年12月16日
  19. ^ Former UFC title contender Anthony 'Rumble' Johnson signs with Bellator ESPN 2020年12月9日
  20. ^ Yoel Romero out of fight with Anthony Johnson after not clearing pre-fight medical testing SBNATION 2021年4月30日
  21. ^ Man Nabbed For ID Theft In Fairfield County, Police Say Greenwich 2021年5月14日
  22. ^ Former UFC title challenger Anthony 'Rumble' Johnson dead at 38; MMA community mourns” (英語). MMA Junkie (2022年11月13日). 2022年11月13日閲覧。
  23. ^ Former UFC star Anthony Johnson dies aged 38 after battling illness” (英語). The Independent (2022年11月13日). 2022年11月13日閲覧。
  24. ^ Newswire, MMA Fighting (2022年11月13日). “Two-time UFC title challenger Anthony ‘Rumble’ Johnson dead at 38” (英語). MMA Fighting. 2022年11月13日閲覧。
  25. ^ UFC: Anthony Johnson,'Overeem Was Team Alistair, He's Not a Blazilian Bleacher Report 2014年2月6日
  26. ^ UFC: Rumble details incidents of Overeem bullying Blackzilian training partners Bloody Elbow 2014年9月8日

関連項目[編集]

外部リンク[編集]