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野田知佑

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
野田 知佑
誕生 1938年1月2日[1]
熊本県[1]
死没 (2022-03-27) 2022年3月27日(84歳没)[1]
徳島県[2]
職業 カヌーイスト作家
国籍 日本の旗 日本
代表作 『日本の川を旅する』
主な受賞歴 日本ノンフィクション賞毎日スポーツ人賞
ウィキポータル 文学
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野田 知佑(のだ ともすけ、1938年1月2日 - 2022年3月27日)は、日本カヌーイスト作家。カヌーイストの第一人者として知られる[3]

経歴・人物

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熊本県玉名郡江田村(※のちの菊水町→現在の和水町)出身。福岡県立八幡高等学校早稲田大学第一文学部英文学科卒業[1]日本リバーカヤックツーリングの先駆者で、日本を始めヨーロッパ北アメリカオーストラリアニュージーランドなど世界各地のをカヌーで旅する。雑誌記者を経て作家となり、川・カヌー環境問題に関する著書を多数発表。長良川吉野川河口堰反対運動にも参加している。1982年に『日本の川を旅する』で第9回日本ノンフィクション賞・新人賞を受賞、1998年毎日スポーツ人賞文化賞を受賞[1]。雑誌『BE-PAL (ビーパル)』やモンベルの機関紙に多く寄稿している。

千葉県長野県鹿児島県等、居を移した後、2000年徳島県美波町に移住。徳島・吉野川で、姫野雅義辰野勇らと、自ら「川ガキ養成講座」[注 1]と呼ぶ川の学校を年間通して行い、校長を務めていた[4]。鹿児島県在住時には高校卒業直後の石川直樹シーカヤックを教えたこともある。

かつて椎名誠と深い親交があり、椎名は野田をカヌーの師として仰いでいた。また、作家のC・W・ニコルも野田の親友のひとりである。

野田は、千葉県亀山湖在住時に飼い始めた犬「ガク」[注 2]とともに、主に単独でアラスカユーコン川を中心に世界中の川を下るスタイルで旅を続け、ガクは日本初の「カヌー犬」(これは野田が考案した概念である)として注目を浴びた。野田らはガクをしばしば書籍に取り上げたほか、椎名誠は自ら監督した映画「ガクの冒険」などで取り上げた。

ガクは野田とともに14年にわたりカヌーに乗ったのち、1997年にフィラリアで死亡した[6]。その後はガクの息子であるテツとタロウを飼い[6]、2匹の死亡後はさらにボーダーコリー犬のアレックスとハナを飼っていた。野田の死の約1年前にアレックスとハナが死亡したため、2022年3月時点ではさらにマルという犬を飼っていた。

ハンガリー生まれでイギリスに移住した作家・ジャーナリストジョージ・ミケシュを愛読している[7]

2022年3月27日、低血糖性脳症のため徳島県の病院で死去[2][8]。84歳没。

著書

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  • 川遊びカヌー ファミリー・アドベンチャー入門(1979年、スキージャーナル
  • 日本の川を旅する(1982年、日本交通公社出版事業局 / 1985年、新潮文庫 / 1989年、講談社※新装版 / 2019年、mont-bell BOOKS※文庫)
  • 大自然を旅する カナダ・ナショナルパーク・キャンピング(1984年、CBSソニー出版佐藤秀明との共著
  • 魚眼漫遊大雑記(1985年、講談社 / 1988年、新潮文庫)
  • カヌーで来た男(1985年、晶文社 / 1994年、新潮文庫) 片岡義男・佐藤秀明との共著
  • のんびり行こうぜ(1986年、小学館 / 1990年、新潮文庫)
  • 北極海へ KAYAK SOLO TO THE ARCTIC あめんぼ号マッケンジーを下る(1987年、文藝春秋 / 1995年、文春文庫
  • 川を下って都会の中へ(1988年、小学館 / 1991年、新潮文庫)
  • ゆらゆらとユーコン(1989年、本の雑誌社 / 1994年、新潮文庫)
  • ガリバーが行く(1990年、小学館 / 1993年、新潮文庫)
  • 地球と遊ぶ(1991年、朝日新聞社 / 1995年、朝日文庫夢枕獏天野礼子との共著
  • 風になれ、波になれ 野田知佑カヌー対談集(1991年、山と渓谷社 / 1993年、角川文庫
  • 川からの眺め(1992年、ブロンズ新社 / 1995年、新潮文庫)
  • 小ブネ漕ぎしこの川(1992年、小学館 / 1996年、新潮文庫)
  • 川を考える(1992年、岩波書店)藤門弘との共著
  • 川へふたたび 野田知佑カヌー・エッセイ・ベスト(1993年、小学館 / 1998年、小学館文庫
  • 北の川から(1994年、小学館 / 1997年、新潮文庫)
  • 新・放浪記(1995年、本の雑誌社 / 1999年『旅へ 新・放浪記1[注 3]』文春文庫、2000年『南へ 新・放浪記2』文春文庫)
  • さらば、日本の川よ 野田知佑のカヌーは座敷(1995年、思想の科学社)
  • 南の川まで(1996年、小学館 / 1999年、新潮文庫)
  • 本日順風 野に往く者の身の上相談集(1996年、地球丸 / 2000年、文春文庫)
  • 雲を眺める旅 アラスカの川辺から(1996年、本の雑誌社 / 2001年『雲よ』、文春文庫)
  • カヌー犬・ガク (1997年、小学館文庫 / 2010年、ポプラ文庫
  • ユーコン漂流 (1998年、文藝春秋 / 2001年、文春文庫 / 2019年、mont-bell BOOKS※文庫)
  • カヌー犬・ガク写真集 しあわせな日々(1998年、小学館)
  • さらば、ガク(1998年、文藝春秋 / 2002年、文春文庫)
  • 笹舟のカヌー(1999年、小学館)イラスト:藤岡牧夫
  • ハーモニカとカヌー(1999年、小学館 / 2002年、新潮文庫)
  • 少年記(1999年、本の雑誌社 / 2004年、文春文庫)
  • カヌー式生活(1999年、文藝春秋)
  • ぼくの還る川(2000年、小学館 / 2003年、新潮文庫)
  • 世界の川を旅する(2001年、世界文化社
  • ぼくの還る川 PART2 [ふるさと編](2001年、小学館 / 2005年『なつかしい川、ふるさとの流れ』新潮文庫)
  • ともに彷徨いてあり カヌー犬・ガクの生涯(2002年、文藝春秋 / 2005年、文春文庫)
  • ささ舟、四万十川を行く(2002年、岩崎書店)イラスト:藤岡牧夫
  • カワムツの朝、テナガエビの夜(2003年、小学館)
  • 今日も友だちがやってきた(2006年、小学館)
  • ダムはいらない! 新・日本の川を旅する(2010年、小学館)
  • ささ舟カヌー 千曲川スケッチ(2010年、平凡社)イラスト:藤岡牧夫
  • 川の学校 吉野川・川ガキ養成講座[注 1](2012年、三五館)
  • ユーコン川を筏で下る(2016年、小学館)
  • ナイル川を下ってみないか(2016年、mont-bell BOOKS)

翻訳

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  • 地の果てに住む(1994年、リチャード・リオ著、飛鳥新社

監修

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  • まんがでマスター 子ども名人シリーズ・アウトドア名人(1996年、漫画:浜本ひろし、イラスト:松下佳正、集英社
  • リバーキーパーズ ハドソン川再生の闘い(2000年、著:ジョン・クローニン、ロバート・ケネディJr.、訳:部谷真奈実、朝日新聞社
  • イギリスを泳ぎまくる(2008年、著:ロジャー・ディーキン、訳:青木玲亜紀書房

解説

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主な出演

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映画

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  • 出演
    • ガクの冒険(1990年、ホネ・フィルム) ※主演
    • しずかなあやしい午後に(1997年、ホネ・フィルム) ※短編3本からなるオムニバス映画の一篇『ガクの絵本』に主演
  • 原案
    • あひるのうたがきこえてくるよ。(1993年、ホネ・フィルム / パイオニアLDC

テレビ番組

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  • 現代冒険旅行「カヌーで下った世界の河」(1981年、NHK教育
  • スタジオL(NHK
  • 椎名誠と怪しい探検隊(1988年 - 1989年、日本テレビ
  • にっぽん水紀行「山椒魚は待っていた 〜野田知佑・江川カヌー行〜」(1988年、NHK)
  • わが心のルネサンス「人生を語り、歌い、憩う」(1990年、NHK BS2
  • 短期集中講座 川遊びカヌー(1990年、NHK教育)
    • 第1回「やさしい流れでカヌーに慣れる」
    • 第2回「ツーリングをはじめよう」
    • 第3回「急流下り」
    • 第4回「川で遊ぶ」
  • エンジョイ・アウトドアライフ「初夏・安曇野 〜自然・芸術・安曇野を10倍楽しむ方法〜」(1993年、NHK BS2)
  • マイライフ「川を流れる風になりたい」(1994年、NHK教育)
  • 立松和平 対談紀行「わが愛する地球」(1995年、NHK BS2)
  • にんげんマップ「川面から世間が見える」(1995年、NHK)
  • スタジオパークからこんにちは「野田知佑・世界の川をカヌーで旅する」(1996年、NHK)
  • ひるどき日本列島北海道釧路川カヌー」(1998年、NHK)
  • ぼくは、風になった・・・ 〜障害者カヌーのユーコン川下り冒険行〜(1998年、テレビ朝日)
  • 風に吹かれてカヌー旅 〜野田知佑 モンゴルロシア1300キロをゆく〜(2001年、NHKデジタル衛星ハイビジョン) 
  • 地球に好奇心「カヌー 風と草原の旅 〜野田知佑 モンゴル、ロシアを行く〜」(2002年、NHK BS2)
    • 地球に乾杯「カヌー 風と草原の旅 〜野田知佑 モンゴル・エグ川を下る〜」(2002年、NHK)※上記ダイジェスト版
  • ギリーのとっておき「“至福の瞬”に出会う旅」(2003年、NHK)
  • 福祉ネットワーク「カヌーが“"自由”を教えてくれた 〜障害者カヌーのカナダ・ユーコン川遠征2007〜」(2007年、NHK教育)
  • 週刊ブックレビュー 890号「おすすめの一冊・“夏は冒険だ!”」(2010年、NHK BS2)
  • わんにゃん茶館「カヌーイスト野田知佑・愛犬ガクとの冒険秘話」(2010年、NHK BS2) ※飼い犬のアレックスとハナを連れて出演
  • 目撃!日本列島「僕らは川で強くなる 〜徳島・川の学校の半年〜」(2011年、NHK)
  • NHKアーカイブス「土佐・四万十川 “最後の清流”と生きる」(2012年、NHK)
  • プレミアムアーカイブス(2013年、NHK BSプレミアム
  • さわやか自然百景 新春特集「水の国 日本」(2014年、NHK)
  • 四国推し! あわとく「目一杯生きろ 〜野田知佑のメッセージ〜」(2022年、NHK BS1

ラジオ

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  • つながるラジオ「ラジオ井戸端会議 2011・夏、暑さしのぎはこれだ!」(2011年、NHKラジオ第1
  • ラジオ深夜便(NHKラジオ第1)
    • サンデートーク「大地に抱かれて生きたい」(2002年)
    • 海と山と川とに抱かれて「川ガキが未来を作る」[注 1](2013年)

CM

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ビデオ

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  • 野田知佑のカヌーツーリング(1988年、ポニーキャニオン
  • NHK短期集中講座 川遊びカヌー「入門編」「実践編」(1991年、NHKソフトウェア / ポニーキャニオン)
  • 椎名誠とあやしい探検隊 おれ流Outdoor術(1998年、山と渓谷社)
    • Vol.1「沖縄・ムカラク島 無人島の7人大いに笑う」
    • Vol.4「四万十川 流れにまかせてカヌー旅」

DVD

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脚注

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脚注

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  1. ^ a b c d 貝のカキのことではなく児童のことである。
  2. ^ 「ガク」の名は、椎名の長男である岳の名をとったものである[5]
  3. ^ 『旅へ 新・放浪記』は2010年にポプラ文庫からも出版された。

出典

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  1. ^ a b c d e 【訃報】野田知佑さん逝去 カヌーイスト・作家”. BE-PAL. 小学館 (2022年3月30日). 2022年4月2日閲覧。
  2. ^ a b “カヌーイスト・作家の野田知佑さん死去 84歳 愛犬「ガク」と各地を旅 著書「日本の川を旅する」など”. スポニチ Sponichi Annex (スポーツニッポン新聞社). (2022年3月30日). https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2022/03/30/kiji/20220330s00041000542000c.html 2022年4月2日閲覧。 
  3. ^ カヌーイストの野田知佑さん死去 作家、チキンラーメンのCMに出演”. 朝日新聞デジタル (2022年3月30日). 2024年4月5日閲覧。
  4. ^ "野田知佑著「川の学校 吉野川・川ガキ養成講座」/「川を守れ」カヌーイストの遺言 徳島この一冊". 徳島新聞デジタル. 徳島新聞. 2022年9月7日. 2024年5月24日閲覧
  5. ^ 野田 2002, p. 21.
  6. ^ a b 野田 2002, p. 203.
  7. ^ 野田知佑『魚眼漫遊大雑記』講談社、1985年8月、281頁。ISBN 978-4-06-202206-4 
  8. ^ 野田知佑さん死去 カヌーイスト・作家「日本の川を旅する」”. 東京新聞 TOKYO Web. 中日新聞社 (2022年3月31日). 2023年1月27日閲覧。

参考書籍

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  • 野田知佑『ともに彷徨いてあり カヌー犬・ガクの生涯』文藝春秋、2002年4月。ISBN 978-4-16-358470-6 

関連項目

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外部リンク

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