精神安定剤

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

これはこのページの過去の版です。Neuroleptics (会話 | 投稿記録) による 2012年2月12日 (日) 08:07個人設定で未設定ならUTC)時点の版 (→‎関連項目)であり、現在の版とは大きく異なる場合があります。

ベンゾジアゼピン系精神安定剤(代表的な精神安定剤 左からユーロジンメイラックスデパスソラナックス

精神安定剤(せいしんあんていざい,Tranquilizer,トランキライザー)は向精神薬のうち、精神状態を安定させる性質を持つ薬物の総称。

抗精神病薬であるメジャートランキライザー(もしくは強力精神安定剤と呼ぶ)と、抗不安薬と呼ばれるマイナートランキライザーに分類されるが、日本で一般に精神安定剤というと、後者を意味する場合が多い。
また、一般的な誤解として、単に前者=強い 後者=弱い と思いがちだが、前者と後者では全く薬理作用が異なる。

これらの薬は脳に直接作用する特徴をもつ。医師の処方せん無しでは入手できない。また、薬事法及び麻薬及び向精神薬取締法により厳しく規制されている。また、これらの薬は乱用すれば麻薬と同様、強い依存や正常な脳に非可逆的なダメージを与えることになる。

メジャートランキライザー

これらは直接脳の中枢に働き、主に脳のドーパミンD2受容体セロトニン受容体を遮断し、ドーパミンの分泌を抑えることにより、脳の状態を安定させるものである。幻覚や妄想、また、マイナートランキライザーでは取り除けないような極度の不安、焦燥感を取り除くことができる(抗ドパミン作用には吐き気を止める効果もある)。また、強い催眠作用を持つ物もあり、睡眠安定剤(睡眠薬)として使用可能なものも存在する。
注意すべき点は、作用が強力な分、副作用も強力であること。
効能は主に統合失調症(幻覚・妄想)や、神経症うつ病による不安、緊張状態の緩和である。
代表的な副作用としては、眠気、注意力の低下、めまい、ふらつき、依存などである。また、重大な副作用として、大脳基底核線状体)のドーパミン受容体(D2受容体)をもブロックしてしまうのでパーキンソン症候群を引き起こしたり、ごく稀ではあるが悪性症候群を起こすことがある。
メジャートランキライザーと呼ばれる物には、定型抗精神病薬と呼ばれる物と、非定型抗精神病薬と呼ばれる物が存在する。後者の方が新薬であり、副作用も少ない。

マイナートランキライザー

主に、脳に直接働きかけ、脳のリラックス系の神経受容体「BZD受容体」に結合することで、不安を和らげたり、気分を落ち着ける精神安定剤である。抗不安薬とも呼ばれる。主にベンゾジアゼピン類などがある。非常に多くの種類があるが、いずれも作用、副作用とも穏やかで、薬剤によって抗不安作用、催眠作用、筋弛緩作用の強さが異なり、またその効き目の持続時間や強さにより、いろいろな種類が使い分けられる。また、効能も至って広域で、内科や産婦人科でも処方されることがある(例えばチエノジアゼピン系であるデパスなどは筋弛緩作用をもち、肩こりなどにも効くので内科でも処方される)。手術を受ける直前に緊張を和らげるためもらえる事もある。睡眠導入剤としても使用できる。
主な副作用としては眠気や注意力の低下、脱力などが上げられる。

関連項目

出典