日本高等学校野球連盟

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日本高等学校野球連盟
Japan High School Baseball Federation
団体種類 公益財団法人
設立 1946年
所在地 大阪府大阪市西区江戸堀1-22-25
中澤佐伯記念野球会館内
法人番号 6120005015208 ウィキデータを編集
起源 全国中等学校野球連盟
主要人物 会長 奥島孝康
活動地域 日本の旗 日本
活動内容 高校野球の統括
ウェブサイト www.jhbf.or.jp
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公益財団法人日本高等学校野球連盟(こうえきざいだんほうじんにほんこうとうがっこうやきゅうれんめい、英語表記はJapan High School Baseball Federation)とは、日本の高校野球(男子)の統轄組織[1]で47都道府県の高等学校野球連盟を組織している。公益財団法人全日本大学野球連盟とともに上部組織として公益財団法人日本学生野球協会を構成している。略称は日本高野連(にほんこうやれん)または高野連(こうやれん)。

概要

戦前に大阪朝日新聞社によって実施されていた全国中等学校優勝野球大会を運営する目的で1946年に結成された全国中等学校野球連盟が母体となっている。

第二次世界大戦終結によって、1947年に学制改革が実施され、中等学校が高等学校へ改組されると全国高等学校野球連盟と改称した。

さらに1963年には文部省から財団法人として認可され、同時に現在の名称へ改称した。

改名などを経た現在でも朝日新聞社との関係は極めて密接であり、中央の上部役員の大多数が元幹部など朝日新聞関係者である[2]

沿革

運営大会

組織構成

常任理事会と9の地区理事会で構成される全国理事会、評議員会、複数の委員会から構成。

  • 総務委員会
  • 財務委員会
  • 審議委員会
  • 審判規則委員会
  • 技術・振興委員会
  • 医科学委員会
  • プロアマ健全化委員会
  • 軟式部委員会
  • 佐伯記念国際交流委員会
  • 野球留学検討委員会
  • 選手権大会運営委員会
  • 選抜大会運営委員会

日本高野連による変革と社会貢献

  • 21世紀枠の創設による、結果だけではない努力の評価による高校球児全体への啓蒙(しかし“努力”の基準も不明瞭、との批判がある)。
  • 2003年には新たに明治神宮枠希望枠を設けた(希望枠は2008年をもって廃止)。これら出場枠を増やす事により、いままでなかなか出場できなかった(主に出場経験のない)高校の野球部にも、モチベーションと活気が戻った。[要出典]
  • 2006年の始球式では、人命救助で社会貢献した京都府立久美浜高等学校野球部の4名を指名した。

日本高野連に関する問題

丸刈りとファッション

  • 公式には、丸刈りを強制も奨励もしておらず、茶や金などへの染色や、長過ぎる髪を認めないのみで、ある程度の長さまでは認めているとする。そのようにはしていない部員のいる学校が甲子園に出場した事もあった。しかし事実上、丸刈りを半強制・奨励しているという事実を否定は出来ない(→高校野球#人気ゆえの問題点(朝日・毎日新聞の論調))。強豪校や伝統校、生徒の多い学校を除いて、学校によっては、少子化や他の人気スポーツがあるため、丸刈りだと野球部に生徒が集まらないという理由で、スポーツ刈りや長髪を認めているところもある。一方で丸刈りが『ファッション』として高校生の間に見直されると、それに対しても苦言を呈した。のカット等にも規制を加えた事例からも、ファッション・メーキャップに関心を持つことは『高校生らしくない』という伝統的価値観がそのまま高野連の見解になっていると考えられる。
  • 高校生らしい』という言葉で表される、伝統的価値観における『高校生のあり方』と現在の高校生の価値観やあり方が乖離していると主張する者もいる。なお「フロムA」が『誰の甲子園だ』中で「『―らしい』とは何か。坊主頭できびきびプレーする事か、ボールの方が速いと分かっていてもベースめがけてヘッドスライディングする事か。そんなのは理想像・イメージでしかないのではないか」と問題提起した事があるが、回答は示されていない。

応援への干渉

  • 1994年の大会では、エイサーの衣装で県代表校の応援に駆け付けた者達が、「奇異」や「華美」だとして連盟から自粛を求められた。沖縄にとっての民族衣装であろうと大会にそぐわなければ警告対象になるという事であり、沖縄県民の反発の声が上がった。
  • 2001年には田中康夫長野県知事が地元の塚原青雲高校の応援に県のマスコットの着ぐるみを連れてきたが、それを中止させた。ただし、これはすでに全出場チームに禁止の通達が出されていたものであり、その通達を破った知事側に問題があるとの指摘もある。
  • 甲子園に出場することが決まると、地元商店街は「出場おめでとう」などの垂幕を設置するなど地元一丸となって応援をすることも多いが、連盟の指導によって企画の中止・変更を要請されることがある。
  • 2001年には、日大三高が夏の大会で優勝した際、町田市が主催した優勝祝賀会が中止となった。東京都高野連側は「優勝祝賀会などは校内で行い、派手なことは避けるというのが高野連の方針。市民祝賀会があるということを把握するのが遅れ、直前になっての指導となった」とした。また、会場周辺の商店街では記念セールが企画されたが中止となった。また、準優勝となった近江高校の地元の小売店が値引きセールをしようとしたが高野連は小売店に対してセール中止要請の文書を送った。これを受け小売店ではセールの一部を中止した。これは自由な商業活動の妨害との批判がある。しかし、2006年早実が優勝した際に国分寺周辺では優勝セールが盛大に行われた。
  • しかし高野連が黙認したケースも存在する。2004年駒大苫小牧が北海道勢初の優勝を決めた際、優勝直後に地元商店で割引セールや振舞酒が行われ、地元パチンコ店で優勝が決まった直後から特別イベントが開催されるなどのフィーバーぶりが起きた。[3]

報道の自由への干渉

  • 青森県では地元の新聞に光星学院の生徒がレポートを掲載していたが、それを中止させた。
  • 2006年の選手権優勝校・早稲田実業が宿泊した旅館で収録されたバラエティー番組めちゃ×2イケてるッ!』で「教育の一環である高校野球の目的から著しく逸脱」する内容があったとして、2007年1月10日付でフジテレビジョンへ抗議文を郵送した。また、東京都の代表校の指定宿泊先から除外した[4](2007年に復帰)。
  • 読売新聞が2007年8月1日から2007年8月3日にかけ、3回シリーズで連載した高野連の在り方や問題点を取り上げた特集記事「高野連ってなに?」[5]の内容について、高野連が読売新聞に対し、記事の訂正と謝罪を求めていると発表した。これに対して読売新聞では、訂正の必要はないとしている[6]

出場停止について

高校野球は日本学生野球協会が定めている学生野球憲章に基づいて運営されている。そのため、学生野球憲章に反した場合には日本学生野球協会がその処分について決定をすることになる。憲章違反が発生すると「日本高校野球連盟は甲子園出場に関する許認可権でも持っているのか」という批判が起こる。また、他のスポーツでは認められ、高校野球でも数十年も前から暗黙の了解として認められていた[要出典]特待生制度を2007年になって突如として認めないことにするなど、「時代にそぐわない」という批判もある。特待生制度に関しては、家庭の事情で学費が払えずに努力して学校に通っている生徒に対しての冒涜だと、世間からの非難を浴び態度を軟化させた。

憲章違反が発生した際の状況に関しては日本学生野球協会審査室に記述がある。

収益

春の選抜高等学校野球大会、夏の全国高等学校野球選手権大会の収益は大会出場校への旅費、滞在費、雑費に還元される。
1校20人(選手18人、責任教師1人、監督1人)を限度とし、参加者にはその代表校の所在地から大阪までの往復普通乗車運賃(新幹線、特急、急行料金を含む)、汽船は普通二等の乗船運賃を支給。沖縄、南北北海道代表校は航空運賃が支給される。

滞在費は抽選日から、その学校の試合終了した日までの日数に対し、1日1人7,500円が支払われる。前年度優勝校が全国大会に出場できなかった場合、優勝旗を返還する主将と同伴の責任教師に、規定による旅費、滞在費と滞在雑費(1人1日2,000円)が支給される。

公式戦への女性選手の出場

現在では、規定で認めていない。しかし2008年、当時の渡海文部科学相はアメリカでは女子選手も一緒にプレーしているという事例を挙げた上で女子の公式戦出場について検討または女子の練習参加を認めるべきとの認識を示した。[7]
なお、現在では全国高等学校女子硬式野球連盟という組織が別にあり全国で6校が加盟、全国大会も行われている。[8][9]
また他の高校スポーツでは男子の大会への女子の出場は一切認められていない。

その他

  • 2005年広島代表校(高陽東)広島市への原子爆弾投下が行われた8月6日午前8時15分に開会式に備えて集合した全チームと共に黙祷をささげようと計画をし、同行していた朝日新聞記者を通じて大会本部にも了承を得ていたにもかかわらず、連盟関係者は「原爆は広島だけのこと。この場でみんなを巻き込むのは良くない」と発言した。さらに、選手を開会式の列から除外させた田名部和裕理事は「落ち着かないだろうと考え、練習場の隅に案内した」と追い出したことを認めた。朝日新聞社は社内の連絡ミスで黙祷の実現ができなかったことを謝罪した。田名部は「広島のことも長崎のことも含めて、大会行事として(終戦記念日の)8月15日正午に黙祷しており、原爆の日の黙祷を全体の行事とするわけにはいかない。」との事であり確かに形式上問題は無かった。しかし、原爆の事を知識としてしか知らず実感のわかない世代が増えるにつれて、こういった黙祷は原爆の事を伝えていく上では行ってもいいのではないかとの反論が上がり、その結果2006年から原爆が投下された8時15分の前後に「静粛な時間」を設け、その間に黙祷を捧げることは任意とすることを高野連が決定した。
  • 2006年に行われた高校野球秋田県大会準決勝本荘高校対秋田高校戦で、秋田高校が雨天ノーゲーム狙いでの遅延行為を行い、本荘高校は敬遠の球を空振り三振する、試合を終了させるため3塁走者がホームスチールを仕掛けタッチアウトになるなどのプレーを行った。本荘高校は審判から緩慢プレーとして注意を受け、秋田県高野連は本荘高校への始末書の提出を求めたが秋田高校は処罰対象とならなかった。
  • 高野連が全国大会において過去に審判の誤審を認めた例は1984年の選抜高校野球佐賀商業対高島高校戦での判定1例のみである。なお、地方大会では多くの例がある。

脚注

  1. ^ 女子硬式野球は存在しない。
  2. ^ 日本高等学校野球連盟 役員名簿
  3. ^ どさんこワイド2004年8月22日放送分、パチスロ必勝ガイド2004年9月号編集後記より
  4. ^ バラエティーとお笑い 高野連は嫌いらしいJ-CASTニュース
  5. ^ (上)憲章タテに巨大影響 (中)税制優遇、収益還元 (下)独自の組織論 変わるか
  6. ^ 高野連が読売新聞社に記事訂正求める 読売新聞サイト、2007年8月14日
  7. ^ 2008年3月28日読売新聞
  8. ^ http://www.girls-baseball.jp/gallery/
  9. ^ 全国高等学校女子硬式野球連盟は日本高等学校野球連盟とは直接には全く関係が無い組織。

関連項目

外部リンク