シュナの旅
Template:漫画 は 廃止されました |
---|
『シュナの旅』(シュナのたび)は、宮崎駿が徳間書店のアニメージュ文庫から出したファンタジー絵物語である。全ページカラー作品、1983年6月初版。英語名はThe Journey of Shuna。
概要
谷の底の小さな王国の王子、「シュナ」という青年の物語である。チベット民話「犬になった王子」(文:君島久子、岩波書店)が元となっている。麦を求めて王子が旅をするという民話で、『シュナの旅』も基本的に同じ構成ではあるが、登場人物・キャラクター等は宮崎独自のもの。
『もののけ姫』の原点であり、設定やストーリーは大きく変更されているものの、登場人物やストーリーの一部に共通点を見ることができる。
登場する人物、動物および世界設定、全体的な雰囲気は『風の谷のナウシカ』にも似通っている。また、この作品に出てくる動物「ヤックル」[1]は、後に『もののけ姫』に、「ミノノハシ[2]」は漫画『風の谷のナウシカ』[3]にも登場する他、『もののけ姫』[4] と『天空の城ラピュタ』[5]に登場している。
スタジオジブリのアニメ映画『ゲド戦記』では原案として使われ、「少年に救われた少女が、物語の最後で少年の心の光を取り戻す」というプロットが共通しているほか、「砂漠に乗り上げた船」「奴隷と人買い」など、映像面にも影響がみてとれる。
登場人物
- シュナ
- 主人公。山深い谷の底にある小国の王子。収穫量が少ない雑穀しか育たず、困窮に喘ぐ国を憂えていたが、行き倒れた旅人から麦の存在を聞き、国を救うために神々の国から麦を持って帰ることを決意し、旅に出る。
- 旅の途中で奴隷商人からテアを助け出す。その後、単身神々の国に乗り込んで麦を入手。その際の苛烈な経験から人間らしさを一切失ってしまうが、テアの手厚く献身的な看病で徐々に自我と人間らしさを取り戻し、テアとともに麦を携えて生まれ故郷の小国への帰還を果たす。
- テア
- ヒロイン。非常にしっかりした娘。言葉を喋ることができない妹がいる。奴隷商人によって妹ともども売り飛ばされそうになっていた矢先、旅の途中のシュナに救われ、神々の国の直前までシュナと行動を共にする。シュナが神々の国へ旅立った後は海辺の小村で妹と暮らしながら彼の帰りをずっと待ち続け、シュナの帰還後は人間性を失ったシュナに常に付き添い、献身的に看病する。
ラジオドラマ
60分のラジオドラマ版が1987年5月2日にNHK-FMのラジオ番組「FMシアター」で全国放送された。録音はデジタル、サラウンドで制作された初のPCMサラウンドドラマと謳われた[6][7]。 2015年9月23日放送のNHK-FMのラジオ番組「今日は一日ラジオドラマ三昧」内で再放送された。
- 旅立ち
- 西へ
- 都城にて
- 襲撃
- 神人の土地へ
- テア
スタッフ
キャスト
脚注
- ^ 『シュナの旅』に出るこの呼称は、一般名詞であるが、『もののけ姫』においては主人公の乗る「アカシシ」を指した固有名詞である。
- ^ なおこの動物が『天空の城ラピュタ』に登場する際、実在の動物だと誤解した色指定の保田道世が演出助手にこの生き物の取材を要望したが、当然どんな文献にも載っておらず、困り果てた助手が宮崎に相談してようやく真相を知ったというこぼれ話がある。
- ^ 第七巻p.134
- ^ 『もののけ姫 スタジオジブリ絵コンテ全集11』(徳間書店)417頁 ヒネネズミ ナメムジナらと共に、シシ神の森に住んでいるという設定
- ^ 天空の城ラピュタ スタジオジブリ絵コンテ全集2(徳間書店)515頁 但し「ミノのハシ」と表記される。
- ^ 「Q and A ANIME」『アニメージュ』1988年4月号。
- ^ 鈴木清人 沢口真生 若林政人「FMサラウンドドラマ「シュナの旅」制作記」『放送技術』1987年9月号、兼六館出版。
関連項目
- ゲド戦記 - 本作品を原案とする映画。
- チベット - 本作品のモデルとなった国。
- オオムギ - 本作品における穀物のモデル。宮崎の心酔する中尾佐助によれば、この作物の起源地は西トルキスタン~ウクライナという。