C-160 (航空機)
C-160 トランザール
C-160 Transall
C-160 トランザール(フランス語表記: C-160 Transall、ドイツ語表記・英語表記: Transall C-160)は、フランスと西ドイツ(当時)が共同開発した軍用輸送機である。一部では民間機としても運用された。双発エンジン。
「トランザール」の名は、フランスと西ドイツの企業が共同出資して設立した「トランスポルト・アリアンツ社 (Transport Allianz Inc.)」の略称に由来する。
歴史
当初は、フランス空軍の輸送機ノール ノラトラの代替として考案され、1963年2月25日に試作機が初飛行した。総計214機が生産され、南アフリカ共和国、トルコ、インドネシアなどにも輸出された[1]。
フランス空軍に納入されたC-160は、空中給油や情報収集など幅広い任務に運用された。生産は、アエロスパシアルとメッサーシュミット・ベルコウ・ブロームによって1972年まで続けられた。
本機は湾岸戦争にも参加しており、25年以上にわたって運用されている。
2020年代初頭、同機種は耐用年数に達しつつある。南アフリカ共和国では1997年に退役している。ドイツ空軍はエアバス社の4発軍用輸送機A-400M アトラスの導入に伴ってC-160を2018年に退役させるべく計画していたが、A-400Mの開発は遅延し、C-160の現役運用は2021年まで延期されることになった[1]。C-160のメンテナンスを請け負ってきたエアバス社は、2021年4月2日、同機種の最後のオーバーホールを終えてドイツ空軍に引き渡した[1]。
運用実績
軍用
- フランス - 開発国。フランス空軍。型式:C-160F、ほか。
- 西ドイツ(→ドイツ) - 開発国。ドイツ空軍(ドイツ連邦空軍)。型式:C-160D、ほか。
- 南アフリカ共和国 - 南アフリカ空軍。型式:C-160Z。1997年退役。
- トルコ - トルコ空軍。型式:C-160D(曲芸飛行機)、C-160T(輸送機)。
- インドネシア - インドネシア空軍。型式:C-160NG。
民間用
派生型
プロトタイプ
- C-160
- 原型機。
第1世代
- C-160Z
- 南アフリカ共和国仕様のA型。
第2世代
- C-160NG
- 後期生産型。燃料タンクの容量を増加し、空中給油装置を設置するなどして航続距離を伸ばしている。フランス空軍とインドネシアの民間航空会社が購入(cf. 民間用)。
- C-160AAA
- 機首と尾部にレドームをつけた早期警戒機。計画のみ。
- C-160S
- 洋上対潜哨戒機。計画のみ。
- C-160H アスタルト (C-160H Astarte)
- 通信中継機。
- C-160G ガブリエル (C-160G Gabriel)
- ECM訓練専用機。
- C-160R
- F型とNG型に延命プログラムを施したもの。
性能・諸元 (第2世代)
出典: Taylor, John W.R. (1982). Jane's All the World's Aircraft 1982-83. Jane's Publishing Company Ltd.. pp. 118-120. ISBN 978-0710607485
諸元
- 乗員: 3名 (操縦士、副操縦士、航空機関士)
- 定員: 武装兵93名(空挺兵であれば61-88名)
- ペイロード: 16,000 kg (35,275 lb)
- 全長: 32.40 m (106 ft 3.5 in)
- 全高: 11.65 m (38 ft 2.75 in)
- 翼幅: 40.00 m(131 ft 3 in)
- 翼面積: 160.00 m2 (1,722 sq ft)
- 空虚重量: 28,000 kg (61,730 lb)
- 最大離陸重量: 51,000 kg (112,435 lb)
- 動力: ロールス・ロイス タイン Mk.22 ターボプロップエンジン、4,549 kW (6,100 ehp) × 2基
性能
- 超過禁止速度: 593 km/h (320 kt ※高度4,875 m以下の場合)
- 失速速度: 177 km/h (95 kt)
- 航続距離: 1,853 km (1,000海里) ※最大搭載量
- 実用上昇限度: 8,230 m(27,000 ft) ※45,000 kg AUW時
- 上昇率: 396 m/分 (1,300 ft/分)
- 離陸滑走距離: 730 m (2,395 ft)
- 着陸滑走距離: 550 m (1,800 ft)
- 翼面荷重: 319 kg/m2 (65.34 lb/sq ft)
- 馬力荷重(プロペラ): 5.61 kg/kW (9.22 lb/shp)
登場作品
映画
ゲーム
- 『Just Cause』
- 「Agency cargo plane」の名称で登場する。大統領専用機として使用されており、最終ミッションで搭乗することになる。
脚注
注釈
- ^ 英語版 "en:Manunggal Air Service" で同サイトが出典として表示された時点。
出典
- ^ a b c d e 「ドイツ空軍のC-160「トランザール」輸送機 2021年末に退役予定 エアバス」『乗りものニュース』株式会社メディア・ヴァーグ、2021年4月7日。2021年4月8日閲覧。
- ^ “Manunggal Air Services” (English). Rzjets.net. 2021年4月8日閲覧。