名手駅

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名手駅
駅舎(2007年1月)
なて
Nate
西笠田 (1.9 km)
(2.8 km) 粉河
地図
所在地 和歌山県紀の川市名手市場56-1
北緯34度16分23.3秒 東経135度26分1.88秒 / 北緯34.273139度 東経135.4338556度 / 34.273139; 135.4338556座標: 北緯34度16分23.3秒 東経135度26分1.88秒 / 北緯34.273139度 東経135.4338556度 / 34.273139; 135.4338556
所属事業者 西日本旅客鉄道(JR西日本)
所属路線 T 和歌山線
キロ程 63.2 km(王寺起点)
電報略号 ナテ
駅構造 地上駅
ホーム 2面2線
乗車人員
-統計年度-
438人/日(降車客含まず)
-2019年-
開業年月日 1901年明治34年)10月1日
備考 無人駅自動券売機 有)
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名手駅(なてえき)は、和歌山県紀の川市名手市場にある、西日本旅客鉄道(JR西日本)和歌山線である。

歴史[編集]

和歌山線の大和二見 - 和歌山(後の紀和駅)間は、私鉄の紀和鉄道により建設された。紀和鉄道では当初から当時の名手村に名手駅を開設する計画があり、1900年(明治33年)6月に行った設計では名手谷川より東側に設置する予定であった[1]。名手村で鉄道の設計協議を行う委員として選ばれたのは、名手谷川の東の穴伏から2人、名手谷川の西の名手市場から2人で、紀和鉄道の原設計に対して、穴伏の委員は異議を唱えなかったものの、名手市場の委員は名手谷川の西に駅を移すべきであると主張して同意しなかった。停車場の位置選定は会社の権限に属することであるとして会社側はこれを拒否し村長に仲裁を求めたものの、村長も仲裁することができなかった[2]。このため、会社側は一旦駅設置の計画を見送ることになった[3]。名手市場やその紀ノ川対岸の麻生津などはミカンの産地でその発送を期待できたこともあり、地元からは駅設置見送りに失望の声が上がったが、会社は機が熟すのを待つということになった[4]

その後、村の設計委員は名手市場の西側の現在地に駅設置を行うならば設計に異議を唱えないと村助役の副署を添えて会社側に承諾書を提出し、停車場用地の寄付を行うこと、設置費用として1,000円を寄付することなどを申し入れた[5]。これにより会社は駅設置の計画を再開することにした。しかしなおも争いがあり、村長は手続きが適正ではなかったので承諾書を取り消すと主張し、助役は適正であるのでそのままでよいと主張し、会社は適正なものとして駅設置の手続きを進めたため、村長側が逓信大臣に陳情書を提出するという事態となった[5]。会社側はあくまで名手市場西側に設置するものとして、名手谷川東に設置を求める意見を拒み、先の逓信大臣への陳情書を取り下げるよう要求したが、村長の更迭騒ぎがあって取り下げが遅れ、その間に逓信大臣から事態の説明を求める文書が送付されるようなことになってしまった[6]。こうした争議を経て、1901年明治34年)10月1日にようやく駅が開設されている。

年表[編集]

その他[編集]

  • 遅くとも1958年以降、全線電化時の1984年10月のダイヤ改正まで、和歌山線の和歌山方 - 五条間で中間駅での折り返しは原則として存在しなかったが、唯一の例外として和歌山方(時期によって現在の和歌山・紀和・和歌山市と変更されている) - 名手間の区間列車が1往復(後述のとおり片道1本の時期も)存在した。時期によって、午前中の運行・夕ラッシュ時の運行、上下1往復の運行・下りのみの運行・上りのみの運行など変更はあった。1984年10月以降は上り1本が和歌山 - 名手間は定期列車・名手 - 五条間は毎日運転の臨時列車となり名手発着便は実質消滅し、1985年3月改正の臨時運転区間のα列車化を経て、1986年3月改正で同列車が全区間定期列車化されたことにより名手発着便は名実ともに消滅した。なお、1984年10月のダイヤ改正で和歌山 - 粉河間の区間列車が昼間時に毎日運転の臨時列車として4往復設定され、1985年3月改正でα列車化・増便の上、1986年3月改正でこれらの列車が定期列車化されたことにより、この地域での運転区間の節目が実質名手から粉河へ移行したとも言える。

駅構造[編集]

相対式2面2線のホームを持つ行違い可能な地上駅。上り(1番)ホーム側に駅舎があり、下り(2番)ホームへは粉河寄りの無蓋跨線橋で連絡している。

橋本駅が管理する無人駅。一部の列車を除き、すべての扉は開かない。

便所は、男女共用の汲み取り式

のりば[編集]

のりば 路線 方向 行先
1 T 和歌山線 上り 橋本五条方面[9]
2 下り 粉河和歌山方面[9]

利用状況[編集]

1日の平均乗車人員は以下の通りである[10]

乗車人員推移
年度 1日平均人数
1998 844
1999 808
2000 739
2001 715
2002 630
2003 607
2004 607
2005 576
2006 583
2007 565
2008 582
2009 552
2010 576
2011 540
2012 537
2013 558
2014 553
2015 555
2016 527
2017 491
2018 490
2019 438

駅周辺[編集]

隣の駅[編集]

西日本旅客鉄道(JR西日本)
T 和歌山線
快速(粉河駅以東各駅停車)・普通
西笠田駅 - 名手駅 - 粉河駅

脚注[編集]

  1. ^ 『紀和鉄道沿革史』pp.134, 139
  2. ^ 『紀和鉄道沿革史』pp.134 - 135
  3. ^ 『紀和鉄道沿革史』pp.136 - 137
  4. ^ 『紀和鉄道沿革史』p.137
  5. ^ a b 『紀和鉄道沿革史』pp.137 - 138
  6. ^ 『紀和鉄道沿革史』pp.139 - 141
  7. ^ a b c d e 石野哲(編)『停車場変遷大事典 国鉄・JR編 Ⅱ』(初版)JTB、1998年10月1日、362頁。ISBN 978-4-533-02980-6 
  8. ^ 2020年春ダイヤ改正について』(PDF)(プレスリリース)西日本旅客鉄道和歌山支社、2019年12月13日。 オリジナルの2021年1月4日時点におけるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20210104022914/https://www.westjr.co.jp/press/article/items/191213_00_wakayama.pdf2021年1月8日閲覧 
  9. ^ a b 名手駅|時刻表:JRおでかけネット”. JRおでかけネット. 西日本旅客鉄道. 2022年9月27日閲覧。
  10. ^ 『和歌山県統計年鑑』及び『和歌山県公共交通機関等資料集』

参考文献[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]