ロメオとジュリエット (プロコフィエフ)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索

ロメオとジュリエット』(ロシア語: Ромео и Джульетта、英語:Romeo and Juliet)は、ソ連作曲家セルゲイ・プロコフィエフが作曲したバレエ音楽である。イギリスの劇作家シェイクスピアによる悲劇『ロミオとジュリエット』に基づく。バレエ音楽からプロコフィエフ自身によって管弦楽組曲3つとピアノ独奏用組曲1つが作られている。

演出家でありシェイクスピア学者でもあるラドロフ、ギリシャ劇の権威である劇作家のピオトロフスキー、振付師ラブロフスキーらの協力を得て台本を作成し、1935年に52曲からなる全曲を完成させたが、そのときの筋立ては、終幕でロメオが1分早く駆けつけジュリエットが生きていることに気付きハッピーエンド、という内容になっていた。ハッピーエンドにした理由は、バレエの振付のため、生きている人は踊ることができるが死者は踊れないという理由であったことを、プロコフィエフは自伝の中で述べている。その後、振付家たちと相談し、悲劇的な結末を踊りで表現できることがわかり、原作どおりの結末にして終曲を書き改めた。

バレエは当初、レニングラード・バレエ学校創立200年祭で上演される予定だったが、酷評されて契約を撤回された。そこでプロコフィエフは組曲を2つ作り、バレエの初演に先行して第1組曲を1936年にモスクワで、第2組曲を1937年にレニングラードで発表した。バレエはその後、1938年12月30日チェコスロヴァキアの国立ブルノ劇場で、セムベロヴァ主演、プソタ振付により初演された。ブルノでの初演が成功を収めたことで、レニングラードのキーロフ劇場は態度を改め、1940年1月11日にラブロフスキーの演出・振付、ウィリアムスの美術、ファイエルの指揮、ガリーナ・ウラノワのジュリエット、セルゲーエフのロメオでソヴィエト初演が行われた。

バレエ[編集]

『ロメオとジュリエット』 Op.64[編集]

第1幕
第1曲 前奏曲
第1場
第2曲 ロメオ
第3曲 街の目覚め
第4曲 朝の踊り
第5曲 喧嘩
第6曲 決闘
第7曲 大公の宣言
第8曲 間奏曲
第2場
第9曲 舞踏会の準備
第10曲 少女ジュリエット
第11曲 客人たちの登場(メヌエット)
第12曲 仮面
第13曲 騎士たちの踊り
第14曲 ジュリエットのヴァリアシオン
第15曲 マーキュシオ
第16曲 マドリガル
第17曲 ティボルトはロメオを見つける
第18曲 ガヴォット(客人たちの退場) ※古典交響曲の第3楽章を改作して転用
第19曲 バルコニーの情景
第20曲 ロメオのヴァリアシオン
第21曲 愛の踊り
第2幕
第3場
第22曲 フォーク・ダンス
第23曲 ロメオとマーキュシオ
第24曲 五組の踊り
第25曲 マンドリンを手にした踊り
第26曲 乳母
第27曲 乳母はロメオにジュリエットの手紙を渡す
第4場
第28曲 ローレンス僧庵でのロメオ
第29曲 ローレンス僧庵でのジュリエット
第5場
第30曲 民衆のお祭り騒ぎ
第31曲 一段と民衆の気分は盛り上がる
第32曲 ティボルトとマーキュシオの出会い
第33曲 ティボルトとマーキュシオの決闘
第34曲 マーキュシオの死
第35曲 ロメオはマーキュシオの死の報復を誓う
第36曲 第2幕の終曲
第3幕
第37曲 前奏曲
第6場
第38曲 ロメオとジュリエット
第39曲 ロメオとジュリエットの別れ
第40曲 乳母
第41曲 ジュリエットはパリスとの結婚を拒絶する
第42曲 ジュリエットひとり
第43曲 間奏曲
第7場
第44曲 ローレンス僧庵
第45曲 間奏曲
第8場
第46曲 ジュリエットの寝室
第47曲 ジュリエットひとり
第48曲 朝の歌
第49曲 百合の花を手にした娘たちの踊り
第50曲 ジュリエットのベッドのそば
第4幕
第9場
第51曲 ジュリエットの葬式
第52曲 ジュリエットの死

編成[編集]

フルート2、ピッコロ、オーボエ2、コーラングレ、クラリネット2、バス・クラリネット、テナー・サクソフォーン、ファゴット2、コントラファゴット、ホルン6、トランペット2、コルネット、トロンボーン3、チューバ、ティンパニ、打楽器(奏者5:グロッケン、シロフォン、タンブリン、フィールド・ドラム、トライアングル、マラカス、シンバル、大太鼓、小太鼓)、ハープ、オルガン、ピアノ、チェレスタ、弦5部ヴィオラ・ダモーレ

演奏時間[編集]

約2時間半(全曲版)

演奏会用組曲(管弦楽)[編集]

RR5115-0025R.gif

プロコフィエフが編んだ組曲がそのまま演奏されることは少なく、主に組曲第1番、第2番から数曲を抜粋して演奏することが多い。

『ロメオとジュリエット』組曲第1番 Op.64bis[編集]

1936年11月24日、モスクワのボリショイ劇場でセバスチャンの指揮により初演。

  1. フォーク・ダンス
  2. 情景
  3. マドリガル
  4. メヌエット
  5. 仮面
  6. ロメオとジュリエット
  7. ティボルトの死

編成[編集]

フルート2、ピッコロオーボエ2、コーラングレクラリネット2、バス・クラリネットファゴット2、コントラファゴットテナー・サクソフォーントランペット2、コルネットホルン4、トロンボーン3、チューバティンパニ打楽器(奏者5:グロッケンシロフォンタンブリンフィールド・ドラムトライアングルシンバル大太鼓小太鼓)、ハープピアノ弦5部

『ロメオとジュリエット』組曲第2番 Op.64ter[編集]

1937年4月15日、レニングラードで作曲者の指揮により初演され、現在でもこの第2番が一番多くコンサートで演奏される。

  1. モンターギュー家とキャピュレット家
  2. 少女ジュリエット
  3. 僧ローレンス
  4. 踊り
  5. 別れの前のロメオとジュリエット
  6. アンティル諸島から来た娘たちの踊り
  7. ジュリエットの墓の前のロメオ

演奏時間[編集]

約30分

楽器編成[編集]

フルート2、ピッコロオーボエ2、コーラングレクラリネット2、バス・クラリネットファゴット2、コントラファゴットテナー・サクソフォーントランペット2、コルネットホルン4、トロンボーン3、チューバティンパニ打楽器(奏者2:グロッケンタンブリントライアングルシンバル大太鼓小太鼓マラカス)、ハープピアノチェレスタ弦5部ヴィオラ・ダモーレ(任意)

『ロメオとジュリエット』組曲第3番 Op.101[編集]

1946年3月8日、モスクワでデクチャレンコの指揮により初演。

  1. 噴水の前のロメオ
  2. 朝の踊り
  3. ジュリエット
  4. 乳母
  5. 朝の歌
  6. ジュリエットの死

編成[編集]

フルート2、ピッコロオーボエ2、コーラングレクラリネット2、バス・クラリネットファゴット2、コントラファゴットトランペット3、ホルン4、トロンボーン3、チューバティンパニ打楽器(奏者2:グロッケンタンブリントライアングルウッドブロックシンバル大太鼓小太鼓、)、ハープピアノチェレスタ弦5部

ピアノ組曲[編集]

バレエ『ロメオとジュリエット』からの10の小品 Op.75[編集]

1937年にモスクワで作曲者自身により初演。

  1. フォーク・ダンス
  2. 情景
  3. メヌエット
  4. 少女ジュリエット
  5. 仮面
  6. モンターギュー家とキャピュレット家
  7. 僧ローレンス
  8. マーキュシオ
  9. 百合の花を手にした娘たちの踊り
  10. ロメオとジュリエットの別れ

その他[編集]

  • 第1幕第2場第13曲「騎士たちの踊り」(モンタギュー家とキャピュレット家)は、日本では上野樹里主演のテレビドラマのだめカンタービレ』の挿入曲や、1990年シャネルから発売された香水、エゴイストのテレビCMや、2006年にはソフトバンクモバイルのCM「予想GUY」などのBGMとして使用された。また、オランダのバンド・Epicaによるヘヴィメタルバージョンも存在する。
  • イギリスのロックバンド、エマーソン・レイク・アンド・パーマーのアルバム「ブラック・ムーン」(1992年)にロックにアレンジされたものが収録されている。
  • イギリスのロックバンド、ザ・スミス(The Smiths)のライヴの前に流されていた。
  • イギリスのロックバンド、MUSEが2007年6月16、17日のウェンブリー・スタジアム公演で登場時に使用した。
  • 2001年4月、ロストロポーヴィチ指揮、リトアニア国立バレエ団、新日本フィルハーモニー交響楽団による公演では、息絶えたロメオとジュリエットが舞台上に横たわるシーンで、ロストロポーヴィチが指揮台を離れて舞台へ歩み寄り、ロメオとジュリエットの手を取って重ね合わせる、という演出があった。これはかつてロシアの名ダンサーであり、ロシア国立ボリショイ劇場バレエの元芸術監督でもあったウラジミール・ワシーリエフによる振付である。