ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ

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ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ

ムスティスラフ・レオポリドヴィチ・ロストロポーヴィチロシア語: Мстислав Леопольдович Ростропович, Mstislav Leopol'dovich Rostropovich, 1927年3月27日 - 2007年4月27日 )はアゼルバイジャン(旧ソビエト連邦)出身のチェリスト指揮者ピアニスト。とくにチェリストとしては、20世紀後半を代表する巨匠として知られた。名前の一部と「光栄」を意味するロシア語の単語に由来するスラヴァの愛称でも親しまれた。

妻のガリーナ・ヴィシネフスカヤ声楽家

目次

[編集] 略歴

[編集] チェリストとして

チェリストとしてのロストロポーヴィチは、圧倒的な技巧と豊かな音量に裏付けられた、スケールの大きな表現性で広く知られた。レパートリーはバロック音楽から現代音楽まで幅広い。

プロコフィエフ交響的協奏曲チェロ協奏曲第1番の改作、1952年)、ショスタコーヴィチの2つのチェロ協奏曲(第1番 1959年、第2番 1966年)、ブリテンチェロ交響曲(1964年)、ブリスのチェロ協奏曲(1970年)をそれぞれ初演した。このほか、カバレフスキーハチャトゥリアンルトスワフスキジョリヴェデュティユーシュニトケバーンスタイン外山雄三ら、20世紀の代表的な作曲家が競ってロストロポーヴィチのために作曲しており、ロストロポーヴィチに捧げられた現代作品は170を超すといわれる。このように、ロストロポーヴィチの存在がチェロの現代レパートリーを大きく拡大したといえる。主としてEMIクラシックスに数多くの録音がある。1995年にはバッハ無伴奏チェロ組曲の録音がリリースされた。

室内楽では、ホロヴィッツリヒテルギレリスアルゲリッチコーガンオイストラフら世界的演奏家と共演した。

[編集] 指揮者・ピアニストとして

指揮者としては、ショスタコーヴィチやプロコフィエフ、ブリテンの解釈者として知られ、『エフゲニー・オネーギン』『ムツェンスクのマクベス夫人』『トスカ』などオペラの指揮や録音も多い。イギリスではロンドン交響楽団とのつながりが強く、同楽団と1991年「プロコフィエフ生誕100周年記念音楽祭」、1993年「ブリテン音楽祭」、1988年「ショスタコーヴィチ、炎の音楽」などのシリーズを催した。また、マキシム・ヴェンゲーロフ(ヴァイオリン)やハンナ・チャン(チェロ)など若手演奏家をソリストに迎えての協奏曲の演奏や録音も多い。合唱指揮者としては、セルゲイ・ラフマニノフの「徹夜禱」などの録音がある。ピアニストとしては、妻ガリーナをはじめとした歌手の伴奏者として評価が高い。

[編集] その他

ロストロポーヴィチは芸術や言論の自由を擁護する立場から、さまざまな活動を繰り広げた。とりわけソビエト時代に物理学者アンドレイ・サハロフを擁護したことや、ソルジェニーツィンに別荘の車庫を仕事場として提供し、4年間かくまったことが知られる。人道的活動にも情熱を注ぎ、ガリーナ夫人とともに、子供の医療改善をめざすヴィシネフスカヤ=ロストロポーヴィチ財団を設立した。同趣旨の活動の一環として、ユネスコ親善大使にも就任した。

同じく反体制亡命芸術家として、映画監督のアンドレイ・タルコフスキーとも友人であり、1986年のパリの聖アレクサンドル・ネフスキー寺院におけるタルコフスキーの葬儀では、バッハ無伴奏チェロ組曲を捧げ、泣き崩れた。

これらの経歴により、世界文化賞、ドイツ勲功十字賞、イギリスの最高位勲爵士、フランスのレジオンドヌール勲章(コマンドール)、スペインのカタロニア国際賞、アメリカの自由のための大統領メダル、スウェーデン極北賞、ロイヤル・フィルハーモニー協会ゴールド・メダル、レーニン賞、人権同盟の年間賞、高松宮殿下記念世界文化賞など、30ヶ国を超える国々から130以上もの賞を授与され、音楽家としておそらく史上最も多くの勲章を受けているといわれる。このほか各国で40以上の名誉学位を与えられた。

親日家としても知られ、1958年に大阪国際フェスティバルで初来日して以降、たびたび来日した。指揮者小澤征爾や九重親方(元横綱千代の富士)と親しかった。寿司が大好きで、来日の際には必ず東京の築地市場を訪れたという。1980年代のソビエトから国籍が剥奪されている間は、ヤマハのジュニアオリジナルコンサートの宣伝インタビューのような仕事も、好んで受けていた。美智子古希のお祝いに来日、今上天皇夫妻臨席の下でチャリティー・コンサートを開くなど、日本の皇室との親交も深かった。

[編集] 参考文献

  • エリザベス・ウィルソン 『ロストロポーヴィチ伝 巨匠が語る音楽の教え、演奏家の魂』 音楽之友社、2009年。ISBN 978-4276217249
  • ソフィア・ヘントヴァ 『ロストロポーヴィチ—チェロを抱えた平和の闘士』 新読書社、2005年。ISBN 978-4788060173
  • アレクサンドル・イヴァシキン 『栄光のチェリスト ロストロポーヴィチ』 春秋社、2007年。ISBN 978-4393935187


[編集] 外部リンク

先代:
ドラーティ・アンタル
ワシントン・ナショナル交響楽団音楽監督
1977–1994
次代:
レナード・スラットキン