ラムネ (清涼飲料)

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ラムネ

ラムネlemonade の転訛)は日本で広く愛飲される清涼飲料水である。

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[編集] 概要

水に砂糖ブドウ糖果糖溶液を加え、フレーバーライムレモンの香りをつけた甘い炭酸飲料で、特定メーカーのブランド商品ではなく、一般名詞的に複数のメーカーから発売されている。清涼な風味のほか、独特の形状をしたガラス瓶の清涼感もあいまって夏の風物詩として長く親しまれてきた。大日本帝国海軍の艦艇においては消火設備として炭酸ガス発生装置が設置されており、これを転用してラムネ製造器として乗組員の嗜好品として供給した事も相まって、戦前から広く庶民に親しまれた。

ラムネという名称は英国からもたらされたレモネードが転訛したものであり、独特な瓶の意匠もこのとき同時に持ち込まれたもので、明治初期に神戸旧居留地のシム商会が日本で初めて製造と販売を行った。明治5年5月4日1872年6月9日)には日本人に初めてラムネ製造の許可が下り、のちに5月4日は「ラムネの日」となった。1995年には日本ラムネ協会が設立された。

イチゴ味メロン味といった非柑橘系フルーツ風味のラムネも存在し、これらはレモネード(レモン水)という原義に立ち返れば明らかに語義矛盾である。しかしこれらのバリエーションラムネの存在は「ラムネとは日本で独自の発展を遂げた独特の容器に封入されたフルーツ系の風味のついた炭酸飲料」と広く認識されていることの証左と捉えれば、「ラムネはラムネ」でありレモネードとは別種の飲料であると了解しうると指摘されている[1]。しかしながら最近ではワサビ味のラムネや、カレー味のラムネ[2]といった上記の理解を越えるラムネも存在する。また、北海道白糠町産の紫蘇を原料にした鍛高ラムネが存在し人気を集めている。近年は日本食ブームにより海外への輸出も行われている。

[編集] 容器

ラムネ玉

特有の瓶とほぼセットの形で知られている商品であり、かつては代表的な炭酸飲料として広く飲まれていたが、ガラス瓶に王冠で栓をする技術の普及や、飲料の登場でシェアは小さくなっている。それに伴い専用瓶のメーカーも少なくなった。発祥の地であるイギリスでは、すでにこの瓶は全く使用されていないと言われている。

瓶には、上から5分の2ほどの位置にくびれが設けられており、口とくびれの間にラムネ玉と呼ばれるガラス球が封入されている。この瓶に飲料を充てんし、間髪をいれずに瓶をひっくり返すと、内部の炭酸ガスの圧力でラムネ玉が口部のゴムパッキンに押し付けられ、瓶が密閉される。すなわち、炭酸飲料の内圧だけを利用して密封する仕組みであった。金属やコルクの栓を使う普通のガラス瓶飲料と異なり、栓まで含めてリサイクルが可能なリターナブル容器ということになる。瓶は洗浄して再使用され、状態にもよるが平均で25回使用されるといわれる。しかし実際には子供たちがラムネ玉目当てに瓶を破壊してしまうことも多かった。またラムネ玉があるために、タバコの吸殻をはじめとした異物が入っている場合に洗浄が非常に困難になるという問題もある。

中身を飲む際は、ラムネ玉を瓶内に押し込むことにより内圧を逃がすことで開栓する。このときのため専用の凸型をした器具・「ラムネ開け」が用意されている。なお、開栓の際に瓶を斜めに傾けると泡を出さずに開けることができる。ラッパ飲みやコップに注ぐ際に瓶を傾けると、押し込まれたラムネ玉が再び上がって口を塞いでしまうことがあるが、多くの瓶には口の手前にくぼみが付いており、そこに玉を引っ掛けるとこれを防ぐことができる。

瓶製造の際は、広口に成型しておいた瓶にラムネ玉を入れてから口を熱してすぼめるという工程がとられる。近年では、洗浄しやすくするために瓶口がプラスチックとなり、中のラムネ玉をとるために口の部分を通常とは違う右回り(時計回り)にひねっていくとキャップがはずせるようになっている。この改良には、以前の100%ガラス製の瓶に比べて風情がないとの声も聞かれる。また、瓶の口の部分がプラスチックであると、熱伝導係数の関係で唇につけたとき「ひんやり」した感覚が無く、飲み味が劣る。

最近では使い捨てのPET容器のラムネも登場している。ゴミ分別のため、やはり容易に蓋を外してガラス玉を取り出せる構造になっている。

100%ガラス製の瓶はコストが高いため、現在国内では新品の生産は行われておらず、再使用品のみである。

因みにラムネ玉(エー玉)の規格外のものがビー玉(B玉)であるという俗説があるが、根拠が無い可能性が強い(ビー玉の項目を参照)。

[編集] 法律

ラムネはびん詰めコーヒー飲料等と同様、中小企業の事業活動の機会の確保のための大企業者の事業活動の調整に関する法律(中小企業分野調整法)に基づき中小企業に独占的に生産されており、大企業は製造に参入出来ない。

[編集] 脚注・参照

  1. ^ アーサー・ビナードNHK教育視点・論点』「美しい国のラムネ」2007年2月2日(金)22:50~23:00
    ニューズウィーク日本版 2006年12月13日号
    『ラムネと防衛の形骸化でまがい物を飲まされる(Lemonade and missile Fizz)』
  2. ^ 木村飲料[1]

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク

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