ラグタイム

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ラグタイム (ragtime) は、1897年(記載ある最初の楽譜の出版年)から1918年(第一次大戦前後)[1]にかけて集中的に、アメリカを中心としつつ世界的に流行した、音楽ジャンルである。

歴史[編集]

起源[編集]

19世紀後半頃から、アフロ・アメリカン(黒人)のミュージシャンが、主にピアノ演奏を中心に自らのルーツ音楽を基本とするシンコペーションを多用した(右手の)メロディーと、マーチに起因する(左手の)伴奏を癒合させた独特の演奏スタイルを編み出してゆき、これが従来のクラシック音楽のリズムとは違う「遅い・ずれた」リズムと思われたことから「ragged-time」略して「ragtime」と呼ばれるようになった、といわれている。(決定的な説では無い)[要出典]

1897年〜1918年[編集]

ラグタイムは20世紀初頭のアメリカで流行した。スコット・ジョプリンは、ラグタイム王と呼ばれ、ラグタイム時代において最も有名なアメリカ合衆国の演奏家・作曲家となった。ラグタイムは歌曲が中心であったことから、当時、短時間しか録音できなかったレコードピアノロール、短時間しか再生できなかった自動ピアノなどに取り入れられ、アメリカの20世紀文明とともに急速に広まった。

このリズムを用いた楽曲が「ポピュラーソング」として第一次世界大戦後まで好んで歌われた。当時、ロシア革命や第一次世界大戦後の動乱でヨーロッパを追われた著名作曲家たちも新大陸でこのリズムに出会いルビンシュタインなどがラグタイムの作曲を試みたりしている。

1919年以降[編集]

このラグタイムに影響を受けたのがジョージ・ガーシュインであり、1919年彼はラグタイム風の楽曲「スワニー英語版」を作曲し、アル・ジョルソンに見いだされて一躍スターダムにのし上がることになる。

特徴[編集]

リズム的側面[編集]

リズム的特長としては「シンコペーション」と呼ばれるリズム構成が主体で、これは拍の弱部を強調する事によって、従来のクラシック音楽とは異なる印象を与えることができる。音階的には音階が上がるとき(アップビート)よりも下がるとき(ダウンビート)のときに拍が強調され、これは「裏拍の強調」とも呼ばれ、聴く者に意外感を与える効果を持つ。また「シンコペーション」の別定義では「中間音の省略」といった記述もあり、これは小節の間、もしくはその終わり、あるいは小節から小節へ移るとき、休止符を置く、または音符そのものを省いてしまうことにより、リズムにスピード感が増し、それが結果的に曲そのもののスピード感を増すことにもつながる。この「裏拍の強調」はその後の「ジャズ」にも受け継がれ、今日のロックやポップスなどのポピュラーソングの基本として、その手法は健在である。また、そのスピード感の強調はヨーロッパへ輸出され、いわゆる「ユーロビート」の源流となった。

自由な演奏を彷彿とさせる曲が多いが、クラシック音楽と同様に即興性はほとんど無く、キッチリと作曲されていて演奏も楽譜どおり正確に行われることが多い。

音楽理論的側面[編集]

狭義の調性(長調と短調)を持つ音楽である。すでにセカンダリー・ドミナントによる内部転調が用いられている。

出典[編集]

  1. ^ Berlin, Edward. “Ragtime”. The Grove Music Dictionary. Oxford University Press. 2009年6月29日閲覧。

関連項目[編集]