ライセンス感染

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ライセンス感染(ライセンスかんせん)は、コピーレフト著作物、主にソフトウェアを利用する場合において、原著作物のライセンスがその二次的著作物にも適用されることを比喩的に表現したスラングである。またそのようなライセンスを感染性ライセンス、ウイルス性ライセンス(Viral license)という。

このような、原著作物のライセンスがその二次的著作物に適用されるライセンスの性質は、感染性ウィルス性 (viral) と俗称されることがあり[1]、当該ライセンスが、ある著作物から二次的著作物へ、さらにその二次的著作物へと伝わることを、ウィルス感染することに喩えたものである。この語句は主に、独占的にソフトウェアを扱いたい企業や、BSDスタイルのライセンスに代表される、原著作物のライセンスと同じものを二次的著作物に適用しなくてもよいライセンスを支持する立場の者によって用いられる。

国によって異なるが、例えば日本国著作権法28条によれば、原著作物の著作権者は、二次的著作物の利用に関して、二次的著作物の著作権者が有するものと同一の種類の権利を専有するとされている。つまり、コピーレフトに限らず、他人の著作物の利用の際には通常、ライセンスの感染性は付き纏うものと考えられる。しかし、コピーレフトという考えが登場した時期はまだソフトウェア分野における法整備が不充分であり、改変プログラムの権利の範囲が不明確であったという背景があった。それが故、ソフトウェア分野において、単純に原著作者が二次著作物の著作権者が有するものと同一の種類の権利を占有するとは言い切れなかったのである。このような背景から生まれたコピーレフトなライセンスには、そのライセンスが二次著作物にも適用されることがライセンス条項に定められており、これこそがライセンスの感染性を示すものとなっている。対して、上に挙げたBSDスタイルのライセンスでは、二次的著作物に同じライセンスを適用する必要はない。言い換えると、BSDスタイルのライセンスを採用する時点で、原著作物の著作権者が法律によって当然に有すると定められている権利の一部を放棄しているのである。その結果、ここに挙げられているようなライセンスの感染性はなくなることになる。

このようなライセンス感染性に対して、コピーレフトなライセンスの支持者は、自発的感染や他ライセンスへの攻撃を行うようなウィルス的なものではないと主張し、その上で、ライセンスの伝播という性質は、フリーソフトウェアの自由が二次著作物においても最大限に確保されるためには必要なことであると主張している。

類似のスラングに、コピーレフトの代表格であるGPL由来のソースコードが何らかの理由によって他のライセンスのソフトウェアに混ざることにより、ソフトウェア全体にGPLが適用されてしまうことを指して、GPL汚染(GPLおせん)というスラングも存在する[2]。商用ソフトウェアにおいてGPL由来のソースコードが混ざっていたがために、ソフトウェア全体のソース公開を余儀なくされたケースが過去にある[3]が、それらもGPLの感染性に由来するものである。

脚注[編集]

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  1. ^ Speech Transcript - Craig Mundie, The New York University Stern School of Business” (2001年5月3日). 2011年2月7日閲覧。
  2. ^ オープンソース版のAsteriskを販売できますか?”. 日経BP. 2011年4月29日閲覧。
  3. ^ 「Windows 7」移行支援ツールにGPLコードが含まれていた--MS、認める”. 2011年4月29日閲覧。 - 左記の記事には、関連記事検索のために「GPL汚染」というタグが付与されている