フランクフルト市電S形電車

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フランクフルト市電S形電車
S形(201、2005年撮影)
基本情報
運用者 フランクフルト市交通公社(VGF)ドイツ語版
製造所 ボンバルディア・トランスポーテーション
製造年 2003年 - 2007年2013年
製造数 74両(201 - 274)
投入先 フランクフルト市電ドイツ語版
主要諸元
編成 3車体連接車、両運転台
軌間 1,435 mm
電気方式 直流750 V
架空電車線方式
設計最高速度 70 km/h
編成定員 着席64人
折り畳み座席6人分
立席115人
車両重量 40.5 t
全長 30,040 mm
全幅 2,400 mm
全高 3,490 mm
床面高さ 低床率70 %
主電動機出力 105 kw
出力 240 kw
備考 主要数値は[1][2][3][4]に基づく。
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S形は、ドイツフランクフルト路面電車路線のフランクフルト市電ドイツ語版で使用されている電車超低床電車)である[1][2][3][4]

概要・運用[編集]

ドイツ大都市であるフランクフルト・アム・マイン市内を走るフランクフルト市電ドイツ語版には、1993年以降車内全体が低床構造となっている超低床電車R形が導入された。だが、導入後は騒音や振動、電気機器の不調などのトラブルが頻発し、製造メーカー側の対応も不十分であった事から、市電を運営するフランクフルト市交通公社(VGF)ドイツ語版はR形の導入契約を打ち切り、代わりとしてボンバルディア・トランスポーテーションが展開するフレキシティ・クラシックを導入する事を発表した[3][5]

フレキシティ・クラシックは前後に従来の路面電車車両で用いられていた回転軸や車軸を有する動力台車を設置した連接車で、そのうちフランクフルト市電に導入されたS形は両運転台式の3車体連接車である。R形と異なり、動力台車が存在する箇所は床上高さが高くなっているため車内にはステップが存在しており、完全な超低床電車ではない(部分超低床電車)が、その一方で走行時の信頼性や騒音・振動の削減、線路の摩耗減少などの効果が得られる他、既存の路面電車車両の技術を用いる事でR形よりも安価での導入が可能となっている。低床部分に存在する乗降扉は幅1.3 mの両開き式になっており、目印として黄色のピクトグラムが貼られている他、車内には黄色の手すりが備わっている。また車内には車椅子ベビーカーが設置可能なフリースペースがあり、冷暖房も完備されている。塗装にはVGFの標準塗装であるスバルビスタブルー(青緑色)が用いられている[1][2][3][4][6]

2003年から2007年にかけて65両(201 - 265)が導入された他、2013年にも9両(266 - 274)が増備された。2020年現在、フランクフルト市電の主力車両として全系統で使用されている。また3両(262 - 264)については2010年に開通したスウェーデンストックホルム市内線(Spårväg City)スウェーデン語版へ貸し出され、車両の増備が行われた翌2011年まで使用された後返却されている[4][7]

脚注[編集]

注釈[編集]

出典[編集]

  1. ^ a b c S carriage”. VGF. 2020年10月8日閲覧。
  2. ^ a b c Frankfurt Straßenbahn Typ S”. Rhein-Main-Verkehrsverbund. 2020年10月8日閲覧。
  3. ^ a b c d Neil Pulling (2018-9). “Systems Factfile No.131 Frankfurt am Main, Germany”. Tramways & Urban Transit No.969 (LRTA) 81: 344-349. http://www.bowe.cc/techlib/pdf/Tramways_and_Urban_Transit_vol81_no969_1553334695.pdf 2020年10月8日閲覧。. 
  4. ^ a b c d Der Fuhrpark der VGF”. VGF (2016年5月18日). 2020年10月8日閲覧。
  5. ^ Harry Hondius (2002-7/8). “Rozwój tramwajów i kolejek miejskich (2)” (PDF). TTS Technika Transportu Szynowego (Instytut Naukowo-Wydawniczy „SPATIUM” sp. z o.o): 33. http://yadda.icm.edu.pl/yadda/element/bwmeta1.element.baztech-article-BGPK-0379-2650/c/Hondius.pdf 2020年10月10日閲覧。. 
  6. ^ Stefan Vockrodt (2010年4月). “Die Revolution Flexity Classic – Niederflur auf Drehgestellen”. STRASSENBAHN MAGAZIN. 2020年10月8日閲覧。
  7. ^ “Päätepysäk”. Raitio (SUOMEN RAITIOTIESEURA RY): 29. (2010-3). ISSN 0356-5440. https://www.raitio.org/lehdet/Raitio_2010_3.pdf 2020年10月8日閲覧。.