パンツァーフロント

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パンツァーフロント (PANZER FRONT) はエンターブレイン販売、シャングリ・ラ開発の戦車戦シミュレーションゲームシリーズ。第二次世界大戦のヨーロッパなどを舞台に、戦車を操って戦闘を行うゲームである。略称は「パンフロ」。

以上の3作品が発売されている。

概要[編集]

第二次世界大戦の戦場で、シナリオごとの勝利条件をクリアーすることを目的とする。基本的にストーリーやキャラクターは設定されておらず[1]、プレイヤーが希望するシナリオを自由に選んでプレイする形になっており、シナリオのクリア成績が他のシナリオに影響を及ぼす事は無い。独・米・ソの3軍からの視点で、それぞれ複数のシナリオが用意されており、シナリオごとのクリア得点が記録される。

シナリオモードがレコードおよびクリア対象の基本モードとなっているが、シナリオモードに登場する戦車を変更可能なフリーモードが用意されている。敵味方の戦車を自由に設定してプレイする事ができ、敵味方の車両の入れ替えや非設定(登場させない)にすることも可能。ただし、シナリオの内容自体は変わらないため、陣営や通信内容は元のシナリオモードのままである。クリアしても得点は記録されない。

プレイヤーは自車両1両を1人で動かすシステムになっており、現実に置き換えれば戦車長(索敵および状況判断)、操縦手(移動)、砲手(砲塔の操作および攻撃)の三役をこなすことになる。砲弾の装填は自動であるが、弾種はプレイヤーが設定する。ただし、戦車長はCPUとして自車両に設定されており、自動で画面外の敵を発見して報告したり[2]、攻撃や回避、弾種の変更等の指令を車内通信(ゲーム中は字幕で演出される)という形で表示することにより、プレイヤーへの指示、アドバイスも行う[3]

故障、砲弾の種類等、非常にリアリティを重視した作品で、攻撃・被弾時のダメージは砲の口径、弾種、装甲の厚さ、角度など概ね実戦に即した要素により決まる。そのため自車の備砲が小口径、敵が重装甲、距離が遠い等の場合に、数十発撃ち込んでもまるでダメージが入らない(入っていないように見える)事が多々発生する。装甲の耐久値の概念が一般のHP制と異なり、ダメージを蓄積させて撃破するのではなく、砲弾が装甲を貫くか弾かれるかのどちらかであるため、一旦敵に主砲弾を弾かれた場合、射撃条件(距離、角度、弾種等)を変えない限りは何発撃ち込んでも撃破できることは少ない。

ただし、敵味方の各戦車には状態異常ステータスが設定されており、被弾により状態異常を引き起こすことがある。キャタピラ破損(移動不可)・主砲破損(主砲射撃不可)の2種類の状態異常があり、被弾時にランダムで発生する[4]。特に主砲破壊が発生すると相手の戦車はほぼ戦闘不能になるため、撃破にならない射撃でも意味が無いわけではない。また、状態異常の発生は非常に稀なため期待は出来ないが、小隊を指揮できるシナリオであれば、敵を撃ち続けて注意を自車に向け、その間に味方を敵の側面に回りこませて敵を撃破させる、といった応用も可能。

独自の架空戦車[編集]

無印版とbis.には実在の戦車の他に、著名なデザイナーらによる史実上存在しない架空戦車が登場する。

PANZER FRONT bis.[編集]

bisはフランス語でアンコールを意味するため、bis.は続編というようりもリニューアル版というほうが正しい。ゲームシステムは細かなゲームバランスの変更などが施されているが、前作である無印版とほぼ同じとなっている。マップ・ユニットなども同一のものが登場するが、前作の内容に加えて以下の追加要素がある。

  • 戦車の追加(14両。三式中戦車四式中戦車を含む)
  • マップの追加(8面。日本の串良を含む)
  • コンストラクションモード(プレイヤーによるシナリオの作成)
  • コンストラクションに付属して10本のサンプルシナリオ
  • ストーリーモード(キャラクターデザイン:出渕裕、CGムービー制作:サンライズ[5]
  • 音声の追加

システム面も少々変化があり、砲弾が装填されているとき、砲弾の種類をかえると、その砲弾を抜き取ってから再装填する、という細かな部分も追加されている。

ほか、コンピューターのみだが、多砲塔戦車のT-35や装甲列車が出たりもする。それもあるが、コンストラクションで、プレイヤー車両に登録することによって、野砲や輸送車も操ることが可能ともなった。様々な面で世界が広がり、すべてクリアしたことによる「作業化」や、「飽き」を延ばすことができる。

また、一部の戦車には、「秘孔」という穴が存在し、そこに被弾すると問答無用で破壊されてしまうというものがある。基本的に戦車はポリゴンで構成され、各部分の装甲設定は15箇所以上に及ぶ。そこで、いくつかの戦車には、装甲値が未設定の箇所があったり、装甲厚が間違っていたり、ポリゴンの構成上、隙間ができてしまう場合がある。これは、前作よりも、設定が細かくなったことによって、その設定のまま拡張したためこうなったものもいくつかある。簡単にいうとバグであるが、三式中戦車の車体正面上部、T-34-85の車体斜め後ろ、などに存在する。これ以外にも、ショートブルがやけに弱いのもこのバグであり、E-79の防盾の左右にも厚みが薄く設定されている部分がある。E-79の場合、この秘孔はИС-2に1500mからでも貫通されるが、一応ある程度の防御力はある(およそ80mm~100mmあたり)T-34-85の秘孔は、ポリゴンの隙間なのか、機銃でも貫通してしまうことが確認された。

串良シナリオについて

bis.で追加された「串良」はシリーズで唯一の日本を舞台としたシナリオ[6]で、鹿児島県の串良において日本軍戦車隊が米軍戦車隊を迎え撃つというもの。本土決戦は行われなかったので架空の戦いであるが、史実で米軍は1945年11月に九州南部に上陸し、飛行場(串良飛行場や鹿屋飛行場など)を奪取するオリンピック作戦(ダウンフォール作戦を参照)を計画していた。また、串良マップは実際の串良の地形や地名を参考にして作られている。

1945年11月4日、志布志湾から上陸してきた米軍のシャーマン戦車およびパーシング戦車は串良川を渡って鹿屋航空基地方面へ続々と進出してくる。これに対しプレイヤーは三式中戦車を操作し、十三塚と呼ばれる地点より展開、四式中戦車(宇野沢車)1両を含む小隊を指揮して戦う。火力や防護力が上回る複数の敵戦車を相手にするため、正攻法での攻略が難しいシナリオである。

PANZER FRONT Ausf.B[編集]

Ausf.Bは1940〜1941年のアフリカ戦線を中心としたシナリオ展開で、ヨーロッパ戦線のシナリオはメルドープが1つのみ収録されている。今作では枢軸国側と連合国陣営の両方をプレイ可能である。

開発期間の短縮[7]ゆえに、総マップ数は7つ(当初の予定はシナリオ12~18面、トレーニングマップ2面)のみであった。前作のbis.と比べバグ、登場車両数、音声、エディタ機能が無いといった様々な面でボリューム不足が生じ、その割に通常版では値段が高めということが不評であった。

前作からの変更点として、評価が高い点
  • PS2ということでグラフィックは向上した。しかし、フレームレートの低下や、歩兵の造形など、全てが向上したとは言い難い。
  • 1マップにおける最大戦車数や、大量の歩兵、歩兵の戦車への攻撃など、単純な戦車戦ではなく、歩兵・飛行機を交えた戦闘が繰り広げられ、戦略性や臨場感が向上した。
  • マップの大きさは4倍となり、さらに戦略的なプレイができる反面、プレイ時間は長くなった。
  • 着弾判定は極めてリアルであり、戦車の装甲厚は装甲の中空部、エンジンまで細かく設定され、貫通した場合車内における跳弾、貫通しなくとも跳弾の衝撃・破片で乗員が負傷することまで再現されている。[8]
評価が低い点
  • 登場車種の少なさ。加えて車種設定で本来は存在しないティーガーIT-34九七式中戦車はプレイできるが、パンターティーガーIIIV号戦車G型やH型も登場しない。
  • bisで追加された通信音声は、今作では断念された。
  • 指示の複雑化、車両数の多さに処理落ちが発生する。
  • 砲弾の入射角が浅い場合、I号戦車ですら大口径弾を弾くという現象が発生する。
  • ほか、オプションの少なさ、ゲーム時間が冗長に過ぎるといった点も挙げられる。

本作はリアルさを追求したことへの評価がある反面、「リアルさ=おもしろさ」とは限らないというジレンマに陥っているという意見もある。

海外のPAL版では、M4シャーマンM3スチュアート等の新戦車追加、バグ修正といった改善がなされている。 次回作の情報もあるが、確定した情報ではない。

出典・脚注[編集]

  1. ^ ただし、演出として著名な軍人が通信としてのみ登場することがある。(例:ヴィットマン等)
  2. ^ 例:『3時方向に敵戦車!』等
  3. ^ 例:『弾かれた!次弾装填急げ!』 『危険だ!狙われている!』 『榴弾では効果が無いぞ!』等
  4. ^ 状態異常は見た目ではわからないが、戦車長が通信で教えてくれる。
  5. ^ CGムービー製作に関わった小畑正好は、後にMS IGLOO製作の際、本作での経験が生かされたと語っている。 http://www.msigloo.net/sp/inter2_02.html
  6. ^ トレーニングシナリオは除く。
  7. ^ http://www.enterbrain.co.jp/game_site/pzf/ausfb/arekore02.html 公式サイト 製作のあれこれ
  8. ^ http://www.enterbrain.co.jp/game_site/pzf/ausfb/arekore01.html 公式サイト 製作のあれこれ

外部リンク[編集]