ドラゴンフルーツ
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ドラゴンフルーツ (dragon fruit) 、またはピタヤ (pitaya) は、サボテン科ヒモサボテン属のサンカクサボテンの果実を指す。中国語名、火龍果/火龙果(ピン音: huǒlóngguǒ)。メキシコおよび中南米原産。日本では果皮が黄色いものを区別してピタヤ(イエローピタヤ)と呼んでいるが、ピタヤは本来サンカクサボテンの果実の総称であり、ドラゴンフルーツとはピタヤの一品種に付けられた商品名である。ベトナム、マレーシアなど東南アジア、台湾、中国南部とイスラエルなどで主に栽培されている。近年になって、日本においても沖縄や九州での農業栽培がされている。
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[編集] 果実の特徴
果実はアボカド程度の大きさと形をしており、表面にサボテン科果実特有の葉のような緑色の突起物がある。果皮は光沢のある鮮やかな赤色が代表的だが黄色のものもある。果肉は白もしくは赤いゼリー状で豊富な果汁を含んでおり、一面に胡麻粒のような黒い種子がある。この種子は取り除かずに果肉ごと食べられるため、果肉を食べたときにキウイフルーツと同じようなショリショリとした食感がある。栄養素は、アルプミン、アントシアン、ブドウ糖、リン酸、ポリフェノール、食物繊維、カロチン、カルシウム、鉄、ビタミンB1・B2・B3、ビタミンCなどが含まれており、健康食品として注目されている。赤肉種に含まれる色素は強烈で、天然色素として染料や口紅などに使われる程なので衣服などに付着すると洗っても取れなくなる。
ホワイトドラゴンはほのかな甘味と酸味を持ち、レッドドラゴンはホワイトドラゴンより甘くほのかな酸味を持つ。イエローピタヤは、ホワイトドラゴンやレッドドラゴンよりも甘くさっぱりとしていて酸味はない。ピンクドラゴンは濃厚な甘味を持ち、一般に出回っているドラゴンフルーツの中では最も甘い[1]。ゴールデンドラゴンはホワイトドラゴンよりも更に薄味と評されており、ミニドラゴンはホワイトドラゴンに近い味と評されている。
日本では一般的に味が薄い(もしくは無い)と誤解されているドラゴンフルーツだが、日本で流通しているものの殆どは輸入品であり、これらは日持ちさせるために未熟果の段階で収穫されている。しかしドラゴンフルーツはほとんど追熟しない果物なので、その結果として味が薄いという感想を抱く事になる。また、一番流通量が多くて殆どの人が目にするのは白肉種であり、未熟なためかこれが果物というより野菜と言った風味のために、これも前述の感想を抱く要因の一つとなっている。きちんと樹上で完熟されたドラゴンフルーツは甘いものなのだが、代わりに日持ちがしなくなるために中々流通せず、そうしたものを日本で目にする機会は非常に少ない。
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ドラゴンフルーツHylocereus undatus |
ドラゴンフルーツ果肉の赤い品種Hylocereus costaricensis |
ピタヤ(イエローピタヤ) Selenicereus megalanthus |
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中国では火龙果と呼ばれ安価で売られている。(大連の市場) |
[編集] 園芸植物としてのドラゴンフルーツ
近年日本では園芸用としてこのサボテンの人気が上がってきており、苗木は標準和名のヒモサボテンではなく「ドラゴンフルーツ」という園芸名で流通している。そのため、果実だけでなくこの品種自体を示す名前として「ドラゴンフルーツ」は広まり始めている。
非常に強壮なサボテンで、寒さに弱い点を除けばこれといって手のかかる事はない。日当たりが良く、水はけの良い土壌に植え付けるだけで誰でも簡単に栽培できる。ただ、自由に成長させると10メートル程にもなる大型サボテンで、新芽も1年で1メートル以上伸びる事がままあるので狭い場所では栽培が困難である。
登攀(とうはん)性の植物であるため自立はしないので支柱が必要。1メートル~2メートル以上の大きさに育った株の下垂した枝に花が付くので、1メートルほど上方に伸ばしたら摘心し、そこから新たに出た枝を紐で縛って下に誘引(見た目が開いた傘のような感じになる)してやると良い。あまり伸ばしすぎると管理に支障を来たすので、ある程度の大きさになったらそれ以上伸びた部分は切り詰める。
冬に8度以下になる地域では、鉢植えにして室内に取り込んでおけば後は断水気味に栽培すれば越冬可能。霜や雪、凍結に注意すれば枯らすことはまず無いだろう。農薬や化学肥料などは必要とせず、時々有機肥料をやるくらいで良い。ただ、果実を充実させる為に3月頃に追肥してやった方が味の良い物が出来る。
日本では「果実」だけを食するのが普通であるが、原産国では食用サボテンとして「花(蕾)」も「葉肉」も食べられており、捨てるところのない植物として重宝されている。
[編集] ミニドラゴンフルーツ
ミニドラゴンフルーツ(Hylocereus属)は、ドラゴンフルーツの矮性品種。石化月下美人という名で販売されている事もある。成長しても20センチ~40センチ程にしかならないので、比較的狭い場所でも栽培可能。栽培方法もドラゴンフルーツとさほど違いが無いが、支柱は使わずとぐろを巻いたような独特な株姿を楽しむ。
[編集] 品種
日本では販売する側からして非常に大まかな区別しかしていないために、流通しているもののほとんどは正しい品種名が不明。実際には20種類を軽く越える品種が存在し、品種改良により新たな品種も生まれ続けている。
- 白肉種(Hylocereus undatus)…「ホワイトドラゴン」、「ホワイトピタヤ」などの商品名で販売。栽培が簡単で収穫量も多いため、ドラゴンフルーツの中では最大の生産量を誇る。自家親和性なので特に授粉に気を使う事は無い。他に「ミニドラゴンフルーツ」と呼ばれる物もあり、これも自家親和性。
- 赤肉種(Hylocereus costaricensisとHylocereus polyrhizusの2種)…「レッドドラゴン」、「レッドピタヤ」などの商品名で販売。自家不親和性と自家親和性の2種類があり、自家不親和性のものは別の品種を植えなければ実が付かない。
- 黄皮白肉種(Hylocereus polyhizus)…「ゴールデンドラゴン」という商品名で販売。主にニュージーランド産のものが入ってきている。後述のイエローピタヤとは別物。
- 黄皮白肉種(Selenicereus megalanthus)…「イエローピタヤ」、「ゴールデンピタヤ」、「イエロードラゴン」などの商品名で販売。主にコロンビア産のものが入ってきている。これは前述のゴールデンドラゴンとは別属のSelenicereus属の果実で、Hylocereus属の物とは果実の形が異なる。自家親和性だが人工授粉した方が実の付きが良くなる。
- 桃肉種…「ピンクドラゴン」という商品名で販売。日本で交配された品種と海外で交配された品種がある。日本産は白肉種(Hylocereus undatus)と赤肉種(Hylocereus ocanponis:明の明星)の交配種で、今のところはこれ一種類しかない。桃肉種は最新品種のためまだ一般の流通ルートなどで見かける事はあまりなく、通信販売などでの限定生産がメイン。海外のものは白肉種(Hylocereus undatus)と赤肉種(Hylocereus polyrhizus)の交配種で、数種類存在する。しかし、海外産の品種は日本では今の所流通していない。
[編集] 脚注
- ^ 商業栽培には適さず、市場に出回らない品種の中には更に糖度の高いものも存在する。

