ソルトレイクシティオリンピックにおけるフィギュアスケート競技

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ソルトレイクシティオリンピックにおけるフィギュアスケート競技は、2002年2月9日から2月21日までの競技日程で実施された。

概要[編集]

会場はソルトレイクシティ市内にあるソルトレイクアイスセンターで実施された。競技種目は以下の、男子と女子のシングル、ペア、アイスダンスの4種目である。エキシビションは2月22日に設定された。

ペアでは、当初ロシアのベレズナヤ&シハルリドゼ組がショートプログラムフリースケーティングともに1位となり金メダル、カナダのサレー&ペルティエ組がショートプログラム、フリースケーティングともに2位となり銀メダルとなったが、不正採点疑惑により、双方のフリースケーティングの結果を無効とし、ベレズナヤ&シハルリドゼ組とサレー&ペルティエ組の双方に金メダルの授与を決定した。このためベレズナヤ&シハルリドゼ組とサレー&ペルティエ組の順位点ならびにフリースケーティングの結果は明記されない。

男子シングルではヤグディンとプルシェンコのロシア頂上決戦に大きな注目が集まった。これまでハイレベルな接戦を演じてきた両者であったが、ショートプログラムにおいてプルシェンコが4回転ジャンプでまさかの転倒で4位、自力優勝の可能性が消滅する中、ヤグディンがショート・フリーともに1位の完全優勝を果たした。

女子シングルではクワンとスルツカヤの一騎打ちが予想されたが、両者がフリースケーティングでミスをする中、新鋭のサラ・ヒューズが3回転―3回転コンビネーションジャンプを次々に成功させ優勝をさらった。スルツカヤの点数の低さに関しても疑問の声が上がった。

競技結果[編集]

男子シングル[編集]

順位 名前 国・地域 順位点 SP FS
1 アレクセイ・ヤグディン ロシア ロシア 1.5 1 1
2 エフゲニー・プルシェンコ ロシア ロシア 4.0 4 2
3 ティモシー・ゲーブル アメリカ合衆国 アメリカ合衆国 4.5 3 3
4 本田武史 日本 日本 5.0 2 4
5 アレクサンドル・アブト ロシア ロシア 7.5 5 5
6 トッド・エルドリッジ アメリカ合衆国 アメリカ合衆国 10.5 9 6
7 マイケル・ワイス アメリカ合衆国 アメリカ合衆国 11.0 8 7
8 エルビス・ストイコ カナダ カナダ 11.5 7 8
9 李成江 中国 中国 12.0 6 9
10 アンソニー・リュウ オーストラリア オーストラリア 15.0 10 10
11 フレデリック・ダンビエ フランス フランス 16.5 11 11
12 ケビン・ヴァン・デル・ペレン ベルギー ベルギー 19.5 13 13
13 イワン・ディネフ ブルガリア ブルガリア 20.0 12 14
14 ブライアン・ジュベール フランス フランス 20.5 17 12
15 ステファン・ランビエール スイス スイス 24.0 16 16
16 張民 中国 中国 24.5 19 15
17 バフタン・ムルバニゼ グルジア グルジア 26.0 18 17
18 ドミトリー・ドミトレンコ ウクライナ ウクライナ 28.5 21 18
19 ロマン・スコルニアコフ ウズベキスタン ウズベキスタン 29.0 20 19
20 李運飛 中国 中国 30.0 14 23
21 セルゲイ・ダヴィドフ ベラルーシ ベラルーシ 31.5 15 24
22 竹内洋輔 日本 日本 32.0 24 20
23 ゲオルゲ・チッパー ルーマニア ルーマニア 32.5 23 21
24 Sergei RYLOV アゼルバイジャン アゼルバイジャン 33.0 22 22
以下フリースケーティングに進めず
25 ゾルタン・トート ハンガリー ハンガリー 25
26 アンジェロ・ドルフィーニ イタリア イタリア 26
27 Margus HERNITS エストニア エストニア 27
28 イ・キュヒョン 韓国 韓国 28
棄権 エマニュエル・サンデュ カナダ カナダ
  • SP:ショートプログラム - 2月12日
  • FS:フリースケーティング - 2月14日
  • エントリー:20ヶ国/29選手

女子シングル[編集]

順位 名前 国・地域 順位点 SP FS
1 サラ・ヒューズ アメリカ合衆国 アメリカ合衆国 3.0 4 1
2 イリーナ・スルツカヤ ロシア ロシア 3.0 2 2
3 ミシェル・クワン アメリカ合衆国 アメリカ合衆国 3.5 1 3
4 サーシャ・コーエン アメリカ合衆国 アメリカ合衆国 5.5 3 4
5 村主章枝 日本 日本 8.5 7 5
6 マリア・ブッテルスカヤ ロシア ロシア 8.5 5 6
7 ジェニファー・ロビンソン カナダ カナダ 11.0 8 7
8 ユリア・セベスチェン ハンガリー ハンガリー 11.0 6 8
9 ビクトリア・ボルチコワ ロシア ロシア 16.0 12 10
10 シルビア・フォンタナ イタリア イタリア 17.5 11 12
11 エリナ・ケットゥネン フィンランド フィンランド 18.0 18 9
12 ガリーナ・マニアチェンコ ウクライナ ウクライナ 18.5 15 11
13 サラ・マイアー スイス スイス 20.5 9 16
14 エレーナ・リアシェンコ ウクライナ ウクライナ 21.0 16 13
15 レティシア・ユベール フランス フランス 22.0 14 15
16 ヴァネッサ・グスメロリ フランス フランス 22.0 10 17
17 恩田美栄 日本 日本 22.5 17 14
18 ユリア・ソルダトワ ベラルーシ ベラルーシ 29.0 22 18
19 イドラ・ヘーゲル クロアチア クロアチア 30.5 23 19
20 ヴァネッサ・ジュンキ イタリア イタリア 30.5 21 20
21 ズザナ・バビャコヴァー スロバキア スロバキア 31.0 20 21
22 モイツァ・コバチ スロベニア スロベニア 31.5 19 22
23 ログザナ・ルカ ルーマニア ルーマニア 35.0 24 23
棄権 タチアナ・マリニナ ウズベキスタン ウズベキスタン 13
以下フリースケーティングに進めず
25 ステファニー・ザン オーストラリア オーストラリア 25
26 パク・ビンナ 韓国 韓国 26
27 ユリア・レベデワ アルメニア アルメニア 27
  • SP:ショートプログラム - 2月19日
  • FS:フリースケーティング - 2月21日
  • エントリー:19ヶ国/27選手

ペア[編集]

順位 名前 国・地域 順位点 SP FS
1 エレーナ・ベレズナヤ & アントン・シハルリドゼ ロシア ロシア 1
1 ジェイミー・サレー & デヴィッド・ペルティエ カナダ カナダ 2
3 申雪 & 趙宏博 中国 中国 4.5 3 3
4 タチアナ・トトミアニナ & マキシム・マリニン ロシア ロシア 6.0 4 4
5 伊奈恭子 & ジョン・ジマーマン アメリカ合衆国 アメリカ合衆国 7.5 5 5
6 マリア・ペトロワ & アレクセイ・ティホノフ ロシア ロシア 9.0 6 6
7 ドロタ・ザゴルスカ & マリウス・シュデク ポーランド ポーランド 11.0 8 7
8 カテジナ・ベラーンコヴァー & オット・ドゥラボラ チェコ チェコ 11.5 7 8
9 龐清 & 佟健 中国 中国 14.0 10 9
10 Jacinthe LARIVIERE & Lenny FAUSTINO カナダ カナダ 16.5 13 10
11 張丹 & 張昊 中国 中国 16.5 9 12
12 アナベル・ラングロワ & パトリス・アルケット カナダ カナダ 18.0 14 11
13 ティファニー・スコット & フィリップ・デュレボーン アメリカ合衆国 アメリカ合衆国 18.5 11 13
14 マリアナ・カウツ & ノルメン・イェシュケ ドイツ ドイツ 21.0 12 15
15 アリオナ・サフチェンコ & スタニスラフ・モロゾフ ウクライナ ウクライナ 22.0 16 14
16 タチアナ・チュバエワ & ドミトリー・パラマルチュク ウクライナ ウクライナ 23.5 15 16
17 オリガ・ベシュテンディゴヴァー & ヨゼフ・ベシュテンディク スロバキア スロバキア 25.5 17 17
18 ナタリア・ポノマレワ & エフゲニー・スヴィリドフ ウズベキスタン ウズベキスタン 27.0 18 18
19 Michela COBISI & Ruben De Pra イタリア イタリア 28.5 19 19
20 Maria KRASILTSEVA & Artem ZNACHKOV アルメニア アルメニア 30.0 20 20
  • SP:ショートプログラム - 2月9日
  • FS:フリースケーティング - 2月11日
  • エントリー:12ヶ国/20組

アイスダンス[編集]

順位 名前 国・地域 順位点 C1 C2 OD FD
1 マリナ・アニシナ & グウェンダル・ペーゼラ フランス フランス 2.0 1 1 1 1
2 イリーナ・ロバチェワ & イリヤ・アベルブフ ロシア ロシア 4.0 2 2 2 2
3 バーバラ・フーザル=ポリ & マウリツィオ・マルガリオ イタリア イタリア 6.0 3 3 3 3
4 シェイ=リーン・ボーン & ヴィクター・クラーツ カナダ カナダ 8.0 4 4 4 4
5 マルガリータ・ドロビアツコ & ポヴィラス・ヴァナガス リトアニア リトアニア 10.0 5 5 5 5
6 ガリト・チャイト & セルゲイ・サフノフスキー イスラエル イスラエル 12.0 6 6 6 6
7 アルベナ・デンコヴァ & マキシム・スタビスキー ブルガリア ブルガリア 14.0 7 7 7 7
8 カティ・ウィンクラー & レネ・ローゼ ドイツ ドイツ 16.0 8 8 8 8
9 エレーナ・グルシナ & ルスラン・ゴンチャロフ ウクライナ ウクライナ 19.0 10 10 10 9
10 タチアナ・ナフカ & ロマン・コストマロフ ロシア ロシア 19.0 9 9 9 10
11 ナオミ・ラング & ピーター・チェルニシェフ アメリカ合衆国 アメリカ合衆国 22.2 12 11 11 11
12 マリー=フランス・デュブレイユ & パトリス・ローゾン カナダ カナダ 23.8 11 12 12 12
13 シルヴィア・ノヴァク & セバスチアン・コラシンスキー ポーランド ポーランド 26.0 13 13 13 13
14 Eliane HUGENTOBLER & Daniel HUGENTOBLER スイス スイス 28.4 15 15 14 14
15 Marika HUMPHREYS & Vitali BARANOV イギリス イギリス 30.4 16 16 15 15
16 イザベル・ドロベル & オリヴィエ・シェーンフェルダー フランス フランス 31.2 14 14 16 16
17 クリスティン・フレイザー & イゴール・ルカニン アゼルバイジャン アゼルバイジャン 34.6 17 17 18 17
18 フェデリカ・ファイエラ & マッシモ・スカリ イタリア イタリア 35.4 18 18 17 18
19 ナタリア・グディナ & アレクセイ・ベレツキー イスラエル イスラエル 38.0 19 19 19 19
20 カテジナ・コヴァロヴァー & ダヴィト・シュルマン チェコ チェコ 40.4 21 21 20 20
21 ユリア・ゴロヴィナ & オレグ・ボイコ ウクライナ ウクライナ 43.4 22 22 21 22
22 張維娜 & 曹憲明 中国 中国 44.0 23 23 23 21
23 Beata HANDRA & Charles SINEK アメリカ合衆国 アメリカ合衆国 44.2 20 20 22 23
24 ヤン・テファ & イ・チョングン 韓国 韓国 48.0 24 24 24 24
  • C1:コンパルソリーダンス1 - 2月15日
  • C2:コンパルソリーダンス2 - 2月15日
  • OD:オリジナルダンス - 2月17日
  • FD:フリーダンス - 2月18日
  • エントリー:17ヶ国/24組

各国メダル数[編集]

国・地域
1 ロシア ロシア 2 3 0 5
2 アメリカ合衆国 アメリカ合衆国 1 0 2 3
3 カナダ カナダ 1 0 0 1
フランス フランス 1 0 0 1
5 中国 中国 0 0 1 1
イタリア イタリア 0 0 1 1

女子シングル競技での暫定順位の変動[編集]

女子シングル競技では一般にはわかりにくい順位決定が発生した[1]。ショートプログラム4位で自力優勝は絶望と見られていたサラ・ヒューズが、ショートプログラム1位のミシェル・クワン、2位のイリーナ・スルツカヤ、3位のサーシャ・コーエンを逆転して優勝した。 ショート4位の選手が優勝するということは、旧採点では非常に珍しいことではあるが、それ自体に異常性があるわけではない。しかし、この結末は、以下の二点において旧採点の非常に分かりにくい部分を露呈することとなった。

席次による順位決定

この時のフリー演技におけるサラ・ヒューズの合計点は103.8点(技術点52.0点+芸術点51.8点)で、スルツカヤの獲得した103.9点(52.1点+51.8点)より低かった。ヒューズはショートプログラムでもスルツカヤより下位(スルツカヤ2位、ヒューズ4位)であり、さらにフリー・プログラムでもスルツカヤより合計点は低かったヒューズの優勝は、点数を基準に順位が決定されるとしたらあり得ないことである。 しかしショートプログラム、及びフリーのそれぞれでの順位決定方法は単純な合計点数ではなく、ジャッジごとの各選手の相対的な順位(席次)の付け方によって決定されることとなっていた。

フリーの合計点が低かったサラ・ヒューズの方がフリー1位となったのは次の理由による。順位を決定する際に、技術点+芸術点の合計で順位をつけるのではなく、ジャッジごとに高順位をつけた人数が多い選手を上位とするというルールであった。そして出場した選手中でヒューズに最も高い点を出したジャッジが5人だったのに対し、スルツカヤに最も高い点を出したジャッジは4人であった。そのためフリーの演技で獲得した点数はスルツカヤの方が多かったにも関わらず、1位と採点したジャッジが多かったヒューズがスルツカヤを抑えてフリー1位となったのである。そして最終順位の決定方法は、ショートの順位×0.5 + フリーの順位×1.0 で決定される。ヒューズがフリー1位となり、ショートと合計した順位点ではスルツカヤと3.0で並んだが、順位点が並んだ場合はフリーの順位が優先されるため金メダルを獲得することとなった。

競技の進行による暫定順位の入れ替わり

女子シングルの最終滑走者はイリーナ・スルツカヤであった。スルツカヤの滑走前時点での暫定順位は以下のようになっており、サラ・ヒューズの暫定順位は2位であった。

順位 選手名 ショート順位 フリー順位 順位点
1位 ミシェル・クワン 1位(0.5) 2位(2.0) 2.5
2位 サラ・ヒューズ 4位(2.0) 1位(1.0) 3.0
3位 サーシャ・コーエン 3位(1.5) 3位(3.0) 4.5

しかし、スルツカヤがフリーで2位に入ったことにより、ミシェル・クワンの順位点が1点増え、ヒューズの順位点は変わらなかったため、最終順位は以下のようにヒューズの1位という結果になった。

順位 選手名 ショート順位 フリー順位 順位点
1位 サラ・ヒューズ 4位(2.0) 1位(1.0) 3.0
2位 イリーナ・スルツカヤ 2位(1.0) 2位(2.0) 3.0
3位 ミシェル・クワン 1位(0.5) 3位(3.0) 3.5
4位 サーシャ・コーエン 3位(1.5) 4位(4.0) 5.5

脚注[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]