サラミス (戦艦)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索
本艦の完成予想図

サラミス (Salamis)はギリシャ海軍第一次世界大戦前に建造を計画した、最初にしての最後の超弩級戦艦である。艦名は「サラミスの海戦」に因む。

計画[編集]

本級は、トルコ海軍イギリスに発注した超弩級戦艦「レシャディエ(イギリス海軍エリン」として竣工)」に対抗するべく計画された艦である。

当初は「14インチ砲6門搭載で速力23ノット以上、基準排水量15,000トン」を目標として設計され、発注はドイツフルカン社(同社は清国海軍戦艦「定遠」「鎮遠」の設計・建造の経験あり)に設計を依頼した、同社は「13.800トン、35.6cm砲6門、15.2cm砲8門、対12インチ防御、速力23ノット」というまずまずの設計第一案を返した。しかし、この案は海軍当局からの反対とオスマン帝国海軍の更なる増勢が予測された為に火力と防御力が不足であると却下され、更なる強力化を行った第三案が考案された。これは、「35.6cm砲8門、15.4cm砲12門、3ポンド砲8門、20インチ水中魚雷発射管3門」へと変更されており、主砲と副砲の火力がそれぞれ前案の1.5倍になっていた。それに伴い艦形が大型化し、排水量は19,500トン、全長は170mを超え、砲配置を背負い式に換えたために列強の超弩級戦艦と比べても遜色の無い艦となった。しかし主砲の35.6cm砲は当時のドイツでは手に入らず、アメリカからの輸入で対処する事となっていた。

艦形[編集]

外観は低く、どっしりとした安定感をかもし出している。船体は平甲板型船体で、垂直に切り立った艦首から新設計の「USA Mark1 35.6cm(45口径)砲」を連装砲塔に収め、1・2番主砲塔を背負い式に2基搭載配置した。司令塔を組み込んだ操舵艦橋航海艦橋両脇には耳のような見張り台(船橋:せんきょう)を全幅一杯に張り出している。操舵艦橋を基部として頂上部に射撃方位盤室を載せた三脚式の前部マスト前向きに立つ。

その背後には2本煙突が立つ。煙突の間隔は離されており、その間は艦載艇置き場となっており、2番煙突の前方に設けられたジブ・クレーン1基により運用された。2番煙突の後ろに後部三脚マストが後向きに立ち、後部甲板上に後向きの3・4番主砲塔が背負い式に2基配置された。副砲の「15.2cm(50口径)速射砲」は船体中央部の舷側ケースメイト配置で単装砲架を等間隔に片舷6基ずつ計12基を配置した。その他に対水雷艇迎撃用に7.6cm単装速射砲を艦橋左右と後檣基部に2門ずつの片舷4基で計8基装備した。51cm水中魚雷発射管は艦首に1門、艦尾に並列で2門の計3門装備した。

兵装[編集]

主砲[編集]

本級の主砲はアメリカ製の「1914年型 35.6cm(45口径)砲」を採用した。その性能は重量635kgの主砲弾を最大仰角15度で射距離21,030mまで届かせる事ができる性能で、射距離18,290mで舷側装甲170mmを、射距離10,920mで305mmを貫通できる性能であった。これを新設計の連装砲塔に納めて4基を搭載する予定であった。砲塔の俯仰角能力は仰角15度・俯角5度で旋回は首尾線方向を0度として左右150度の旋回角度を持っていた。発射速度は毎分1.25発であった。

副砲、その他武装等[編集]

本級の副砲は「Marks 6 1903年型 15.2cm(50口径)速射砲」を採用した。その性能は重量47.7kgの砲弾を最大仰角15度で射距離13,720mまで届かせる事ができる性能であった。発射速度は毎分6発、ケースメイト式の仰角は15度・俯角10度で動力は人力を必要とした。射界は舷側配置のために100度であった。その他に対水雷艇用に7.5cm速射砲を12基、対艦攻撃用に51m水中魚雷発射管を単装で3基を装備した。

防御[編集]

防御要領は第一案からさほど進化していない。水平防御は原案よりは若干強化はされているものの、主甲板75mm、舷側防御は250mmと対12インチ防御のままとされた。これは軍艦という買い物で最も値が張るのは「大砲」と「装甲板」と「機関」で、小国海軍で揃えるのにはどれかに眼をつむらなければならなかったという理由がある。

実際の建造[編集]

フルカン社設計案を元案に1912年7月ハンブルク造船所で起工した。後に艦名を「ヴァシレウス・ゲオルギオス(Vasilevs Georgios)」と改名。しかし、1914年8月に第一次世界大戦が勃発したが為に建造中止されたが、後にドイツが接収し、同年11月11日に進水、艦名を「ティルピッツ」と改名するも肝心の主砲塔一式がアメリカを発つもイギリス側で差し押さえられて入手できず、船体の艤装は1914年12月31日に放置され、兵舎として活用された。なお、主砲塔4基はイギリスが買い取り、アバークロンビー級モニターの主砲として流用した。

同大戦後にフルカン社は建造代金£45,000の支払いを要求するも、ギリシャ政府が不完全なサラミスの購入を拒否。結局、ギリシャ政府はフルカン社に£30,000を支払って和解し、1932年ブレーメンにて船体は解体処分された。

性能[編集]

  • 水線長:-m
  • 全長:173.7m
  • 全幅:24.7m
  • 吃水:7.6m
  • 基準排水量:-トン 
  • 常備排水量:19,500トン
  • 満載排水量:21.500トン 
  • 兵装:1914年型 35.6cm(45口径)連装砲4基
  • 機関:ヤーロー石炭専焼水管缶18基+AEG式直結タービン3基3軸推進
  • 最大出力:40,000hp(計画時)
  • 航続性能:-ノット/-海里
  • 最大速力:23.0ノット(計画時)
  • 装甲
    • 舷側装甲:250mm(水線部)、100mm(艦首尾部)
    • 甲板装甲:75mm(VP部)、38mm(艦首尾部)
    • 主砲塔装甲:250mm(前盾)、-mm(側盾)、-mm(後盾)、-mm(天蓋)
    • バーベット部:250mm(最厚部)
    • 司令塔:250mm(最厚部)
  • 航空兵装:-機
  • 乗員:-名

関連項目[編集]

参考図書[編集]

  • 「世界の艦船増刊第26集 ドイツ戦艦史」(海人社)
  • 「All the world's fighting ships 1906-1921」(Conway)

外部リンク[編集]