オーロックス

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オーロックス
Ur-painting.jpg
オーロックス
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 哺乳綱 Mammalia
亜綱 : 獣亜綱 Theria
下綱 : 真獣下綱 Eutheria
上目 : ローラシア獣上目 Laurasiatheria
: 鯨偶蹄目 Cetartiodactyla
亜目 : ウシ亜目(反芻亜目) Ruminantia
: ウシ科 Bovidae
亜科 : ウシ亜科 Bovinae
: ウシ属 Bos
: オーロックス B. primigenius
学名
Bos primigenius Bojanus, 1827
シノニム

Bos mauretanicus Thomas, 1881
Bos namadicus Falconer, 1859

和名
オーロックス
英名
Aurochs、Urus
下位分類群(亜種
本文を参照

オーロックス (Bos primigenius ) はウシ科ウシ属に属するウシの一種。家畜牛の祖先であり、子孫であるコブ無し系家畜牛やコブウシは全世界で飼育されているが、野生種としてのオーロックスは1627年に世界で最後の1頭がポーランドで死んで絶滅した。

形態[編集]

体格は体長約250- 310cm、体高約140- 185cm、体重約600- 1000kg。体色はオスが黒褐色または黒色、メスは褐色は大きく滑らかで、長さは80cmほどとされる。

歴史[編集]

およそ200万年前にインド周辺で進化したと考えられている。第四紀初頭のうちに中東に分布を広げ、ヨーロッパに到達したのはおよそ25万年前であるとされている[1]更新世末期(1万1000年前)までには、ヨーロッパアジア北アフリカなどの広い範囲に分布しており[2]、1万5000年前のラスコー洞窟の壁画にもオーロックスが描かれている。

絶滅[編集]

かつてはユーラシア全体および北アフリカで見られたが、生息していた各地で開発による生息地の減少や食用などとしての乱獲家畜化などによってオーロックスは消滅していった。南アジアでは歴史時代の比較的早期に姿を消し、また、メソポタミアでもペルシア帝国が成立する時代には絶滅していたと見られる。北アフリカでも古代エジプトの終焉と同時期にやはり姿を消している[3]中世にはすでに現在のフランスドイツポーランドなどの森林にしか見られなくなっていた。16世紀には各地にオーロックスの禁猟区ができたが、それは単に諸侯が自らが狩猟する分を確保するために設けたものでしかなかったため、獲物を獲り尽くすとともに閉鎖された。最後に残ったのはポーランド首都ワルシャワ近郊のヤクトルフ(Jaktorów)にある保護区であったが、そこでも密猟によってオーロックスの数は減り続け、1620年には最後の1頭となってしまった。その1頭も1627年に死亡が確認され、オーロックスは絶滅した。

復元の試み[編集]

復元されたオーロックスの一個体 "Heck cattle"

その後、1920年代より、ドイツのベルリンおよびミュンヘン動物園において、現存するウシの中からオーロックスに近い特徴をもつものを交配させることによってオーロックスの姿を甦らせる試みがなされた。作出は1932年に成功し、その個体の子孫は、現在でもドイツの動物園で飼育・展示されている。このウシは体形や性質はオーロックスに近いものを持っているが、体格はいくぶん小柄で、作出に携わった当時の動物園長のルッツ・ヘック(Lutz Heck、ドイツ人動物学者)のを採って「Heck cattle(en)」とも呼ばれている。

名称[編集]

英語でこの動物をさす名称として使われるものに "aurochs" や "urus" があるが、前者はこの動物を指すドイツ語に、後者はこの動物を指すラテン語に由来する。 600年頃のセビリアイシドールス大司教によれば、"urus" はを意味するギリシャ語のόροςに由来するという[4]。また、本来はバイソンをさす "wisent" という誤称もよく使われるが、バイソンとオーロックスは非常に古くから混同されてきた事実がその背景にある。ユリウス・カエサルガリア遠征のさいにオーロックスを「ゾウよりは幾分小さく、姿形や色はウシによく似ている」と記述した頃にはバイソンとオーロックスはそれぞれ "bonasus" , "urus" として明確に区別されていたが[5]、それから約1世紀後に記された大プリニウス博物誌ではすでに人々がバイソンとオーロックスを混同することが嘆かれている[6]。これはバイソンとオーロックスが双方とも個体数を減らしどんどん身近でなくなっていくことで拍車がかかり、ついには両者が別の動物であることが忘れ去られる結果となった[7]

また学名としては、家畜種は野生種の学名を使うという慣習から、かつてBos taurus という学名を与えられていた家畜牛と、おなじくBos indicus という学名を与えられていたコブウシについては、その祖先であるオーロックスとおなじBos primigenius という学名が使用されるようになってきている[8]。特に家畜種を指すことを明確にしたい場合には亜種としてB. p. taurusB. p indicus とするか、旧例通りBos taurusBos indicus とする。家畜牛に与えられたBos taurus とオーロックスに与えられたBos primigenius ではより古い名称はBos taurus であるため、両者が同一種とされた場合の学名の優先権は本来ならばBos taurus にあった。しかし、野生種に家畜種の学名を持ち込むことは大きな混乱を引き起こすと判断されたため、2003年動物命名法国際審議会が強権を発動し、優先権はBos primigenius が持つこととなった[9]

下位分類[編集]

生息当時の各亜種の分布図
Bos primigenius primigenius
Bos primigenius mauretanicus
Bos primigenius namadicus

絶滅したオーロックスには、次の3亜種があったとされている。これらは、上記の亜種としての家畜種とは別である。

  • Bos primigenius primigenius
英名 Aurochs:ユーラシア大陸に広く分布した(東アジア中央アジア、ヨーロッパ)。
  • Bos primigenius mauretanicus
英名 African Aurochs:北アフリカに分布。
  • Bos primigenius namadicus
英名 Indian Aurochs:インド亜大陸に分布。

ギャラリー[編集]

脚注[編集]

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  1. ^ Natural History Museum at the University of Oslo Bos primigenius
  2. ^ 動物大百科10 p30
  3. ^ 『絶滅動物データファイル』 184頁。
  4. ^ 世界動物発見史 p145
  5. ^ 地上から消えた動物 p57
  6. ^ 地上から消えた動物 p59
  7. ^ 世界動物発見史 p147
  8. ^ 動物大百科4 p112
  9. ^ Bulletin of Zoological Nomenclature vol.60 : OPINION 2027 (Case 3010)

関連項目[編集]

参考文献[編集]