イ式小銃

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イ式小銃
Type I Rifle.jpg
イ式小銃
概要
種類 小銃
製造国 イタリアの旗 イタリア王国
性能
口径 6.5mm
銃身長 797mm
使用弾薬 三八式実包
装弾数 5発
作動方式 ボルトアクション式
全長 1,280mm
重量 3,950g
銃口初速 765m/s

イ式小銃(いしきしょうじゅう)は、1938年(昭和13年)に大日本帝国陸軍イタリアから購入・輸入し、1940年(昭和15年)に準制式制定したボルトアクション式小銃英語圏ではType I rifleなどと呼称される。

概要[編集]

帝国陸軍の小銃の系譜(日露戦争以降)
最上段1段目:三十年式歩兵銃
2段目:三八式歩兵銃
3段目:三八式騎銃
4段目:四四式騎銃
5段目:イ式小銃
5段目:九九式短小銃(中期型)
6段目:九九式短小銃(末期型)

1937年(昭和12年)の日独伊防共協定成立を記念し同年にイタリアと契約を結び、翌1938年に約60,000挺を購入、イ式小銃として1940年に準制式化した物である。「イ式小銃」の「イ」は「イ」タリア(「イ」タリー)に由来する。この事業は1937年に日中戦争支那事変)が始まり小銃の需要が高まったことと、新たな同盟国への政治的配慮が購入の理由であった。なお同じく日独伊防共協定成立記念として、帝国陸軍は同時期にドイツからもマウザー製小銃を多数購入・輸入しており、これはモ式小銃として1939年(昭和14年)に準制式制定されている。

イ式小銃はイタリア王国軍イタリア陸軍)の主力小銃・カルカノM1891をベースに、日本陸軍の要求仕様に従い、当時の日本軍(陸海軍)の主力小銃である三八式歩兵銃に準じた日本式のアレンジ(薬室の規格変更も含めて)を加えられ、イタリアで新規開発および生産された純イタリア製である(ただし木部は日本で仕上げられたもよう)。そのため原型であるカルカノM1891とはレシーバー(機関部)など類似した部分もあるが、かなり細部が異なる。ベレッタ、ファブリック・デ・アームズ、ファブリック・デ・ナショナル・アームズなど、複数の企業で生産された。弾薬は三八式歩兵銃と同じ三八式実包(6.5mm×50SR)を、銃剣三十年式銃剣を使用する。銃身に菊の御紋章は無い。

長小銃型(歩兵銃)と短小銃型(騎兵銃)があり、全長など大きさは三八式(歩兵銃・騎兵銃)とほぼ同じである。

なお「カルカノM1891をそのまま輸入した物」説、「カルカノM1891の機関部やボルト(遊底)、トリガーアッセンブリーなどの部品だけを仕入れて、日本国内で三八式の銃床と組み合わせた物」説や、輸入主体を海軍とする説は誤りである。

特徴としては、コックオンオープニング方式(槓桿を起こして倒すと撃発可能状態になる)である。槓桿(ボルトハンドル)は三八式と同じく直線であり、銃床も同じく上下二分割である。フロントバンド、リアバンド、着剣ラグ、クリーニングロッド、サイト、マガジンフロアーなどの小部品も三八式に擬似している。フロアープレートリリースボタンがトリガーガード前方内側にある。

イ式小銃は陸軍が購入・輸入した小銃ではあったが、実物が届いてみると、ボルトが脆弱で前線での激しい使用に耐えられないと判断され、陸軍では使用されず、一部が学校教練青年学校の教錬銃として貸与されたほか、ほとんどが海軍に供与・譲渡され、主に海軍陸戦隊が装備し太平洋戦争大東亜戦争)で使用されている。これは海軍陸戦隊はごく一部の優良装備部隊を除き、慢性的な小火器不足であったことによる。

関連項目[編集]