「SIMロック」の版間の差分

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SIMロックとは逆に、SIMロックが施されていないことを「SIMフリー」という。日本では「SIMロックフリー」とも呼ばれるが、[[和製英語]]なので欧米アジアでは通用しない。世界的には「アンロック版」(Unlocked)と呼ばれることも多い。「SIMフリー」はもともとSIMロックを施されずに販売される端末を指し、「SIMアンロック」(Unlocked)はSIMロック解除した端末のことを指すものとして区別する向きもある。
SIMロックとは逆に、SIMロックが施されていないことを「SIMフリー」という。日本では「SIMロックフリー」とも呼ばれるが、[[和製英語]]なので欧米アジアでは通用しない。世界的には「アンロック版」(Unlocked)と呼ばれることも多い。「SIMフリー」はもともとSIMロックを施されずに販売される端末を指し、「SIMアンロック」(Unlocked)はSIMロック解除した端末のことを指すものとして区別する向きもある。

SIMロックを解除した端末、あるいはSIMフリー端末でもあっても対応する通信方式および周波数を使用する通信事業者提供のものと一致させる必要があり、本来想定された通信事業者以外での使用には使用可能地域に一部制限が存在する場合もある。特に独自の周波数帯を用いている通信事業者においてはこの制限が大きく影響してくることが多い。


=== メリット ===
=== メリット ===

2016年3月31日 (木) 00:27時点における版

SIMロック(シムロック、SIM lock)とは、特定のSIMカードを差し込んだ場合のみに動作するよう携帯電話や通信モジュール等の通信端末に施される機能制限のこと。

概要

通信事業者(キャリア)によっては、自社で販売する電話機にSIMロックを掛けている。SIMロックが施された端末では、キャリアの指定するSIMカードしか認識せず、その他のSIMカードは認識することができない。

SIMロックとは逆に、SIMロックが施されていないことを「SIMフリー」という。日本では「SIMロックフリー」とも呼ばれるが、和製英語なので欧米アジアでは通用しない。世界的には「アンロック版」(Unlocked)と呼ばれることも多い。「SIMフリー」はもともとSIMロックを施されずに販売される端末を指し、「SIMアンロック」(Unlocked)はSIMロック解除した端末のことを指すものとして区別する向きもある。

SIMロックを解除した端末、あるいはSIMフリー端末でもあっても対応する通信方式および周波数を使用する通信事業者提供のものと一致させる必要があり、本来想定された通信事業者以外での使用には使用可能地域に一部制限が存在する場合もある。特に独自の周波数帯を用いている通信事業者においてはこの制限が大きく影響してくることが多い。

メリット

端末がSIMロックされていることで、キャリアは利用者の長期契約収入を当てにして開発費や販促費を投下するため、利用者は低価格で最新の電話機を手に入れることができる。「0円携帯」「0円スマホ」などと呼ばれる販売方法もそのひとつである。[独自研究?]

通信事業者側のメリットとしては、顧客が他社に逃げられないようにできるため、顧客の囲い込みが容易となる。

中古相場では安く取引されているため、比較的安価に入手できる。

デメリット

端末がSIMロックされていると、他のキャリアに乗り換える際に、古い端末が乗り換え先のキャリアで使えなくなるため、再び乗り換え先キャリアで新しい端末の購入が必要となる(スイッチングコスト増大)。その結果、ユーザーの流動性が下がり、サービス競争が起こりにくくなる。このスイッチングコスト低下のために各キャリアが繰り広げた過剰なキャッシュバック競争が長期利用者から非難され、総務省などで問題視される遠因となった。

また、海外渡航の際に現地のSIMカードを購入して差し替えて使うことはできず、割高なローミング料金を支払うか、現地の端末を購入することになる。

中古相場では、SIMロックがかけられているものは価値が低いため高く売却できない。同一機種のSIMフリー版のほうが高額で取引されている[1][2]

日本国内の状況

日本の携帯電話の販売体系は、キャリアが携帯電話機メーカーから端末を買い取って販売するという、キャリア主導型である。キャリアからのインセンティブ(販売奨励金)により、代理店が端末を安く販売する場合があり、その場合に端末の設定により他のキャリアのSIMカードを差しても使用することが出来ないようにすることが多い[3]

SIMロックが主体となっている日本でも、SIMフリー端末普及の動きが進められている。総務省では、2010年にキャリアや携帯メーカーとSIMロック解除することで合意した[4][5]と報じられたが、あまり進展が見られなかったため、2015年度には各キャリアのSIMロック解除を義務化する方針を決めた[6][7][8]。これを受け、NTTドコモとau(KDDI)は、2015年5月1日以降の発売機種より、購入後180日経過した端末のSIMロック解除を無料で行うことを発表している[9][10]

全ての端末がSIMフリーになることで、消費者が自由にキャリアを乗り換えられるようになる[11]。これによって価格競争が促進され、高止まりした通信料金や機種代などを下げる効果が狙われている[12]

また、2014年にはGoogleがSIMフリー版のNexus 5を、アップルがSIMフリー版のiPhone 5siPhone 5cを単体で販売開始している。このようにキャリアを経由しないグローバルモデルの販売も広がっている[13]。2014年の調査では、SIMフリー端末を検討する人の割合が全体の1割に上っており、通信を自由に選びたいと考えるユーザーが増えたため、キャリア離れが加速しているとみられている[14]

NTTドコモ

2011年4月以降に発売された電話機にSIMロック解除機能を搭載した。搭載機種はドコモショップにて有償でロックを解除してSIMフリーにできるようになった。現在、ドコモのサイト上に、解除した際にソフトバンクモバイル(現・ソフトバンク)およびイー・アクセス(現・ソフトバンクのY!mobileブランド。沖縄地区は一部を除きY!mobileブランド移行後はウィルコム沖縄の契約)のUIMカード利用時に通話・SMS等が可能かどうか掲載されているが、当然ながら、ドコモUIMカード利用時同様の動作をするかどうかについては保証対象外となっている。また、ドコモminiUIMカードを使用する端末については、以前はイー・アクセスEM chipにmicroSIMタイプがなく、1.7GHz帯対応端末であっても動作対象外としてきたが、MicroSIM採用のGS01が発売されたこともあり、2012年夏以降に順次確認が取れた機種に利用可否が付けられている。その後、KDDI沖縄セルラー電話ヴォルテが開始されたことにともなって、ヴォルテ対応のnanoサイズのUIMカードを用いる端末については、利用可否が公開されるようになっている。

2015年5月以降発売の機種については、前回のSIMロック解除(解除歴の無い契約に関しては、購入時)から6ヵ月経過している必要があり、My docomoでの申し込みであれば、無料で対応する(ドコモショップへの持ち込みは、My docomoで解除ができない端末は無料、できる端末は、4月以前発売の端末と同じ有料対応となる)。

なお、データ通信端末のSIMロック解除については、ショップ預かりで行うため、音声端末・タブレット端末とは異なり、その場での解除はできない。

またSIMロックを解除しても、ドコモのAPNロックは解除されないため、他社のSIMでのテザリングが利用できない。

KDDI・沖縄セルラー電話連合(au)

au端末には盗難抑止のため、特定のSIMカード情報を端末内に記録して他のSIMカードを受け付けないようにする機能がある。この機能は「SIMロック2」「レベル2 SIMロック」などと呼ばれる。

理由は定かではないが、PT003パンテック製)[要出典]、および2010年冬モデル以降に発売された一部のスマートフォン及び、2012年冬モデル以降に発売のau 4G LTE(のちのCA対応機種、およびVoLTE対応機種も含む)対応スマートフォン、および、同社がガラホと称する、Android搭載フィーチャー・フォン(例:AQUOS K SHF31AQUOS K SHF32等)からは「SIMロック2」機能が廃止され、ドコモやソフトバンクと同じ「SIMロック1」となった[3]。パンテック製のSIRIUS α IS06(PTI06)MIRACH IS11PT(PTI11)、EIS01PT(PT01E)はSIMロック2およびキャリアロックの無いロックフリー、ソニー・エリクソンモトローラサムスン電子LGエレクトロニクスアップルHTC製の端末はキャリア内ロックフリー(SIMロック1)となっている。富士通東芝製のIS12Tも前述メーカー製と同様に「SIMロック1」となっている。いずれもau ICカードであれば、どのカードであっても受付けるが、SIMロック自体はあるため他社のUIMカード等は利用できない。モトローラ製のMOTOROLA PHOTONのように、CDMA2000の識別情報は端末のROMに直接書き込むが、UMTS/GSM用のSIMカードスロットを有している端末もある。こちらは他社SIMないし海外SIMを挿し、ネットワークロック解除コードを入力することでUMTS/GSMも使用可能になる。LGL22LGL23のように、非公式ながらSIMロックを容易に解除できる機種も存在する。しかしアップデート適用したりROMを焼き変えると、再びSIMロックがかかり解除不能になるため、これらは不完全な解除方法として留まっている。

ソフトバンク(SoftBankブランド)

総務省のSIMロック解除ガイドラインの策定を受け、当時のソフトバンクモバイルは、2011年8月より、ごく一部の機種においてソフトバンクショップにて有償でSIMロック解除に応じることを発表した。ただし、SIMロック解除対応端末は2015年4月時点でSoftBank 008ZSoftBank 009ZSoftBank 201HWSoftBank 301FZTE Blade Q+スマートフォン5機種に留まっていた(いわゆる、フィーチャー・フォンに至っては、全く対応していなかった)。

なお、SoftBank 003ZSoftBank 008ZSoftBank 009Zについては、SIMロックを外した状態で、ソフトバンクオンラインショップにてプリモバイルとして販売されたことがある。

総務省のSIMロック解除ガイドラインの改定を受け、2015年5月より、購入後6か月以上経過した端末はSIMロック解除に応じることを発表した。これにより、同月に発売されたSoftBank 401PMが、フィーチャー・フォンとしては初めてSIMロック解除対象の端末となった。

また、ソフトバンクでは通信サービス毎に細かくSIMカードの種類が分かれており、同じソフトバンク内でも通信サービス種別の異なるSIMカードはロックされて使用できない[15]。こうした仕様は俗に「社内SIMロック」「キャリア内SIMロック」などと呼ばれる。

ソフトバンク・ウィルコム沖縄連合(Y!mobileブランド)

イー・モバイル時代当初から、ローミング対応機種については海外キャリアのSIMのみSIMロックフリーで利用可能としてきた。

2011年に入る前後以降に発売された機種(音声端末はS3x系以降の機種、データ端末はGxシリーズ以降)からは、最初から国内キャリア・海外キャリアにかかわらずSIMフリーの状態で発売されていた。

ただし、EMOBILE 4Gに対応したGL09PGL10PEMOBILE 4G-Sに対応したEM01FY!mobileブランドで、「電話サービス(タイプ1)」で契約する端末など、ソフトバンク株式会社(当時のソフトバンクモバイル株式会社)発行(SoftBankブランドで使用するネットワーク用のものとほぼ同等のもの)のUSIMカードを利用する端末については、(EM01LNexus 6などのGoogle Nexusシリーズを除き)原則SIMロックが施されている。これについて総務省の研究会がヒアリングを行っているが、事業者に不利益となるおそれが高いとして該当部分が黒塗りされたものが公開されている。

2015年10月以降に販売される端末については、SoftBankブランドが同年5月以降に発売した端末同様の形でSIMロック解除に対応させる形で販売しているが、これまでSIMフリーとされていたGoogle Nexusシリーズについても、Nexus 5X以降については他の端末同様に解除に対応した形でSIMロックがかけられることになった。

SIMフリー端末の一覧

単体入手可能なモデル一覧。現在製造を続けているメーカーに加え、過去に製造していたメーカーも記述。

日本国外の状況

SIMロックの実施状況は国や地域によって様々である。一般的に、通信サービスの発展途上国ではキャリアに投資インセンティブを持たせるためSIMロックが許容されており、通信サービスで一定の成熟をみた国ではサービス競争を促進するためSIMロック解除が義務化される傾向にある。

香港ではSIMロックが禁止されており、端末はすべてSIMフリーの状態で販売されている。

フランスやデンマークでは購入から6か月、イタリアでは18か月に限ってSIMロックを実施することが許され、それ以降はSIMロックの解除が義務付けられている[16]

米国ではAT&T、スプリント、ベライゾンの3社がSIMロックを行っている。日本と同様に2年間の通信料金に加算しての割賦販売が基本であり、一括払いにしていない場合は端末購入から2年を経過し料金の支払いを滞納していないことを条件にSIMロックの解除に応じている。T-モバイルは割賦販売を行っておらず、SIMロックを行っていない。

イギリスでは、2009年11月10日よりO2以外のキャリアがiPhone販売に参入して独占販売が終了することに伴って、O2がSIMロック解除サービスを始めている。当初はO2のみだったが、現在は他のキャリアもSIMロック解除に応じている。

脚注

関連項目