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: 『零〜月蝕の仮面〜』 [[Wii]]、2008年7月31日発売 |
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:: テクモ×任天堂の共同プロジェクト第1弾。開発はテクモ、監修・発売元は任天堂で、新たに[[グラスホッパー・マニファクチュア]]の[[須田剛一]]がディレクター陣に参加。 |
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果たして深紅は死の呪いが成就する前に兄を探し出し、共に脱出することができるのだろうか…。 |
果たして深紅は死の呪いが成就する前に兄を探し出し、共に脱出することができるのだろうか…。 |
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=== 零〜紅い蝶〜 |
=== 零〜紅い蝶〜 === |
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双子の姉妹である、天倉繭と天倉澪は、昔住んでいた故郷に近い沢にやってきた。 |
双子の姉妹である、天倉繭と天倉澪は、昔住んでいた故郷に近い沢にやってきた。 |
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この沢のある辺りはもうすぐダムの底に沈んでしまうため、最後にもう一度見ておきたいと思ったからである。だが幼い頃よく遊んだこの沢には、かつて姉の繭がこの沢のある山道で足を滑らせ転落、大怪我を負ってしまったという苦い思い出もあった。 |
この沢のある辺りはもうすぐダムの底に沈んでしまうため、最後にもう一度見ておきたいと思ったからである。だが幼い頃よく遊んだこの沢には、かつて姉の繭がこの沢のある山道で足を滑らせ転落、大怪我を負ってしまったという苦い思い出もあった。 |
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妹の澪が回想しているとそばにいたはずの繭がいなくなってしまった。澪が辺りを見回すと、繭が紅く輝く蝶に導かれるように林の中へ入っていく。澪が慌てて追いかけるも、2人は地図から消えた村、皆神村に閉じ込められてしまう。 |
妹の澪が回想しているとそばにいたはずの繭がいなくなってしまった。澪が辺りを見回すと、繭が紅く輝く蝶に導かれるように林の中へ入っていく。澪が慌てて追いかけるも、2人は地図から消えた村、皆神村に閉じ込められてしまう。 |
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=== 零〜刺青の聲〜 |
=== 零〜刺青の聲〜 === |
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写真家を生業としている黒澤怜は、ある日幽霊屋敷と噂される日本家屋の取材を依頼される。そこで彼女はあるはずのない影を見る。 |
写真家を生業としている黒澤怜は、ある日幽霊屋敷と噂される日本家屋の取材を依頼される。そこで彼女はあるはずのない影を見る。 |
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現像した写真には、2か月も前に死んだはずの婚約者・麻生優雨の姿が写っていた。その日から怜は悪夢を見るようになる。増築を重ねた末にうち捨てられ廃墟と化した日本家屋、その屋敷の中を徘徊する霊…。その悪夢の屋敷の中で悪霊に追立てられ、捕えられたところで怜は夢から覚める。いつの間にか怜の体には、刺青にも似た青い痣が浮かび上がっていた。その痣は激しい痛みを伴い、彼女を苛む。 |
現像した写真には、2か月も前に死んだはずの婚約者・麻生優雨の姿が写っていた。その日から怜は悪夢を見るようになる。増築を重ねた末にうち捨てられ廃墟と化した日本家屋、その屋敷の中を徘徊する霊…。その悪夢の屋敷の中で悪霊に追立てられ、捕えられたところで怜は夢から覚める。いつの間にか怜の体には、刺青にも似た青い痣が浮かび上がっていた。その痣は激しい痛みを伴い、彼女を苛む。 |
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果たして怜が見る夢の真相は? そして、あの世から聞こえる優雨の“聲”は彼女に届くのだろうか…。 |
果たして怜が見る夢の真相は? そして、あの世から聞こえる優雨の“聲”は彼女に届くのだろうか…。 |
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=== 零〜月蝕の仮面〜 |
=== 零〜月蝕の仮面〜 === |
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「誰も覚えてないことは、存在しないことになるのだろうか…」。本州の南に浮かぶ島-朧月島で10年に1度開かれる朧月神楽。その神楽の最中に、5人の少女が神隠しに遭った。少女達は1人の刑事に助け出されたが、すべての記憶を失くしていた。神隠しに遭った少女の1人、水無月流歌にはかすかに憶えていることがあった。それは、1つの旋律…。 |
「誰も覚えてないことは、存在しないことになるのだろうか…」。本州の南に浮かぶ島-朧月島で10年に1度開かれる朧月神楽。その神楽の最中に、5人の少女が神隠しに遭った。少女達は1人の刑事に助け出されたが、すべての記憶を失くしていた。神隠しに遭った少女の1人、水無月流歌にはかすかに憶えていることがあった。それは、1つの旋律…。 |
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仮面をつけた人々に囲まれて楽器を鳴らす少女達、そして月の光の中で憑かれたように踊る仮面の女。 |
仮面をつけた人々に囲まれて楽器を鳴らす少女達、そして月の光の中で憑かれたように踊る仮面の女。 |
2011年4月19日 (火) 04:44時点における版
『零〜zero〜』(ゼロ)は、テクモ(現コーエーテクモゲームス)および任天堂のテレビゲームシリーズ。
「和風ホラーアクション」と題し、それまでのホラーゲームにはなかった牡丹灯篭のような舞台設定で、ジャパニーズホラー特有の湿っぽい恐怖感をかき立てる演出が特徴。
海外では『FATAL FRAME』(フェイタル・フレーム)および『Project ZERO』(プロジェクト・ゼロ)などのタイトル[1]で輸出(移植)されており、アメリカの大手ゲーム情報サイト『IGN』におけるホラーゲームランキングではTOP10、TOP13ともにランクインしている。特にTOP10では、『サイレントヒル』に次いで第2位を獲得した[2]。
概要
正式名称が公開される前、テクモが配布している冊子「テクモプレイヤーズマグ」などで「Project Zero」という名称で発表され、そのまま零シリーズを総括したプロジェクト名などに使用されるようになった。開発には『刻命館』シリーズを手掛けたスタッフが携わっている。
基本システムはサバイバルホラーゲームを踏襲。プレイヤーは特殊なカメラを駆使して霊を退けながらステージ(マップ)の謎を解き、あるいは逃走し、鍵などのキーアイテムを集めながらストーリーを進めていく。サブキャラクターの日記や古文書をヒントに過去の惨劇の秘密を解き明かしていくことも大きな目的となる。過去の惨劇は、生きた人間の生贄を伴う何らかの悲劇的な儀式に起因することが多い。
同ジャンルのゲームである『バイオハザード』や『サイレントヒル』、『SIREN』がグロテスクなホラーであるのと対照的に、零は雰囲気で和風の恐怖を煽り立てている。従って、命の危機というような本能的恐怖感を直接的に煽るものではなく、『リング』などの著者・鈴木光司は「恐怖(ホラー)の要となる“気配”があるゲーム」というようなコメントを寄せている[3]。それらのデザインは海外のホラーゲーム『F.E.A.R.』にも多大な影響を与えた。
ゲーム雑誌『ファミ通』の関係者にも愛好者が見られ、シリーズ第2作『零〜紅い蝶〜』では編集長・浜村弘一と漫画家・柴田亜美が同誌の連載におけるキャラクターでゲスト出演している[4]。芸能人の伊集院光も零シリーズをプレイしており、同誌のコラムなどで度々取り上げている。
ゲーム内容
零シリーズは、他のアクションゲーム、アドベンチャーゲームと一線を画す戦闘システムが確立されている。最大の特徴として挙げられるのが、「射影機」(しゃえいき)と呼ばれるシリーズ全作共通のメインアイテムになっているフィルムカメラの存在である。
これはゲーム中で敵となって出現する怨霊などの「ありえないもの」に対しての武器になり、「その姿を撮影する」という手段によって除霊、あるいは封印することができる。
怨霊が一定の動作をした際、もしくはギリギリまで引き付けてから撮影することで与えられるダメージが増えるなどのシステムにより、射影機による戦闘は「近付いてくる恐ろしい怨霊から目を逸らしたり逃げることができず、時には大ダメージを与えるためにこちらから近付かなければならない」という独特の恐怖を生み出している。更に、怨霊や探索中に出現する浮遊霊を撮影することで霊リストを埋めていくというコンプリート要素もあり、プレイヤーは恐怖の出来事から目を逸らすことができないようになっている。
また、射影機には「過去を写す」「呪縛を解く」といった機能もあり、ストーリーの謎を解く手掛かりにもなる。射影機で霊に関するものを撮影していくとポイントがたまっていき、一定値を任意で使用すると性能を強化することが出来るようになる。さらに、マップを探索中に入手した「強化レンズ」などのパーツアイテムを取り付けることで、対象物の動きを遅くさせたり、与えるダメージを数倍にさせるといった様々な効果を得られるようになってゆく。一方、シリーズ第4作『零〜月蝕の仮面〜』では「霊石灯」(れいせきとう)という新しい武器が追加されている。
作品のストーリーはそれぞれが独立しており、舞台となる場所も異なるが、登場人物など間接的な繋がりが存在する。
余談だが、零シリーズでは一定時間(5分程度)コントローラを操作せずにいるとスクリーンセーバーが自動的に起動する。これを知らずに(予備知識がなく)放置し忘れたころに気付いて画面を見ると、ぞっとすることが起こっていて驚く。演出は作品ごとに異なっており、同じ作品でも偶数奇数の章によって異なるケースもある。
メディアミックス
2002年、ドリームワークスが「FATAL FRAME」名で実写化すると発表された。その後全米で2005年11月公開とされたが、2011年1月現在続報はない。
2004年夏、シリーズ第2作『零〜紅い蝶〜』を題材にした和風ホラーアトラクション『4D零』がとしまえん、梅田ジョイポリス、ポルトヨーロッパで上映された。また、2004年8月には、携帯電話のカメラを利用したホラーゲーム『REAL〜零〜』のサービスが行われた。
シリーズ
販売展開は日本国内に限ったものではなく、海外の反響[5]も大きな特徴となっている。ゆえに題名やパッケージが複雑化しているため、一覧を以下に記す。
- 零〜zero〜
- 日本版
- 『零〜zero〜』 プレイステーション2、2001年12月13日発売
- 『零〜zero〜 PlayStation 2 the Best』[6] プレイステーション2、2002年8月1日&2007年11月22日発売
- 『FATAL FRAME 零 SPECIAL EDITION』(フェイタル・フレーム ぜろ スペシャル・エディション) Xbox、2003年2月6日発売
- 難易度FATAL、第3のエンディング、新たな怨霊・地縛霊・文章ファイルなどが追加されたリメイク。
- 海外版
- 『FATAL FRAME BASED ON A TRUE STORY.』(フェイタル・フレーム ベースド・オン・ア・トゥルー・ストーリー) 2002年3月4日発売
- 『zero』の北米プレイステーション2版。逆さになった女の顔が印象的なジャケット。
- 『FATAL FRAME BASED ON A TRUE STORY.』(〃) 2002年11月22日発売
- 『零 SPECIAL』の北米Xbox版。苦悶の表情の男が印象的なジャケット。
- 『Project ZERO』(プロジェクト・ゼロ) 2002年8月28日発売
- 『Project ZERO BASED ON A TRUE STORY.』(〃 ベースド・オン・ア・トゥルー・ストーリー) 2003年5月2日発売
- 『零 SPECIAL』の欧州・豪州Xbox版。ジャケットは北米Xbox版とほぼ同一。
- 『零〜제로〜』(ゼロ) 2002年8月27日発売
- 『zero』の韓国プレイステーション2版。日本PS2版の裏面をベースにした、深紅とクモの巣が印象的なジャケット。
- 『零〜제로〜 BigHit Series』(〃 ビッグヒット・シリーズ) 2008年6月5日発売
- 韓国版『zero』の廉価版。
- 零〜紅い蝶〜(ぜろ あかいちょう)
- 日本版
- 『零〜紅い蝶〜』 プレイステーション2、2003年11月27日発売
- 『零〜紅い蝶〜 PlayStation 2 the Best』[6] プレイステーション2、2004年8月5日&2007年11月22日発売
- 『FATAL FRAME II CRIMSON BUTTERFLY』(フェイタル・フレーム・ツー クリムゾン・バタフライ) Xbox、2004年11月11日発売
- 海外版
- 『FATAL FRAME II CRIMSON BUTTERFLY』(フェイタル・フレーム・ツー クリムゾン・バタフライ) 2003年12月10日発売
- 『紅い蝶』の北米プレイステーション2版。佇む双子少女と蝋燭が印象的なジャケット。
- 『FATAL FRAME II CRIMSON BUTTERFLY DIRECTOR'S CUT』(〃 ディレクターズ・カット) 2004年11月1日発売
- 『FATAL FRAME II』(日本リメイク版)の北米Xbox版。巫女姿の少女を囲む手が印象的なジャケット。
- 『Project ZERO II CRIMSON BUTTERFLY』(プロジェクト・ゼロ・ツー クリムゾン・バタフライ) 2004年4月29日発売
- 『Project ZERO II CRIMSON BUTTERFLY DIRECTOR'S CUT』(〃 ディレクターズ・カット) 2005年2月4日発売
- 『FATAL FRAME II』(日本リメイク版)の欧州・豪州Xbox版。ジャケットは北米Xbox版とほぼ同一。
- 『제로〜붉은 나비〜』(ゼロ あかいちょう) 2004年6月24日発売
- 『紅い蝶』の韓国プレイステーション2版。ジャケットは日本PS2版とほぼ同一。
- 『제로〜붉은 나비〜 BigHit Series』(〃 ビッグヒット・シリーズ) 2008年8月1日発売
- 韓国版『紅い蝶』の廉価版。
- 零〜刺青の聲〜(ぜろ しせいのこえ)[7]
- 日本版
- 『零〜刺青の聲〜』 プレイステーション2、2005年7月28日発売
- 『零〜刺青の聲〜PlayStation 2 the Best』[6] プレイステーション2、2006年7月6日&2007年11月22日発売
- 海外版
- 『FATAL FRAME III THE TORMENTED』(フェイタル・フレーム・スリー ザ・トーメンテッド) 2005年11月8日発売
- 『刺青の聲』の北米プレイステーション2版。水面に伏せる怜と刺青の巫女が印象的なジャケット。
- 『Project ZERO III[8] THE TORMENTED』(プロジェクト・ゼロ・スリー ザ・トーメンテッド) 2006年2月24日発売
- 零〜月蝕の仮面〜(ぜろ つきはみのかめん)
- 『零〜月蝕の仮面〜』 Wii、2008年7月31日発売
- テクモ×任天堂の共同プロジェクト第1弾。開発はテクモ、監修・発売元は任天堂で、新たにグラスホッパー・マニファクチュアの須田剛一がディレクター陣に参加。
Xboxリメイク版の注意点
『FATAL FRAME 零 SPECIAL EDITION』と『FATAL FRAME II CRIMSON BUTTERFLY』の2作は、マイクロソフトの純正メモリユニット(別売り)でもセーブする事が出来ず、初代Xbox(初期型)本体の内蔵メモリ(64MB)の範囲内でしか記録を残せない仕様となっている。
また、Xbox 360本体が発売されて以降、初代Xbox専用ソフトをXbox 360本体で遊べるようにする「ゲーム互換性アップデート」のサービスが始まり、本タイトル2作も対応してはいるが、実際に360本体側でプレイしてもバグが非常に多いためシリーズユーザーの大半から敬遠されている。したがって、推奨される初代Xbox(初期型)が故障した場合などに対するデータのバックアップ手段は皆無に等しく、どちらの機種で遊んでも何かしらの不都合がある。
物語
零〜zero〜
1986年9月24日、雛咲真冬は、自身の恩人であり取材中に行方不明となった作家・高峰準星の行方を捜すため、彼が取材に訪れたという氷室邸へやってくるが、彼もまた消息を絶ってしまう。 真冬の妹である深紅は、兄を捜して単身氷室邸を訪れる。深紅は兄の手がかりを探して屋敷の中を進むが、やがて屋敷の中を徘徊する霊達に囲まれてしまう。逃げ惑う深紅の前に突如白い着物の女が現れ、彼女の体にそっと触れた。女が触れた後には縄のような痣が残っていた。それは女〜霧絵が屋敷を訪れる者にかける呪いだった。 果たして深紅は死の呪いが成就する前に兄を探し出し、共に脱出することができるのだろうか…。
零〜紅い蝶〜
双子の姉妹である、天倉繭と天倉澪は、昔住んでいた故郷に近い沢にやってきた。 この沢のある辺りはもうすぐダムの底に沈んでしまうため、最後にもう一度見ておきたいと思ったからである。だが幼い頃よく遊んだこの沢には、かつて姉の繭がこの沢のある山道で足を滑らせ転落、大怪我を負ってしまったという苦い思い出もあった。 妹の澪が回想しているとそばにいたはずの繭がいなくなってしまった。澪が辺りを見回すと、繭が紅く輝く蝶に導かれるように林の中へ入っていく。澪が慌てて追いかけるも、2人は地図から消えた村、皆神村に閉じ込められてしまう。
零〜刺青の聲〜
写真家を生業としている黒澤怜は、ある日幽霊屋敷と噂される日本家屋の取材を依頼される。そこで彼女はあるはずのない影を見る。 現像した写真には、2か月も前に死んだはずの婚約者・麻生優雨の姿が写っていた。その日から怜は悪夢を見るようになる。増築を重ねた末にうち捨てられ廃墟と化した日本家屋、その屋敷の中を徘徊する霊…。その悪夢の屋敷の中で悪霊に追立てられ、捕えられたところで怜は夢から覚める。いつの間にか怜の体には、刺青にも似た青い痣が浮かび上がっていた。その痣は激しい痛みを伴い、彼女を苛む。 怜の心に生まれた謎は、怜の助手の雛咲深紅や優雨の知人・天倉螢をも巻き込み広がっていく。そして現実の世界にもその恐怖は侵食していく。 果たして怜が見る夢の真相は? そして、あの世から聞こえる優雨の“聲”は彼女に届くのだろうか…。
零〜月蝕の仮面〜
「誰も覚えてないことは、存在しないことになるのだろうか…」。本州の南に浮かぶ島-朧月島で10年に1度開かれる朧月神楽。その神楽の最中に、5人の少女が神隠しに遭った。少女達は1人の刑事に助け出されたが、すべての記憶を失くしていた。神隠しに遭った少女の1人、水無月流歌にはかすかに憶えていることがあった。それは、1つの旋律…。 仮面をつけた人々に囲まれて楽器を鳴らす少女達、そして月の光の中で憑かれたように踊る仮面の女。 旋律は繰り返され、速まり…やがて記憶は途切れた。あの日、何があったのか…? 流歌はその想いを抱え、過ごしてきた。 10年後、神隠しに遭った少女のうち、2人が相次いで死んだ。顔を覆い、泣き叫ぶような無残な姿で…。 流歌と共に残された少女、海咲と円香は友人の死の謎を解き明かすために朧月島に向かった。そして2人を追って流歌も島へ渡る。失った記憶の先にあるものを確かめるために…。
注意:以降の記述には物語・作品・登場人物に関するネタバレが含まれます。免責事項もお読みください。
異なる結末
零シリーズでは初回プレイで到達できるエンディングは1つとなっているが、2周目以降に難易度やサブイベント完遂などの条件を満たすことで異なるエンディングを迎えることができる。
また、『zero』と『紅い蝶』のXboxリメイク版である『零 SPECIAL』と『FATAL FRAME II』には、それぞれにハッピーエンド的なエンディングが1つ追加されている。
なお、『刺青の聲』発売時のスタッフインタビューによると、『zero』と『紅い蝶』は続編である『刺青の聲』へと続くエンディング(初回プレイ、もしくは難易度NORMAL以下でプレイした場合のエンディング)が公式であり、『刺青の聲』では2周目以降に条件を満たすことで到達可能なエンディング(スタッフロールに登場人物のその後を窺わせる写真が追加されたもの)が公式であると発表されている[10]。
時代設定
零シリーズは、2010年時点までで発売されている『zero』『紅い蝶』『刺青の聲』『月蝕の仮面』の4作品が、登場人物を中心に間接的にだが繋がっている(ただし、ストーリーはそれぞれが独立している。特に『月蝕の仮面』は他の作品との繋がりが薄く、ある人物が他3作とも関わる人物と血縁関係にあることのみが接点となっている)。
時間的流れとしては、『刺青の聲』の初回予約特典「History of "Project Zero"〜黒澤レポート〜」による公式設定で、『刺青の聲』が発売された時点で、『zero』は1986年、『紅い蝶』は1988年と明かされている。また、『刺青の聲』の螢の話によると、『紅い蝶』の事件から2か月程度経過しているため、『刺青の聲』は1988-1989年の出来事となる。『月蝕の仮面』に関しても舞台は1980年代だという[11]。
時系列としては『zero』→『紅い蝶』→『刺青の聲』(『月蝕の仮面』は不明だが、ほぼ同時期)であり、過去の儀式の失敗も同じ順になる。『zero』において『紅い蝶』の登場人物である黒澤(宗方)八重の成長した姿が登場しているため混乱しやすいが、これは『zero』において「儀式の失敗」と「神隠し事件」という、年代の違う2つの事件に関係する人物の霊が登場しているためであり、『zero』と『紅い蝶』の過去の事件の時系列は
- 裂き縄の儀式の失敗(『zero』。公式ウェブサイト『零〜zero〜』のダウンロード画面にある「シーン2」で、文政10年冬〈1828年〉と明記されている)
- 紅贄祭の失敗(『紅い蝶』。作中の文章から「双子に関する太政官布告(1874年)」以降であることが確定している)
- 宗方一家が氷室邸に移り住んできた後の神隠し事件(『zero』。紅贄祭の失敗より更に数年後)
となる。
ちなみに、服装に代表されるトレンドなどは平成(現代)的な文化が反映されているため時代考証に矛盾が生じているが、スタッフインタビューによれば「1980年代に設定した理由は、まだ携帯電話などが普及していなかったから」とのことで、そういった外部と連絡の取れる通信機器を意図的に排除することで孤独感を際立たせ、近代テクノロジーの象徴でもある存在そのものを「はじめから無いもの」とした和洋折衷ならぬ新旧折衷の世界として演出している。
登場人物
共通
- 麻生 邦彦(あそう くにひこ)
- 明治末期から昭和初期の間、生存していたと思われる異界研究家及び科学者。名前だけの登場ではあるが、シリーズを通して射影機や霊石ラジオなどの開発者として名前が登場する重要人物でもある。
- 霊界などの異界の存在を科学の力で証明しようと試みた人物である。彼は、彼の開発品(射影機など)がありえない世界との関係を持つことに寄与すると既述した上で、その機械が使用者にもたらす副作用の危険性を認識していたようである。今のところ、彼の発明品だとわかっているのが射影機(複数)、霊石ラジオ(複数)、過去を映す映写機(複数)、霊石灯である。彼の発明品は、貸与、寄贈、紛失などの形で全国各地に散らばっており、現在では骨董収集家達の嗜好品として取引され、その多くが行方不明である。
- 麻生邦彦は、当時希少価値の高い写真機や映写機、ラジオを多数所持しており、相当の資産家の生まれであったことと思われる。また、それらの機械の改造を行っており、技術や知識も十分にあったと思われる。なお、学会の人間からは変人扱いされていたらしい。『zero』の時点では氷室邸を訪れて完全な射影機を完成させた直後に失踪したとされており、その後場所は定かではないものの死亡していることが明かされている。
zero
- 雛咲 深紅(ひなさき みく)(声:わくさわりか)
- 本編主人公。年齢は17歳。
- 生来より強い霊感を持ち、幽霊を見たり、残留思念を読み取ったりすることが出来る。しかし、その影響で唯一の肉親であり理解者でもある兄・真冬にしか心を開けないでいる。
- 行方が分からなくなった兄を追い、氷室邸に辿り着くが、怨霊の力により屋敷に閉じ込められてしまう。氷室邸内で兄が持ち込んだ母の形見の射影機を発見し、兄を探すため射影機を使い霊と対峙する。
- 雛咲 真冬(ひなさき まふゆ)(声:金丸淳一)
- 本編主人公である深紅の兄。21歳。深紅同様強い霊感を持っている。ジャーナリスト。
- 仕事の恩人である高峰準星の消息を追い、氷室邸に辿り着く。自殺した母・深雪から受け継いだ射影機を使い、霊に対抗するが、強大な怨霊を前に、高峰と同じく屋敷に捕らわれる。
- 顔立ちが霧絵の想い人に瓜二つであったため何もされずに解放されるが、彼女が怨霊と化した理由を知り、霧絵の魂を救うために屋敷の奥へと進む。
- 雛咲 深雪(ひなさき みゆき)
- 真冬、深紅の母親。強い霊感を所持しており、二人が霊感を所持しているのは母譲り。
- 学生時代に夫・真人と出会い結婚、一時期は真人の助手として遺跡の発掘品などの撮影を行っていた。
- 多忙な夫とのすれ違いから趣味として再び写真を撮るようになったが、自らの霊感と母・美琴から受け継いだ射影機の力に耐え切れず、首を吊り自殺する。
- 雛咲 真人(ひなさき まさと)
- 深紅、真冬の父親。設定のみ存在[12]し、本編では名前も登場していない。
- 考古学者であり、研究のために全国を飛び回り家にほとんど戻らない日々を送っていたが、その旅先で事故死している。
- 高峰 準星(たかみね じゅんせい)(声:小林清志)
- ミステリーやノンフィクションなどを多く手がける有名作家。42歳。
- 次回作の取材のために助手の平坂巴、編集者の緒方浩二を連れ氷室邸を訪れるが、怨霊によって氷室邸に捕らわれる。霊感はほとんどないと思われるが、それでも氷室邸の真実解明まであと一歩のところまで迫るなど、柔軟な思考と聡明さを併せ持った好人物。怨霊名・作家の霊
- 緒方 浩二(おがた こうじ)
- 高峰準星が手がけていた雑誌の担当編集者。32歳。霊感は所持していない。
- 自らの取材も兼ね、高峰に同行するが共に怨霊に捕らわれることに。怨霊名・編集者の霊
- 平坂 巴(ひらさか ともえ)
- 高峰準星の助手でパートナー。28歳。わずかながらに霊感を持っていた。
- 氷室邸に嫌な予感をしていたが、高峰の取材をふいにするわけにもいかず同行する。そのため高峰達と共に怨霊に捕らわれることになる。怨霊名・助手の霊
- 霧絵(きりえ)
- 氷室邸を訪れた人々の前に現れる怨霊。
- その正体は、氷室家に伝わる儀式・裂き縄の儀式(さきなわのぎしき)で最後の縄の巫女となった女性。注連縄で両手足と首の五肢を引き裂かれ贄となったが、儀式の失敗によって起きた災厄禍刻(まがとき)により怨霊と化し、自分が受けた苦しみと同じ苦しみを味合わせようと屋敷を訪れた人間の五肢を引き千切り惨殺するようになる。
- 霧絵の代では巫女の掟が緩くなっており、決められた日に限り、日ごろ閉じ込められている座敷牢から中庭に出ることが許されていた。そして中庭に出ることを許された日、座敷牢の窓より以前から気にかけていた中庭を歩く男性と初めて散歩をした霧絵は、恋心に似た気持ちを抱く。霧絵本人は想い人との時間が限られたものであることを重々承知しており、自らの運命を受け入れようとしていたが、巫女が現世に未練を残すことで儀式が失敗してしまうことを恐れた当主や神官達により、想い人が殺されたことを悟ってしまう。自分の運命に想い人を巻き込み死なせてしまったという罪悪感から心が乱れ、現世への未練を完全に断ち切ることができなかった霧絵が贄となったことで、結局儀式は失敗し禍刻を発生させてしまった。なお、霧絵が愛した男性は顔立ちが真冬に瓜二つであった。
- Xbox版では、儀式前日の夢の中で悲しい目をした鎧武者の霊に会い、儀式が失敗するよう念じれば思いを遂げられると唆されていた。
- 着物の少女
- 白い着物を着た少女の霊。深紅の前にたびたび現れ、ヒントを与えたり手助けをしてくれる。
- その正体は、霧絵の怨霊から分離した霧絵の良心。幼い少女の姿なのは、霧絵の子供時代の姿をとっているためである。
- 氷室家当主
- 般若に似た鬼の面で顔を隠した、氷室家最後の当主。儀式の失敗により黄泉の門からあふれた瘴気を浴び発狂、屋敷にいた人間全てを刀で斬り殺し、最後には自害した。
- 家人からは慕われていたが家訓に厳しい面があり、巫女である霧絵の感情を読み違え、神官達に霧絵の想い人を殺害させてしまった。我流ではあるが、剣術の腕は達人の域に達している。怨霊名・氷室家当主の霊。
- 宗方 良蔵(むなかた りょうぞう)
- 氷室邸に伝わる儀式について調査を行っていた民俗学者。調査のため、妻・八重と娘・美琴を連れ無人となっていた氷室邸に移り住んだが、美琴が失踪し八重が自殺したあと、黄泉の門に繋がる禁忌の地下道へ踏み入り、怨霊に殺害された。雛咲兄妹自身は氷室邸を訪れるまで知らなかったものの、彼らの曽祖父にあたる。
- 宗方夫妻は『紅い蝶』にも登場しており、2つの作品間の繋がりを示す人物でもある。怨霊名・民俗学者の霊
- 宗方 八重(むなかた やえ)
- 宗方良蔵の妻で、旧姓は黒澤。雛咲兄妹の曽祖母にあたる。
- 『紅い蝶』に登場する黒澤八重と同一人物であり、(『紅い蝶』で語られる事件により)故郷の村が消失したショックから過去の記憶を失い、伏せりがちになっていた。
- 娘・美琴が手に入れた射影機の不思議な力に気付いており、美琴の失踪は射影機を取り上げなかった自分のせいだと自責の念に駆られ、中庭の桜の木で首を吊って自殺してしまった。怨霊名・首を吊る女の霊
- 宗方 美琴(むなかた みこと)
- 宗方夫妻の一人娘。着物の少女から射影機を与えられ、それを持って友達と鬼遊び(かくれんぼ)をしていた際、突如行方不明となる。
- 実は娘を巫女として奪われた男の怨霊により神隠しに遭っており、同じように神隠しに遭った友達は命を落としたが、彼女だけは射影機の力のおかげで助かり、数日後無事に生還する。
- 失踪している間に両親が行方不明扱いになっていたため、父の友人であった雛咲の家に引き取られた。雛咲兄妹の祖母にあたる。
- 九鬼 時定(くき ときさだ)
- Xbox版で追加された新たな怨霊。
- 霧絵より前の縄の巫女に思いを寄せ、儀式を止めようと神官に斬りかかったため殺された若い武者。黄泉の門の封印を破れば想い人である過去の縄の巫女が解放されると思い込んでおり、門の封印を破るため縄の巫女である霧絵の夢の中に現れ、儀式を失敗させるよう唆した。怨霊名・鎧武者の霊
紅い蝶
- 天倉 澪(あまくら みお)(声:神田朱未)
- 本編主人公。年齢は15歳。明るく活発な性格。姉の繭ほど霊感は強くないが、双子の血故か繭を通して奇妙なビジョンを見ることがある。
- 紅い蝶に誘われた繭の後を追い皆神村に迷い込む。その途中村の廃屋で発見した射影機を使い、繭と村からの脱出を試みる。幼少時の繭が怪我をした事件を自分の責任だと気に病み、いつも繭を守るように思っている。
- 作中説明されることはないが、冒頭で森の中に入り、消えた村の前で泣いている紗重の姉(八重)を見た際、澪は八重に憑依されている[13]。
- 天倉 繭(あまくら まゆ)(声:川澄綾子)
- 本編主人公である澪の双子の姉。年齢は15歳。妹の澪とは逆に控えめで大人しい性格。
- 強い霊感を持っており、本編内でもプレイヤー(澪)は繭の視線を通して幾度か奇妙なビジョンを見る。しかし、霊に対する耐性を持っていないため、とりこまれ易い。小さい頃澪と山に入った際、山道の斜面を滑り落ちて右足を怪我してしまう。その後遺症で速く走ることができず、澪が一人で走るとついていけなくなる。
- 難易度HARDでは、最後の戦闘の際にBGMとして「繭の告白」という繭の台詞が流れる。それによると繭は幼少時の事故により、澪が自責の念から繭を常に気にかけ、側にいてくれることを、密かに心の底で嬉しく思っていたことが明かされる。ただ、崖からの転落は繭が澪を縛るため意図的に行ったものではなく、柴田ディレクターの解説[13]によると「繭が崖から落ちたのは、衝動的なものだった。澪にあてつけて落ちたわけではなく、澪と離れる未来に悲観して自ら飛び降りたのだ。それは自殺にも等しいことだった」とあり、澪に対し何かをしようという気はなかった。
- 天倉 操(あまくら みさお)
- 繭、澪の父親。設定のみ存在し、本編では名前も登場しない。
- 二人が小さい頃山へ入り、繭が右足を怪我し動けなくなったとき、捜索に出たがそのまま行方不明になったとされている。天倉家に婿入りしており、旧姓は麻生。「射影機」や「霊石ラジオ」の発明者である麻生邦彦の血縁者である。
- 天倉 静(あまくら しず)
- 繭と澪の母親。「刺青の聲」の新聞記事によると年齢は35歳。天倉操同様本編には出てきていない。
- 操が行方不明になってしばらくしてから二人を連れ、地方を後にし、都会へと移り住んだ。『刺青の聲』に登場する天倉螢は彼女の弟にあたる。
- 黒澤 紗重(くろさわ さえ)
- 黒澤八重の双子の妹。繭と同じく大人しい性格で体が弱い。村の最深部にある、黄泉へ繋がるという大穴・虚(うつろ)を鎮めるために行われている紅贄祭(あかにえさい)という祭の双子巫女に、姉の八重と共に選ばれた。
- 村民を一挙に虐殺し村を闇の中へ消滅させた災厄・大償(おおつぐない)を引き起こした張本人。怨霊名・血塗れの着物の女。
- 姉(兄)が妹(弟)を絞殺するという紅贄祭においては贄となる側だが、八重といつまでも一緒にいたいという強い願いから、本心では儀式を受け入れていた。紅贄祭の直前、立花樹月の立案により八重に従う形で村から脱出を試みるが、途中で山道から転落してしまう。そのため村人に捕まり一人で儀式を行うこととなってしまい、宮司達によって鳥居に吊るされ絞殺された。紅贄祭の儀式は双子が揃って行うことを前提としているため、大償を引き起こしたというのはある程度必然の事象と思われる。
- 黒澤家の屋敷で狂笑しており、精神が崩壊しているかのように描かれている。
- ちなみに、皆神村では双子が生まれた際に「後から出てきた方が兄・姉」とされており、「先に出てきた方が兄・姉」とする現代であれば、紗重の方が姉になる。
- 黒澤 八重(くろさわ やえ)
- 黒澤紗重の双子の姉。澪と同じく活発な性格で、妹・紗重を何よりも護ろうとする。皆神村唯一の生存者であるが、大切な妹を失ったことと村が消えたショックから記憶喪失になり、それまでの明るい性格にも影が差すようになった。
- 紅贄祭の直前に、立花樹月の立案により、宗方良蔵と共に妹の紗重と村から脱出を試みている。逃亡途中で紗重が山道から転落したことではぐれてしまい、その後森で迷いながらも紗重を捜しに村に戻ろうとしたが、村の入口へ戻った時には既に大償で村は消滅していた。
- 『zero』にも登場しており、宗方と結婚した彼女の様子が語られているが、皮肉にも最後は鳥居に吊るされた紗重と同じように首を吊り死んでしまう。
- 黒澤 良寛(くろさわ りょうかん)
- 紗重、八重の父親。村の代表者として皆神村の祭の全てを取り仕切る立場にある祭主と呼ばれる人物。妻や娘達に対する愛情は失っていないが、彼自身も過去の紅贄祭で弟を失っており、村を護るためならば非情な選択もやむを得ないと考えている。良寛の妻は、八重と紗重を出産後、産まれた子が双子であったことにショックを受け、虚に飛び込み自殺した。怨霊名・黒澤家当主。
- 立花 樹月(たちばな いつき)(声:保志総一朗)
- 皆神村の蔵に幽閉させられていた白髪の少年。皆神村内で行き先が知れなくなった繭を捜し求めていた澪のことを八重と勘違いし、さまざまなヒントを与える。
- 八重と紗重が行うはずだった儀式の1年前、紅贄祭の犠牲となった「双子御子」の片割れ。
- 儀式は行われたが、弟である睦月を思う気持ちが強過ぎて儀式を成功させることが出来なかった。白髪になったのはその際のショックからであり、立花兄弟による儀式が成功しなかったため、八重と紗重が次の巫女に選ばれた。
- 生前の睦月と共に八重と紗重を紅贄祭の犠牲にすることは出来ないと考え、彼の死後も約束を守るために2人を村から逃亡させようと試みる。宗方は樹月のことも迎えに来るつもりだったが、樹月はこれを断った。
- 巫女の逃亡を助けたことで蔵に閉じ込められることとなった。
- 作中で蔵に居る樹月は霊となっているが、死因は大償では無く、蔵内部で首を吊ったことによる自殺。
- 八重と紗重が村を出たことで役目を終えたと思い、2人が逃げ切れたことを確認せずに命を絶ってしまった。
- 立花 睦月(たちばな むつき)
- 立花樹月の双子の弟。本編では登場しないが、樹月は幾度か彼に許しを請う発言をしている。
- 樹月と違い、黒髪。なお、もともとは樹月も黒髪である。体が弱かったらしい。
- 立花 千歳(たちばな ちとせ)(声:米本千珠)
- 樹月、睦月の妹。生まれつき弱視であり、離れてもすぐ見つけられるようにと兄から鈴を貰った。そのため、彼女が現れたときには鈴の音がする。また作中に登場する怨霊の中でも屈指の人気を誇る霊である。怨霊名・紅い着物の少女。
- 兄の樹月が蔵に閉じ込められ自殺したのは、八重と紗重が逃亡をはかったからと考えている。そのため、2人(特に捕まらなかった八重)のことを激しく怨んでいる。
- 幼少時から、家族以外との接触を恐がり、よく押入れに隠れていたらしい。さらに弱視のため、外に出ることも少なかったようだ。その設定のためか、肌が色白。
- 樹月と同じく澪を八重だと思い込んでおり、攻撃時には「お兄ちゃんを返せ!」と叫ぶ。また、攻撃時には、泣き叫ぶことによって、周囲の光を消してしまうという能力を持つが、自分自身が弱視であるため、暗くなっている間は泣きながら逃げ回っている。
- 真壁 清次郎(まかべ せいじろう)
- 様々な伝承などを調べ歩いている民俗学者。「黄泉の門」と呼ばれるものを求め、皆神村に助手の宗方良蔵と共に立ち入るが、それ以降、村は地図から消えている。生前の麻生邦彦と親交があり、調査のため射影機を含む幾つかの「ありえないもの」をとらえる機械を皆神村に持ち込んだ。
- 作中に登場する怨霊「楔(くさび)」の正体。「縄の男」とも呼ばれる。
- 陰祭(かげまつり)と呼ばれる紅贄祭の代替行事の生贄として村に招かれ、本人も途中でそのことに気付くが、「黄泉の門」への好奇心のあまり逃亡の機会を逸し、儀式の犠牲となった。
- 大償により虚から闇が噴出した際、黒澤紗重と共に現れ、村から脱出しようとした村人を虐殺。切り刻まれて死に絶えた村人達は、彼の犠牲者である。
- 宗方 良蔵(むなかた りょうぞう)
- 真壁清次郎の助手で、『zero』にも登場している。
- 樹月・睦月とは親友であり、樹月からとあることを頼まれ、真壁と共に皆神村に立ち入る。師の言葉に従い一度は皆神村を去るが、樹月との約束のため再び村を訪れる。しかし、その時には既に村は消え去っており、その入り口だったはずの場所には唯一の生き残りとなった八重が記憶を失い佇んでいるだけだった。
- 桐生 茜(きりゅう あかね)
- 桐生薊の双子の姉。八重・紗重の時代よりもさらに昔の紅贄祭に参加した人物であり、大償の時点で既に故人となっていた。今でもその魂は桐生家を彷徨っている。
- 生前、祭により薊を失ったことから心を病んでしまっており、父である善達に与えられた薊の人形を本物の薊だと思っていた。魂を宿した薊の人形に唆され、人形を処分しようとした善達を殺害した。怨霊名・双子少女の霊。
- 桐生 薊(きりゅう あざみ)
- 桐生茜の双子の妹。姉・茜と同じく大償の時点で既に故人。
- 茜と同じようにその魂は桐生家に留まっているが、茜の霊と共に行動している「薊」は彼女本人ではなく、茜に与えられた薊の人形である。本物の薊の霊は「自分は儀式によって茜と一つになれたのだから代わりなどいらない」と、人形を殺すよう訴える。
- 躯(むくろ)
- 善達が心を病んだ茜のために作った人形に魂が宿ったもので、茜の霊と共に行動している「薊」の正体は躯である。怨霊名・双子少女の人形。
- 桐生 善達(きりゅう よしたつ)
- 茜、薊の父親。からくり師。皆神村の各所に存在する仕掛けは彼が作り出したものである。また、仕掛け以外でも多数の人形を作っている。
- 薊を失ったことで心を病んてしまった茜のため、薊を模した等身大の人形を製作し茜に与えたが、その人形が魂を宿し躯となったことに気付き、処分しようとしたところを躯に唆された茜により殺害される。
- 娘達同様大償の時点で既に故人となっており、彼の代で桐生家は断絶している。彼の魂もまた、今でも桐生家を彷徨っている。怨霊名・からくり師。
- 槙村 真澄(まきむら ますみ)
- ダム建設に伴い皆神村周辺を調べにきた調査員。作業中誤って皆神村に迷い込む。
- 彼を探しにきた恋人・須藤美也子と共に村からの脱出を試みるが、怨霊により惨殺される。怨霊名・切り刻まれた男。
- 須堂 美也子(すどう みやこ)
- 槙村真澄の恋人。行方不明となった槙村を探す途中、皆神村に迷い込む。
- 槙村と皆神村で再会することは出来たものの、後に怨霊化した槙村に殺され、自身も怨霊と化すことになる。主人公である澪が最初に退治する怨霊である。怨霊名・迷い込んだ女。
- 紅い蝶(あかいちょう)
- 天倉繭を皆神村に誘う妖しくも美しい紅い蝶。
- その正体は、紅贄祭の成功を表す双子巫女(御子)の片割れ(絞殺された側)の魂。紅い蝶の数は、過去に行われた紅贄祭の成功の数を表す。また、紅贄祭は確実に成功する儀式ではなく、失敗例(樹月、睦月の紅贄祭)もある。
- 紅贄祭が成功すると、妹(弟)の首にある絞殺の際についた両掌の痣より紅い蝶が浮かび上がる。この紅い蝶が出現するか否かにより、紅贄祭の成功か失敗かがわかる。紅贄祭が失敗すると双子の片割れ(絞殺された側)は紅い蝶になれない。
- 双子巫女ないしは双子御子の姉(兄)が妹(弟)を殺した痕は、祭の終わりで紅い蝶に姿を変える。巫女(御子)の身体は虚に落ち、蝶となった魂は村の周りを飛ぶことになる。紅い蝶の形は両手の痕をあらわしている。
- 紅い蝶は皆神村にずっと残り、村の守り神として永遠に祀られる。
刺青の聲
- 黒澤 怜(くろさわ れい)(声:皆川純子)
- 本編主人公。23歳のフリーカメラマン。撮影に訪れた幽霊屋敷内で白昼夢を見て以来、眠りの家の悪夢にとらわれるようになる。
- 過去に自らの運転する車で起こした事故により、婚約者・麻生優雨を亡くしている。自分だけが生き残ってしまったという心の傷に苦悩し、今でも自責の念にとらわれている。仕事で多忙なのはそれを忘れるためでもある。
- 黒澤の姓を名乗るが、過去作に登場した黒澤一族との関係は不明。右の目元に泣き黒子があるが、刺青の巫女こと久世零華にも同じ位置に黒子がある。
- ペットの黒猫の名前は「ルリ」。ただし自身の元からの愛猫ではなく、同居人の深紅が実家から連れてきて飼っている[10]。
- 雛咲 深紅(ひなさき みく)(声:わくさわりか)
- 1作目『zero』の主人公で、年齢は19歳。現在は黒澤怜のアシスタントを勤めており、家事全般は彼女が行っている。
- 怜の影響を受けて眠りの家の悪夢にとらわれ、それをきっかけとして『zero』の事件以降失われていた霊感が復活する。なお、彼女の設定は『zero』のNORMALモードEDを前提にしている。
- 非常に強い霊力を保有するため撮影時の攻撃力が高いが、反面怨霊の攻撃に対しては打たれ弱いという弱点を同時にもつ。また体が小さいため、怜や螢では侵入できない床下のような狭い空間を調査することが可能。
- 天倉 螢(あまくら けい)(声:織田優成)
- 26歳の若手ノンフィクション作家。2作目『紅い蝶』の主人公である澪と繭の叔父。
- 夢にとらわれるようになった姪の澪を救うため、眠りの家を調べるが、自らもその悪夢にとらわれるようになってしまう。生前の麻生優雨、そして深紅の兄・雛咲真冬とは仕事仲間だった。
- リアリストであり、本来心霊現象には懐疑的である。そのせいか怜や深紅と比べて霊感が弱く、射影機による戦闘は不向きである。その代わり、「物陰に隠れて怨霊をやり過ごす」という螢独自のアクションが用意されている。また身体能力に優れており、重い障害物を退ける、離れた足場へ跳び移るといった行動が可能。
- 髪を梳かす女こと久世鏡華の想い人・秋人に風貌が瓜二つであり、眠りの家では幾度となく彼女に付き纏われる羽目になる。
- 麻生 優雨(あそう ゆう) (声:黒田崇矢)
- 黒澤怜の婚約者。故人。怜の運転していた車に乗っていて事故に遭い他界。生前、天倉螢や雛咲真冬らと交流があった。
- 射影機の開発者・麻生博士の子孫であり、麻生博士と射影機に関する書物が屋根裏部屋に保管されている。
- 天倉 澪(あまくら みお)
- 2作目『紅い蝶』の主人公。『紅い蝶』での事件以来、眠りの家の悪夢にとらわれるようになる。
- なお、彼女の設定は『紅い蝶』のEASY・NORMALモードEDを前提にしている。
- 久世 零華(くぜ れいか)(声:皆川純子〈2役〉)
- かつて“眠りの家”久世家で行われていた儀式・戒ノ儀(かいのぎ)の失敗により怨霊化した巫女。体中に刺青が刻み込まれている。
- 本来は儀式の総締めである久世家近隣の集落で暮らす普通の娘だったが、身寄りを失くし久世家当主の久世夜舟に引き取られ、縁者と死に別れた人々の思いを刺青として肌に刻み、黄泉へ渡す刺青の巫女となった。旧姓は雪代。
- 久世家に引き取られる以前、夜舟の孫とは知らずに乙月要と愛し合っていたが、都会へ出ていく要についていくことはできず、巫女となることを受け入れ久世家に入った。
- 刺青が身体を埋め尽くしたため、最後に永遠の眠りに就き刺青を黄泉へと渡すための戒ノ儀を行うが、眠りに就く直前に要が殺害される姿を目の当たりにしてしまい、悲しみと絶望にとらわれた彼女は身体に刻まれた刺青を暴走させてしまうという最悪の禁忌・破戒(はがい)を引き起こして久世屋敷を現世と常世の狭間に閉ざした。今でも要の悲惨な最期にとらわれ、「もう見たくない」「眠らせて」と怜に自身の苦痛を訴えている。怨霊名・刺青の巫女。
- 久世 鏡華(くぜ きょうか)
- 夜舟の実の娘で要の母。女系である久世家は子孫を残すために外部からマレビトの男性を招いて血を繋いでいた(そしてその際に招かれた男性は用済みとして殺される)ため、彼女も久世家を調査しに来ていた民俗学者・柏木秋人ととの間に子を儲けた。
- しかし生まれた子供が男児だった場合は掟により4歳の時点で流され(殺され)てしまう運命にあったため、秋人を心から愛していた彼女は何処の誰とも知らぬ家の人間にこっそり要を預けて命を助け、夫の末路も知らずに秋人が再び自分の元に来るのを待ち続けた。しかしそんな母の願い空しく零華を愛してしまった要は父と同じ運命を辿ることになる。怨霊名・髪を梳かす女。
- 乙月 要(おとつき かなめ)
- 夜舟の孫で鏡華の息子。また久世家近隣の村で零華と共に育った幼馴染みでもある。
- 村を出て都会で生活していたため、零華が久世家に引き取られたことは知らないが、久世家の奥から零華の呼び声が聞こえるという不思議な夢を見るようになる。
- 夢の「異界との境目」としての面を研究していた麻生博士に協力し、その夢や久世家に関する伝承の話をしていくうち、零華が刺青の巫女になったことを直感した要は一目でも良いから最期に会いたいと願い、鎮女の一人・雨音の手引きで久世家へ侵入。久世の宮の地下最深部にある儀式の間・棘獄(しごく)において零華と再会を果たしたものの、緊急事態を察した夜舟の手によって零華の眼前で殺されてしまった。
- なお、公式完全攻略本『導魂之書』では、「公式ではない」との前置きの上で、都会へ引っ越した要が零華に宛てた手紙の形で久世家へ向かうまでの彼の様子が描かれている。
- 鳴海 天涯(なるみ てんがい)
- 寺社番匠(宮大工)達を束ねる木工頭であり、代々久世家の建物の保全を行ってきた守谷家の主。
- 夜舟の依頼により、破戒の影響が外に及ぶことを防ぐための久世家増築を指揮した。その後、増築に携わった寺社番匠全員を人柱として殺害した。本来、木工頭である彼だけは守谷家の技術を次の代に残すために生き残るはずであったが、零華の起こした破戒の威力は強力であり、寺社番匠全員を人柱にしても数が足りなかったため、最期は自分自身を最後の人柱とするため自ら命を断った。怨霊名・顔を隠した男。
- 久世 夜舟(くぜ やしゅう)(声:山口奈々)
- 東北の寒村にある久世家の女主。儀式の断絶を防ぐために孤児となった零華を引き取り巫女にした。
- 家のしきたりに厳格で、家を守るためならたとえ自分の孫を手に掛けることも厭わない。零華の眠りがまだ完全ではないことに気付かず、棘獄に侵入した要を彼女の目の前で殺害してしまい、結果的に破戒を引き起こしてしまった。怨霊名・久世家当主。
- 鎮女(しずめ)
- 巫女の世話係にあたる幼女達の総称。鎮女は代々近隣の村などから集められた幼い少女が4人組で務めることになっており、外界と接触を絶たれた巫女の周辺の世話をし、話し相手になり、最後には巫女の両手足を棘獄に杭で繋ぎ止め、巫女の眠りが覚めぬように「咎打ち」をする役割を担っている。なお、4人とも久世の姓を名乗ってはいるが実の姉妹というわけではない。通常、鎮女は巫女を穿つ役目を終えたあと生家に戻ることになっていたが、雨音は掟を破った罪により殺害され、他の3人も破戒の発生により久世家を出ることなく命を落とした。怨霊名・巫女姿の少女。
- 久世 雨音(くぜ あまね)(声:黒葛原未有)
- 4人の中で唯一鎮女の職務に嫌悪を覚えていた少女で、要の異父妹でもある。零華がしきりに会いたがる恋人が兄・要であることを知った彼女はせめて最期だけは、と要を男子禁制である久世の宮の中枢部へ案内してしまう。一度は兄を送り出したものの兄の安否を気遣った雨音は自身も終ノ路へと引き返すが、奈落で待ち受けていた3人の鎮女に捕まり、罰として四肢を穿たれ死んでしまった。深紅の前に現れ、零華と兄を助けてくれと懇願する。
- 久世 水面(くぜ みなも)・時雨(しぐれ)・氷雨(ひさめ)
- 最年長の氷雨は職務に忠実で淡々と仕事をこなす鎮女の先輩である。破戒によって広がった挟間を屋敷内に留めるための儀式として、すでに穿たれた雨音を除く時雨・水面の2人を殺害した後、誰もいなくなった久世屋敷の中で孤独な最期を迎えた。
- 時雨は己のしていることに罪悪感を抱き始めていたが最後まで職務を完遂した少女である。雨音の罰に対しても日記で「ごめんなさい」と謝っている。
- 最年少の水面は鎮女になったばかりの少女で、幼さゆえの残忍な心を持ち、人の四肢を穿って死に至らしめることにまだ罪悪感を覚えておらず、むしろ楽しみにしている節がある。
- 瀧川 吉乃(たきがわ よしの)
- 婚約者を含む家族と旅行中、飛行機の墜落事故に巻き込まれ、一人だけ奇跡的に生き残った女性。
- 自分だけが生き残ってしまったという心の傷から眠りの家に引き込まれ、そこで出会った怜に助けを求めるが、その後完全に眠りの家に取り込まれてしまう。怨霊名・生き残った女。
月蝕の仮面
- 水無月 流歌(みなづき るか)(声:能登麻美子)
- 本編主人公。朧月島出身で、ピアノを学ぶ少女。17歳。
- 神隠しに遭う以前の記憶を失っている。唯一思い出せる旋律を奏でるたびによみがえる断片的な記憶とその先にあるものを知りたい、失ったものを取り戻したいという想いから、病の床に伏した母・小夜歌の制止を振り切って朧月島に渡る。
- 神隠しに遭った当時は四方月という姓を名乗っていたが、その後両親が離婚したため、現在は小夜歌の旧姓である水無月の姓を名乗っている。
- 麻生 海咲(あそう みさき)(声:沢城みゆき)
- わがままで意思の強い少女。17歳。神隠しに遭った5人の1人。
- 「帰ってくるの…朧月島…」鏡に映った黒衣の少女の言葉に導かれ、円香と一緒に朧月島に向かう。
- 前述の天倉操や麻生優雨と同じく、射影機を作った麻生邦彦博士の子孫にあたる(2人と海咲の血縁関係は不明)。そのため、自宅に保管されていた射影機の「残留思念や過去を写し出す力」が記憶を取り戻すための役に立つと思い、朧月島に持参していた。
- 月森 円香(つきもり まどか)(声:後藤沙緒里)
- 海咲の友人。気が弱く、海咲の言うとおりに行動してしまう少女。17歳。流歌や海咲同様神隠しから助けられた少女達のうちの1人。
- 同じく神隠しから助けられた少女であり、友人だった奈々村十萌と篠宮鞠絵が相次いで死んでから海咲の様子が変わったことを心配している。
- 霧島 長四朗(きりしま ちょうしろう)(声:小西克幸)
- 元刑事の探偵。刑事時代に連続殺人の容疑者である灰原耀を追って朧月島に渡った時、神隠し事件に遭遇、彼女達を発見した。
- 神隠し事件がきっかけで懇意になった小夜歌の依頼で、朧月島へ向かった流歌を追う。彼のみ射影機ではなく小夜歌から受け取った霊石灯を使用して戦う。
- 奈々村 十萌(ななむら ともえ)
- 流歌や海咲、円香と共に神隠しに遭った少女の1人。17歳。病室で顔を覆い、泣き叫ぶような無残な姿で死亡する。
- 篠宮 鞠絵(しのみや まりえ)
- 神隠しに遭った少女のうちの1人。17歳。十萌と時同じくして自宅にて死亡する。
- 灰原 朔夜(はいばら さくや)(声:田中理恵)
- 灰原耀の姉で、朧月館の院長の娘。物語のキーパーソンの1人。
- 20年前、10年に1度月蝕の夜に行われる島の祭・朧月神楽の器(巫女)を務めたことがあるが、それをきっかけとして記憶や自我が崩壊し死に至るという朧月島の風土病・月幽病を発症し、朧月館4階の隔離病棟に入院していた。
- 母譲りの霊媒体質の影響で月幽病の進行が非常に早く、流歌達が神隠しにあった10年前には既にほとんど会話ができない状態となっていた。
- 10年前、末期となった月幽病を治療するための最終手段として、魂の根源・零域(れいいき)に魂を送ることで自我を洗い、正しい形にして戻すという朧月神楽の本来の姿である儀式・帰来迎(きらいごう)の器とされる。しかし、儀式の失敗により「生きながら死んだ」存在と化し、2年間の昏睡の後、かつて島を滅ぼしかけた無苦の日(むくのひ)を再び引き起こし、島を滅亡させた。
- 灰原 耀(はいばら よう)(声:櫻井孝宏)
- 霧島が追っていた連続殺人事件の容疑者で、灰原朔夜の弟。物語のキーパーソンの1人で、流歌達が神隠しに遭った事件に関わっている。
- 姉である朔夜には肉親以上の感情を抱いており、父・重人と同じく朔夜の月幽病治療のためならば手段を選ばない。霧島に追われるきっかけとなった殺人事件も、東京に開院した自分の病院で月幽病研究のために違法な手術を行った結果である。
- 灰原 重人(はいばら しげと)
- 朧月神楽を取り仕切る祭祀であり、灰原病院院長でもある。耀と朔夜の父親。
- 霊媒体質だった妻と朔夜が月幽病を発症し、妻がそのことを苦に自殺してしまったため、朔夜の治療のために他の月幽病患者を使って人体実験まがいの研究を行っていた。
- 亞夜子(あやこ)
- 朧月館207号室に入院していた少女の霊。入院時の年齢は12歳。
- 姓は明らかになっておらず、他者との血縁関係は不明。残酷かつ攻撃的な性格で看護婦や他の患者から恐れられていたが、灰原姉弟からは可愛がられており、耀は亞夜子の性格を「自分に似たのかもしれない」と評している。
- 水無月 小夜歌(みなづき さやか)
- 流歌の母。娘が神隠しに遭った事件の際、当時刑事だった霧島と知り合い懇意になる。
- 流歌が朧月島へ向かうことに反対しており、自分の制止を振り切り島へ渡った流歌の身を案じて霧島に流歌を連れ戻してほしいと依頼。その際、彼に霊石灯という道具を渡した。
- 四方月 宗也(よもつき そうや)(声:立木文彦)
- 流歌の父で、帰来迎の際に必要とされる仮面・月蝕の面の技術を受け継ぐ面打師。
- 灰原重人に月蝕の面の作成を依頼されたが、仮面を完成させようとする執念の余り、流歌に試作品の仮面を被せて実験台にするなど危険に晒したため、妻である小夜歌は流歌を連れて家を出てしまった。
- 黒衣の少女
- 海咲の前に現れる謎の少女。海咲そっくりの容姿をしているが、彼女との関係は不明。
以上で物語・作品・登場人物に関する核心部分の記述は終わりです。
関連用語
- 射影機
- 異界研究者である麻生邦彦博士により作り出された、「ありえないもの」を写し出すことのできるカメラ。麻生博士は独自の理論をもとに異界をとらえる様々な機械を発明したが、彼の失踪によりその技術は失われその発明品も行方知れずになった。
- 射影機には霊や残留思念・過去の光景を写しだす能力のほか、撮影することで怨霊を退ける除霊能力をもつ。さらに雛咲家に伝わっていた射影機では、怨霊を射影機内に封印することも可能だった。しかし、射影機で霊を撮影することは使用者の心が霊によって蝕まれることでもあり、その使用者が悲劇的な末路を辿ったケースも少なくない。使用者の霊感が強い場合は霊から受ける影響も強くなる。射影機での除霊には霊力の込められた専用のフィルムを使用するが、『月蝕の仮面』において、朧月島の面打ちに使用される塗料を改良したものが射影機のフィルムに使用されていることが語られている。
- 射影機の除霊効果は使用者自身の霊力や撮影に使われるフィルムによって異なるが、強力なフィルムほど数が少なく貴重である。また使用者によっては、さまざまな「強化レンズ」を装備することで射影機の特殊な効果を発現させることができる。
- 霊石ラジオ
- 鉱石ラジオを改造したもので、霊や人の思念がのり移った特殊な石(霊石)をセットすることにより、怨霊や人の想いを聞くことが出来る代物である。なお、霊石は美しい結晶を帯びたものが多数見受けられる。
- 映写機
- 過去に起きた現象を、フィルムにおさめることが出来る映写機である。
- 儀式と災厄
- シリーズ全作品に共通して、人里から隔絶された環境で行われていた災厄を防ぐための儀式が登場する(※1)。災厄は黄泉の入口から齎されるものであるため、儀式により黄泉の入口を封じて災厄を防ぐのである。これらの儀式は人間を生贄とする非常に残酷なものである。これらの儀式が失敗した時、大きな災厄が起こり、儀式に関わる者や近隣の住人のほぼ全てが死に絶えることになる。主人公達が探索する廃墟は、儀式の失敗によって無人となった呪われた土地である。
- 黄泉の門
- 作品によって呼称や形態は異なるが、主人公達の最終目的地は一貫して冥界との境界として祀られる禁忌の場所である。民間伝承では、それぞれの黄泉門はかつて慣習化していた洞窟葬、土葬、山葬、水葬の影響により洞窟の奥、地下、山中、海の彼方、海底などにあると考えられており、それらはしばしば複合して用いられる。また、零シリーズにおける黄泉の門は、通常地下にあると考えられている。幾人もの人物がその調査にむかい命を落としており、正確な話は伝わっておらず断片的な伝承が残るのみである。だが、先達の残した記録や成果は確実に主人公の助けとなるはずである。たとえ当の先達が怨霊に成り果て、主人公の前に立ちはだかっていたとしても…。
- 闇と瘴気(災厄)
- 闇と瘴気を防ぐことが、零シリーズの世界で儀式が行われる理由である。零シリーズで災厄とされる「闇」は、本居宣長らが説いた常世という黄泉の空間に充満する絶対の闇の意味よりくる。零シリーズで災厄が黄泉の入口より発生するのは、黄泉そのものが現世における災厄(闇)に満たされているからである。また、零シリーズに登場する「瘴気」とは国語辞典に記載されている瘴気(毒気)の意味と異なっている。具体的に述べるのなら、零シリーズに登場する瘴気とは、「死者の魂を怨霊に変える」「死者の魂を束縛する」「人を狂わす」ものである。 『紅い蝶』によれば、「闇」とは瘴気と共にあふれ出るもので、「人を死に至らしめる」「時間や空間を歪ませる」ものである(※2)。
- 瘴気によって怨霊化したのは儀式の失敗した時代に生きていた者が多数である。それ以外の時代に生きていた者や、瘴気の影響によって死ななかった者は、瘴気の影響を受けて怨霊や狂人と化した者によって殺害され、怨霊となる。
- また瘴気の発生原因と発生源は、『zero』と『紅い蝶』の2作に関しては儀式の失敗が原因でありそれぞれの黄泉の門が発生源となっているが、『刺青の聲』では人間の哀しみや憎しみ、そしてその感情によって暴走した柊(生者が巫女に託した死に別れた者への想い)が瘴気の発生原因であり発生源である(※3)。
- これらの災厄(闇と瘴気)は、黄泉の門が地下に存在することから通常地殻の下にあり、黄泉の門の封印が解けかかると時折マグマのように微量ながら噴き出ることがある。それに伴い、黄泉の門の周辺で局部的な地震が発生するため、零シリーズでは災厄を防ぐための儀式を前以て行うことが出来る。
- ※1 『月蝕の仮面』は除く。
- ※2 『zero』では霊の強い力により氷室邸内における時間と空間が歪んでいる。
- ※3 『月蝕の仮面』は瘴気と関係がない。
主題歌
『紅い蝶』ではディレクター・柴田誠の推薦により[14]天野月子が主題歌を担当し、以降の作品でも天野の楽曲がイメージソングとなっている。
紅い蝶
- 天野月子 『蝶』 ポニーキャニオン
- 作詞作曲:天野月子 編曲:戸倉弘智
刺青の聲
- 天野月子 『聲』 ポニーキャニオン
- 作詞作曲:天野月子 編曲:戸倉弘智
月蝕の仮面
- テーマソング
- 天野月子 『ゼロの調律』 音倉レコード
- 作詞作曲:天野月子 編曲:戸倉弘智
- エンディングテーマ
- 天野月子 『NOiSE』 音倉レコード
- 作詞:天野月子 作曲:天野月子・戸倉弘智 編曲:戸倉弘智
参考文献
- 『零〜zero〜 パーフェクトガイド』 ソフトバンクパブリッシング(現ソフトバンククリエイティブ)、ISBN 4-7973-1872-4
- 『零-紅い蝶- 公式完全攻略本 魂鎮ノ書』 エンターブレイン、ISBN 4-7577-1759-8
- 『零-刺青ノ聲- 公式完全攻略本 導魂之書』 エンターブレイン、ISBN 4-7577-2498-5
- 『任天堂公式ガイドブック 零〜月蝕の仮面〜〔Wii〕』 小学館、ISBN 978-4-09-106428-8
脚注
- ^ 前者はアメリカ。後者はヨーロッパやオーストラリア。
- ^ GameTrailers.com(英語 年齢制限あり グロテスクな描写を含む)
- ^ 『刺青の聲』販売促進広告より。
- ^ 『紅い蝶』霊リスト「no.150 描きつづける女」。ただし、PS2版に限ったものでXboxリメイク版では変更されており登場しない。
- ^ 零〜zero〜奇譚 特別編 世界の『零〜zero〜』
- ^ a b c 新旧2種類が存在。旧:『zero』〜ジャケット余白が白色。『紅い蝶』〜CEROマークが数字。『刺青の聲』〜ジャケット裏の一文が上部配置。価格は2,800〜3,150円。/新:『zero』〜ジャケット余白が灰色。『紅い蝶』〜CEROマークがアルファベット。『刺青の聲』〜ジャケット裏の一文が下部配置。価格は1,890〜2,800円。
- ^ 副題は、本来はロゴデザインおよびゲーム本編タイトルコールの表記である「零-刺青ノ聲-」が正しい。
- ^ ジャケットのデザインでは「project zero 3」(小文字・アラビア数字)となっている。
- ^ 任天堂カンファレンス2010
- ^ a b 『零-刺青ノ聲- 公式完全攻略本 導魂之書』エンターブレイン。/ルリについては、深紅の両親が『zero』の事件のショックで塞ぎ込みがちになった深紅のために贈ったと記述されているが、深紅の両親は『zero』の事件の前に既に死亡しているため矛盾が生じている。
- ^ Wii公式ウェブサイトで配信されたスタッフインタビュー『クリエイターズボイス:零〜月蝕の仮面〜』より。
- ^ 零〜zero〜奇譚 第二回 『深紅と真冬』
- ^ a b 『零〜zero〜 零〜紅い蝶〜 恐怖ファンブック 怨霊の刻』実業之日本社。
- ^ 開発秘話 (その一 イメージソング「蝶」について…)