小沢書店
株式会社小沢書店(おざわしょてん)は、かつて東京都豊島区雑司が谷に存在した文芸出版社。歴史的仮名遣いでの出版の場合の表記は、小澤書店。
略史
[編集]1972年に早稲田大学文学部に在学中だった長谷川郁夫が設立。最初期の出版は、大岡信『あだしの 詩集』、神品芳夫『リルケ研究』であった。
吉田健一、富士川英郎、篠田一士、川村二郎、高橋英夫、饗庭孝男、桶谷秀昭、那珂太郎、阿部良雄、平岡篤頼、窪田般彌、鷲巣繁男、大久保喬樹、酒井忠康、渋沢孝輔、宮田恭子、北村太郎など、多くの外国文学者、文芸批評家、詩人・歌人の著作を出版した。
全集・選集類は、吉田健一『ポエティカ Ⅰ・Ⅱ』を始め、『定本吉田一穂全集』、『堀口大學全集』、『青山二郎文集』(増補版も刊)、『小沼丹作品集』、『秋山駿批評』、『晩国仙果 森亮訳詩集』、『柴田宵曲文集』、『小川国夫全集』、『大原富枝全集』、『江藤淳対話集』などを出版した。
1984年から1997年に、他社初版も含む再刻本シリーズ〈小沢コレクション〉全50冊、1990年代に下記の詩集シリーズ<双書・20世紀の詩人> 、再刻で<小沢クラシックス世界の詩「日本詩人選」>、<同「世界詩人選」>、<同「中国名詩鑑賞」>を、計・約50冊出版した。
井上究一郎『水の上の落葉 詩集』、『三笠山の月 小田嶽夫作品集』などを出版した直後の2000年9月に倒産、28年間で約630冊余の著作が出版された。
未完結となった出版に、新庄嘉章訳『ジッドの日記』(改訳版、全5巻の内3巻目まで、全巻は2003年に日本図書センターで刊行)、堀越孝一『ヴィヨン遺言詩注釈』(全4巻の内3巻まで、4巻目は冬至書房で2002年刊行)、『磯田光一著作集』(全10巻の内5巻分のみ)、『前川佐美雄全集』(1巻目のみ、砂子屋書房全3巻で、2008年完結)などがある。
2020年春に長谷川は死去し、晩年立ち上げた日本編集者学会・編により『Editorship 6 追悼・長谷川郁夫』(田畑書店、2021年6月)が追悼出版され「小沢書店」全刊行目録も収録された。
双書・20世紀の詩人
[編集]- 『アポリネール詩集』窪田般彌訳 1992年12月
- 『エズラ・パウンド詩集』新倉俊一訳 1993年1月
- 『イヴ・ボヌフォワ詩集』清水茂訳 1993年3月
- 『シルヴィア・プラス詩集』徳永暢三訳 1993年3月
- 『パウル・ツェラン詩集』飯吉光夫訳 1993年5月
- 『リルケ詩集』神品芳夫訳 1993年10月
- 『オーデン詩集』中桐雅夫、福間健二訳 1993年10月
- 『ガブリエラ・ミストラル詩集』田村さと子訳 1993年12月
- 『ウンガレッティ詩集』河島英昭訳 1993年12月
- 『ホフマンスタール詩集』川村二郎訳 1994年1月
- 『ディラン・トマス詩集』松田幸雄訳 1994年4月
- 『エリュアール詩集』宇佐美斉訳 1994年5月
- 『トラークル詩集』滝田夏樹訳 1994年5月
- 『パステルナーク詩集』工藤正廣訳 1994年6月
- 『デレック・ウォルコット詩集』徳永暢三訳 1994年7月
- 『ラディゲ詩集』窪田般彌、江口清訳 1994年10月
- 『ボブロフスキー詩集』神品芳夫、田中謙司訳 1994年10月
- 『ギュンター・グラス詩集』飯吉光夫訳 1994年12月
- 『アンリ・ミショー詩集』小海永二訳 1995年3月
- 『マリー・ノエル詩集』田口啓子訳 1995年5月
- 『フランシス・ポンジュ詩集』阿部良雄訳 1996年8月
- 『カロッサ詩集』田口義弘訳 1999年5月