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土木局

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土木局(どぼくきょく)は、戦前期の日本に存在した内務省内部部局1941年昭和16年)国土局(こくどきょく)と改称され、1947年昭和22年)まで日本の土木行政を所管した。現在の国土交通省の源流に当たる。

概略

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明治初期における土木行政は、民部官(→民部省と改称)土木司、工部省大蔵省土木寮など所管する省庁が二転三転してきたが、1873年明治6年)の内務省設置により、同省に定着した。

内務省における土木行政の所管部局は、1873年明治6年)土木寮、1877年明治10年)土木局、1941年昭和16年)国土局と名称を変えている。

1947年(昭和22年)12月31日の内務省解体・廃止に伴い、内務省国土局は戦災復興院と合体して建設院となり、1948年(昭和23年)建設省となった。

組織

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1886年(明治19年)時点

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(事務系)

  • 治水課
  • 道路課

(技術系)

  • 計算課

事務系官僚と技術系官僚は完全に部署が分かれていた。

1913年(大正2年)時点

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(事務系)

  • 河港課
  • 道路課

(技術系)

  • 技術課
  • 直轄工事課
  • 調査課
    • 河川・道路・砂防に関する事業の臨時調査を担当。

1919年(大正8年)時点

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(事務系)

  • 河川課
  • 港湾課
  • 道路課

(技術系)

  • 第一技術課
  • 第二技術課

工営課(直轄工事課から改称)、調査課は廃止される。

1938年(昭和13年)時点

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(事務系)

  • 河川課
  • 港湾課
  • 道路課

(技術系)

  • 第一技術課
  • 第二技術課
  • 第三技術課
    • 砂防関係が第一技術課から独立。

1941年(昭和16年)国土局設置時点

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  • 総務課
  • 計画課
    • 都市計画を所掌。
  • 河川課
  • 道路課
  • 港湾課

第一〜第三技術課は廃止され、所属していた技術系官僚は各課に振り分けられる。

1943年(昭和18年)、港湾行政は新設の運輸通信省運輸省の前身)に移管される。

歴代土木局長

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一部の例外(古市公威岩沢忠恭)を除き、事務官(主に東大法学部卒)が着任した。

土木頭

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氏名 就任年月日 前職 転任先等
林友幸 1874(明治7).2.3 大蔵省土木頭 内務少輔

土木局長 (1877年(明治10年)1月 土木局と改称)

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氏名 就任年月日 前職 転任先等 備考
石井省一郎 1877(明治10).1.19 内務権大書記官 岩手県令
島惟精 1884(明治17).2.25 岩手県令 参議院議官
三島通庸 1884(明治17).11.21 福島県令 警視総監
西村捨三 1886(明治19).4.27 沖縄県令 大阪府知事
中村孝禧 1889(明治22).8.20 土木局次長 元老院議官
古市公威 1890(明治23).6.14 工科大学教授 (廃官) 技術系官僚
古市公威 1891(明治24).8.16 元土木局長 土木技監
都筑馨六 1894(明治27).6.22 内務省参事官 (免本官)
古市公威 1896(明治29).2.12 (土木技監) (免兼官) 土木技監と兼任
鈴木充美 1898(明治31).7.19 内務次官 (免心得) 心得
南部光臣 1898(明治31).11.10 (内務書記官) (免事務取扱) 事務取扱
田邊輝實 1898(明治31).11.12 三重県知事 宮城県知事
南部光臣 1903(明治36).1.22 土木局治水課長 (休職)
仲小路廉 1904(明治37).6.6 逓信大臣官房長 警保局長
犬塚勝太郎 1904(明治37).11.17 青森県知事 長崎県知事
水野錬太郎 1911(明治43).9.14 内務省参事官 (免本官)
久保田政周 1912(大正元).12.22 三重県知事 東京府知事
下岡忠治 1914(大正3).4.21 (内務次官) (免心得) 心得
小橋一太 1914(大正3).4.28 地方局長 内務次官
堀田貢 1918(大正7).4.25 監察官 警視総監
長谷川久一 1922(大正11).6.14 土木局河川課長 石川県知事
長岡隆一郎 1923(大正12).10.25 都市計画局長 社会局長官
堀切善次郎 1924(大正13).12.15 都市計画局長 神奈川県知事
次田大三郎 1925(大正14).9.16 茨城県知事 (休職)
宮崎通之助 1927(昭和2).5.17 愛媛県知事 (免本官)
三邊長治 1929(昭和4).7.5 岡山県知事 地方局長
丹羽七郎 1931(昭和6).4.15 埼玉県知事 社会局長官
湯澤三千男 1931(昭和6).12.18 宮城県知事 広島県知事
唐澤俊樹 1932(昭和7).6.28 和歌山県知事 警保局長
廣瀬久忠 1934(昭和9).7.10 埼玉県知事 社会局長官
岡田文秀 1936(昭和11).3.13 衛生局長 長崎県知事
赤松小寅 1937(昭和12).2.10 社会局労働部長 福岡県知事
安藤狂四郎 1937(昭和12).11.4 三重県知事 警保局長
挾間茂 1939(昭和14).1.11 茨城県知事 地方局長
山崎巌 1939(昭和14).4.17 静岡県知事 警保局長
成田一郎 1940(昭和15).1.19 石川県知事 (国土局長)

国土局長 (1941年(昭和16年)9月 国土局と改称)

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氏名 就任年月日 前職 転任先等 備考
成田一郎 1941(昭和16).9.6 (土木局長) 地方局長
新居善太郎 1941(昭和16).10.20 鹿児島県知事 地方局長
宮村才一郎 1943(昭和18).7.1 広島県知事 (免本官)
堀田健男 1945(昭和20).4.21 防空総本部業務局長 静岡県知事
小泉梧郎 1945(昭和20).9.12 岡山県知事 警保局長
坂千秋 1945(昭和20).10.11 (内務次官) (免事務取扱) 事務取扱
岩澤忠恭 1945(昭和20).10.27 関東土木出張所 建設技監 技術系官僚

歴代課長

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大正9年〜

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技術課長は技官(土木系技師)、その他の課長は事務官。

河川課長 港湾課長 道路課長 庶務課長 第一技術課長 第二技術課長 第三技術課長
T9 長谷川久一 丹羽七郎 佐上信一 近藤虎五郎 比田孝一
T10 長谷川久一 三矢宮松 佐上信一 近藤虎五郎 比田孝一
T11 山岡国利 松本学 佐上信一 三矢宮松 近藤虎五郎 比田孝一
T12 吉村哲三 伊藤武彦 佐上信一 丹羽七郎 池田円男 比田孝一
T13 吉村哲三 松本学 伊藤武彦 丹羽七郎 池田円男 金森鍬太郎
T14 松本学 伊藤武彦 丹羽七郎 島重治 金森鍬太郎
T15/S1 岡田文秀 伊藤武彦 丹羽七郎 島重治 金森鍬太郎
S2 岡田文秀 清水良策 丹羽七郎 島重治 金森鍬太郎
S3 岡田文秀 清水良策 丹羽七郎 島重治 福田次吉
S4 岡田文秀 清水良策 丹羽七郎 前川貫一 福田次吉
S5 岡田文秀 清水良策 清水良策 前川貫一 福田次吉
S6 岡田文秀 松村光磨 清水良策 前川貫一 福田次吉
S7 岡田文秀 松村光磨 武井群嗣 前川貫一 福田次吉
S8 松村光磨 雪沢千代治 武井群嗣 前川貫一 福田次吉
S9 松村光磨 雪沢千代治 武井群嗣 前川貫一 福田次吉
S10 武井群嗣 雪沢千代治 新居善太郎 谷口三郎 鈴木雅次
S11 武井群嗣 雪沢千代治 新居善太郎 谷口三郎 鈴木雅次
S12 新居善太郎 石井政一 阿部邦一 鈴木雅次 佐藤利恭
S13 沢重民 石井政一 阿部邦一 鈴木雅次 佐藤利恭
S14 沢重民 高橋庸弥 灘尾弘吉 鈴木雅次 佐藤利恭 赤木正雄
S15 沢重民 高橋庸弥 福本柳一 高橋嘉一郎 金子源一郎 赤木正雄
S16 田中省吾 高橋庸弥 川上和吉 高橋嘉一郎 金子源一郎 赤木正雄

昭和17年〜

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総務課長 計画課長 河川課長 道路課長 港湾課長
S17 宇佐美毅 川上和吉 宇佐美毅 岩沢忠恭 嶋野貞三
S18 高村坂彦 吉富滋 宇佐美毅 岩沢忠恭 嶋野貞三

関連項目

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参考文献

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  • 大霞会『内務省史』第3巻、1970年
  • 大霞会『内務省史』第4巻、1971年
  • 内閣印刷局『職員録』、各年度