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メルセデス・ベンツ・CLEクラス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
メルセデス・ベンツ・CLE
C236/A236
CLE 200 クーペ スポーツ
CLE 200 カブリオレ スポーツ
メルセデスAMG CLE 53 4MATIC+ クーペ
概要
製造国 ドイツの旗 ドイツブレーメン工場
販売期間 2023年-
ボディ
乗車定員 4名
ボディタイプ 2ドアクーペ/カブリオレ
駆動方式 FR/4WD
プラットフォーム MRA II
パワートレイン
エンジン M254型 直4ガソリンターボ
M256直6ガソリンターボ
OM654型 直4ディーゼルターボ
モーター EM0024型 同期モーター
最高出力 204 - 449PS
最大トルク 320 - 560N・m
変速機 9速AT(9G-TRONIC)
サスペンション
ダブルウィッシュボーン式
マルチリンク式
車両寸法
ホイールベース 2,865 mm
全長 4,850 mm
全幅 1,860 mm
全高 1,420 mm
車両重量 1,715~1,795 kg
系譜
先代 C205/A205/C238/A238
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CLEクラスは、メルセデス・ベンツが生産・販売するクーペまたはカブリオレタイプの高級乗用車である。型式コードはC236(クーペ)およびA236(カブリオレ)。

CLEは、Cクラスクーペ/カブリオレ、Eクラスクーペ/カブリオレの計4車種の後継モデルに相当する[1]。この4車種が統合されたのは、かつてのCLKクラス以来である。

概要[編集]

2023年7月、オンライン発表会にて初公開[2]ヨーロッパでは2023年末に、日本では2024年3月にクーペが、同年6月にカブリオレが発売開始された。CLEの生産はドイツブレーメン工場で行われる。[3][4]

メルセデス・ベンツの2ドアクーペ/カブリオレ伝統のロングホイールベース、ショートオーバー ハング、ロングボンネットを採用したプロポーションは、メルセデスデザインの基本思想である「Sensual Purity(官能的純粋)」によって磨き上げられ、ダイナミックかつエモーショナルなスタイリングを形成している。

インテリアは、プレミアムクーペのスポーティさを引き立てるドライバーオリエンテッドなコックピットデザインを採用。人間工学に基づいて配置された12.3インチと11.9インチの2つの高解像度ディスプレイを装備している。ドライバーを重視することでスポーツ感を強調すべく、11.9インチのメディアディスプレイを6度、ドライバー側に傾けている。また、専用開発のスポーツシートや、メルセデス初のナッパレザーのストラップを採用したイージーエントリー機能なども備わる。さらに、学習能力や使い勝手を高めたMBUX(第3世代)も搭載。ドライバーの操作負担を軽減するルーティン機能や予測提案を行うゼロレイヤーなど、新時代の室内環境を提供する。

リアシートは左右独立式。従来のEクラスクーペに対して室内幅は肩部で54mm拡大しているほか、40:20:40の分割可倒式シートが採用されている。トランクルームはクーペの場合、420Lもの容量を確保。自動開閉トランクリッドやフットトランクオープナーも備わる。

シャーシは、Cクラス(W206)やEクラス(W214)等と「MRA IIプラットフォーム」を共有している。ボディサイズは、従来のCクラスクーペとEクラスクーペの中間に設定され、Cクラスクーペよりも広い室内空間と、Eクラスクーペよりもスポーティなドライビング体験を与えたという。加えて、Eクラスクーペに対して後部空間が肩部で54mm拡大され、後部座席の快適性が向上した。

サスペンションは、W206と同じくフロントがダブルウィッシュボーン式で、リヤがマルチリンク式。路面状況に応じてダンパー特性を連続的に調整する「ダイナミック・ボディ・コントロール・サスペンション」と、後輪操舵システム「リア・アクスルステアリング」が設定されている。約60km/h以下では、リアホイールをフロントホイールとは逆方向に最大2.5度傾け、約60km/h以上では、リアホイールをフロントホイールと同方向に最大2.5度操舵することで、良好な取り回しと優れたハンドリングを実現している。

カブリオレに装備される、遮音性と耐候性に優れた「アコースティックソフトトップ」は室内のノイズレベルを大幅に抑制し、クローズ状態では室内の高い静粛性を実現する。 ソフトトップの操作は、走行中でも時速60kmまで可能で、作動時間は20秒以内に収まる。 さらに、万が一の際に後部座席の乗員を保護する「ヘッドエアバッグ」をメルセデスのカブリオレでは初採用した。ほかにも、室内への風の巻き込みを低減するエアキャップや、首元を暖めるエアスカーフにより、いつでも快適なオープンエアドライブを楽しめる。

Mercedes-AMG[編集]

2023年12月、欧州でMercedes-AMG CLE 53 4MATIC+ クーペが発表され、翌月から受注が開始された[5][6]

パワートレインは、3L 直列6気筒ターボエンジンのM256型に、ターボチャージャーと48V 電動スーパーチャージャー、ISGを搭載する。 従来の「M256」から新しく設計されたインレット/アウトレットチャンネルやピストンリングの採用、最適な燃焼噴射、ターボチャージャーに改良を加えた。欧州仕様の最高出力は455PS、最大トルクは560N・m(オーバーブースト時は、12秒間のみ最大600N・m)。0-100km/h加速は4.2秒で、最高時速は250km/h。オプションのAMGドライバーズパッケージを装着した場合、最高時速は270km/hに到達する[7]

日本仕様の最大出力は449PS (330kW)。スーパーチャージャーも改良し、最大加給圧を従来の0.4barから1.5barとすることで、最大トルク560N・m(約10秒間のオーバーブースト時600N・ m)を発生させる。ISGにも改良を加え、第2世代へと進化したことで、最大出力23PS(17kW)、最大トルク205N・mを発生させることが可能となった。

メルセデスAMGが開発した四輪駆動システム「AMG 4MATIC+」を搭載し、前後トルク配分が 50(前):50(後)から 0(前):100(後)の範囲で可変トルク配分を行うことで、ハイパワーを四輪へ最適に配分する。また、適切なシフトタイム、迅速なリアクション、ダブルクラッチ機能、およびマルチダウンシフトを感じられる、AMG SPEEDSHIFT TCT 9G トランスミッションを採用することで、俊敏なシフト操作が可能となった。高いアジリティやニュートラルなコーナリング特性、優れたトラクションを可能にする、AMG RIDE CONTROL サスペンションも装備する。四輪それぞれのダンパーの伸び側と縮み側に独立したバルブがあり、ダンパーレスポンスは、走行状況や路面状況に合わせて素早く、正確に変化するほか、ダンパー特性はダイナミックセレクトの「Comfort」「Sport」「Sport+」の選択により好みの状態に変化する。

日本仕様車[編集]

2024年3月18日、クーペを発表・発売。用意されるグレードは、2L 直列4気筒の直噴ターボエンジンに第2世代のISGを組み合わせた「CLE 200 クーペ スポーツ」のみ。最新の安全運転支援システムや、片側100万画素以上のDIGITALライトに加え、AMGラインエクステリア&インテリアを標準採用したことで、力強くスポーティなスタイリング&コックピットと、セレクティブダンピングシステムを採用したスポーツサスペンションがもたらす俊敏で快適な走りを兼ね備えている。ドアを閉めるとシートベルトが前にせり出す「ベルトフィーダー」も装備する。

同年6月25日、カブリオレを発表・発売[8]。用意されるグレードはクーペと同じく、2L 直列4気筒の直噴ターボエンジンに第2世代のISGを組み合わせた「CLE 200 カブリオレ スポーツ」のみ。主要装備も基本的にはクーペに準ずるが、オプションで用意される本革シートには、夏場に熱くなりすぎないよう、太陽の赤外線を反射する特殊コーティングが施される。また、中央に配置されたメディアディスプレイは、ソフトトップ開放時に日光の差し込む向きが変わることで生じる光の反射を防ぐため、傾きを電動で調整する機能を備えている。

同日、クーペに「Mercedes-AMG CLE 53 4MATIC+」を追加発表・発売[9]。前後にワイドフェンダーを採用したことで、全幅を大幅に拡大している(前:+50mm、後:+70 mm)。また、トランクリッド後端にはボディ同色のスポイラーリップが装着され、ダイナミックさを強調している。ドライビングに集中しながら各種メニュー操作が可能なAMG ドライブコントロールスイッチを備えた、AMG パフォーマンスステアリング&AMG ダイナミックセレクトを標準装備としたほか、AMG レッドブレーキ・キャリパーやAMG カーボンファイバーインテリアトリム、エンジンマウントの固さを状況に応じて調整するAMG ダイナミックエンジンマウントがセットになった「AMG ダイナミックパッケージ」がオプション設定される。

エンジンとテクニカルデータ[編集]

エンジンのラインナップは以下の通り。ガソリン・ディーゼルともに48Vのマイルドハイブリッドシステムを採用し、最大出力17kWの同期モーターがISGとして搭載される。2024年7月現在、日本市場には「CLE 200(クーペ/カブリオレ)」と「Mercedes-AMG CLE 53 4MATIC+ (クーペ)」が導入されている。

エンジンラインナップ
モデル 排気量 エンジン トランスミッション 駆動方式 最高出力 最大トルク
エンジン モーター エンジン モーター
CLE 220 d 1,993 cc (2.0L) OM654型
直列4気筒
ディーゼルターボ
9速AT
(9G-TRONIC)
FR 145 kW
(200 PS)
@3,600 rpm
17 kW
(23 PS)
440 Nm
@1,800-2,800 rpm
205 Nm
CLE 200 1,999 cc (2.0L) M254型
直列4気筒
ガソリンターボ
FR
4WD
150 kW
(204 PS)
@5,800 rpm
320 Nm
@1,600-4,000 rpm
CLE 300 4MATIC 4WD 190 kW
(258 PS)
@5,800 rpm
400 Nm
@2,000-3,200 rpm
CLE 450 4MATIC 2,999 cc (3.0L) M256型
直列6気筒
ガソリンターボ
280 kW
(381 PS)
@5,800-6,100 rpm
500 Nm
@1,800-5,000 rpm
Mercedes-AMG CLE 53 4MATIC+ 9速AT
(AMGスピードシフトTCT)
335 kW
(455 PS)
@5,800-6,100 rpm
600 Nm
@2,200-5,000 rpm
動力性能
モデル 最高時速 0-100km/h加速
クーペ カブリオレ クーペ カブリオレ
CLE 220d 238 km/h 234 km/h 7.5 sec 7.9 sec
CLE 200 240 km/h
236 km/h(4WD)
236 km/h
232 km/h(4WD)
7.4 sec
7.5 sec(4WD)
7.9 sec
8.0 sec(4WD)
CLE 300 4MATIC 250 km/h 250 km/h 6.2 sec 6.6 sec
CLE 450 4MATIC 4.4 sec 4.7 sec
Mercedes-AMG CLE 53 4MATIC+ - 4.2 sec -


関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ Matt Saunders「メルセデス・ベンツ 新型「CLE」クーペ/カブリオレ 11月より欧州発売、4車種を統合」『AUTOCAR JAPAN』2023年7月7日。2024年3月24日閲覧。
  2. ^ "World Premiere of the new Mercedes-Benz CLE Coupé" (Press release) (英語). Mercedes-Benz Media. 5 July 2023. 2024年3月24日閲覧
  3. ^ CLEクーペを発売』(プレスリリース)メルセデス・ベンツ日本、2024年3月18日https://media.mercedes-benz.jp/CLE%E3%82%AF%E3%83%BC%E3%83%9A%E3%82%92%E7%99%BA%E5%A3%B2/2024年3月24日閲覧 
  4. ^ Matt Saunders「エレガントなミディアム・クーペ メルセデス・ベンツCLE 300へ試乗 快適でスポーティ」『AUTOCAR JAPAN』2023年9月23日。2024年3月24日閲覧。
  5. ^ "The Mercedes-AMG CLE Coupé: New entry into the performance coupé segment" (Press release) (英語). Mercedes-Benz Media. 6 December 2023. 2024年3月24日閲覧
  6. ^ 森脇稔「メルセデスAMG「53」、最新作は新型クーペ『CLE』がベース…欧州受注開始」『Response.』2024年1月25日。2024年3月24日閲覧。
  7. ^ Alexander Bernt「直6を搭載した美しいクーペ登場!「メルセデスAMG CLE 53」のファーストチェック」『AUTO BILD JAPAN Web』2023年12月29日。2024年3月24日閲覧。
  8. ^ CLE カブリオレを発売”. メルセデス・ベンツ日本合同会社. 2024年7月4日閲覧。
  9. ^ メルセデス AMG CLE 53 4MATIC+ クーペ(ISG 搭載モデル)を発売”. メルセデス・ベンツ日本合同会社. 2024年7月4日閲覧。

外部リンク[編集]